ON  MY  WAY

60代を迷えるキツネのような男が走ります。スポーツや草花や人の姿にいやされ生きる日々を綴ります(コメント表示承認制です)

65歳の誕生日を迎えて

2022-02-28 20:13:14 | 生き方


誕生日を迎えた。
60代のちょうど半ば。
いよいよ高齢者の仲間入りである。
年金受給者というわけだ。

朝の早々に、一昨年の9月以来久しく会っていない弟から祝いのメールをもらった。
それをはじめとして、何人かからラインやフェイスブック、ショートメール、電話などで「おめでとう」と祝ってもらえた。
こんな私のために…と、ありがたく思った。

大学の後輩、Aさんからのものがあった。
先輩、お誕生日おめでとうございます。
今後も、楽しく実りある日々を過ごされますようお祈りしています。

大学時代、この時期に誕生日を迎える者にとっては、ちょっとつまらない思いをした。
なぜなら、今の時期は受験の時期であり、大学はもう春の休みに入っていたからだ。
サークル活動も休みとなっており、活動中なら仲間たちから祝ってもらえるのだが、この時期はさびしく一人で過ごすことが多かったっけ。
その意味で言うと、こうして40数年たってからの今でも祝ってもらえるのは、すごくうれしい気がする。
(チョットマテ。50ネンチカクムカシノダイガクジダイノオモイヲ、オマエハ、マダヒキズッテイルノカ?)

それにしても、ありがたいなと思ったのは、このポンツクな私にメッセージなどをくれる、かつての教え子の方々だ。
あんな、どうしようもないTeacherだった私に…。

Bさんは、言ってくれた。
後期高齢者になってもまだ四半世紀ありますよ!
むしろこれからです


Cさんは、メールのやり取りの中で言ってくれた。
今日、誰かが無くなる。(原文のまま)
今日、誰かが産まれる。
貴方は生きて、今日この日を迎える🤗
ハッピーバースデー🎉


そうなのだ。
同じことを思っていた。

今の今、ロシア侵攻で奪われている命がある。
自分はこうして65の誕生日を迎えているのに、ウクライナでは、家族を守るために決死の思いで銃を取る人たちがいる。
銃を取る父と別れて、母国を離れようとしている子どもがいる。 
涙を流しながら、父の無事を祈りながら…。
そのニュース映像を見ながら、涙がこぼれ出た。
自分の意思とは無関係に奪われる命がある。
Bさんの言うとおり、今日、誰かが亡くなっている…。

同じ地球上で、私は、今日の誕生日を家族から祝ってもらえている。



娘や息子も30代の後半ではあるが、こうして一家みんなそろって一緒に食事ができるだけで十分に幸せだと思える。


65歳。
自分を取り巻く人たちに感謝しながら、今後は今までの自分とは違った範疇での生き方を探っていくことが必要なのかもしれない。
今あるささやかな幸福の中で、そんなことを考えている。


(文頭の写真は、予想もしなかったCさんが贈ってくれた花束。ありがとう、Cさん。)

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彼の挑戦に勇気をもらう~「それでも僕は歩き続ける」(田中陽希著;平凡社)~

2022-02-27 21:36:01 | ひと


「それでも僕は歩き続ける」(田中陽希著;平凡社)を読み終えた。
著者は、プロアドベンチャーレーサーを名乗っている。

NHKBSプレミアムの番組に、「グレートトラバース3」というのがあり、彼の旅を追っている。
今は、月曜から金曜の毎朝、7:45からの15分間にまとめられて放送されている。

「グレートトラバース」は、田中陽希が深田久弥の日本百名山に、「グレートトラバース2」では、同じく二百名山に挑んだときの番組である。
田中は、それぞれ100、200の名山を踏破し、「グレートトラバース3」では、三百名山の踏破に挑んだ。

彼のすごいところは、交通機関を使わずすべて人力による移動ということだ。
自らの足だけで山から山へと移動し、全山踏破を目指すのだ。
しかも、海を渡るときなども自漕ぎのカヌーを使い、自力での移動を徹底するのだから驚く。

