夢見るババアの雑談室

たまに読んだ本や観た映画やドラマの感想も入ります
ほぼ身辺雑記です

「恋する魔法使い」-19-

2017-04-24 14:39:20 | 自作の小説
たとえ勝ち戦(いくさ)でも戦えば負傷者は出る
マルレーネは傷病兵の手当てをしていた
膿んだ傷口にも目を反らしたりはしない

艶やかな栗色の髪は布で覆い口許も布で覆われていて 見えるのは眉と目ばかり
それでもレイダンドの兵は声で姫と気付いた

何が起きても安心と思わせる落ち着いた声と優しい物言い

包帯を取り換えてもらい感動して泣きだす若い兵もいる

兵の中には故郷の山野を離れて久しい者もいる

ー姫様が手当てして下さる!-
ーこの姫様の為ならば!-
ーなんて勿体ない 有難いー

城を守る兵に選ばれることは 彼等の誇り 名誉だった

その頭に王冠を抱かずとも生まれついての女王
漂う高貴 備わる威厳

アンドールは彼女を待つことが苦にならないことに気づく

これから妻になってほしいと彼なりに勢い込んで 意気込んで申し込みにきたのだがー

立ち働くその姿を眺め 妻にしたいと思う気持ちがますます強くなっていく

この女性を護り支え生きていきたいと

負傷兵の世話を二人の妹アシュレインとリザヴェートに引き継いで棟の外に出てきたマルレーネの顔は疲労から少し蒼ざめて見えた
頬にも微かな汚れがついている

髪と口許を覆った布を外し溜息をつく

気を取り直すように背筋を伸ばし 周囲を見渡したマルレーネは木に凭れるように立つアンドールに気付いた
彼が近付いていくとマルレーネは言った
「いまは・・・王子様に会う気分ではありませんの」

「だろうね」
同意したアンドールはマルレーネを抱き上げた

「きゃ・・・」
マルレーネが小さな悲鳴を上げると アンドールは嬉しそうに笑う
そのまま歩き出した

「何をなさるんです」
マルレーネの問いには人をくった言葉が返ってきた

「うん? 歩いている」

マルレーネは以前ロブレインをひっぱたいたエルディーヌの気持が分かってきた
ーこの兄弟は!-
時々 突拍子もない行動に出るのが似ているのだろうか

むしろアンドールは兄弟のブレーキ役に見えていたのにー


少し離れた中庭の泉の畔まで来ると やっとマルレーネをおろす
彼女の頬に指を滑らせ ついていた汚れを拭った
「ここはいい風が吹く 一休みして気分転換するのに良い場所だ」

人の胴にして3人分ほどの太さの幹を持つ大きな木が人の視線をうまい具合に遮ってくれる

マルレーネは少し毒気を抜かれた表情になる
「ええ それで 何か御用がおありなのでしょう」

「勿論」短く答えてアンドールはマルレーネの前で片膝をつき 彼女の手を取り口づける

「な・・・」
びくっと手をひっこめようとするマルレーネ
その手を強く掴んだまま アンドールはマルレーネを見上げ一気に言った
「我が妻になって下さい」

続いた沈黙の後のマルレーネの言葉は「どうして・・・」だった
「どうして いま なのでしょう
心構えとか それなりの恰好の時に・・・・
こうして疲れて 髪も乱れていて 着ている物も汚れていて」


「うん?」


「ああ もう! もっと甘やかな・・・・・」

半ばヒステリーを起こし 支離滅裂な譫言のような事を言っているとわかりながら零れる言葉をマルレーネは止められない
それは自分らしくないことだ
いつも冷静で場に相応しい振舞いを心がけて
でもこの状態で どうするのが正しいのか


「では やり直そう 聞かなかったことにしてくれ
あなたの良い時に 今から告白してほしいと教えてくれたらいい」
そう言いながらアンドールはマルレーネの手を離そうとはしない

マルレーネは少し笑った
「さぁ 告白するのは今よ!って言いますの それもなんだかおかしいわ」

「もっともだ」
大真面目な表情でアンドールが頷く
「大胆かつ情熱的にーか あくまで優雅に上品にか どれがいいか教えてくれたら要望にお応えしたい」


「とりあえず手を 手を離して下さいな」とマルレーネが答えると


「いや・・・ この手を離すつもりはない」
そう言ってアンドールは立ち上がるとマルレーネを腕の中に引き寄せた


この瞬間までマルレーネが思っていたアンドールという人間は いつも穏やか かつ冷静で羽目を外したりはしない
それはただの思い込みだった
アンドールが そう見せようとしているだけのー
心を決めたら目的に向かってー


「AERA増刊 浅田真央 すべてを抱きしめたい。」 (朝日新聞出版)

2017-04-24 14:24:09 | 本と雑誌
浅田真央 すべてを抱きしめたい。 (AERA増刊)
クリエーター情報なし
朝日新聞出版



目次から
もっと!もっと!浅田真央という美しきアスリート

2002~2009 一気に世界の頂点へ
日本中が明るくなった
いきなり現れた天才フィギュアスケーター
 
2010!涙のバンクーバー五輪
現代の肖像 浅田真央
殻を打ち破り、乗り越える強さを


というように続き

浅田真央の軌跡
どんなときも銀盤で舞った21年間



様々な方が浅田真央さんの現役引退について言葉を寄せられておりますが 高橋大輔さんの
「まずはゆっくり休んでほしい」

村上佳菜子さんの「感謝の気持ちでいっぱいです」

特にこの二人の寄せた言葉が心に響きます

村上佳菜子さんも現役を引退

これからはプロスケーターとして
高橋大輔さん
小塚崇彦さん
安藤美姫さん
浅田真央さん
村上佳菜子さん

彼等が同じアイスショーで滑ることができれば!
かつて夢だと語った日本人だけのアイスショーが実現できるような気が致します

そうして いつか彼らが もしも選手を育てることがあればー
なんてね 夢はひろがります

永久保存版「ありがとう浅田真央」サンデー毎日5月13日号増刊(朝日新聞出版)

2017-04-24 14:07:47 | 本と雑誌
ありがとう浅田真央 2017年 5/13号 [雑誌]: サンデー毎日 増刊
クリエーター情報なし
毎日新聞出版



定価 税込980円

2002~2015
15年間

引退記者会見で語られた言葉 その様子

目次から

ありがとう 浅田真央

「真央ちゃんを誇りに思っています」伊藤みどりさん

引退記者会見「スケートは本当に私の人生でした」


浅田真央グラフティでは2005年から2016年までの写真と記事

小塚崇彦さんや安藤美姫さんからの言葉


ずうっと頑張ってこられた 頑張ってきてくれたその演技

神様からの贈り物のような形をとどめず人の心に深く残る
その断片が集められた一冊です

浅田真央さんが使用した曲と同じ曲を使う選手さんもおられます
そのリスペクトは嬉しいけれど
別の方の演技を観ながら
ー違う それはあなたの曲じゃない
なんてね ちょっと意地悪く思ってしまいます

浅田真央 唯一無二の存在

これからプロのスケーターとして どんな素晴らしい演技を見せてくれるのか
新しい魅力の開花
楽しみでなりません