『十三夜胴無きカブト夜光受く』
『アブラゼミ虚空つかんで今は亡き』
『居待ち月祇園精舎の虫の声』
『逝く夏の挽歌奏でるヒグラシぞ』
ヒグラシの鳴く声は 本当にもの悲しい
夏も終わりだと痛感する
日暮れに鳴くから いっそう その想いがつのる
聞くたびに感傷的な気分になるが それは私もソノヒグラシだから
『苦も見せず触れば尾を振る義理堅き癒えぬ病で年越しなるや』
『老いし子よ萎えて動かず隅に寝て我も萎えたり心塞ぎて』
『今解る薬石効を示さねば後は委ねて待つだけのみと』
『絨毯を切りマットに敷きたもう少しは優し伏せし老い子に』