テレビでずっと彼の挑戦を見ていると、百名山、二百名山、三百名山と進むにつれて、彼の人間性が豊かになっていくのが分かる。
「グレートトラバース」で日本百名山に挑戦していたころには、スピード感をもって山々を登頂していくことが彼の魅力だった。
だが、テレビ等を通じて彼の挑戦がたくさんの人に知られるようになると、会う人会う人に自分を合わせなくてはいけないと思うようになり、ストレスをため込んだ。
そんな彼が、旅を続けるうちに、会う人に言う言葉が「すみません」から「ありがとう」に代わるようになった。
自分のことばかりでなく、相手のことも考えられるようになったからだった。
本書でも、そのことは正直に書いてあった。

ただ、三百名山全山踏破の旅は簡単ではなかった。
最初の宮之浦岳を登頂した後、徳之島から海を渡ろうとしたときに大荒れの冬の海のせいで1週間、島から出られなかった。
55座目蓬莱山登頂後には、下山時に転んで右手の薬指中手骨を骨折してしまった。
そのために、危険回避のため登山を一時見送った山は、また後日遠くから戻って登らざるを得なくなってしまった。
259座目の鳥海山を登ってからCOVID-19感染症で緊急事態宣言が発せられて、3か月間、県外への移動ができず、酒田市に家を借りて長期滞在せざるを得なくなった。
そんなアクシデントの連続で、三百名山の全山踏破は、2年8か月余りも要する長旅となってしまった。

本書は、その酒田市での長期滞在の際に、インタビューを受けたものをもとにして出来上がった本だ。
だから、まだ旅の途上だったことになる。

私たちは、そんなアクシデントもありながら進む彼の経験を見ながら共感を深めていく。
自然の雄大さや美しさ、険しく厳しい山の様相なども知りながら、がんばる彼の姿を応援したくなる。
でも、彼が人間として成長していくのは、自然への挑戦や自然の中にいるからだけではない。
最も大きい要素は、旅の途中で出会う人たちとのふれあいだった。
百名山挑戦の時に、阿蘇山山頂で出会った「ファン第1号」の女性。
宿泊中に大きな地震に遭遇したときの民宿の女主人。
酒田市で長期滞在となったときの家主の女性や、近所の子ども。
各地で出会った無邪気な子どもたちとの交流、などなど。
人間的に丸くなり、さらに魅力を高めた彼の姿は、とても爽やかで素敵であった。

彼の旅は、去年の8月初旬に北海道利尻山を登って三百名山人力踏破を達成。
7年で合計501座を踏破し終わった。
日本列島を3往復し、移動した総距離が36,000kmというのだから、すごいとしか言いようがない。
次に挑戦するというのは、チームでのアドベンチャーレース。
7年間の名山人力踏破の旅のためにできなかった、本来のアドベンチャーレースへの挑戦。
そこでの活躍にも期待したい。


テレビでは、15分ずつの放送なので、まだまだ続いている。
明日の朝は、232座目の越後駒ケ岳が放送される予定だ。
彼が、様々な困難を克服し、1座、また1座と踏破していく姿に勇気をもらっている。
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0-2から追いつき、ドロー ~2022第2節アウェイ大宮戦~

2022-02-26 20:19:53 | アルビレックス新潟


2試合連続のドロー。
2戦ともアウェイでの戦いだったことを考えると、新潟にとって悪い結果ではない。

2022サッカーJ2リーグ第2節、アルビレックス新潟は今節もアウェイで大宮アルディージャ戦。

松橋監督は、開幕戦から先発メンバーやポジションを何人か入れ替えてきた。
GK 小島
DF 長谷川 舞行龍 千葉 堀米
MF 島田 イッペイ・シノヅカ 高木 星 本間
FW 谷口

右のサイドバックを藤原から長谷川に。
アンカーを高から島田に。
トップ下の一人を伊藤から星に。
イッペイ・シノヅカを左から右に回し、左に本間至恩を起用。
1トップには鈴木ではなく谷口に。

前回とは変えてくるところが、松橋監督の思い切ったところだ。
もともと、各ポジションに同じ力のある選手を2人ずつそろえてある、と監督は言っていた。
その言葉通りに、違う選手を起用してみるのは結構大胆だなと思った。
多くの選手を使って、感染症禍のためにキャンプが短くなって練習試合があまりできなかった選手たちに試合慣れを図る。
まだシーズンは始まったばかりだから、それもいい。

