先週、7月の世界平均気温が観測史上最高となる見通しが明らかになったことから、国連のグテーレス事務総長が「地球温暖化の時代は終わった。地球灼熱化の時代が到来した」と警鐘を鳴らしたことが大きな話題になりました。原文は以下のとおり。
The era of global warming has ended; the era of global boiling has arrived.
boiling=灼熱化 が適切な訳だと思いますが、報道機関によっては沸騰化と訳しているようです。
日本でも7月は記録的な高温に見舞われています。全国の平均気温は平年と比べて1.91度高く、気象庁が1898年に統計を取り始めてから最も暑い7月となりました。気象庁から7月の天候についてレポートが発行されたので、一部を抜粋して紹介します。
気象庁のまとめでは、7月北海道と東北地方を中心に暖かい空気に覆われやすかったことや東日本などを中心に太平洋高気圧に覆われて晴れた日が多かったため、気温がかなり高くなりました。月平均気温平年差は北日本で+2.8℃(北海道 +2.9℃、東北 +2.7℃)。1946年の統計開始以降で7月として1位の高温となりました。東日本では記録的猛暑を記録した2018年に次ぐ高さです。
7月の気温の平年差の分布をみると、関東地方から東北、北海道の太平洋沿岸を中心に平年より3℃以上高いことがわかります。これは後ほど示す太平洋の海水温が異常に高い影響を受けているものと思われます。
5月からの気温推移をみると、北日本、東日本では6月以降平年を下回ることはなく、北日本では7月下旬の高温が際立ち、北海道各地で熱帯夜を観測するなど異例の暑さとなっています。
7月平均気温の記録を更新した地点一覧です。東京都心など25地点で統計開始以来の最高値を観測。東京都心+3.0℃、水戸+3.1℃、仙台+3.7℃高く、北海道の根室や広尾では平年差4℃以上となっています。
太平洋岸を中心とした異常高温は、地球沸騰化の影響というよりは、太平洋の海面水温が異常に高かったことが直接の原因のようです。
日本周辺の海水温の平年差を気象庁のデータベースで調べたところ、7/1時点で北日本の太平洋沿岸では平年より3~5℃も高くなっています。一方、本州の南海上ではほぼ平年並みです。この高温状態は7月中継続しました。
7/31時点では北日本沿岸の高温がさらに加速して平年より5~6℃高いことがわかります。本州の南海上も1~2℃の高温領域が大きく広がってきました。今後、日本付近を通過する台風への影響が懸念されます。
500hPa 天気図では日本付近は平年より高度が高くなっています。気象庁の解説によると、上旬から中旬にかけて亜熱帯ジェット気流は本州付近を流れ平年より強く、太平洋高気圧が日本の南から本州付近に張り出して高気圧に覆われて晴れた所が多くなりました。梅雨明けが発表された下旬になると、さらに日本付近の高度が高くなり、亜熱帯ジェット気流は日本の北を流れ、日本付近は上層の高気圧が強まって暖かい空気に覆われました。海水温だけでなく大気の流れも高温を加速させた要因となっているようです。
最後に8月1日の朝日新聞夕刊に猛暑に関する興味深い記事が掲載されていたので引用しておきます。都市化の影響が少ない全国15地点について、7月の日別平均気温の推移を過去126年間にわたり可視化した図です。2000年以降は濃い青の領域(20℃以下)が激減して、7月下旬を中心に赤い領域(27℃以上)が広がってきていることが視覚的にわかります。灼熱化の時代到来です。
8月もかなりの暑さが予想されています。直近は台風6号の動きから目が離せません。