白いソバの花を見下ろすような、ヒガンバナ 秋を代表する色、真っ赤に咲く曼珠沙華
日本の四季を色に例える多くの言葉や文字を、これまで目に耳にしてきた。
それぞれに少しずつ趣きが異なっていたり、解釈が少し違っていたりして、意外に興味深い。
そんな過去のイメージを考慮したり、勝手な思惑を挟んだりして、自己流の四季の色を考えてみたくなった。
特に「秋半ば」という今の季節を一つの色で例えるとすれば、いったいどれがふさわしいのか、迷ってしまう。
秋を代表する色といえば、先ず思い浮かべるのはあの波打つ黄金色の稲穂であろう。
そして黄金色絨毯を縁取るように、田んぼのあぜ道を真っ赤に染めるヒガンバナ。
となると秋という季節は「黄金色、つまり黄色」そして「赤」ということになろうか。ちょっと待てよ。
田んぼの脇の畑には、真っ赤なヒガンバナが見下ろすように、一面の真っ白いソバの花が咲いていたな~。
暦の中には秋の24節気を表す言葉として「白露」と「霜降」がある。これは紛れもなく「白」をイメージしている。
かの有名な「この道」や「待ちぼうけ」といった童謡詩人の名前にも、秋に白の字がくっついて「北原白秋」と名付けられている。
それに赤はやはり「灼熱の太陽」「真赤な太陽」を連想させる夏が似合っているのかな、などと思う。
ならば春は、萌えいづる新芽の色、つまり緑か若草色がいいのかな。それとも「春は桜」の薄桃色かも。
そうすると冬はやはり、寒さに耐えてうつむき加減になってしまうことから、灰色か黒が似合うのかな。
我が独断と偏見に満ち溢れているとしても、浅学菲才勉強不足であるとしても……。
今この季節の色は「白」と結論付けたい。
ちなみに、春は「緑」。夏は「赤」。冬は「黒」とさせていただこう。
別に何色が良くて何色が良くない、などという色ランクを付ける気などさらさらない。
飽くまでも勝手気ままな思惑の、季節の色分けを試みたものである。
ご賛同いただけるご仁がおられるや否や。まあいい、物思いが似合う秋の日にちっくとモノ思ってみたまでである。