だが、試合が始まってみると、前から攻めの守備をしてくる大宮に対し、新潟は窮屈なボール運びの繰り返し。
ペースを全くつかめないままに、大宮・河田の恩返し弾をくらって先制されてしまった。
選手をかえていた右サイドでのしのぎがうまくいかずに失点してしまった新潟だった。

それでも、しだいにボールをつなげられるようになった新潟は、チャンスを作り始めた。
長谷川がドリブルでペナルティエリア深くに進入し、ゴール前のイッペイ・シノヅカへ。
ただ、シノヅカのシュートは、GKの正面へ。

これが、後半に入ると、さらに新潟の攻撃のリズムがよくなった。
テンポがよくなり、スピードが上がった。
小気味よくボールが動き、早いうちに同点に追いつくようなニオイがした。

ところが、そこから相手のカウンターをくらい、フリーにしてしまった相手が正確なクロスを上げると、ゴール前に飛び込んだ河田に2点目を食らってしまった。
アウェイで0-2。
これは厳しい。
このまま負けてしまうのか、こんなにいい感じのサッカーを展開しているのに。
そう思った。

しかし、この窮地を救ったと言えるのが、本間至恩の突破だった。
その4分後、至恩がドリブルで持ち上がり、相手に対応されながらも突破して、高木にラストパスを出す。
高木が冷静にこれを決め、1-2。

さらに、至恩の勢いは止まらない。
その3分後にも本間がペナルティエリア左でドリブルでキープし、クロスを中に送ると、シノヅカがゴール前で頭で合わせ、同点弾を奪った。
2-2。

同点に追いついてからも、新潟はボールを支配する時間が長く、チャンスの数は新潟の方が多かった。
しかし、勝ち越しゴールは生まれず、2試合連続のドローとなった。

アウェイの地で2点のビハインドをよく追いついたと言える。
だが、DAZNの集計では、ボール支配率63%、シュート数18本(大宮は10本)ということを考えると、勝ってほしかったのも事実。
ただ、2試合連続でシュート数では相手を上回る2ケタのシュートをうった。
しかも、シュート数18本のうち枠内シュートは13本というのだから、昨シーズンと比べても確実に精度が上がっている。

仙台も大宮も、ボールを保持するサッカーを志向しているということだったが、新潟は圧倒的に相手を上回った。
それゆえ、相手監督に「新潟は、技術のある選手が多い」と言わせている。
たしかに技術のある選手は多いのかもしれないが、多く見えるのは目指すサッカーに取り組んで3年目を迎え、その質を高めているからだろう。
2試合連続のドローではあるが、次節山口戦はホーム開幕戦である。
ホームの観客を大いにわかせ、酔わせるような試合をしてほしい。

Visca Albirex !
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「すごいトシヨリBOOK」(池内紀著;毎日新聞出版)

2022-02-25 20:50:49 | 読む


老いの時代をどう生きるか、ということが書かれた本は世に数多ある。
でも、この本は信じられるというか、著者はいい生き方をしていて、自分もそうありたいと思った。

著者は、老いるということをマイナスのイメージでとらえないで、70歳の時に「老いるということは、「初めての経験で、未知の冒険の始まり」ととらえた。
そのときに、日々気が付いたことを記録するための「自分の観察手帳」を作った。
さらに、「77歳の時には自分はこの世の中にいない」という予定を立てた。
だから、その前にこれをしておこう、あれをしておこうと決断した。
そして、77歳の「満期」を迎えても生きていたから、今後は3年単位で延長するのだという。

こうやって気付いたことや見付け、自分なりの楽しく老いる秘訣を書きまとめたものが本書である。

私が老いに関して最も納得したのは、次の文だ。

「体は老けても心は老けない」というのは錯覚で、「心は老けていない」と思うこと自体がまさしく老化のしるしといえます。自分では「心は若い」と思っているけれど、心という見えないものを当てにしているだけ。鏡に映るシワだらけの顔が本当の年齢で、心も当然、シワだらけです。
心も老けるからこそ、これまでとは違う人生の局面が見えてきます。


