畑に吹く風

 春の雪消えから、初雪が降るまで夫婦二人で自然豊かな山の畑へと通います。

農天市場でちょっと良い話

2014-07-12 04:52:22 | 暮らし

 先週オープンした農天市場に懐かしいお客さんが何組もお見えになった話は先にさせてもらいました。
その中で、嬉しいお話が有ったので紹介しましょう。

 夫婦で何時もお出でになるお客さんは、一昨年からかなー、いやもっと前からだったようにも思える。
ご主人は、顔色も悪く痩せていて、か細い声で「癌で胃を全摘しちゃった」なんて呟くように言われた。

 美味しそうな野菜をあれこれと勧めても「いや、俺は食べられない」なんて呟くように返事をされる。
奥さんも「この人は、食べても少ししか食べられ無いし、だめなのよ」なんて言われる。

 「何時死んでも良いんだ」なんて言われて、返す言葉に窮した。
本当に土気色の顔色と、痩せこけてしまった容貌を見ると、気の毒で声をかけにくい気持ちさえしていた。

 ところが、オープン二日目の農天市場で買い物を終わられて帰る際に奥さんが嬉しそうに言う。
「14年目で孫が出来たの」傍で聞いていたご主人もにやりとして頷かれる。

 失礼なので詳しくは聞かなかったけれども、お子さんが結婚14年にして初めての赤ちゃんが授かったのだそうです。
「おめでとうございます。何か治療もされていたのですか」と聞くと「胃や特別な事は何もしてなかった」と返事。

 思わず、ご主人に「もっと生きたくなったでしょう」と冗談交じりに言いながら、肩を叩いてしまった。
ご主人は「そうだなー、可愛くてなー」なんて言われて、こちらが思わず涙ぐんでしまった。

 私の先輩にも、同じようなケースの事が有り、生命の誕生の不思議に驚いた事が有ります。
医学では言えない、いや科学では解明できないような生命に誕生の不思議さって有るのですね。

 今回も、あのご夫婦はお見えになられるのかなー。
先回は帰り際の話で、お祝いが出来なかったけれども、今回お見えになられたらユリでもお祝いに進呈しましょうか。
コメント (6)
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