GITANESは静かな場所にこそ似合う。
それとは無関係に・・・。
防災関係の役所から会社(私あて)に電話が入った。
「書類を取りにくるように。」との連絡らしい。
たまたま誰もいない時間帯の電話だったので社長が応対し、
A4一枚らしいその書類を
「郵送してもらえないか」と頼んだところ、
「切手がありませんので。」
という返事をされたとのこと。
なおかつ、早い目に取りに来るようにという指示だった
らしい。
で、指定されたその役所4Fの予防課へ行ってきた。
あまり人気(というよりもニーズ)がない種類の役所なのか、
入り口付近に来庁者が誰もいない。
それどころか、受付はあるものの係りの人さえいない。
インターフォンがカウンターの上に設置され、貼紙に
「ご用の方はインタフォーンを鳴らし、顔を近づけて
お話ください」という指示。
顔を近づけて話してみた。
「はい、総務課です。」
「予防課に呼び出された者ですが、4階に上がっても
いいですか?」
「はい。どうぞどうぞ。」
インターフォンの意味はあるのだろうか。
気がつけば、玄関付近は蛍光灯のスイッチさえ入っていない。
節約なのか何なのか。
ビル自体は完成してまだ2年ほどしか経っていないので
ピカピカなのだが、そのせいもあって余計に人気(ひとけ)が
ないのが目立っている。
エレベーターで4階に上がる。
4階廊下の照明も点灯されていなかった。
ここにも来庁者は誰もいないようだ。
大部屋があって、長いカウンタ。
カウンタの内部は、さすがにと言うか何と言うか
男性職員ばかりだ。さすが防災関係だ。
キビキビした動きの男が数十名もいるだろうか。
カウンタの前に立った私を不審そうに睨んでいる男が
2、3人。
一人の男が近づいてきた。
「はい?」
とても短い疑問文だ。
私「●●(社名)と申しますが、書類を取りにくるように言われました」
男「●●さん?」
私「はい●●です。」
男「何の書類でしょうか?」
私「奇遇ですね。私もそれをたずねたかったんです。」
男「誰が電話したでしょうか?」
私「名乗らなかったらしいですよ。予防課と言ったらしいけど。」
男「それではちょっとねえ・・・」
私「そうでしょ?奇遇ですね、同感です。」
男「ええと・・・。」
私「それも同感です。」
男「・・・」
私「私には特に用件はないです。そちらで分からないなら
帰ります。でももう呼び出さないでね。」
数分後、違う男が違う部屋から出てきた。角刈りだ。
角「●●さん?」
私「はいそうです。」
角「いやーすんません。わざわざお越しいただいて。」
私「いえいえ。ところで何の書類でしょう?」
角刈りが出してきたのは
「某設備廃止届出書」の控えだった。
角「この副書類はそちらで管理していただくものなんです。」
私「そうですか。」
届出の日付は平成16年。
早い目に取りに来いと言われたが、そりゃあそうだろう
すでに6年も経っているのだから。
私「ずいぶん受理の作業に長くかかったんですね。」
角「いやーすんません。」
指定場所数箇所にサインをさせられ、
「それではこれをお持ち帰りください。」
ということで帰る。
エレベーターのボタンを押してもなかなか箱がやってこない。
見送りの角刈りさんとも、それほど話は弾まない。
私「あの・・・。」
角「はい?」
私「切手を数枚買っておいたほうがいいですよ。」
角「はい?切手?」
私「はい。切手。」
角「切手がどうかしましたか?」
ピンポーン
エレベーターがやってきた。
それに乗り、また薄暗い玄関を通って外に出た。
小雨が降っていた。
ジャケットの襟を立てて、トボトボと歩いて帰った。
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