直木賞受賞作,青山文平「つまをめとらば」は6本の短編集だが,オール読物3月号にはそのうち3本が選評とともに載っている.ちなみに受賞作が長編のときは,一部しか収録されないので,賞のためにこの雑誌を買うことはない.
一般に芥川賞に比べ直木賞受賞者は年配の方が多く,安心して読めるが,この度も例外ではないようだ.
3作しか読まないで大きなことは言えないが,男性2人の友情...というと聞こえがいいが,うだつが上がらない武士2人が慰め合い傷口をなめ合うところに,女性が絡むという構図が好きらしい.
中の一作「ひと夏」ではこの構図がちょっとひねってあって,男性のうちひとりは影が薄いのだが,時代ものらしい斬り合いがサービスされている.
表題作「つまをめとらば」に出てくる男性2人は隠居の身.ひとりの結婚生活は不運続き,もうひとりはこの齢で未婚というわけで,タイトルが期待させるようにロマンチックには運ばないのだが,読後感は良い.
主人公はどれも士農工商の「士」階級だが,この身分制度は,この作家によれば,結構ルーズなものだったらしい.工は登場しないが,農商にくらべ士は元気がない.
算学が3作中の2作に関係している.
雑誌の特集「3・11から5年」の中では,大谷博子「作家は震災とどう向き合ったか」が,3.11を描いた30余りの小説を紹介している.
一般に芥川賞に比べ直木賞受賞者は年配の方が多く,安心して読めるが,この度も例外ではないようだ.
3作しか読まないで大きなことは言えないが,男性2人の友情...というと聞こえがいいが,うだつが上がらない武士2人が慰め合い傷口をなめ合うところに,女性が絡むという構図が好きらしい.
中の一作「ひと夏」ではこの構図がちょっとひねってあって,男性のうちひとりは影が薄いのだが,時代ものらしい斬り合いがサービスされている.
表題作「つまをめとらば」に出てくる男性2人は隠居の身.ひとりの結婚生活は不運続き,もうひとりはこの齢で未婚というわけで,タイトルが期待させるようにロマンチックには運ばないのだが,読後感は良い.
主人公はどれも士農工商の「士」階級だが,この身分制度は,この作家によれば,結構ルーズなものだったらしい.工は登場しないが,農商にくらべ士は元気がない.
算学が3作中の2作に関係している.
雑誌の特集「3・11から5年」の中では,大谷博子「作家は震災とどう向き合ったか」が,3.11を描いた30余りの小説を紹介している.