「武道無門」臆病ゆえの用心 細心で 主君を助けた男は 望外の出世に ―その器ではなし―と迷うが 妻の言葉に・・・
「良人の鎧」機嫌とりの貢ぎ物用の犬を斬った男は そこを見込まれ密命を受ける その為に仇持ちとなるも 後の合戦あるまではと 逃げ続け・・・ それぞれの{思い}が 清々しい好編
「御馬印拝借」かねて想っていた相手との話が まとまっていたのに 死地に赴く別の男に押し切られ 本心でない言葉を出した娘 子細を知り 源七郎のとる後々まで考えた身を捨てた行動 選択 人としての心の深さ 器の大きさ
「小指」小間使の八重の小指は僅かに曲がっていた 平三郎は時々うっかりする その癖を以前にあった事から 八重は{袴}と呼んでいた
平三郎に縁談あり そこで彼は自分の心に気付く 八重は けれども?! 幾年経とうと気付かないかい?あんまり大きな{袴}すぎないかい―と 笑わせつつ
「備前名弓伝」いつも伯父を歯痒がらせている武士 だが彼は一矢のみにて見事に 誰もが射外した狼を倒す そこをねたんだ人間に挑発されるも―
「逃亡記」姉の恋を成就させる為 妹の考えた計画は― 振り回される男と 瓢箪から駒―な展開
「肌匂う」結婚相手を決めなければならない男は誘われて― 結局 その時の相手に気付けず もういかんともしがたくなってから {誰}だったか知ることになる
気付くでしょ 普通・・・とは 思うのだけれど
「花杖記」父の思いがけぬ死 生前うまくいっていなかった息子は 死なれてから逆に父親を近くに感じ 死の真相を探ろうとする
「須磨寺附近」現代物で 人妻の理解しがたい言動に振り回され 苦悩する男 似た設定の話が 幾つか別にあり 神戸 何考えているのか思わせぶりな言動とる人妻 気にかかる題材であったのでしょうか
星氏の描かれたカバー画の木も美しいです