夢見るババアの雑談室

たまに読んだ本や観た映画やドラマの感想も入ります
ほぼ身辺雑記です

山本周五郎著「与之助の花」新潮文庫

2006-06-16 01:09:50 | 本と雑誌

「恋芙蓉」同じ娘を想う二人の男 娘からの手紙で その心がいま一人の男にある事を知り 彼はその男は死なせまいと計らう

「孤島」嵐の為に船は難破し 無事に無人島へ流れ着いたのは十次郎と 彼を敵と狙う兄妹 島で助け合い暮らすうち 討つ者 討たれる者の心は変化していくのだが そこに現れる船 十次郎は 最後の夜に ある行為に出る

「非情の剣」友の無残な死 上役達の汚職に弦八郎は 藩の為 正義の為に立つ

「はりつけ又七」惚れた女を我が者とする為に 辰次は 又七を陥れる 身に覚えの無い罪で 又七は はりつけに

だが―処刑する罪人の数が多かった為か 忘れられ 助けを得て逃亡

辰次は又七を探すが―

「武道宵節句」窮乏し妹加代を殺して自分も死ぬつもりの三樹八郎 そこへ聞こえる斬り合いの声 無勢の若侍を助け 更にその妹春枝も救い出し どちらの兄妹も明るい未来を

「一代恋娘」美男と名高い若殿の登城の行列は 評判高く 見物の人が絶えない

見物人の中で 際立って美しい娘が 若殿の駕籠に張り付く すわ乱心か?と 思われたが 彼女には若殿の命を狙う陰謀を知り必死だったのだ

「奇縁無双」男勝りの万姫を平手打ちした伊兵衛 万姫の害が友人に及びそうになり 彼は一計を

捌けた姫の父である 殿様が楽しさを添えます

「春いくたび」香苗は約束した信之助の帰りを尼となり 待ち続けた

明治維新 西南の役 何十年経とうとも 名前は違うが ひっかかる人間に出会い

「与之助の花」顕微鏡を作る為に宝庫から持ち出したレンズ そこを見られ金を要求される 要求額を吊り上げてきた男に 彼は 父兄にまで迷惑が及ぶ事を案じて

「万太郎船」親の身代を潰しても 風の力に頼らず漕がなくてもよい船を作ろうとする万太郎 彼は身投げしようとした娘を救う 竹とんぼと火薬の爆発する力 これを利用して― 最後明らかになる娘の身の上 明るい終わり方が気持ちいいです

「噴上げる花」竜吐水(りゅうどすい)の原案がごとき消火のための手押しポンプを作ろうとする男と 同姓同名な人間がいた為に起きる 縁談相手の取り違えは また間違いがあった これも楽しい作品です

「友のためではない」どら息子で父親が偉いのを鼻にかけ 乱暴な角之助 彼を斬った寅二郎 江戸へ行かねばならず 「後は任せろ」そういった友人は 自分の代わりに切腹して果てた それを知った寅二郎へ死んだ友人からの手紙が届く

「世間」借金上手な男が 更に上手な相手に出会う