玄冬時代

日常の中で思いつくことを気の向くままに書いてみました。

市井の近現代史(2)

2023-05-17 17:24:49 | 近現代史

三根生久大『日本の敗北』のあとがきには「米中戦争の勃発により、米政府が日本の自衛隊に第一線への出兵要請」の予測を書いた理由として、2002年は「憲法改正」「有事法制」「集団的自衛権」がまるで嘘のように静まり返ったと書いてある。一種の警告の意味で件の予言をしたのだろう。

それから二〇年後の昨今の国際情勢はロシアのウクライナ侵略によって、大国の戦争が現実的な怖れとなって、彼の予言が現実性が俄然出てきた。

三根生はアーミテージとの親交もチラつかせていることからも、略歴通りの軍事関係の専門家であるのだろう。

しかし、2002年の段階で「憲法改正」「有事法制」「集団的自衛権」のことが忘れられていることを彼は危惧していたようだが、世間は1999年の堤防の決壊たる「周辺事態法」「盗聴法(通信傍受法)」「国民総背番号法(改正住民基本台帳法)」「国旗国歌法」が忘れられていくのを嘆く時機であり、三根生の感じる「時代勘」と世間の「時代感」とのズレを感じないではいられない。

どうも「国家の戦略」というのは深く内在的に潜行して、かなり先を見て進むモノらしい。

現在の此の圀の「右傾化して、且つ根本的な元気の無さ」の原因を安倍政権に求め、更に小泉政権に、更に近頃では中曽根政権まで遡って元凶を指摘する識者も居る。

かつて中曽根は「不沈空母」と日本列島を譬えたが、翼々考えれば、彼は海軍主計武官だったので普通に使う言葉であるが、その矛先が米国ではなく中国大陸だったということであろうか。

この圀は政党と云えば嫌でも自民党しか無いが、その変わり身の早さにゾッとする思いである。

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