石原裕次郎が唄う「裕次郎演歌」の中の好きな一曲に「粋な別れ」というのがある。
♫ いのちに終わりがある 恋にもおわりがくる
秋には枯れ葉が小枝と別れ 夕べには太陽が空と別れる・・・・・・♬
季節は初冬。まさに枯れ葉が小枝と別れる、なんとなく物悲しさを覚える季節ではある。
半年間、熱く燃えさせてくれたプロ野球の世界にも、粋な別れになってくれればいいが、と思わせる別れがいくつも転がっている。差し当たって愛する広島カープでは、豪快な空振りの向こうに当たればホームランと、ファンに期待させ、がっくり肩を落とさせたエルドレッド選手が、今期限りでお役御免。勝ちパターンの8回のマウンドを守って来たジャクソン投手も、今年の成績で契約更改無し。
もちろん日本人選手も6人は早くから戦力外通告をされ、他球団に挑戦するトライアウトや、進路変更を余儀なくされた。この様に戦力外通告、いわゆる解雇になる人が毎年、何人何十人と生まれる。華々しい入団交渉の席でガッツポーズを見せたのとは、あまりにも対象的過ぎる厳しい現実である。
植物の世界は、古くなった葉っぱを落とすことで、来るべき春に向かって新たな芽を育む大切な季節である。
人間様は、殊のほか暑かった今年の夏の影響で体調を崩した人たちが、今この季節にしっかりと休養を取り、冬の寒さに耐える体力を増強し、次に訪れる春に向かって、静かにエネルギーを蓄える時なのであろう。
そこには、夏バテなどによる体調不良と『粋な別れ』をして欲しいという願いが込められる。
冬枯れた土地に軽く鍬を入れ、育てたタマネギの苗を植え付ける。水やりを忘れず、7か月先の収穫を夢見る。粋な別れを強調するこの季節でも、ちょっと目先を変えてみれば、新たに植え付けをして実りを待つ躍動の季節となるものもある、ということだ。大いに期待したいところである。
秋から冬に代わる、大切なエネルギー補給の季節に、風邪など引いていては元も子もない。
伊達の薄着は風邪の元。少々不格好でも風邪対策専一に。要注意の季節でもある。