絶好の小春日和、漁船の修復にいそしむ漁師さん
師走に入って数日、ポカポカ陽気の温かい日が続く。
この時季のそぼ降る雨を「時雨(しぐれ)」と呼ぶのはご承知の通り。詩歌にも演歌にもよく唄われる。逆にこの時期のポカポカ陽気は「小春日和」と呼ばれこちらも歌には何度となく登場する。今は亡き谷村新司の名曲「こんな小春日の穏やかな日は、もう少しあなたの子供でいさせてください」という心に沁みるあの歌詞である。
私たちの手で行った海岸清掃から1カ月、その後の砂浜の状況を見に海岸へ立ち寄った。その海岸につながる船溜まりで漁船のペンキ塗りにいそしむ漁師さんと出くわした。「大きな船ですねー」「なーに、こまい(ちいさい)もんいの」「ペンキ塗りは全部自分がやるんですか」「ほかにやってくれるもんがおらん」「これで何年物ですか」「うーん、おおかた50年じゃろうか」
そっけない話の中で段々打ち解けていく。「昔から船を持つのは家1軒分と同じと言われとったから若い時にゃ苦労したでよ」から漁師さんの現状話に発展。「近ごろはよそ(他県)から夜中に荒らしに来るので、自分らの網がズタズタにされて漁にゃならん」「取り締まれんのかね」「岸から500m離れとったら取り締まるわけにゃ行かん。しかもこっちの海じゃゆうて追い払うと仕返しが来て大喧嘩になる」と、海上のマナーの悪さ、自己中の横暴が目につくと嘆き節が聞こえる。
どこの世界も何をやっても一筋縄では行かない今の世の中を見せつけられるような話ばかり。最後に「魚もおらんようになったし」と。
どこの世界も何をやっても一筋縄では行かない今の世の中を見せつけられるような話ばかり。最後に「魚もおらんようになったし」と。
それでも「板子一枚下は地獄」と言われるように、丈夫な船は命を守ってくれる拠り所。「ペンキ塗りをバカにしちゃいけんのよ」せっせとローラーを操る。漁師さんを取り巻く、ちょっと厳しくも切ない現状をかいま見る一日であった。魚の値段も高騰が目立つ無理からぬ話だね~