GITANESを線香代わりに。
それとは無関係に・・・。
ある日突然、ここがいいんだけど
ある日突然、
「突然で申し訳ないですが、あなたはトニーレオンに似てなくもないですよね。」
とメールを送った。
その前にはまったくフリもなく、そもそも数年間音信のブランクがあった。
すぐに
「あなたもジャンレノに似てなくもないですよ。」というメールが返ってきた。
そしてまたそれから数年音信は途絶える。
そのようなアプローチを笑って許してくれ、
同じようなスタンスで受け答えしてくれるような人物が
3年前の今日亡くなったAscot氏である。私の、遠方の兄貴分だ。
彼も私も所属していた商品撮影プロジェクトの会合で月に一度は
東京で会っていた。
私が参加するようになってから、どうもドレスコードが無茶苦茶に
なっていったようだ。
一応服屋の集まりなので、皆それなりに似合っていればOKだったのだが、
ある日の私の出で立ち、
つまり、黒スウェットパンツ、黒パーカ、黒スニーカー、黒ニットキャップ、
黒カバン、黒ブルゾンにサングラス という格好を見るなり、
おはようございますでもお疲れ様でもなく、Ascot氏は
「なんとまあ、いやー、ラフだね。似合うけどね。」
と声を発した。
「それ、誉めてます?」
「もちろん、誉めてねーよ。」
と、口の端でにやりと笑った。
そのやり取りの翌月の会合から、クライアント側参加者がぐっとカジュアルに
なったのは確かだ。
会合は10時半ごろ始まって17時半ごろ終わる。
私の発言には
「そりゃあ、極論だなあ。」と眉間にしわを寄せながら口の端で苦笑いされたことも
多かったが、爆笑されたことも多かった。
あの会合は今思えば、どんなテーマでも
もう亡くなったI兄貴が冒頭でガンガン意見を説いて、
ひとまわり意見が出尽くしたころに、Ascot氏がのんびりと議論を納めてしまう
というスタイルが多かった。
その間、Ascot氏はたしか火の点いたショーホープを常に指に挟んでいて、
私は常に火を点けたGITANESを口にくわえていた。
いい時代だった。
なくなって3年。
今までなら、もうひょっこりメールが来たり、送ったりする時期だが、
残念ながら音沙汰はない。
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