艶やかさと清楚、妖艶と淡泊など、それぞれに持つ個性を私たち人間にアピールする花々。
名前もまた様々である。「名は体を表す」との言葉通り、花の形状から人間がイメージする物に重ねて、勝手につけたのではないかと思われる名前の花も少なくない。この「ピンクッション」という花の名前は、明らかに、花が先に世に出て名前が後から付いて来た、という感じが強い。
そもそも「ピンクッション」とは、英語で言うマチ針を刺す針山のことである。つまりピンを刺すクッションというから面白い。
そう言われてよく眺めると、文字通り色鮮やかなマチ針が、針山に刺された様子にさも似たり。
この花も、ちゃんと日本古来の生け花の花材として使われるのである。やはり価値観とは多様であり、ヘタにこだわり過ぎると置いてけぼりを食うことにもなりかねない。
ついでながら、この花にももちろん花言葉はある。「艶やかな人」「共栄」「どこでも成功をする」というかっこいいものである。
生け花とはあまり縁のないこんな男に、何故ピンクッションという目新しい花が結びつくのか。摩訶不思議なようであるが、意外にそうでもない。実は、完全アウトドア派の小3孫君に、多少は日本の文化に触れさせたいと願うジジ願望から発したことである。
池坊岩国支部の教授免許をお持ちの先生お三方による「夏休み親子生け花教室」なるものにご案内があった。
どうせ集中して習うわけでもないワンパクではあるが、まんざら無駄ばかりでもないだろう、とジジと共に参加した。
玉シダで作るトンボの形などは、集中しなければ出来ない代物。それが曲がりなりにも出来たときは嬉しそうな顔をする。
孫君以上にジジの方は、このピンクッションという花を一つ覚えたのに加えて、「ワレモコウ」という花との出会いもあった。
いっとき歌いまくった杉本まさし作詞作曲の「吾亦紅」の実際の花をこの手にし、観賞できた。
そんなこんな、孫君のためにと思ってあちこち連れ歩いたが、どうかするとジジにとっても教養の場でもあったような。
持ちつ持たれつで過ごした夏休みも終わる。一日中の守りは大変だったな~と思いながら、、よくぞジジと遊んでくれたなーという感慨もある葉月晦日である。