『桑の実を食みて染めたり指の先』
『歌にありグミ原分けて我が昔』
『アキグミの渋さで戻る五十年』
桑の実は 一緒に採りにいったみっちゃんを思い出す
就学前の頃だったろうか
先日 アキグミの鉢植えの一粒で 少年期に逆戻りした
よく水無川の ほとりに食べに行った
干し上がった川床を渡るのに全力疾走したものだ
川幅が百メートルくらいあったから 子どもにはそれは長く遠い距離
水が出るときは 鉄砲水で火花を発して出てくるからだ
大丈夫と思っても川上を見ながら 快晴でも走ったのだ
怖かった
でも食べたかった 甘いのがあると思った 向こう岸