■丁寧な仕事がみえて嬉しい!昭和から続く洋食屋さんでの昼食風景
11月の終わりの週末、西日本に仕事でおりました。
下鴨神社・糺の森をあるき、昼食をとりました。
下鴨神社の周りは、和食にとらわれず、各国の特徴ある料理にも出会える場所です。イタリア、フランス、ドイツ、イスラエル、トルコ…。
そんな街で、何を選ぶか(ニッコリ)。
この歴史ある街に相応しい、洋食屋さんにしました。
今回は、田河水泡さんの名作 のらくろの名前を冠した、洋食屋さんを選びました。
店の外には、ご年配の方々が、静かにならんでお待ちでした。ぎりぎりでランチに滑り込めました(ニッコリ)。
ご年配のコックさんと、それよりは十ばかりはお若い、注文からお運びまで客前の一切をしきる女性と。
繰り返し、お待たせしてすみません、ありがとうございます、と話す、実直な方々でした。
■コーンポタージュ
ボウルとカップが選べる、典型的な洋食屋スタイルでした。ボウルをえらびました。食パン・クルトンにパセリ(ニッコリ)。白い紙ナプキンに包まれたスプーン。
とろとろの食感に、優しい濃い味。日本の洋食のポタージュらしい味です。
ボウルから、小さなボウルに取り分けてもらって、ふーふーしてもらって、口にするポタージュ。ちびの日の私がしてもらったように、大人から分けてもらう、二歳位の小さい人が、目の前の席にいて(微笑)。変わらぬ姿に、何だか目頭が篤くなりました。
あぁ、嬉しいなぁ。神田の古書街から駿河台下のカルチェラタン、日本橋界隈の洋食屋さん。年長者につれていかれた、大人空間。モダンでありながら、しっかりお上がりって声も、お皿から聞こえるレストランは、まだ、見つけることができたのです。
■ポークチャップ
朋が注文したのは、昭和の洋食屋さんの大ご馳走!です。
ケチャップ由来の甘く濃い味を、からめられた厚いお肉の、脂の旨さもタマラナイ(笑)。お肉に弾力感があるから、パクパク、ご飯がすすむそう。
ひと切れ、もらって味見(笑)。ああ、これは、すり下ろし玉葱に浸けてから焼いたのではないかしら?
丁寧に手をかけた味がしました(ニッコリ)。先代のたいめいけんを、思い返す味と私は思いました。
先代のたいめいけんご当主は、洋食を伝え拡げることに熱心でいらして。私の手元には、数冊のテキストがあります。
[ポークチャップを作る]
1cm厚の豚ロース肉は筋きりして、塩胡椒。軽く小麦粉をはたき、フライパンで最初は強火、あとは弱火で中心まで火を通す。余分な油を拭き取り、ケチャップ+ウスターソース+醤油+酒+水、すり下ろし玉ねぎやにんにく、を混ぜたものを絡め焼く。
お肉のたちによっては、ソースに浸けておいた肉を焼いて。肉は除いた後で、ソースを詰めれば、お肉が柔らかく仕上がる。
■B定食 (かにクリームコロッケ、ハンバーグ、海老フライ)
私はクリームコロッケが食べたくて、この豪華定食を注文しました。
かにクリームコロッケは、衣がさくさくに、堅めの食べやすいクリームベースでした。美味しい♪
まさに洋食屋さんのクリームコロッケで、上野精養軒のベシャメルとはちがう、真面目に工夫した味がしました。ライスにあうクリームコロッケです。
大きく詰まった海老フライには、タルタルソースが別添えにありました。あっさりですが、本当の洋食屋のタルタルソース、茹で卵にピクルス、塩もみ玉葱で作られていました。これは三笠會舘のに近い…。
ハンバーグは、ほろりっと崩れる、ハンプルグステーキ風です。牛ミンチと呼びたくなる食感で、今時のじゅわっ肉汁のような真似はしません(笑)。とろんっと甘さ強めのソースで。
ポテトサラダもまた本物! じゃがいもが熱いところで皮を剥き、酢と砂糖少しから、本当につくっている味がしました。
しゃきしゃきの野菜たちには、玉葱の香りが隠し味かな?フレンチドレッシングが少し。
どう言えば伝わるでしょうか。
それぞれにソースやドレッシングがあっても、それを混ざり会わせることなく、サクサクのままに食せる、ワンプレートに完成されている…と言えば、生真面目さが伝わるでしょうか。(ニッコリ)
■お皿にライス、福神漬(ニッコリ)
ナイフ、フォークの他に、お箸が供されるのも、正しい洋食屋のスタイルです。
この素敵な洋食屋さんは、昭和9年に始まったと後から知りました。たいめいけんが昭和6年創業だから、同じ時代の嵐を越えてこられたと思います。
丁寧に、真面目に作った味がする。心を暖める、ホロッとする味がしました。
ご年配のコックさんの、気概に支えられた料理と、しみじみしました。また、伺いたいレストランが増えました。どうぞお元気で!と願います。
■のらくろ (最寄り駅は出町柳、京都市左京区下鴨宮崎町)
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