畑に吹く風

 春の雪消えから、初雪が降るまで夫婦二人で自然豊かな山の畑へと通います。

連載52-1『身近な生き物になったカモシカ』

2016-01-29 05:07:26 | 自然


     身近な生き物になった「カモシカ」

 少し前まではカモシカは深山幽谷の動物で、滅多に人前には姿を見せない者とされていた。
しかし、保護政策の成果と、住処が減った事により、最近は身近でも目撃するようになった。

 昭和四十年代の半ば頃は目撃すると話題になった。上越線の新潟方最初の駅が土樽駅である。
駅の裏手を少し下がると県道がある。その又下が魚野川の清流で、対岸は切り立った険しい山になっている。
駅員が時々その険しい斜面にカモシカが現れると言う。そんな話題に成る程生息数は少なかった。

 その後、新潟県小出町と福島県会津若松を結ぶ線路、只見線の保守を担当した。
冬になり、雪が降り続くと、ほぼ毎日新潟県側の最終駅、大白川から県境の六十里越トンネルまでを、ロータリー型除雪車で除雪する。
 トンネルの一キロほど手前の、末沢川を越えた対岸の崖の上に殆ど毎回のようにカモシカがいる。
じっと静止を保ち頭だけ動かして私たちを見守っている。その場所に近付きカモシカに会えるのが楽しみでもあった。

 その後間も無く、驚くべき事に我が家の近くの山にも出没するようになった。
大まかに言うと魚野川、上越線の左側だから、只見線で出会った群れとは違ったグループの一部であろう。
 春の山菜取りで頻繁に出会うようになった。独活を採る私の、数メートル先に居て驚かされた。
 私は「おい、ここは何十年も前から俺の縄張りだぞ」と声をかける。

(続く)

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