評判の高い映画と聞いていた。4,5回に分けて、昨晩寝る前にやっと見終えた。
広島の街に入る風景が東京オリンピックの頃の東京の街によく似ていた。
くだんの自動車はどちらかと云うと野暮ったい赤色の古い車だ。
一口で言って、劇中劇のような映画だった。材料や小道具を観客に宛がわれて、「さあ、あなたの生き方を自分で考えてください」と投げかけられ、結論は「どんなに苦しくても、自分の望むモノでなくても、人は自分の車を自分なりに運転していくのが人生です」と云っているような気がした。
そのようなことは何となくこの年になれば誰もが行き着く処で、殊更に感動もしないが、こういう面倒くさい映画を観る人が多いというのは、まだこの社会が汚れ切っていないということなのだろう。
原作が村上春樹だそうだが、もうここまで生きてしまった老人としては行き先は決まっているので、小説を読む気力はない。