トロルお爺の”Satoyaman”林住記

生物生産緑地にて里山栗栄太が記す尻まくりワールド戯作帳

ヌタ場からの救出

2016-02-27 | 今日は真面目に
 左の写真は保護したトウキョウサンショウウオの卵嚢だ。絶滅危惧種Ⅱ類のトウキョウサンショウウオ、すぐ上の兄が保護活動を行っているので、ヌタ場に産卵された卵嚢回収に参加してきた。往路は未明より思わぬ降雪、現地では止んでいたが枯草の上には斑に残り曇天で寒い日になってしまった。とは言え小生はトウキョウサンショウウオなど見た事は無いし、当然卵嚢も成体も見た事は無い。オオサンショウウオはどこかの水族館で見物していたが、そこはどこだったか思い出せない。
 
 回収保護に出向いた谷地は耕作放棄田が連なり、猪の耕起で酷い有様であった。産卵は放棄地の中央部でなく山の斜面からの絞り水で浅い湿地になっている山際がほどんどで、猪がヌタくった小さな水溜りが点在しているような場所である。
 藪漕ぎをしながらヌタ場の卵嚢を確認しつつ保護回収を午前中行った。一部のプールには水底にオスと思われる成体がいたのだが撮影しても乱反射が酷くアップできる状態では無かった。回収された卵嚢は会友が里親になり自宅で管理、一部は現地拠点で育成保育し変態が終了したら採集地へ戻しているとの事だった。

 端的に言えば世代交代の出来る環境を整えてやれば自然産卵も増えてきたという現実があった。小生もそれは望むところなのであるけれど、現実は「山荒氏」の増加速度が圧倒的に勝る。
 うらやましかったのは、保護育成にかかるもろもろの機材や諸経費が県や市から出ていた事である。拠点で昼食を摂っていた頃に、たまたま市の担当者が見えて消耗品などの支給品を置いていった。これはマジでうらやましい。お互いが顔の見える関係になっている。

 話はそれるが兄曰く「こういう業務担当に高齢者福祉課も参加させるべきだ」と言っていたが、確かに毎日が日曜日になってしまった年齢層に野外活動の道筋をつけておくのも健康的ではある。
 これも蛇足になるが、雪の降りしきる未明、高速を走り往復500㎞の走行は身体にこたえると覚悟していたが一晩の睡眠でさっぱりした。時折は日常とは異なるエポックメーキングは必要なのだと理解する。
  ヌタ場産卵地   産卵状況  電気柵で囲った保育地