Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

E. サティ「スポーツと気晴らし」

2017-02-18 09:15:29 | 新音律

20世紀初頭に婦人雑誌者が水彩による風俗画集の一葉ずつにピアノ曲をそえるという企画を起てた.まずスクラヴィンスキーに話が入ったが,報酬が安すぎると折り合わなかった.次に声をかけられたのがサティだったが,この作曲家は報酬が高すぎる! とごねたらしい.

1987 年に全音楽譜から,このシャルル・マルタンの絵のカラー図版つきの楽譜が出版されたが,現在は絶版とのことである.
楽譜は手書きで,サティによる詩的な? 書き込みがあるのだそうだ.調号はなく(臨時記号は1音符単位に付けられる),小節線や終止線もない.

どなたか画集をお持ちの方は,演奏と絵画と楽譜を適当に編集し,Youtube にアップしていただけないだろうか.ただし著作権についての責任は持てません...



じつはこのオケ版の古い動画はあるのだが,今となっては画質が悪すぎる.おまけに楽譜がない.ナレーションは楽譜の書き込みらしい.
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西丸震哉「山小舎を造ろうヨ」

2017-02-17 09:17:02 | 読書

副題「少し人生を考え直したい人に」.中央公論社(1987/10).
1992/3 に中公文庫に入ったが,絶版らしい.

「自作の小屋で暮らそう」(以下,高村本という) と似たような本があったと,探し出したのがこれ.30 年前の自分は一所懸命働いていたはずが,実はこんな本を読んで妄想にふけっていたらしい.
0.5 畳の「最小単位」の小舎から始まって 6 坪 12 畳の電気を引いた小舎まで,プロが引き直した図面入り.5万分の1地図で小舎場探しのヒントとか,豪雪地・傾斜地の建て方なども書いてある.

高村本は実際に生活する家を造るのに対し,こちらは山小舎という遊び場を造るという違いがある.高村本は一軒の小屋について狭く深く掘り下げるのに対し,こちらはカタログ集的.高村本が DIY とか two-by-four とか (機材通達とか工法とか) にもくわしく言及しているが,こちらは間取り中心.

著者には「山小屋造った…ネコも来た! 」という本もあって,そちらが元になっているのかもしれない.でも経験せずに頭で考えただけのことも多いようだ.まぁ当時の自分のように,実際に小舎を建てる気がない読者には,文章がうまく絵がきれいなら,それでいいのだが.
41 歳寿命説,地球寒冷化説など,この著者の予言は全部外れたことを思うと,上から目線の文章もご愛嬌である.



ところでこのように,文章の上欄外には P100, P101 などと,テキストと対応する図を載せたページが書いてあって,とても便利.

☆☆★
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森林鉄道

2017-02-16 08:12:03 | お絵かき

CD ケースに内側からアクリル絵具.
学生時代に南アルプスで,延々と軌道を歩いた.鉄橋が怖かった.向こうから,この絵のようなのが来たらどうなっただろう.
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自作の小屋で暮らそう: Bライフの愉しみ

2017-02-15 09:02:01 | 読書
高村 友也,ちくま文庫(2017/2)

Amazon 内容(「BOOK」データベースより)*****
誰にも文句を言われず好きなだけ寝ていられる。時間を気にせず好きなことができる。10万円で小屋を作ってベーシックに暮らす(Bライフ)までの試行錯誤。雑木林に土地を買い、手工具で小屋を建て、水や電気、トイレ等の生活設備を整える。地元の人の反応や野生動物との出会いも。文庫化にあたり薪ストーブの楽しみについても追記。小屋ブームの一端を担った本。*****

ロビンソン・クルーソーでも主人公が生き生きするのは,ひとりで衣食住に工夫し苦労する場面だった.あれに通じるところがあるが,ソーラー発電し,コンピュータをネットに繋ぐあたりが 21 世紀的.郵便や住民登録などについても書いてある.

著者の経歴はブログによれば
東京大学理科二類→休学一年間@海外→東京大学文学部哲学科(古典)→慶應義塾大学院哲学科(科学哲学).
最後に「Bライフ再論」という章があり,みんながBライフしたらどうなる? などの考察があって,ここでは最も哲学的 ? だが,あまり面白くない.

ときどき土地の人との会話がコラムになっている.しかし家族はどう思っているのか,ガールフレンドはいないのか,たまには居酒屋で呑んだくれたりしないんだろうか...といった疑問にはいっさい答えない.そこには立ち入らない方針らしい.

解説の かとうちあき は野宿のプロだそうだ.

