ソロクレスが妻帯しないのには理由があった
幼い頃から国に関する歴史について書かれた記録を読むことが好きだった彼は・・・遥か昔の出来事と現在起きている事との類似に気付いてしまう
それが自分だけの杞憂ではない事はー
同じ事にオランプも気付き懸念を話しー
それによりソロクレスはオランプを信頼するに至った
自らの記憶を失い・・・・・そんな身で・・・深くルルドスについて知ろうとし理解しようと努力を重ね
そうした人間の出した結論
他にはまだ誰も気づいていない
それは不必要な心配であってほしいが
ソロクレスはオランプと相談し密かにその為の物事を進める
人々を守る事こそが一番の王の務めであるから
妻を娶らぬならせめて愛妾をという叔父エランドの勧めにもソロクレスは乗らなかった
「叔父上も独り身ではありませんか」
「わしは神官じゃ」
「人の世に戻ることもかないましょう」
「誓いを立てた身ゆえ・・・な」
ソロクレスとディアネージュの父であるアルストン王が死んでから エランドが王位に就くという生き方もできたはずなのだ
別な時 エランドはこうも言った
「わしはお前を気楽には生きさせんよ」
エランドはアルストンの腹違いの弟で ソロクレスとは十歳しか違わない
時々神殿から散歩に出てソロクレスの居室に寄る
顔だけは優し気だがエランドは神官らしからぬ逞しい体つきをしていた
少年の頃ソロクレスはこの叔父から剣の手ほどきを受けたのだ
無邪気だった頃・・・・・
過る想い出を振り払うようにソロクレスは首を振り好青年の笑顔になる
まるで裏表なんてありません
何も考えてませんよ
あけっぴろげに見える笑顔の仮面
「お前も孤独な男だの」
老けた物言いを好むエランドは去り際 そんな言葉を投げた
「お前も・・・」つまりエランドもまた孤独な男というわけだ
大体孤独を感じたことのない人間なんてそうはいまいとソロクレスは思う
それにソロクレスには妹がいる
そして同志も
ー完全な孤独ではない 信じられる相手がいる
困難にあたり支え合える人間が
危険 それはいつ訪れるかわからない
急がせてはいるが 備えは間に合うものか
疑っていることが もし起きたなら
最悪 どれほど救えるものか
それを考えるとー起きてほしくはないが
いたずらに人心を乱したくないが
慎重になりすぎ手遅れになっても
もとは一つであったもの 今度は粉々にならないと・・・
ルルドスの海に問いかけるソロクレス
海は言葉を返してはくれない
オランプは人を信じろと言う
王だから何もかも背負い込む必要はないと
たぶんオランプなら信じて裏切られても それも自分の選択であったからと裏切る人間を信じることを選択した自分の責任と笑うこともできるのだろう
正しい道を選びたい
間違わない存在でありたいと思えば 人は時に身動きがとれなくなる
「王よ いざという時はわたしを悪者にすればいいのだ」
そこまで言ってくれる人間を言葉通り 悪者にするなどソロクレスにはできない
幼い頃から国に関する歴史について書かれた記録を読むことが好きだった彼は・・・遥か昔の出来事と現在起きている事との類似に気付いてしまう
それが自分だけの杞憂ではない事はー
同じ事にオランプも気付き懸念を話しー
それによりソロクレスはオランプを信頼するに至った
自らの記憶を失い・・・・・そんな身で・・・深くルルドスについて知ろうとし理解しようと努力を重ね
そうした人間の出した結論
他にはまだ誰も気づいていない
それは不必要な心配であってほしいが
ソロクレスはオランプと相談し密かにその為の物事を進める
人々を守る事こそが一番の王の務めであるから
妻を娶らぬならせめて愛妾をという叔父エランドの勧めにもソロクレスは乗らなかった
「叔父上も独り身ではありませんか」
「わしは神官じゃ」
「人の世に戻ることもかないましょう」
「誓いを立てた身ゆえ・・・な」
ソロクレスとディアネージュの父であるアルストン王が死んでから エランドが王位に就くという生き方もできたはずなのだ
別な時 エランドはこうも言った
「わしはお前を気楽には生きさせんよ」
エランドはアルストンの腹違いの弟で ソロクレスとは十歳しか違わない
時々神殿から散歩に出てソロクレスの居室に寄る
顔だけは優し気だがエランドは神官らしからぬ逞しい体つきをしていた
少年の頃ソロクレスはこの叔父から剣の手ほどきを受けたのだ
無邪気だった頃・・・・・
過る想い出を振り払うようにソロクレスは首を振り好青年の笑顔になる
まるで裏表なんてありません
何も考えてませんよ
あけっぴろげに見える笑顔の仮面
「お前も孤独な男だの」
老けた物言いを好むエランドは去り際 そんな言葉を投げた
「お前も・・・」つまりエランドもまた孤独な男というわけだ
大体孤独を感じたことのない人間なんてそうはいまいとソロクレスは思う
それにソロクレスには妹がいる
そして同志も
ー完全な孤独ではない 信じられる相手がいる
困難にあたり支え合える人間が
危険 それはいつ訪れるかわからない
急がせてはいるが 備えは間に合うものか
疑っていることが もし起きたなら
最悪 どれほど救えるものか
それを考えるとー起きてほしくはないが
いたずらに人心を乱したくないが
慎重になりすぎ手遅れになっても
もとは一つであったもの 今度は粉々にならないと・・・
ルルドスの海に問いかけるソロクレス
海は言葉を返してはくれない
オランプは人を信じろと言う
王だから何もかも背負い込む必要はないと
たぶんオランプなら信じて裏切られても それも自分の選択であったからと裏切る人間を信じることを選択した自分の責任と笑うこともできるのだろう
正しい道を選びたい
間違わない存在でありたいと思えば 人は時に身動きがとれなくなる
「王よ いざという時はわたしを悪者にすればいいのだ」
そこまで言ってくれる人間を言葉通り 悪者にするなどソロクレスにはできない