そうか。自分は、「体は老けても心は老けないぞ」なんて気張っていたけれど、それでは正しくものが見えないということだ。

老いに「抗う」のではなく、老いに対して誠実に向き合う。
老いの中で起こる面白くないことも、目をそむけたり、すり替えたりしない。
そういう構えで生きていくことができるとよいのだな。

ほかに、老いの特性、老いとお金、老いと病、老いの楽しみ、旅などさまざまなことについて書かれてあった。
特に、老いと病については、これからしっかり自分をもつ必要があると思った。

老いとは寄り添え
 病とは連れ添え
医者は限定利用

この考えは、なかなかよい。

医学にも限界がある。
自分の体は、自分が一番よく知っている、つまり自分が一番の主治医なのだ。
医者の言うがままになっていては、死が近づいてきても、今の医学では積極的に生きるようにする治療をする。
病に関して、「延命治療はいらないが、痛みは消してくれるようにお願いしたい」などと、自分の意思を示しておけることの方が大切という考え方は、いい。
すこぶる賛成、自分もそうありたい。

古稀とはいかないが、来週には完全に高齢者の仲間入りをする私。
気持ちのあり方を大いに参考にさせていただいた。
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「遠い日」(フォーリーブス)のシングルEPレコードを手に入れて

2022-02-24 20:46:19 | うた

昔聴いた歌が、不意によみがえって頭の中で繰り返されたり口ずさんだりしていることがある。
そういう歌は、たいがい自分が若い学生の頃に聴いていた歌である。

今日に限って あなたへの
手紙を入れる封筒が 見つからなくて


最近の自分の脳裏に、こんなフレーズが浮かんでは消えていた。

この歌は、遠い日のものだよなあ…と思いながら、「そうそう、この歌は『遠い日』という歌だ」と思い当たった。
どのくらい遠いかというと、今から40年以上前になる。
当時布施明が「シクラメンのかほり」を大ヒットさせて日本レコード大賞を取るなどしたが、その歌を作ったのは、小椋佳であった。
あの当時、小椋佳ブームが起こっていた。
小椋佳自身が歌う歌はもちろん、彼が作った歌を歌いたい人も多かった。
熱唱型の布施明が、しっとり歌う「シクラメンのかほり」は、その代表的な曲であった。

さて、「遠い日」は、小椋佳ブームの1975年に、小椋佳が作詞作曲して、フォーリーブスが歌った曲だった。
作詞者名は、葉月多夢となっているが、これは小椋佳の別名だ。

フォーリーブスといえば、ジャニーズ事務所の歌って踊れる若い4人組だった。
ジャニーズ事務所といえば、今も派手なダンスを見せたりするが、フォーリーブスもステージでバック転をやったりして、いかにも若いアイドルグループであった。

そのフォーリーブスが、いっさい踊らずに歌だけで勝負したのが、この「遠い日」であった。
あのフォーリーブスが派手な動きを見せずに、歌唱力で勝負していた。
時には、4人の中でボーカルを代えて歌っていたのを思い出す。

いつでも聴けるようにしたいなと思って商品検索してみたが、デジタルミュージックとしては引っかからない。
そこで、EPレコードとして検索してみたら、見つかった。
金額も手ごろだったので、ポチッと押してレコードで購入した。
ほどなく送られてきたレコード。



レコードジャケットは、何とも懐かしい4人組の写真だった。
もう、このメンバーのメインボーカルだった青山孝は20年ほど前に亡くなっているのだよなあ…。

さっそくレコードを聴いてみて、懐かしい歌に触れることができた。
1975年秋の歌であり、私が自宅浪人のころ発売されたものだった。
いかにも小椋佳の作詞作曲と感じさせるものだった。
だが、小椋佳は、この曲を自身で歌ってみせたことはなかったのではないかと記憶する。



ところで、「遠い日」がA面で、B面は?と思って見てみたら、「バイバイ?」という曲だった。
さすがにB面は知らないなあ、と思って、聴いた後に作った人の名前を見たら、驚いた。
作詞:奈良橋陽子 作曲:武川行秀 
と書いてある。

