足音をひそめてロズモンドが部屋に入って来る
語り疲れてそのまま眠っている男達にそうっと上掛けをかけて静かに静かに部屋を出て行く
ロズモンドが部屋に入ってきた気配にベルナーは目覚めたけれどー眠り続けているふりをしていた
彼女の起こすまいという心遣いを無駄にしたくなかったのだ
ただロズモンドの優しさとその気遣いを黙って受け取り噛みしめる
ー彼女を守りたい・・・・・
その気持ちはベルナーの心の奥で強くなる
ー恋だろうか これはー
心も体も温かさに満たされてベルナーは再び眠りについた
昼少し前にリトアールとダンスタンは起きて部屋を出て行く
廊下では待ち構えていた従者のゲイルドとオライスが騒いでいた
「どれだけ心配したと思っているんです」
「だって起こしたら可哀想だから 気をつかったんだよ」とリトアール
ダンスタンも開き直っている「これぞ主人の従者への思いやりというものだ」
「そんな思いやりは要りません」とオライス
アクシナティの多くの船は居なくなったはずだが ログサールもまた魔法使い
術が使える
幾つかの船は残っていると考えるべきだった
平和が続いているだけにこの城は侵入者に対し警戒が緩い
ファナクが入って来れたぐらいだし
不意に襲われること
そうしたことへの備えをしているはずだが
それでもー
ログサールは魔法使いなのだ
どういう目くらまし術を使ってくるのか
武器に毒を使う人間でもある
それでランデール王は ベルナーの父は命を落とした
そうしたことをリトアールとダンスタンは兄たちやシャンデ将軍と詰めた話し合いをすると言った
奇襲への備え
今度はあちらが攻めて来る番だ
あれこれ対策を思案するベルナー
そこへアンドールとロブレインが入ってきた
「失礼する」
「やあ 起きたね これはロズモンド嬢から言付かってきた
姫君達がロズモンドを質問責めにして 彼女はこちらまで来られない」
そう言いながら寝台横のテーブルに食べ物と飲み物の入った盆を置くロブレイン
「有難うございます」
リトアールとダンスタンとその従者が姫君達と共にいるのだと話すアンドール
アンドールとロブレインは魔法でどういうことができるのか どういう攻撃があるのか
そうしたことも尋ねにきたのだった
魔法は 術の力は個人差があるーとベルナーは話す
「例えば砂のグラス一杯の力があるとして それを使い切り それ以上の力を使おうとするならー容器ごとーつまり人間の体ごとバラバラになる
でも稀にグラスの中の力を使い切っても砂漠のオアシスの泉のように汲めど尽きぬ力を持つ人間もいる
限界は本人にも分からない
何処が限界なのか
修業をすればするほど力が得られるものでもないし 持って生まれた力がかほどのものであるのかー」
ある程度の話が終わると単刀直入にロブレインが切り出した
「我々は他の名前で呼ぶべきではないだろうか 姫君の従兄殿」
ベルナーがアンドールを見る
「レイダンドの王は隠しておけなかったー」
「言うなって言っといたのにな」情けない顔をするベルナー
「魔法使いの王様なんて世界に対して公平じゃあない かの領域を出たログサールはこの世界に禍をふりまいた
それも僕の母親に恋したからだが
僕はログサールという禍を取り除いたらー事が終わればーかの領域に戻る
アスザールの養い子の魔法使いとして
でも この国にいる間は 歌うたいのベルナーだ」
王になる気はないーとベルナーは言葉を重ねる
「僕には向かないよ あなた方御兄弟のどなたかにこの国はお任せする」
アンドールは内心 忸怩たる思いがある
正当な権利のある人間が王位に就かない
それを「はい 有難う」と受け取っていいものか
これが・・・まだブロディルの国ならば
まだ長男というだけで王位に就いて・・・
いいのか いいのだろうか・・・
自分に王たる資格があるのか
一人の男として・・・・・どうなのか
落ち着いてはいるが そう見えるがアンドールは若く見かけほど自信に満ちているのではない
自分と違う生き方をする同年代の人間の出現に自分という存在への これでいいのかーという疑問と揺らぎ
「リボンをかけて渡されても こちらに受け取る資格があるのかーそうした問題もあるのだが?」
ロブレインがストレートに疑問形で言葉を返す
アンドールの心を読んだように
ベルナーはにっこりして言う「受け取ってからできる資格もあるかと」
彼は笑顔のまま言葉を続ける
「ああ そうだ 助けてもらったお礼をカズール・シャンデ将軍にまだ言ってませんでした
それがとても心苦しくてー
もしも将軍に空いた時間があれば会いに来ていただけるようお願いできませんか」
しばらくして入ってきたシャンデ将軍にベルナーは真剣な顔で頼み事をした
