ー罪夢ー
ああ また この夢だ
芝居小屋の古い建物 床が抜けそうな舞台
誰も居ない座席
ただ一人残っている若い女
これから売れるはずの女優だった
とびきり美しい
薄暗い小屋の中でも輝くようだ
あたしはこの若い娘が怖かった
その若さ 美しさ
今もー売れ始めの若いコ達を見ると思い出さずにいられない
あの娘は腕が似ている
なよやかな細い腕
そう あたしが殺した娘は爪の形すら美しかった
あたしは妬んだ その美しさ 若さ
あたしの情人(おとこ)だった監督は これからはあの娘でいくーと言った
もう お前は脇に回れーとばっかりに
でも今なら 誰もこの娘を知らない
まだ世に出てはいない
不幸な事故はつきもの
よくあること
古い建物はよく火事がある
そこにいたのは ただの不運
他人の名前で呼び出して
中から出られないように細工して 火をつけた
簡単だった
「誰か! 出して!出して!」「助けて!」「きゃああああ~~~~」
苦し気に咳き込む音
それすら甘美なものとして聞いたのだ
これで もう脅かされない
不幸な事故 世に出る前に死んだ娘
もう誰も覚えていない
遠い昔の話
長い事 思い出しもしなかった
それが何故だろう 今頃になって
見かけた若い娘達に あの娘の面影を見つけてしまう
くっきりした二重瞼の黒目がちの瞳
抜けるように白い肌
黒の中の黒のようだった長い髪
つんとした それでいて触りたくなる唇
夢の中 極上に美しい娘の姿は燃えあがり近づいてくる
炎に包まれて 焼けながら
その腕で あたしを抱きしめようとする
嫌だ! あたしは謝らない
赦しなんてこわない
あたしの地位を脅かそうとしたその美しさが悪いのだ
あたしは悪くない
あたしは自分の場をまもっただけ
しつこくもまだ恨んでいるのか
怨み続ければいい
こんな夢など恐ろしいものか
起きてやる
起きて もっと別な楽しい夢を見直すだけのこと
お前など夢に置き去りにしてやるわ
ああ また この夢だ
芝居小屋の古い建物 床が抜けそうな舞台
誰も居ない座席
ただ一人残っている若い女
これから売れるはずの女優だった
とびきり美しい
薄暗い小屋の中でも輝くようだ
あたしはこの若い娘が怖かった
その若さ 美しさ
今もー売れ始めの若いコ達を見ると思い出さずにいられない
あの娘は腕が似ている
なよやかな細い腕
そう あたしが殺した娘は爪の形すら美しかった
あたしは妬んだ その美しさ 若さ
あたしの情人(おとこ)だった監督は これからはあの娘でいくーと言った
もう お前は脇に回れーとばっかりに
でも今なら 誰もこの娘を知らない
まだ世に出てはいない
不幸な事故はつきもの
よくあること
古い建物はよく火事がある
そこにいたのは ただの不運
他人の名前で呼び出して
中から出られないように細工して 火をつけた
簡単だった
「誰か! 出して!出して!」「助けて!」「きゃああああ~~~~」
苦し気に咳き込む音
それすら甘美なものとして聞いたのだ
これで もう脅かされない
不幸な事故 世に出る前に死んだ娘
もう誰も覚えていない
遠い昔の話
長い事 思い出しもしなかった
それが何故だろう 今頃になって
見かけた若い娘達に あの娘の面影を見つけてしまう
くっきりした二重瞼の黒目がちの瞳
抜けるように白い肌
黒の中の黒のようだった長い髪
つんとした それでいて触りたくなる唇
夢の中 極上に美しい娘の姿は燃えあがり近づいてくる
炎に包まれて 焼けながら
その腕で あたしを抱きしめようとする
嫌だ! あたしは謝らない
赦しなんてこわない
あたしの地位を脅かそうとしたその美しさが悪いのだ
あたしは悪くない
あたしは自分の場をまもっただけ
しつこくもまだ恨んでいるのか
怨み続ければいい
こんな夢など恐ろしいものか
起きてやる
起きて もっと別な楽しい夢を見直すだけのこと
お前など夢に置き去りにしてやるわ