えっ!!?
「ナラハシヨウコ」「タケカワユキヒデ」だって!?
このコンビって、あのゴダイゴの「ガンダーラ」や「モンキーマジック」を作ったコンビじゃないか!!
彼らが売れたのは、ドラマ「西遊記」がヒットしたからだ。
そこで使われた曲がヒットして、ゴダイゴは人気グループとなったのだった。
そのコンビが、3年も前に組んで楽曲を提供していたとは。



おまけに、よく見ると、「遠い日」も「バイバイ?」も、「演奏―トランザム」とあった。
トランザムは、この2年後に「ああ青春」や「ビューティフルサンデー」(田中星児の方がヒットした)でブレークしたバンドだ。
これまた懐かしい!!

小椋佳、奈良橋陽子、タケカワユキヒデ、トランザム…。
フォーリーブスの曲だったのに、こうも懐かしい名前が次々と出てくるとは…。
いかにも、「遠い日」の自分に会えるような気がした。

40年以上前のEPレコードをゲットして、なんだかとてもノスタルジックな気持ちになった。
曲からも、ジャケットからも…。
あえて注文して手に入れて、よかったよ………。
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まさしくプロの仕事だった~「嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか」(鈴木忠平著;文藝春秋社)~

2022-02-23 19:43:57 | 読む
去年の秋から書店に並び、スポーツ好きの私が気になっていた本があった。
476ページもあって分厚いのに、よく売れていた。
その本の名前も、結構インパクトが強い。
その名も、「嫌われた監督」という。
副題に「落合博満は中日をどう変えたのか」とある。



内容は、かつてスポーツ新聞社の若き記者だった著者が中日を担当していたころ、落合博満が監督として着任する直前からその務めを終えるまでのことについて書いてある。

監督を務めた2004年~2011年の8シーズンを、シーズンごとに特定の人物を取り上げ、エピソードやその心情を掘り下げながら書くことによって、落合博満という監督のあり方や生き方を浮き彫りにしている。

落合監督時代の中日は、8年間にリーグ優勝4度、2位3度、3位1度。
しかも、2位の年にはクライマックスシリーズを勝ち抜いて日本シリーズに進み、そこで日本一になっている。
そのときは、8回まで完全試合を続けていた山井投手を9回に交代させた采配は、日本中を驚かせるとともに、非情だと物議を醸した。
これは、何年たっても語り草となっている。
そのエピソードを含め、記者はおろか、周囲のコーチや選手とも一線を画す落合監督。
自ら孤独に身を置きながらも、在任期間中の優勝回数も多く、8シーズンすべてAクラスの戦績だった。
そして、最後は、球団史上初の2年連続優勝であった。
落合監督は、在任中、プロ野球チームの監督であることに徹した。

それは、チームが勝ち続けるためにできることをすること。
選手やコーチのプロ意識を高め、力を最大限に引き出すこと。
そこに安易な同情は入れない、ダメなものはダメと徹底する。
プロなのだから、選手自身が自覚して努力する、その覚悟を形にして見せないと簡単に信用しない。

しかし、そのような信念を貫くのは非常に難しい。
人には、人からよく見られたいという思いがある。
だが、彼は貫いた。
まさしくプロの仕事と言えた。
チームを勝たせるために、落合はどんどん孤独になっていき、最後にはまだシーズン中の9月で2位に付けている状況の下で、球団からひと月後の契約満了を発表されてしまった。

ところが、落合退団の発表があった後、2位だったチームは15勝3敗2引き分けというすばらしい戦いぶりを見せ、中日は球団史上初の2年連続リーグ優勝を果たしたのである。
ここには、決して落合監督を慕っていたからがんばったというわけではないが、選手たちがプロ意識を高め、自分たちの意思でプレーの質を高めていったことが分かる。
選手たちは、落合監督の下で、プロ野球の強豪チームにふさわしい資質や力を備え、それを見事に発揮できるようになっていたのであった。


この本のもととなったのは、2020年の夏から2021年の春を迎えるころまで週刊文春に連載された文章である。
この連載がなされたこの時期は、「忖度」に見られる日本の政官関係のあり方に対して不信感の高まりが久しく続いている時期でもあった。
それは、現在でもそうだと言えるのだが…。


