やっと、『黒部の山賊』を読むことができた。
多分、何かの書評で、この書を知ったのだろうが、表紙のイラストと題名から、興味を持っていた。
終戦直後、登山中の学生が、復員兵に撲殺され食料を奪われる事件があった。
そんなこともあって、黒部周辺を根城にする山賊がいるという噂が流れた。
著者は、山小屋経営に乗り出そうとしていたが、ちょうど、購入した山小屋に、その山賊たちが住んでいたのだ。
その山賊 . . . 本文を読む
オール読物新人賞を受賞して初めての単行本で、書評の評判も良かったので読んでみた。
5話の短編集なのだが、どれも、良質の作品に仕上がっている。
特に気に入ったのは、幼馴染で、恋人でもある『登』が、活躍する第二話 版木どろぼう と第5話 火付け だ。
母には、捨てられ、父は自殺して、天涯孤独となった主人公のおせんが、周りの人に助けられながら、かつ、気丈な強さを発揮して自活していく姿が描かれる。
. . . 本文を読む
『このミステリーがすごい!』の文庫グランプリを受賞した本作品を読んでみた。
父親が通り魔に殺され、母も失踪。
妹も遺体で発見されたうえに、保険金詐欺の疑いもかけられるというどうしようもない状況で、何とか、妹の潔白を信じて、行動する主人公の物語だ。
最後の解説の表題で、『二転三転四転五転の力業で読者をねじ伏せてくる』とあるのだが、なるほどとは思うが、ここまで、ひっくり返されるのも、あまり良い気 . . . 本文を読む
7編からなる短編集『海』を読んでみた。
そのうちの2編は、2~3ページと、こんな短い作品読んだことないというものだった。最後の解説で、『スケッチ』という言い方をしていた。それにしても、作品の短さに比べて、最後の解説が、長く感じた。
最後には、インタビューも載っていたが、これは、、小川洋子の作品への気持ちが伝わっていた。
さて、個々に書き始めると長くなるので、全般を通していえることは、発想や設 . . . 本文を読む
MICHAEL CONNELLYの『THE SCARECROW』を読み終えた。
ハリーボッシュシリーズに出てくるFBI女性捜査官、レイチェルと新聞記者を首になりそうな元カレの主人公の物語だ。
主人公は、ある女性から電話があり、自分の息子は、えん罪を着せられようとしていると訴えてきた。
調べているうちに、過去、同じようにビニール袋をかぶせて窒息させられ、車のトランクに遺棄された事件があったこと . . . 本文を読む
海外ミステリー(洋書)で読んだものを作家別にご紹介します。追加:THE SCARECROW(MICHAEL CONNELLY)
①PRESTON & L.CHILD THUNDERHEADCABINET OF CURIOCITY BRIMSTONE RIPTIDE DANCE OF DEATHTHE BOOK OF THE DEADTHE WHEEL OF DARKNESSCEMETER . . . 本文を読む
ジェイムズ・リー・バークのMWA長編賞を受賞した本作品を翻訳で読んだ。
正直言って、これを原書で読んだら、かなり、理解に苦しんだであろうと思った。
翻訳版で読んでも結構、苦労したのだから。
最後の解説で、ジェイムズ・リー・バークは、もともとは、純文畑に身を投じていたとのことだ。
それで謎が解けた。
何とも、その表現は、複雑で、拡張高く、情景描写が多く、ただのハードボイルド作品、ただのミス . . . 本文を読む
藤沢周平の本著を読んでみた。最近、NHKの大河ドラマで、『べらぼう』を見始めた。
大河ドラマを見るなんて、本当に久しぶりだ。そして、見続けている。
理由は、時代劇であること。ストーリーも中々、面白いからだろう。
本屋にも、蔦屋の特集本が出回っている。
そんな中で、読んでみたくなったのだが、読み終えて驚いた。10年前に読んでいたことがわかったのだ。その時の感想が下記の通りだ。
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今年初めての洋書として、JAMES LEE BURKEの洋書を読了した。JAME LEE BURKEは、日本では、あまり知られてないかも知れないが、エドガー賞に3度も輝いた、米国のミステリー作家だ。
今回の洋書は、図書館にあったのだが、ミステリーとは、ちょっと、異なる南北戦争の中で、南部に住む人間の人間劇を描いた重厚な作品となっている。
英語は、情景描写も多く、南北戦争の時代背景などを知らない . . . 本文を読む
宮部みゆきの「孤宿の人」を読了した。
裏表紙に著者の時代小説最高峰、感涙の傑作。と書いてあった。
なるほどと思わせる作品だ。正直言って、今まで読んだどの作品とも異なる不思議な作品でもあった。
不幸な少女、「ほう」が、やさしい人たちに出合いながら生きてゆく姿が描かれる。
一方、幕府から押し付けられ幽閉された者を悪霊と領民たちは恐れおののく。
その通り、次々に恐ろしい事件が発生する。
この . . . 本文を読む
読売新聞の書評で知った本書を読んでみた。
玉岡かおるの書は、2度目だが、どちらも設定、発想がユニークだ。本書も、壇之浦で、草薙の剣が、海中に消えたとされるが、その真相を知るため旅に出る若武者の話だ。
正直言って、長かったし、少々、緩慢に感じた。
冒険旅行記であれば、それなりに、わくわく、どきどきするようなスピーディーな展開が欲しかった。
その時代背景の雰囲気を盛り込もうとしたためだろうか? . . . 本文を読む
先日、市川雷蔵の古い映画を3週連続でBSテレビ放映していた。その中で、「剣鬼」というのがあり、思わず見てしまった。
少々、荒唐無稽なところがある作品だった。
何しろ、犬の子と言われて育ち、馬鹿にされぬように、一芸に秀でろと養父に遺言される。
すると、花を育てる特殊な能力を発揮する。更に、馬に負けずに走れる能力もあることに気が付く。
更に、居合を練習する武士を見て、居合を習得するのだ。
誰 . . . 本文を読む
大名倒産(上下)を読み終えた。
正直言って、上下巻は、長かった。
今まで読んだ、浅田次郎の作品とは、ちょっと、違う世界だった。
いわゆる、ドタバタコメディー的とでも言うのか。
経営破綻しかけてる小藩で、長男が亡くなったので、突然、4男の主人公がお殿様になって、立て直しをはかる。
一方、引退した元藩主は、ある計画を画策していた。
一見、普通の時代劇っぽいが、ハチャメチャになってくるのだ。 . . . 本文を読む
JOHN GRISHAMの”SKIPPING CHRISTMAS"を読んだ。
丁度、年末のクリスマスに近くなってきたこと。また、分厚い洋書に疲れたあとで、ちょっと、軽めの本(177ページ)を選びたかったことが主な理由だ。予定通り、年内に読み終えることができた。娘が海外派遣隊に参加で、おそらく、1年くらいは、帰って来ないだろうと考えて、今年は、クリスマスをスキップしてクルーズ旅行に出よ . . . 本文を読む
笹本稜平の最後の作品とも言える「山狩」を読んだ。
笹本稜平と言えば、警察小説や山岳小説が有名だが、両方を併合したような作品だ。
舞台は、千葉県の伊予が岳で、登ったこともあり、親しみがあった。
しかし、その伊予が岳で、山狩りがなされようとは、.......。
さて、伊予が岳で、女性の遺体が発見される。事故として処理されそうになるが、実は、ストーカーされていたことがわかり、事件の可能性も検討さ . . . 本文を読む