今年も健気に花を付けた庭の白梅
「湯島の白梅」といえば、泉鏡花の「婦系図」。
早瀬主税と芸者お蔦の悲恋を軸に物語は展開されるが、湯島の白梅ならぬ我が家の庭の小さな白梅は、そんな物語を秘めるほどの梅の木ではない。
しかも、物語に歌われる白梅は、梅の季節を先取りするように、いち早く咲き始める一重の花を言うようである。
そこへいくと我が家の場合、重量感のある八重咲きでしかもゆっくりと季節の終わりごろに満開を迎える。
この花が満開を迎えるころに、母校の高校で卒業生の同窓会入会式が行われる。
同窓会OBとして入会式に呼ばれ、歓迎の言葉を贈る役回りが回ってくることがある。その昔「風雪に耐えねば咲かぬ梅の花」という言葉を贈って、今を盛りの梅の花は、あの厳しい風雪に耐えたからこそ花開く今日を迎えている。だから皆さんも負けないで・・・といったような話をしたと記憶する。
そして、今年も同じ役目を仰せつかって、さて何を話そう。無い知恵を少ししぼった。
高校3年生といえば、今の自分の年と比べると早い話が孫と向き合っているような、何かしら甘い気持ちにさせられる。
世間流の厳しい教訓はどうも似合わないよな気持ちになってくる。
「少し甘いかもしれないが、じいちゃんと孫の話と思って聞いてほしい・・・」と前置きして、一つだけお願いしてきた。
彼らの胸に届いたかどうか。
各クラスから4人のクラス幹事が選ばれていて、20人の代表が述べた「同窓会入会の決意」が清々しかった。
ウ~~ン、なかなかやりおるわい。
彼らに元気を贈るはずの老骨が、却って彼らから元気をもらったような気分にさせられた。これもまた一興。