忖度や迎合、愛想などを一切捨てて、落合は監督の仕事に徹した。
その仕事ぶりは、反感を買ったり評価されなかったりもしたが、今の日本が忘れていそうな大事なものを示しているような気がするのである。

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ネコの日でございます

2022-02-22 19:46:59 | 生き方
今日は、ネコの日。
2月22日。
にゃんにゃんにゃんの日。
しかも、西暦で表すと、
2022年2月22日。
なんと、2が6つもそろうきわめて珍しい日だ。

6つもそろうのは、1222年2月22日以来ということになる。
そうはいっても、その頃は日本は西暦で年を数えたりはしなかっただろうし、もちろんネコの日なんてなかったし。

偶然にも、家で買ってあったペットボトルの飲み口の賞味期限が、ちょうどこの日。



すごいね、この一致。

ついでに、おつまみが皿に並べられて出てきたが…。


サラダにあったキュウリまでヒゲに付けて…。

にゃんこのできあがり!?



下の4つは、肉球4つという凝りようであった。



うちに今ネコは飼っていないけれど、埼玉の家にはよく寄って来る。



2か月会っていないけれど、あのネコたちは今も元気でいるだろうか?

そんなことを考えてしまうネコの日であった。

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北京五輪終わる ~「人が人として人を大切にする」がキーワードのオリンピックだった~

2022-02-21 22:05:04 | スポーツ
北京五輪が終わった。
東京五輪でもそうだったが、競い合うことによって、人間の限界に挑む姿をたくさん見ることができた。
試合後には、勝者も敗者もなく称えあう姿に、やはりスポーツはいいなあと思った。

今回の北京で、特に感じたのは、

人が人として人を大切にする

ということの大切さに、今までになく光が当たったオリンピックになった、ということだ。

そのことを感じたシーンや出来事を挙げてみる。

●開会式の聖火を灯すときに、ウイグル族関係の女性選手を起用したことは、本当は厳しい差別があるのに、中国政府が諸外国からの批判の目をそらすためだと言われた。
●スノボのハーフパイプで、超高度の技を決めた平野歩夢の得点が低く抑えられたことにブーイングが飛んだ。平野選手は、「選手は命がけでやっているのだから、採点の基準をしっかり定めてほしい」と、選手をもっと大切してほしいということを話していた。
○高得点を出して逆転優勝したその平野歩夢に、前王者ショーンホワイトがすぐに称えに行った。
○スノボビッグエアで、岩淵麗楽は逆転をねらった3回目でに大技のトリプルアンダーフリップにトライして転倒したが、高難度の技へ果敢に挑んだ姿勢ともう少しで成功だったというパフォーマンスに、他国の選手がコースへ出て称賛の抱擁に駆けつけた。
●ジャンプ混合団体で、日本の高梨選手はじめ強豪国の何人もが、今までとは違う測り方をされてスーツの規定違反で失格となった。
○その高梨選手を助けようとチームメンバーが温かく接し励ますとともに、2回目に日本は4位まで順位を上げ、3位に迫った。
○金メダルと銀メダル3個を獲得した高木美帆選手に、かつてコーチは、「同じ人間なのに、なぜはじめから自分はできないとあきらめるのか」と奮起を促したことが、今日につながった。
●12月のドーピングの結果が五輪期間中に陽性と出たのに、参加が認められた女子フィギュアのワリエワは非難の嵐にさらされ、フリーでは力を出せず失敗ばかりの演技になってしまった。
●フリーでミスを連発したワリエワに厳しい言葉を投げかけたコーチに批判が殺到した。
○男子フィギュアの羽生結弦選手が、フリーやエキシビションの演技後、何度も観衆等周囲の人たちに対して「ありがとうございました」という言葉を発していた。
○カーリング日本女子のロコソラーレのメンバーが、互いに声を掛け合ったりうまくいかなかった選手を慰めたりして、励まし合って戦う姿は、好感をよんだ。また、メダルはメンバーの一人一人が順々にかけていき、5人目の石崎選手にも同様にかけられた。
○メダルの有無に関係なく、多くの選手が、ここまでこれたのは自分を支えてくれたたくさんの人たちのおかげだと、試合後のインタビューで感謝を語っていた。

