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実はロウン、ファンギに会う前に、ウィルに会っていたのです。
その時、ウィルも“会いたかった”と言いました。
自分に向けられた言葉だと思ったロウンは、どぎまぎしましたが、それは養護施設の院長に対しての言葉だったのです。
誤解したことをウィルにも気付かれて、恥ずかしい思いをしたロウンは、今度こそはと思ったのかも。
でも、ファンギも、女の子に向けて言った言葉だったのです。でもね、あれはロウンに言ったんだと思うよ、あたしゃ
ウィルはファンギがチケットを取っておいてくれたおかげで、来る事が出来たんです。
どうも、施設を出て20年になるこの間、全然連絡を取っていなかったようですね。
理由が何なのかは分かりませんが、ウィルは院長に会う勇気が無かったって感じがします。今の自分の姿を胸を張って見てもらう気になれなかったってことでしょうかね。
でもね、院長は、何のためらいも無く、彼の手を取ってくれました。
ずっとイスの両親に酷い扱いをされて来たウィルにとって、院長は母親であり、温かく包んでくれる唯一の人なんでしょう。
やっと会えた事で、ウィルの気持ちも少しは楽になったでしょうか。
イスは、やはりファンギの妹ですね。
ファンギのように超内向的ではないけど、相手の気持ちを考え過ぎるところがあります。気を遣いすぎるんですね。
ウィルをとても愛しているから、彼が傷ついたこともちゃんと分かってるし、その原因も分かっています。でも、それを知らないフリ、気付かないフリをしてあげる事がウィルの為だと思ってて・・・。
言葉に出して慰めてあげられないので、ウィルには冷たいと誤解されているところがあるようです。
ファンギは、そんな妹のことも良く分かっています。
直接ウィルにあれこれ問い正す事が出来ず、兄の自分を通してウィルを気遣う妹イス。それが本当に哀れに写るんでしょう。
ファンギは、ウィルに、そんなイスのことを、もっと理解してほしいと思っているのですが・・・。
こちらも上手く表現できない性格で。
まったく、もどかしい兄妹です。
ファンギはイスのこともあるし、ウィルとロウンの仲も気になるし・・・で、何度も何度もウィルに帰国するよう言います。
周囲には嫉妬だとばればれですよ。それが何に対しての嫉妬かは分かっていませんが。
ロウンは、ファンギがこんな南国に来ても黒い服を着こんでフードまでかぶっているのが謎です。
暑いでしょうに・・・と言うのですが、ファンギはますます深くフードをかぶる始末。
ウィルは、言いました。
「ファンギには距離が必要なんだ。じっくり一人で考える時間をあげないとダメ。そうしたら歩み寄って来る筈だ。猫みたいにね。」
猫か・・・とロウンは納得しました。まさに、猫のようだと思いました。
でもね、本当は、ファンギも近寄ってくれる事を待ってるんです。
自分からなかなか輪に入っていけないので、無理にでも引きずりこんでくれたら、案外嬉しいのかもしれません。
でも、ロウンはウィルの言葉に従い、ファンギを一人にしておきました。
ファンギはがっくりです。
でもね、ロウンはある事が切っ掛けで、ファンギが如何に部下の事を思っているかを知りました。
彼のカメラには、部下たちが楽しく生き生きとした姿がたくさん写されていたからです。
ファンギとすると、ロウンの写真が多いのを知られたんじゃないかと焦りましたが。ロウンはそうは考えなかったようです。
自分も、ファンギの父と同じだった・・・と思いました。
ちゃんとファンギは自分たちのことを後ろから見守ってくれていたのに、変わることを要求していたのですから。
その姿勢は決して悪い事じゃないのに・・・。
「もう変われって言いません。ボスに合った方法がある筈です。それを見つけましょう。今回の件も、ボスのやり方で人の心を動かしたでしょう?」
ぬいぐるみが女の子に会いに来ると言うストーリー仕立てのSNSは、航空会社のイメージをアップさせるのに大きな役割を果たしていました。たくさんの『いいね!』が付いていたのです。
「変わらないでください。」
ロウンは言いました。
そんな事を言われたの、多分ファンギは初めてだったでしょうね。
戸惑うファンギにロウンはフードをかぶせてあげました。
「これこそ本当のウン・ファンギ。」
思わずファンギは微笑みました。ロウンが見た初めてのファンギの笑顔でした。本人は否定しましたけど。
その夜、ウィルとファンギと3人でお酒を飲んだロウン。
飲み比べなんぞをしちゃったウィルとファンギが泥酔しちゃって。ロウンは二人を部屋に担ぎ込んだのですが。
そこで力尽きて、ベッドに倒れこんじゃった
二人に挟まれたロウン。ドキドキもんです