畑に吹く風

 春の雪消えから、初雪が降るまで夫婦二人で自然豊かな山の畑へと通います。

連載(特別編)「あれから10年・・・」(その3)

2021-07-28 04:54:15 | 暮らし

 我が家の高床式住宅の地下部分は完全水没。水に漬かって使えなくなった家具です。

 

 各家から水没して使えなくなった家具類が、神社の広場に集積された。積み切れず、一回搬出した後にまた同じような家具類が積まれた。

 

  「新潟・福島豪雨」その時を振り返る(その3)

 しかし、その濁流の引く速さも津波を思わせるかのような速さ。なんと、水が引く方向とは反対方向に入口のある車庫の中、高床式の地下から物が水に引かれて流れ出す。

 あー、と言う声を上げて見守っているしかなかったのだが、大きなテーブルなどもあっという間に流れ出したしまった。

 それからは徐々に引く濁流に、隠れていた裏の畑に引っ掛かったゴミ、隣家との間に有った木が災いし、その木を中心に古タイヤなどの大量の濁流の置き土産ばかりが残った。

 いや、もう一つ、大量の泥も残して。水害のニュースは毎年のように見ているが、実際の被害者になり、泥の被害も初めてその怖さを知った。泥といっても、水害で流れる泥は泥水の上澄みとでも言おうか、ごく粒子の細かな専門用語で言うならば「シルト」のような状態。言い換えたら「きな粉」のような物でもあった。それが、箪笥などの家具類、そして農機具のエンジン部分にまで入り込むような性質。

 箪笥の隙間から入った泥は衣類にこびりつくと、なかなか落ちず諦めて捨てざるを得ないものさえ沢山出た。農機具類も一旦洗い流し、治ったかと思ってもアクセルワイヤーを通すケーブルの中に入っていて、徐々に動きが悪くなるとか、始末の悪いものだった。あの大水害から間もなく10年になるのだが、まだ時折後遺症のように思えることが今でも出てくる。

 水害の被害をニュースで見て、大変だろうと漠然と思っていたが自分が被害者になって水害の恐ろしさを初めて身に染みて感じたのだった。

         (終わり)

コメント (2)
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