アルバム(その2)
50年と言う歳月は、容貌まですっかり変わり、声を聴いて初めて相手が分かったりする。
大浴場なんてスリルそのもの。何だか似ているけれど、違うような気がしたりでうっかり話しかけることさえはばかれる。
でも、「おい、あいつなんて高校の時と全然変わっていないぜ」なんて若作りの男さえいる。
(でも、こいつが風呂場で下着を間違えると言う大失態で大笑いされたのだが)
私の場合はどうしても一人だけ名前も、顔を思い出せない男が一人いて困った。
中学校の同級会など、多人数の出席者の場合は名札を付け、
結婚者は旧苗字さえ付け加えられているから安心なのだが、
むさくるしい男ばかりの高校同級会の場合はその準備も有りませんでしたからね。
席順は五十音順の席次表どおりなので、自分の苗字周辺の男はまず間違いないのですが。
私の姓の(や)行なんて大抵席次表は後ろの方。
安倍とか井上などと言う先の並び順の同級生って意外と遠い関係になりがちだった。
さて、帰宅してその分からなかった男を調べるべく高校の卒業アルバムを探し出した。
件の同級生の顔写真を見つけて驚いた。
そうか、あの男だったのか、これだけ変わったら50年ぶりに有ったら分からないはずだよな。
(続く)