ミステリーな森の生活

洋書ミステリー、英語学習、洋画レビューなどから始めましたが、今は、種々雑多(山岳小説、落語など)です。

乳房(池波正太郎)

2023年10月19日 | 時代劇はミステリー

池波正太郎の鬼平犯科帳の番外編とも言える本書を
読んでみた。

ちょっと、不思議な作品と言えるのではないか。

主人公は、「お松」という薄幸の女性だが、美人でも
なんでもないのだ。しかも、亡父から顔に傷を付けられている。

捨てられた亭主にも、「不作の生大根」などと怒鳴られて
いたのだ。

この作品では、その「お松」の数奇な人生が描かれていく。

並行して、鬼平の盗賊の捕物が描かれていくのが、中々、
接点があるようで、結びつかず、並行して話が続くのだ。

そして、最後の数ページにやっと、この表題の意味が
わかってくるのだ。この終わり方は、素晴らしい。

この終わりを味わいたくて、再読みする人もいるというのが、
うなずける。


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