☆☆☆★
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安楽死の法制化

2017-02-14 09:17:27 | エトセト等
文藝春秋 vol95 no3 (2017) に「安楽死は是か否か」と言う特集.目玉は著名人 60 人へのアンケートがあり,3択の結果は
 A 安楽死に賛成 33
 B 尊厳死に限り賛成 20
 C 安楽死・尊厳死に反対 4
 選ばず 3
であった.

橋田壽賀子 (91)・鎌田實 (68) の対談では
橋田「死の選択は自分でしたいんですよ」
鎌田「賛成です.でも法制化には山があります」

先のアンケートの回答者の年齢を見ると,ほとんどが 80 代.何が言いたいかと言うと,歳を取れば安楽死・尊厳死を選択するということである.ところが法制化を決めるのは現役世代.彼らは死ぬことを頭で考えることはできても,感じることはできないから,真面目に考えない.自分のことを省みてもよくわかる.若い時は年寄りになるなんて思いもよらなかったものだ.
(50-60 代も含めて) 青二才の政治家たちに任せて埓があくはずがない.彼らも歳をとれば真面目に考えるだろうが,そのときはもはや権力を失っている.
選挙権年齢が下がる世の中に逆行するが,この安楽死・尊厳死の法制化という事案に限り,当事者すなわち高齢者に任せるというのは,いかがなものであろうか.
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怪しいオープンアクセス学術誌

2017-02-13 09:05:14 | 科学


定年退職してから十二支を一巡.ときどきはまだレフェリー依頼とか,ワークショップの論文募集とかが舞い込むが,先日 有名学術誌 (よく見りゃそれとよく似た名前の雑誌) のエディターから,レビューの依頼メールが来た.

この雑誌は何だろう.当たるべきは,"Scholarly Open Access" いわゆる "Beall's List of Predatory Publishers" というサイト,ここには怪しいオープンアクセス学術誌のブラックリストがあったはず...しかしアクセスしたら,中身は空であった.ちなみに Beall はコロラド大の Jeffrey Beall 氏.perdatory は weblio によれば,「生物を捕らえて食う、捕食性の、略奪する、略奪を目的とする、(自分の利益・性的目的で)人を食いものにする」という意味がある.

このサイトが閉じられたのは1月中旬らしく,ネットにはその経緯について憶測が飛び交っている.例えば
Why did Beall’s List of potential predatory publishers go dark?
mystery-controversial-list-predatory-publishers-disappears
など.ブラックリストに載せられた側からの圧力が臭う.

とりあえずの目的は,メール元の雑誌について知ることなので,そちらでググったら,Academia Stack Exchange に同じ疑問を投稿した人がいた.それに対する回答にはやはり Beall's List が登場していた.

XXX Journals was listed as a predatory publisher on the now-defunct Beall's List of Predatory Publishers. Looking at the description, "all disciplines of physics, with a focus on new research" [what research isn't new?] it doesn't seem like this new journal is filling any niche.
Looking at their archives, the journal has published a total of two articles since 2015 (both in 2015). Neither full text appears to be available anywhere. I would run the other way, and quickly.

ところで,言われた通りにレビューを書くとどうなるんだろう.次には掲載料を払え,と来るんだろうか.
依頼されたレビューのテーマは退職後日本の学会の欧文誌 JJAP に書いたこと.先方の情報収集法にも興味がある.
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第156回芥川賞受賞作「しんせかい」

2017-02-12 08:29:17 | 読書
山下澄人著.文藝春秋 2017 年 3 月号.
倉本聰の富良野塾の塾生の立場からの一人称小説.倉本聰なんて知らないよ,という僕のような人には,ふつうの男の子のふつうの日記みたい.少しばかりの幻想場面もあったが,ちっともおもしろくなかった.そもそも自分は,先生 (=倉本聰) がひとりでやっている塾なんかを信用したくないのだと思う.

でも,たいていの芥川賞受賞作は途中で嫌に成るところだが,なんとなく最後まで読んでしまった.

審査員たちの選評も一様に微妙.
中では川上弘美の
「平凡で覚えにくい名字の人達が十人以上でてくるが,そのひとたちを,ちゃんと区別できた,というあたりに,この小説のひみつがあるのかもしれないと,今は睨んでいる」
という台詞になんとなく納得した.
ときどき巻頭の登場人物リストと首っ引きで読まないと分からなく成るミステリがある.山下さんがミステリを書いたら,そんなことにはならないかも.

この文春では大特集「安楽死は是か否か」が,自分にとって切実な問題でもあり,おもしろかった.
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ルーフォック・オルメスの冒険

2017-02-11 09:05:14 | 読書
カミ, 高野 優 訳,創元推理文庫(2016/5).

