Sixteen Tones

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文系廃止 ?「大学出版」より

2016-05-17 08:26:29 | エトセト等
「大学出版」は社団法人・大学出版部協会の季刊誌.2016年4月の「春」の特集は,「文系廃止?- 文科相通知騒動と国立大学改革のその後」だった.
紙媒体で送られてきたのだが,最新号も含めネットで閲覧できる.自分はこの話題に興味はあるのだが,この特集を的確に紹介する自信はないので,興味のある方は原文を参照してください.

内容はカットにご覧の通り.執筆陣 (以下敬称略) はみな文系.

本田(東大)「文科相通知騒動とは何だったのか?」は総括のようなもの.むしろ続く三つの論文?がおもしろい.寺脇のタイトルは率直に,また河野と足達はサブタイトルで,執筆者の立場を表している.この立場の違いはよくわかるのだが,河野と足達がメインタイトルで言わんとすること,「文化の成長と育成」と「社会的妖精の高い分野」は,あまり迫力がない.

理系・文系という分類とは別に,実学・虚学という分類が問題になっている.河野(一橋大)によれば,一橋大は商学という実学でスタートし,ここに法学や社会学が加わり,さらには人文科学よりの言語社会研究科が加わって,人文社会科学の総合大学へと発展した歴史がある.安倍内閣の方針はこの流れを逆転させ,虚学を排し,実学を旨とするかっての商科大学へと引き戻すことと捉えることもできる.

寺脇(京都造形芸術大)の,国立大学の文系廃止と聞いての第一感は,これは私学のチャンス! だったとのことだ (ただしその後の論理の展開はちょっと尻すぼみ).

足達(弘前大)の文章には,なぜ今更,文系廃止なんて騒ぐの? 地方大学では既定の路線と思っていましたよ...というぼやきが根底にあるようだ.これは広島大学でも同じことだろう.


以下は私見.

H26年10月の文科省有識者会議の「富山レポート」では,地方国立大は職業訓練校になるべし,例えば英文学部ではシェイクスピアと文学概論ではなく,観光英語を学ぶべしとしているのだそうだ(上記 足達論文).
観光英語はスマホでこと足りる時代が来つつあるのがわからないのだろうか.今やたいていの実学は不要になりつつある.囲碁将棋でヒトがコンピュータに負けるのだから,近い将来,ブルーカラーのみならずホワイトカラーもやることがなくなるだろう.ヒトに出来てコンピュータに出来ないのは「虚学」だけとなる?

高エネルギー物理学も何の役にも立たない点では「虚学」の典型である.KEK はその CM で「(高エネルギー物理学の) 研究成果や研究から生まれる先端技術は,イノベーションによる新しい価値創造を促進し,直接的・間接的に社会の発展に寄与しています」と謳っている.虚学が実学を牽引するというのだ.
もっとも政治家の評価は,ノーベル賞による国威高揚だろう.国威こそ「虚」そのものと思うが.
コメント
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