池波正太郎の鬼平犯科帳の番外編とも言える本書を
読んでみた。
ちょっと、不思議な作品と言えるのではないか。
主人公は、「お松」という薄幸の女性だが、美人でも
なんでもないのだ。しかも、亡父から顔に傷を付けられている。
捨てられた亭主にも、「不作の生大根」などと怒鳴られて
いたのだ。
この作品では、その「お松」の数奇な人生が描かれていく。
並行して、鬼平の盗賊の捕物が描かれていくのが、中々、
接点があるようで、結びつかず、並行して話が続くのだ。
そして、最後の数ページにやっと、この表題の意味が
わかってくるのだ。この終わり方は、素晴らしい。
この終わりを味わいたくて、再読みする人もいるというのが、
うなずける。
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