
もとより餡として作った材料をクッキーに改造する策など承知はしていないけれど、ネットに溢れる大同小異のレシピを眺めれば「多少のことなどどうでも良い」と喝破できる。そんな事からクッキー仕立てが第一案だったのだが500gもある餡をベースにクッキーを作るとなると一回では済まない。結局、一回で終了させたいので今まで作ってみたパンともケーキともカステラとも呼べない「なんじゃもんじゃ風」になってしまった。予定ではおかきのようにやや厚めでバリッと割って食するイメージだったのだが量が多くて一回では済まない。仕方なくカステラもどき、ロールケーキスポンジもどきのエッ!品になってしまった。
ところがである。これが意外に美味しかったのだ。材料のほとんどが餡であった事もあり砂糖は加えず薄力粉とバター、卵を加えただけの代物である。本来ならば各々の材料を量って加えるべきなのだろうが、参考になるレシピもスイーツも存在しないのであって、今回は「固さ」だけを勘所として薄力粉で調整したのだった。
焼き上がっての試食、砂糖を加えなかった事で「甘いお菓子」とはならず、その意味では口寂しい味わいなのだったものの、二口三口と食べ勧めていくうちに甘酒由来の甘味がホンワリと感じられてくる。口当たりも溶けるような感覚で玄米紛がベースのスイーツとは思えない。最初の一口目は「蜂蜜を掛けたい!」と一瞬は思ったものの、淡白な甘みである事から「糖分取り過ぎ」の心配は少なそうだった。原材料だった「甘酒とサツマイモの餡」の癖のある味を越えた味わい深い穏やかな一品となったのであった。これで苦心惨憺した餡を廃棄せず「美味しい一品」に仕上げた小生の技能、この職人技、見上げたものである。
まあ、毎度の事なのだが「おかき」にも「クッキー」にもならないエッ!品になった。まあまあ、好く御似合いであろうぞ。



