冒頭 女性が男に追われている
読み進むうちに 女性は犯罪の被害者らしいと思い では殺人事件なのかーと思う
そしてやがて女性はまだ少女で悲惨で残酷な犯され方をされたとわかってくる
少女の母親はこの犯された記憶を消す療法を選択するがー
それは間違った治療で少女は苦しみ続け自殺を図る
ここでこの物語の語り手が登場する
少女の記憶を取り戻す精神科医アラン・フォレスターとして
女好きの男
不倫している人妻
ちんけな麻薬密売人
娘を思う父親たち
精神科医のアランは正義の人では決してない
人を操る
自分の息子が疑われそうになると 別の人間が疑われるように仕向ける
自分の患者だった男が自殺するようにも
読みながら苛々が増してくるのは この語り手の狡さ
卑劣さゆえに
その動機にも
善人の顔をして
治療がうまくいったーそうこの語り手は得意げだが
善悪のラインを踏み越えたこの精神科医こそ怪物の心を持っているように思える