Amazon の内容紹介*****
オルメスはホームズのフランス語読み。ルーフォックは「頭のおかしい」とか「いかれた」の意味。ホームズのパロディと言うには、ぶっ飛びすぎの、とんでもユーモア・ミステリ・コント集。34編の掌編を集めたもの。たとえば、寝ている間に自分の骸骨を盗まれてしまった男の話、とか、巨大なインク壺のなかに閉じ込められた男たちの話とか……「アホカ! 」というような掌編ばかり。ミステリ・マニアとしては、読んでおくべき奇書の一冊。*****

訳者があとがきで落語の「頭山」「粗忽長屋」を例に引いているが,その通り.
全部戯曲スタイル.
二部構成で第二部は「怪人スペクトラと闘う」である.
ミステリではない!
アルセーヌ・リュパンものでもホームズをからかっているが,フランス人はホームズを馬鹿にするのがお好きだ.

原文はまた,洒落と地口の連続らしい.
例えば「聖ニャンコラン通りの悲劇」.フランス語で猫をニャンコというとは思えないが,原題はなんだったんだろう.被害者が「怪我らしい!」と言った,「毛皮らしい!」だ,「毛がやらしい!」だ,いや「卦が嵐だ!」といった証言が連発されるが.原文は?
最後は「かーぜもないのな ぶーらぶら」で終わる.翻訳ご苦労様でした.

一つ二つ読むのはいいが,続けざまに読むのはどうも

カバー絵も原著者.「エッフェル塔の潜水夫」という長編の翻訳を全集本で読んだことがある.内容はよく覚えていないが,もっとちゃんとした小説だった.

☆☆
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牡蠣の唐揚げ 旨し!

2017-02-10 07:29:51 | エトセト等
昨日買った安売りの牡蠣をどうしようか,なるべく簡単なレシピは? とウェブで探してたどり着いたのが,http://www9.nhk.or.jp/gatten/articles/20160210/index.html

写真はこのページから拝借.以下の「」内の文言も拝借したもの.

「鍋に水と塩を入れ、沸騰させる.沸騰した湯で(牡蠣を)8分間加熱する.」
5分くらいでいいことにした.

「牡蠣を取り出し、よく水分をふきとり、コショウで味をつける.かたくり粉をヒダの中までまんべんなくつける.」
こうするとヒダはカリッと揚がる.なおかつ,牡蠣本体はジューシー.

「200℃の油で1分揚げたら、取り出して3分間放置する.油はねにご注意下さい.」
200℃と言われてもわからないが,油から煙が出てきたあたりでいいことにした.
猛烈な油はねで周辺がべちょべちょになってしまった.

「200℃の油で再度1分揚げる.」
2度揚げが秘訣らしい.

大成功.
レモンが欲しかった.
今度は他人が作ってくれたのを食べたい.
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東大助手物語

2017-02-09 08:56:34 | 読書
中島 義道,,新潮社 (2014/11).

図書館本.ワイドショーみたいに面白く,J 子が先に読了.

表紙は安田講堂ではなく,駒場一号館.
内容はひたすら東大駒場での,教授の助手に対するパワハラ.悪役・糟谷教授のモデルは谷嶋喬四郎 (1929- ) という人で,Wiki でみたところまだご存命である.東大駒場騒動の主犯でもあるらしいが,この本には触れられていない.

自分の奥さんの悪口を結構書いたくせに,最後は教授夫妻という共通の敵に,助手夫妻が結束するという構図になるのがおかしい.

助手を助教授として転出させることは教授の一存.しかし任期は名目で,助手は特に大学に行かなくてもいいらしい.それなら転出しなくてもいいと思うが,転出させないと教授が無能とされるという,特殊な世界のおはなし.
理工系は任期切れを前にすれば,知人友人を当たり,国内外の公募を当たり,異分野に行くことも考える (それでもうまく行かないことが多い).しかし哲学界はコップくらい小さく,その中での嵐とし見えないから,感情移入は不可能.教授も助手もどっちもどっちという,冷ややかな読み方しかできなかった.

さんざいじわるされたあげく,助手夫人が1万円のハムを送ると私大助教授に内定.直後に教授邸の庭の芝生をかれと言われる.助手夫人は,これは金を要求しているのに違いない,50 万円ぶんくらい贈賄しようと提案.しかし教授夫妻のために超一流ホテルを予約したところで助手が翻意し,一連の顛末を学科長にいいつけて,最後は助手側の勝利で落着.

学術的な業績は知らないが,著者は大衆書を多数著して印税を稼いでいる.これに対し谷嶋東大名誉教授はほとんど忘れ去られているようだ.

☆☆★
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