語り疲れてそのまま眠っている男達にそうっと上掛けをかけて静かに静かに部屋を出て行く
ロズモンドが部屋に入ってきた気配にベルナーは目覚めたけれどー眠り続けているふりをしていた
彼女の起こすまいという心遣いを無駄にしたくなかったのだ
ただロズモンドの優しさとその気遣いを黙って受け取り噛みしめる
ー彼女を守りたい・・・・・
その気持ちはベルナーの心の奥で強くなる
ー恋だろうか これはー
心も体も温かさに満たされてベルナーは再び眠りについた
昼少し前にリトアールとダンスタンは起きて部屋を出て行く
廊下では待ち構えていた従者のゲイルドとオライスが騒いでいた
「どれだけ心配したと思っているんです」
「だって起こしたら可哀想だから 気をつかったんだよ」とリトアール
ダンスタンも開き直っている「これぞ主人の従者への思いやりというものだ」
「そんな思いやりは要りません」とオライス
アクシナティの多くの船は居なくなったはずだが ログサールもまた魔法使い
術が使える
幾つかの船は残っていると考えるべきだった
平和が続いているだけにこの城は侵入者に対し警戒が緩い
ファナクが入って来れたぐらいだし
不意に襲われること
そうしたことへの備えをしているはずだが
それでもー
ログサールは魔法使いなのだ
どういう目くらまし術を使ってくるのか
武器に毒を使う人間でもある
それでランデール王は ベルナーの父は命を落とした
そうしたことをリトアールとダンスタンは兄たちやシャンデ将軍と詰めた話し合いをすると言った
奇襲への備え
今度はあちらが攻めて来る番だ
あれこれ対策を思案するベルナー
そこへアンドールとロブレインが入ってきた
「失礼する」
「やあ 起きたね これはロズモンド嬢から言付かってきた
姫君達がロズモンドを質問責めにして 彼女はこちらまで来られない」
そう言いながら寝台横のテーブルに食べ物と飲み物の入った盆を置くロブレイン
「有難うございます」
リトアールとダンスタンとその従者が姫君達と共にいるのだと話すアンドール
アンドールとロブレインは魔法でどういうことができるのか どういう攻撃があるのか
そうしたことも尋ねにきたのだった
魔法は 術の力は個人差があるーとベルナーは話す
「例えば砂のグラス一杯の力があるとして それを使い切り それ以上の力を使おうとするならー容器ごとーつまり人間の体ごとバラバラになる
でも稀にグラスの中の力を使い切っても砂漠のオアシスの泉のように汲めど尽きぬ力を持つ人間もいる
限界は本人にも分からない
何処が限界なのか
修業をすればするほど力が得られるものでもないし 持って生まれた力がかほどのものであるのかー」
ある程度の話が終わると単刀直入にロブレインが切り出した
「我々は他の名前で呼ぶべきではないだろうか 姫君の従兄殿」
ベルナーがアンドールを見る
「レイダンドの王は隠しておけなかったー」
「言うなって言っといたのにな」情けない顔をするベルナー
「魔法使いの王様なんて世界に対して公平じゃあない かの領域を出たログサールはこの世界に禍をふりまいた
それも僕の母親に恋したからだが
僕はログサールという禍を取り除いたらー事が終わればーかの領域に戻る
アスザールの養い子の魔法使いとして
でも この国にいる間は 歌うたいのベルナーだ」
王になる気はないーとベルナーは言葉を重ねる
「僕には向かないよ あなた方御兄弟のどなたかにこの国はお任せする」
アンドールは内心 忸怩たる思いがある
正当な権利のある人間が王位に就かない
それを「はい 有難う」と受け取っていいものか
これが・・・まだブロディルの国ならば
まだ長男というだけで王位に就いて・・・
いいのか いいのだろうか・・・
自分に王たる資格があるのか
一人の男として・・・・・どうなのか
落ち着いてはいるが そう見えるがアンドールは若く見かけほど自信に満ちているのではない
自分と違う生き方をする同年代の人間の出現に自分という存在への これでいいのかーという疑問と揺らぎ
「リボンをかけて渡されても こちらに受け取る資格があるのかーそうした問題もあるのだが?」
ロブレインがストレートに疑問形で言葉を返す
アンドールの心を読んだように
ベルナーはにっこりして言う「受け取ってからできる資格もあるかと」
彼は笑顔のまま言葉を続ける
「ああ そうだ 助けてもらったお礼をカズール・シャンデ将軍にまだ言ってませんでした
それがとても心苦しくてー
もしも将軍に空いた時間があれば会いに来ていただけるようお願いできませんか」
しばらくして入ってきたシャンデ将軍にベルナーは真剣な顔で頼み事をした