夢見るババアの雑談室

たまに読んだ本や観た映画やドラマの感想も入ります
ほぼ身辺雑記です

横山秀夫著「ノースライト」 (新潮社)

2020-03-15 13:21:12 | 本と雑誌



表紙には椅子が書かれている
作中にブルーノ・タウトという日本で暮らしたことがある人物に触れてあり
彼が作った椅子かもーとなる場面も出てくる


職を失い離婚し 身を持ち崩しかけていたこともある建築家の青瀬稔(あおせ みのる)
本にも取り上げられるようになったY邸が彼にとって満足のいく家だったが

この家にY-吉野は暮らしていないようだ

それがひっかかる
吉野に連絡もつかない

あの家は気にいらず転居しないか
住まないのか


とうとう訪ねるも誰もいない
椅子が一つだけ置いてあり 同行した友人にそれはブルーノ・タウトの作った椅子に似ていると言われる


同行した友人で青瀬の雇主でもある岡嶋は青瀬の建てたY邸に刺激されるように 自分も代表作を作りたいと思い 仕事を取る為に無理をする
それが癒着だと記事に書かれー

青瀬が会った時にはそういう様子も無かったのに死んで 自殺だと


だが岡嶋の様子を思い返し青瀬は疑問に思う

その死は事故ではなかったか

青瀬に家を設計してほしいと依頼した吉野の本当の目的

その家が気に入りながらも住めなかった理由

岡嶋が病室で描いていたスケッチ

日本に骨を埋めたかったブルーノ・タウト

別れた妻の想い
妻と暮らす娘の気持ち

いつか家族は再び暮らせる日がくるのだろうか

岡嶋の想いを引き継ぐように事務所の人間が一丸となり仕上げた設計
それは陽の目をみるだろうか

青瀬は建築家としての矜持を取り戻した

ノースライト 北からの光を取り込む家
青瀬が設計した
自分が住みたいと思う家



作中 確かに謎は出てくるけれど これは自分の仕事と生き方に再び「光」を取り戻す物語かしらと

生き続けるうちに いつか見失う夢 忘れる希望

日を追うだけの暮らし方

でも誇りや夢があれば 自然に生き方も変わっていく

それは自分の為でも誰かの為でもいいけれど

家は日々暮らすもの
大切な場所

自分が住みたい家をつくれるって いいですね
こうありたい
そう思って そのように生きていけるなら