人種差別の問題、不可解なジャッジの問題、ドーピングの問題、コーチのパワハラの問題など、いずれも、人を大切にしていないがゆえに起こり、私たちの心に不快な思いを生じさせたのだった。

反対に、様々な姿が感動を呼んだが、私たちの心を強く動かしたのは、国や人種、民族が違っていても同じ人間が見せる姿のすばらしさだった。
そのすばらしさは高度な技ばかりはもちろんだが、選手たちの人間性からもたくさん感じられた。
いや、むしろ後者の方からより多く感じられたと言える。

なんだかんだといっても、すべて北京五輪が開催されたからこそのものだ。
パンデミックの中で、無事にオリンピックが終わったことに、関係したすべての人たちに心から感謝したい。

北京五輪、ありがとうございました!
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久々の夏の星空対決は、ドロー ~2022J2開幕 新潟はアウェイ仙台戦~

2022-02-20 18:04:09 | アルビレックス新潟

北京五輪のカーリング決勝に進出した日本代表ロコ・ソラーレ。
4年前の雪辱を期したイギリスに完敗であった。
でも、ここまで本当によくやったと思う。
チーム及び関係者の皆様、お疲れさまでした。

だが、それよりも勝敗が気になっていたのは、今日開幕戦を迎えたサッカーJ2リーグのアルビレックス新潟の試合。
いよいよ2022シーズンの開幕だ。
第1戦の相手は、J2に降格してきたベガルタ仙台。

地方都市の中でも大きい仙台と新潟。
よく似ているような気もする。
だいたいどちらも夏の天の川に関係した星に由来するチーム名だ。
「ベガルタ」だって、天の川をはさんで存在するベガ(織姫星)とアルタイル(彦星)の合体名という、夏に輝く星から名前が来ている。
アルビレックス新潟だって、夏の夜空、天の川の中に浮かぶ白鳥座の先端に輝いているアルビレオ星と王様を表す「レックス」の合体名だ。
さらに、新潟県も宮城県も、使う電力会社はどちらの県も東北電力なのである。

おっと脱線した。
その地方都市の代表格的なチーム同士の対戦。
両チームにとって、J1昇格は悲願だろう。
仙台とすれば1季でのJ1復帰は強い目標だろうし、J2暮らし5年目を迎えた新潟は昨年前半突っ走ったが最終的に6位だったから、悔しさが残っている。

対するに仙台は、何人か主力が入れ替わったとはいえ、個人の能力が高い選手が補強されたと聞く。
新潟は、主力がほとんど残留していたから、昨季をベースしてより精度を上げて強い戦いをしてほしい。
そのためには、仙台は、格好の相手だと思った。

試合前の懸念は、新潟が1月のCOVID-19感染症の感染で、10日間ほどチーム練習ができなかったこと。
おまけに、今週の積雪で新潟の練習場が使えなくなり、土の上での大切な練習時間が短くなってしまった。
これでは、体力強化や戦術の浸透、コンディション調整などに不利な部分があるのではないかと懸念した。

今日の先発は、
GK 小島
DF 藤原、舞行龍、千葉、堀米
MF 高、谷口、高木、伊藤、イッペイ・シノヅカ
FW 鈴木

ボランチを高1人にして、2列目を厚くした印象。
新戦力の伊藤とイッペイ・シノヅカを起用した。

立ち上がりから、新潟は、存分に攻めるサッカーを見せた。
この2年間で志向してきたつなぐサッカーが、「より攻撃的に!!」というチームスローガンに恥じないようなプレーを見せていた。
素早いパス回し、他の選手と連動した動きなど、完全に仙台を上回っていた。
チャンスは非常に多く作った。
守備でも、危ない場面はわずかしかなかった。

