ON  MY  WAY

60代になっても、迷えるキツネのような男が走ります。スポーツや草花や人の姿にいやされながら、生きている日々を綴ります。

「EPICソニーとその時代」(スージー鈴木著;集英社新書)

2024-07-19 22:11:52 | 読む

BS12の「ザ・カセットテープ・ミュージック」は、80年代の音楽を取り上げて、熱く独断で語り合う番組で、時々見ている。

スージー鈴木氏が、マキタスポーツ氏と2人で語り合う姿は、見ていて本当に音楽が好きな方なんだな、と思っている。

そんなスージー鈴木氏の著書を新書で見つけ、買ってきたのが、この本。

本の帯や表紙カバー裏には、次のような本書の紹介があった。

     

「80年代」と書いて、「EPICソニー」と読む――。

先進的な音楽性により80年代の音楽シーンを席捲したレコード会社「EPICソニー」。

レーベルの個性が見えにくい日本の音楽業界の中で、なぜEPICだけがひと際異彩を放つレーベルとして君臨できたのか?

そして、なぜその煌めきは失われていったのか? 

佐野元春《SOMEDAY》、渡辺美里《My Revolution》、ドリカム《うれしはずかし朝帰り》など名曲の数々を分析する中でレーベルの特異性はもちろん、当時の音楽シーンや「80年代」の時代性が浮かび上がっていく。

佐野元春ロングインタビュー収録。

 

80年代という時代は、私にとっては、社会人になったばかりの年代だったので、仕事をこなしていくのに必死で(?)、EPICソニーから出ていた歌については、あまり多く知らなかった。

だが、著者のスージー氏自身が高校生であったり大学生であった時代、本当に好んでよく聴いていたのが、EPICソニーレーベルの音楽だった。

その音楽をこよなく愛していたからこそ、追跡して書かれた本だということがよく分かった。

 

第1章では、EPICソニーの「音楽」。

大沢誉志幸、ラッツ&スター、大江千里、岡村靖幸、渡辺美里、BARBEE BOYSそして佐野元春その他の人たちの佳曲について、スージー氏独自の解釈を加えて紹介していく。

「そして僕は途方に暮れる」「め組の人」「目を閉じておいでよ」「SOMEDAY」ら、知っている曲も結構あった。

ほほう、そんな人たちのそんな曲には、そんなエピソードがあったのか。

いい歌を歌っていたんだね、ということを改めて知った感じ。

 

第2章では、EPICソニーの「時代」。

EPICソニーは、どのように始まったのかや、中心になっていたリーダーだった人の話など、その歴史が述べられる。

歌謡曲の受賞ダービーがいやで、逃げ出したかった、というのがきっかけというのは興味深い。

 

そして、面白いのは、EPICソニーの「意味」として、その素晴らしかった存在理由を次々述べているところだ。

EPICソニーとは「ロック」だった

EPICソニーとは「映像」だった

EPICソニーとは「タイアップ」だった

EPICソニーとは「東京」だった

つまるところ、EPICソニーとは「佐野元春」だった

これらの解釈が、スージー氏らしくていい。

なるほど、この文章たちが、この本の肝なのだと思った。

 

第3章は、EPICソニーの「人」

EPICソニーで重要な役割を果たした2人へのインタビュー。

小坂洋二氏そして佐野元春氏への貴重なインタビューで当時のことを掘り下げていく。

 

今までEPICソニーをよく知らなかった私でも興味深く読めた。

「ロック」を目指して、独自の戦略で意欲的に取り組み、当時音楽界をリードしたEPICソニー。

なるほどなあ。

歌好きな人なら、面白く読めるだろう。

また、1980年代に若い時代を過ごし、歌が好きでよく聴いていた人たちなら、懐かしさだけでなく初めて知ったエピソードも多く、さらに楽しめることだろうな。

著者のスージーさんが、最も楽しんでこの本を作ったような気がした。

 

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2 コメント

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Unknown (りゅーと)
2024-07-20 05:23:48
 ジャズの世界だと、リバーサイドやドイツのEMIなどレーベルの個性がありますけど、やっぱり日本ではEPICソニーの打ち出すミージャンはレーベルカラーがありましたね〜。やっぱりEPICソニーを代表するアーチストといえば佐野元春さんでしょうかね〜。

 個人的には大沢誉志幸さんが好きで、ライブの「AR ABLEL II」は日本の映像作品の最高傑作だと思っています。
 これからもよろしくお願いします。
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さすがよく知っていますね (50fox)
2024-07-20 07:19:11
>りゅーと様
さすがですね~。音楽を幅広く知っていますね。
大沢誉志幸のよさを知っているし、EPICソニーが映像作品の制作に力を入れていたこともよくご存じなのですね。
本書では、その映像のことも書いてありました。EPICソニーが革命的な創造的活動に力を入れ、業界をリードしたのだと知りました。
またいろいろ教えてください。よろしくお願いします。
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