夏の甲子園、今年の新潟県代表の新潟産業大附属高校は、なかなかの好チームだと以前ここに書いた。
だから、甲子園でもそこそこの活躍をしてくれるのではないかと期待した。
だが、初戦の対戦相手は、埼玉県代表の花咲徳栄高校。
春夏の甲子園大会の出場回数も多く、10年前の大会では優勝するなど、全国に名の知れた、優勝候補の強豪が相手となった。
しかも、このチームは、埼玉県内公式戦負け知らず。
秋、春、夏の埼玉県の大会すべてを制していた。
ちょっと名前負けするよなあ、初出場の産大付としては、委縮したプレーにならなきゃいいけどなあ…などと思っていた。
ところが、試合が始まってみると、最初の守りから、産大付は好プレーを連続した。一塁手のライナーキャッチ、三塁手のライン上のゴロの処理等、見事だった。
決して気後れしていないことが伝わってきた。
初ヒットも産大付だったが、得点に至らず。
先取点は、やはり花咲徳栄だった。
プロ注目の好打者、4番にレフト前にヒットを打たれると、2塁に盗塁された。
一死3塁からセンターに犠牲フライを打たれて先制を許した。
しかし、ここからエース宮田が踏ん張る。
打線も、毎回のようにヒットを打つ。
互いに、ランナーを出しながら、後続を抑える展開が続いた。
その均衡を破ったのは、新潟産大付だった。
6回表に、二死3塁のチャンスをつかむと、7番千野が左中間へタイムリーツーベースを放ち、同点に追いついた。
いい流れの産大付、吉野監督は県大会でもそうだったように、宮田から田中へ投手を交代させた。
最初のバッターにヒットを打たれた田中だったが、バックの好守もあり併殺で切り抜けた。
いい流れで入った7回、先頭バッターのヒットから、二死3塁のチャンスに、4番の多田がしぶとく三遊間を抜いて、2-1。
勝ち越した。
なんと、逆転してしまった。
だが、このまま終わる花咲ではあるまいと思っていると、その裏、四球で出したランナーが2盗を決めて一死2塁のピンチ。
しかし、投手田中は冷静に、三振と内野ゴロで打ち取った。
8回も9回もヒットでランナーを出したが無得点に終わった産大付。
いつのまにか、ヒットは産大付が11本、花咲徳栄が7本と、新潟産大付が上回っていた。
強打の花咲よりも多くのヒットを打っていて、最終回を迎えているなんて、すごいじゃないか。
最終回に信じられないドラマが生まれるのが高校野球だ。
しかも、相手は3,4,5番のクリーンアップだから、ただで済むとは思えなかった。
そう思っていたのに、
3番をセンターフライ、怖い4番をサードゴロに打ち取って、あと1アウト。
このまま勝ち切れるのか?
半信半疑でいるうちに、5番打者が打ったセンターフライで3アウト目を取った。
…ということは、2-1で試合終了。
新潟産大付が、堂々の初陣初勝利を飾った。
いやあ、すばらしい!!
初出場で強豪を破るなんて。
何しろ、新潟県勢としては、7年ぶりの勝利で、令和になって初勝利だった。
近年は、県代表がよい試合をしても1点差で敗れるようなことばかりだった。
それが、今日の試合は、がっぷり四つに組んで戦った。
エラーもなく、負けないどころか勝ってしまうのだから、「あっぱれ!」だ。
吉野監督も、甲子園は初出場だったらしいが、選手たちに普段通りの力を発揮させ、投手交代のタイミングなども含め、どうしてどうして、名采配だった。
初勝利おめでとう、新潟産大付!
次は、京都国際高が相手。
1戦1戦存分に力を発揮して、全国に、聞き慣れないその校名と新潟県強しということを広めてほしい、と願いつつ、大いに期待している。