こんな風にいくらでも採れました。
クレソン(その3終わり)
始めは心細いように見えるほど成長を見せなかったクレソンも、
暑い夏も終わり秋風が吹き始めるころに目覚ましい成長を見せ始める。
なんと、広いクレソン畑全面を覆いつくすほどの旺盛な生命力を見せ始めたのだ。
大喜びで収穫に励み、自分の直売所「農天市場」に並べたり、取引のあるスーパーにも出荷した。
スーパーでも徐々に人気が出て、担当者が「今日はクレソンは無いのですか」と聞かれるようにさえなった。
この話を喜んでブログにアップした所、ある日どう調べたのか全く覚えのない方から、
クレソン畑を見学させてもらいたいと連絡が入る。断る理由も無く、承知し話を聞いて驚く。
なんと、山菜栽培の本場山形県の小国町の人たちだったのだ。電話の主は小国町の出身で東京在住の方。
「見学はもちろん結構ですが、ただの水田ですよ」と、言うと「それが良いのですよ、それを見たいのです」と言う。
なんでも、故郷の小国町の人たちにクレソンの栽培をさせたかったのだと言う。
長岡で落ち合って大型ワンボックスカーで来宅。
そのままクレソン畑に直行したが、その驚いて見てくれるさまが嬉しかった。クレソン畑を回って見ながら、
「いやいやー、たいしたもんだー」なんて言うのだから。
その後の様子は聞かないけれど、山菜栽培の先進地だから上手くいっているに違いない。
そんな色々な思い出のクレソンだけれど、事情が変わってしまう。
気まぐれな国の農業政策で減反、転作もしなくても良いことになったのだ。
今年から、3、4年も慣れ親しんだクレソン畑ともお別れ、
元の水田になり私とクレソンの付き合いは夢のように終わってしまった。
(終わり)