―あの戦争は仕掛けられた―
市井の学者や街の歴史家たちは「日米戦争はアメリカに仕掛けられた」と言う事が多いです。そして、ルーズベルトは真珠湾攻撃を知っていた。日本に奇襲させてアメリカ国民を激怒させて、チャーチル英国首相との約束通りに第二次世界大戦に堂々と参加していった。そうした筋書きで語られることもあります。
孤立主義(モンロー主義)の国民を説得する為に、日本という裏口を使ってドイツに対する参戦を果たしたという「バックドア・セオリー」がアメリカでも指摘されています。
日本のアカデミックの代表とも言える、北岡伸一は「大統領があの時期に真珠湾を日本が奇襲することを知っていたという証拠は出ていない」と云います。秦郁彦も同じような趣旨を述べています。【北岡伸一『日本の近代-政党から軍部へ―』中央公論新社】
「証拠」がないから「無効」という歴史の捉え方というのは、単に完璧なる文献、文書主義と言うのでしょうか。
例として些か均衡しませんが、西山太吉(元毎日記者)は後に公文書公開から日米の沖縄返還の密約が立証されましたが、彼の復権は果たされませんでした。また、その密約による日米関係史の分析も無いようです。