『看取る日は送る日なりの確信は不変なれども延命如何』
『水止めば乾びるばかり水やれば僅か延ばせる奈はどう思う』
『生かすすべ苦痛無きこと望んでも我が老いし子は何も語らず』
『ひたすらに伏せ続けたる老いし子に安静破り水を与えつ』
『我が父を 乾び送りた この身ゆえ せめて渇きは 憶えさせまい』
『老いし子よせめて娘の帰省まで命保てよ無理と知りつつ』
『食断ちて身を綺麗にし発つと聞く獣さえもか汝に思う』
『朝起きて寝所の姿見るたびに安堵もありて不憫もつのり』
『ペーストの補助餌と水をスポイトで与え続けて僅かに活きし』
『苦も見せず触れば尾を振る義理堅き癒えぬ病で年越しなるや』
『老いし子よ萎えて動かず隅に寝て我も萎えたり心塞ぎて』
『今解る薬石効を示さねば後は委ねて待つだけのみと』
『絨毯を切りマットに敷きたもう少しは優し伏せし老い子に』
『林遊期たどり着いたら苦行林』
『植林の森は無明の前知らせ暗く覆いて崩れて自明』
『溜池の掘り上げすれば立冬の溜りし水にまだトンボ来る』
『道つけて疲労困憊なりたれど自己の満足代え難しかな』
『犬もまた目足シモとも衰えて腰も萎えれど触れば尾を振る』
『描いた絵と違う晩年我が犬の姿重ねる我が歳の先』
『ただ眠る餌も水も避けただ眠る僅かに舐めし離乳の練り餌』
『餌を取らず五日になりし老いし子よスポイトの水僅かに舐めし』
『老いた上心不全なり我が犬はよく生きてると言われたるけど』
『老いし犬三日食せず薬増す効き目解らじ他の術も無く』
『戸を開けばよろけて立ちし我が犬は用を足すまで自分で歩み』
『用すれば歩く力も無かりけれ抱かれる時を四肢張りて待つ』
『指呼いらずコゲラ取り付く前の幹』
『幹に付きコゲラ顔なしカラ降りる』
『登る木に螺旋階段コゲラ行く』
『キツツキに負けじと気張り枝を打つ』
近くでドラミングしている
コゲラは至近距離までくるが あいつは姿を見せない
我輩はヒノキにしがみついて 枝を打つ
それにしても 人に見られたく無い不恰好さだ
あいつもヒノキなんだろうか
『太山は土壌譲らず過去のこと今は譲りて譲りて耐山』
『宅地横河床も葦の繁茂なり官は不関与枯れ草火災』
『見渡せば葦原の中続く道五色の沼は葦に呑まれり』
『遷移急保護とは違う五色沼』
五色沼が葦に席巻されてきたという
遷移に任せる というのが保護を標榜する官の理屈
沼が見えないと客が来なくなる というのが民の言い分
角を矯めて牛を殺すのはどっちだ
沼が消えたら 国立公園の価値は無い 葦原にするのが官
観光資源でもないのだ 生活が掛かっているのが民
人為で支えなければならない自然がある 理解できないのが権限を持つ国
狭い国土が放任や放縦であって良いはずがないだろうに
『三日月もメタボとなりつ秋の月』
『お月さん芋を食らうて太りゆく』
『困るなり間に合いもせずススキ花』
『萩無くてヌスビトハギを活けるなり』
ヌスビトハギは嫌いだ 綺麗な花に騙されたから
萩と間違えて 残しておいたら今では大繁殖
付いてしまうと取り除くのが大変だ
そう言えば いっぱいくっつけて泣いていた子がいた
くっ付き虫付いたあ と