具合が悪い間は 最低限の家事や雑事をこなし 横になっている
起きて動いていると 心配そうに どどっと捜しに来て 暫くそばにいる
倒れるように横になると いつのまにか 足下なり枕横なりで寝ている 部屋中をパトロールし 寝たふりをしていると 時々前足で おでこに軽く触れ つんつんしてみたりしている
都合ひと月ほど 寝込んでいたが 猫の可奈は 随分心の慰めとなった
具合が悪い間は 最低限の家事や雑事をこなし 横になっている
起きて動いていると 心配そうに どどっと捜しに来て 暫くそばにいる
倒れるように横になると いつのまにか 足下なり枕横なりで寝ている 部屋中をパトロールし 寝たふりをしていると 時々前足で おでこに軽く触れ つんつんしてみたりしている
都合ひと月ほど 寝込んでいたが 猫の可奈は 随分心の慰めとなった
光乃は女学校を卒業すると 「今までおいてやった お金をお返しよ」おばに言われ 職を捜し 居場所がいるので 住み込みの女中という事になり 不思議な巡り合わせで 歌舞伎役者の家に勤めることになる
そこには三人の息子がいた 何かと最初から 気にかけてくれる太郎が一番可愛がる長男雪雄
その人へ いつしか芽生える思慕の情
相手は御曹司 叶うはずもないと自分の心を殺し 光乃は仕える
実在の歌舞伎役者をモデルとし 女優・檀ふみさんの「噴出する思い」によれば ―コレ書かなきゃ死ぬと思って― 著者の宮尾女史は そんな 書かないといられない気持ちで書き始めた作品なのだとか
いまいち心が分からない雪雄の 物語の最後の方での言動 長年耐えた妻へ見せる情愛
きのね
携帯からでは変換できないが 芝居の幕が開ける時に鳴らす「き」の音
初めて歌舞伎を見た日の 光乃の感動
ずっと辛抱して生きてきた女性
かくも見事に生ききった 最期までを 高らかに作者のペンは歌い奏でる