後半のアディショナルタイムでも、ほとんどが「新潟の時間」。
だが結局、0-0のドロー。
必死に守る仙台のゴールを割ることができなかったのは残念だった。

しかし、昨季までJ1にいた仙台を相手に回して互角以上の戦いができた。

DAZNによると、ボール支配率56%。
新潟のシュート数は18で、枠内シュートが11本。
コーナーキック数11。
完璧に主導権を握っていた。
だからこそ、勝ちたかった。
試合終了直後、芝生をたたいて勝てなかったことを悔しがるMF高の姿が印象的だった。
松橋新監督も、

しかし、短い準備期間だったし、調整も難しい条件の中で、「より攻撃的に!!」いくサッカーを見せてくれた。
個々のゴールをねらうシュートも多く見られた。

新戦力も、既存戦力も、頼りになりそうで楽しみだ。

ただ、途中けがで退場した鈴木、イッペイ・シノヅカ、舞行龍の状態が心配だ。
でも、全体の戦力が向上しているし、代わりの選手もいるから、心配しないことにする。

いよいよ始まった2022シーズン。
勝利のスタートではなかったけれども、またサッカーのある日常が帰ってきた。
ワクワクドキドキのシーズンの終わりに、大きな歓喜が待っていることを期待しよう。

今年こそ Visca Albirex !
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内容はよいけど、書名がちょっとね…~「妻のトリセツ」(黒川伊保子編著;講談社+α新書)を読んで~

2022-02-19 19:39:40 | 読む


「妻のトリセツ」(黒川伊保子編著;講談社+α新書)
この本が売れているからって、その当時、読む気は起こらなかった。
その原因は、書名にある。
「トリセツ」だなんて、まるで配偶者をモノとして扱っているみたいじゃないか。
人をモノのように扱うような表現の本は、なんだか人権を侵害しているような気がする。
だから、進んで読みたいとは思わないでいた。

それが、先日読んだ「平山征夫回顧録『終列車出発す!』しゃべっちょ古稀からの独り言…」(平山征夫著)の中に本書も出てきて、紹介されていた。
その内容に興味をひかれた。
これは一読の価値があるかもしれないと思って、読んでみることにした。

そのまえがきに、筆者の言いたいことの一端がうかがえた。

いつもイライラしている、口調がキツイ、いきなりキレる、急に怒り出す、何をしても怒られる…等々の言動を見せる妻の言動。
ほとんどの夫にはその“怒り”の本当の理由が分からない。
理由を聞き出し、解決策を提案しても、妻の機嫌をよくすることはできない。
それは、妻の望む夫の対応と、夫の提案する解決策が根本的にずれているから。
妻の怒りの理由は、今目の前で起きたことだけではなく、過去の関連記憶の総決算として起こる。

過去の関連記憶の総決算とはうまく言ったものだ。
だから、「つわりがひどくてふらふらだった私に、あなた何と言ったか覚えてる?」と、涙ながらに何度も妻は訴えたりする。
もう、そのつわりのときのおなかの子が30代になっているというのに。

かくのごとく、夫にとって訳がわからないトラブルが妻との間に生じ続け、我慢できなくなって離婚するケースも多い。
本書の編著者は女性だが、内容的には夫の立場に立って、「女性脳の仕組みを知って対策を立てよう」と、主張している。

妻とトラブルや言い争いが起こったときに、夫はその原因を突き止め、それに合った解決策を妻に提案するが、うまくいかないことが多い。
なぜかといえば、どんなにその提案が問題解決にふさわしいものであっても、夫にとって正論であっても、そのやり方が妻の心に合っていないから。

では、夫は具体的にどうしていけばいいのか、については読むほどに理解が進んでいくので、まあここでいろいろと書くのはやめておこう。
とても、「勉強になる」ことが多かった。

結論として、夫婦間といえども、いや夫婦であるがゆえに、なお人が人として生きていくうえで大切なことを、ちゃんとやっていければいいのだと思ったよ。
私自身の言葉で言えば、相手に対するリスペクトの心をもって、察したり、共感したりしながら生きていくことが、やはり大切なことなのだ。

そう思うと、やっぱりこの書名には反対だな。
「妻のトリセツ」…だもん。
リスペクトが感じられないじゃないか。
せっかくいいことがたくさん書いてあるのに、自ら消してしまうよなあ…。
もったいない。
コメント
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