「北窓を塞ぎて今日の午睡かな」 永井荷風
朝夕の冷え込みが段々と身に沁みてくる頃となったな~ と思っていたら、今日の朝刊でこの句に出合った。
ついこの間まで、家の中で一番の風の通り道を探して昼寝をしていたというのに、まるで真逆な風よけをこしらえての午睡である。
それもヘタをすれば、咳や頭痛に悩まされる風邪の初期症状ともなりかねない。怖い話しではある。
11月は別名「霜月」と言われるように、間もなく立冬を迎え、霜が降り始めるという、まさに冬立ちぬ。寒い季節の始まりとなる。
温暖な地に住んでいながら何を贅沢言うか、とお叱りを受ける言い方かもしれないが、ここ数年、寒さに弱くなった自分を感じるようになった。同じように暑さも堪えるように感じる。つまり暑さ寒さに敏感になってきたといという実感がある。
それにしても、北海道地震や各地の集中豪雨被災者にとっての冬は、厳しい季節となるであろうことを想像するだけで、心が痛む。
仮設住宅が完成してようやく引っ越しが始まった地域のニュースが流れると、想像以上の不自由な中でも、責めて体を温かく保ち、なんとか気持ちも温かく過ごして欲しいと、つよく思う。
すぐお隣の周防大島町では、大島大橋への貨物船衝突による、断水が続いている。もちろん食料不足も。
こちらは直接命に関わる切実な問題として、一日も早い復旧復興が望まれるが、まだ完全な明るい見通しはないようだ。
みかんの花が咲いていた 思い出の道丘の道~ と歌われる「みかんの花咲く丘」は、この周防大島のことを歌ったものと思われるほど、豊かでおいしいみかんの産地である。交通事情の悪化や観光客激減の影響で、そのみかんの出荷や販売もままならない。
自然災害ならばまだしもガマンのしようがあるというもの。それがまさに人災とあっては泣いても泣ききれない無念さがにじむ。
そんな霜月2日。なんとかこの月内に全ての復旧がなって、師走の賑わいを取り戻し、そして明るい正月が迎えられるよう祈るのみである。