路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【日本体操協会】:パワハラ騒動 塚原夫妻“全面降伏”の裏側と協会の本音

2018-09-03 15:25:40 | 【ハラスメント「セクハラ、パワハラ、モラハラ、アカハラ、ドクハラ、シルハラ...

【日本体操協会】:パワハラ騒動 塚原夫妻“全面降伏”の裏側と協会の本音

 『漂流日本の羅針盤』:【日本体操協会】:パワハラ騒動 塚原夫妻“全面降伏”の裏側と協会の本音

 2日の19時すぎ、報道各社に突然、日本体操協会の塚原千恵子女子強化本部長(71)と夫の光男副会長(70)からFAXが送信された。

(左から)具志堅副会長、塚原光男副会長、塚原千恵子強化本部長(C)日刊ゲンダイ

 (左から)具志堅副会長、塚原光男副会長、塚原千恵子強化本部長(C)日刊ゲンダイ

 【宮川紗江選手に対する謝罪】

 そう題されたFAXは2人の直筆の署名入り。文書は冒頭から<前回の私たちのプレスリリースにより、(中略)さらに宮川紗江選手を傷つけ、誤解を与え、恐怖心を抱かせ、不信感、不快感を与えてしまったのであれば、全ては私たちの責任であり、本当に申し訳なく思っております>と平身低頭、パワハラ被害を訴える18歳の宮川に対する謝罪と後悔の文字が並んでいた。

 先月29日に告発されて以降、光男副会長は「全部、ウソ!」と会見での宮川の主張を切り捨て、千恵子本部長は「もう黙ってないわよ。お金を使ってでも、勝てるところまでやる」と徹底抗戦の構えを見せ、スポーツ紙にも「反撃」「反論」の文字が躍った。それがこの日の文書では百八十度態度を翻し、<信じて頂けないかもしれませんが、私たちには、そういった意図は一切ございません>と釈明、宮川に対して<直接謝罪をさせて頂きたいと考えております>と“全面降伏”したのである。

  一連の騒動では、五輪メダリストやOB、OGの多くが、宮川の擁護に回り、反塚原の態度を鮮明にした。

 夫妻が牛耳っていたはずの体操協会も第三者委員会の設置を決め、徹底的に調査して膿を出すとした。

 「窮地に立たされて振り返って見れば、周りは敵だらけ。自分たちが『裸の王様』だったと思い知らされたのでしょう。第三者委員会は利害関係のない弁護士を含む3人程度で構成され、協会は設置から2週間程度で結論を求めるとしています。当初、協会は『宮川から正式な訴えがあれば考える』と調査には消極的だったのが一転した。その理由のひとつは、10月末にカタールのドーハで行われる世界選手権が控えていること。そんな大事な時期に女子体操の強化部門トップである塚原夫妻にパワハラの疑惑が持ち上がり、代表候補選手に動揺が走っているからです。協会は一日でも早く事態の鎮静化を図りたい」(協会関係者)

 ■国際体操連盟会長がIOC委員に

 10月にはもうひとつ、体操界にとって大きな出来事がある。日本体操協会の顧問で国際体操連盟のトップに座る渡辺守成会長(59)が、国際オリンピック委員会(IOC)の総会でIOC委員に推薦されることが決まっているのである。

 長くアマチュアスポーツを取材している元産経新聞運動部長の津田俊樹氏(国士舘大政経学部非常勤講師)が言う。

 「現在、五輪競技の国際連盟でトップに立っている日本人は、体操の渡辺会長ただ1人です。2016年の会長選で次点に80票以上の大差をつけて当選。日本人が国際競技団体の会長に就くのは1994年まで国際卓球連盟会長を務めた荻村伊智朗氏以来、22年ぶりのことだけにメディアにも快挙と報じられました。その渡辺会長が10月のIOC総会でIOC委員に選出されることがすでに内定しています。日本人のIOC委員は現在、竹田恒和JOC(日本オリンピック委員会)会長のみ。渡辺会長が2人目となれば、当然、世界における日本体操の発言力が増す。そういうときに、お膝元の日本協会でパワハラ騒動が持ち上がった。渡辺会長にとっても体操協会にとっても、好ましいことでないのは確かです」

 第三者委員会からどのような調査結果が出るかはともかく、塚原夫妻、特に「女帝」と畏怖される千恵子本部長の存在はかねて、協会内でも問題になっていた。40年以上も女子体操の強化現場に身を置いてきたことで、権力が集中。周りの忖度もあって、大きな影響力を保持するようになった。仮に宮川へのパワハラが事実認定されなくても、あまりに強大になったその存在自体が今回の騒動を引き起こしたのは事実だろう。これを機に塚原夫妻を駆逐したい――これが協会の本音だともっぱらだ。

 体操関係者が言う。

 「協会の具志堅(幸司=61)副会長もそうだと思う。具志堅副会長と塚原夫妻の間には派閥問題が横たわっている。3人は日体大の先輩後輩の関係ですが、塚原夫妻はこれまで日体大を目の敵にしてきた。光男副会長は日体大在学中にメキシコ五輪に出場し、団体総合で金メダルを獲得。卒業後にミュンヘン、モントリオール五輪でも金メダルを取りながら、日体大の指導者には同期の監物(永三)さんが就いた。日体大には捨てられたという思いがあるのです。夫妻は朝日生命体操クラブの指導者に転じ、全日本選手権団体女子の優勝を争って日体大と火花を散らすようになった。10歳下の具志堅副会長は今や日体大の学長です。塚原夫妻との関係がうまくいくわけがありません」

 具志堅副会長が、宮川の告発内容を「全部、ウソ!」と切り捨てた光男副会長に「言うべきじゃない言葉だった」と不快感を示し、「18歳の少女がウソをつくとは思えない」と宮川の肩を持ったのは、あるいはこの派閥問題が関係しているのかもしれない。

 IOC委員に内定している国際体操連盟の渡辺会長の立場を含め、日本体操界にとって塚原夫妻の存在が邪魔になっているのは間違いないようだ。

 元稿:日刊ゲンダイ 主要ニュース スポーツ 【エトセトラ・体操女子】  2018年09月03日  15:25:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【自民党総裁選】:参院竹下派の三原じゅん子氏が安倍首相支持

2018-09-03 13:05:30 | 【政党・自民・立憲・維新の会・公明・国民民主・共産・社民・れいわ・地域政党他】

【自民党総裁選】:参院竹下派の三原じゅん子氏が安倍首相支持

 『漂流日本の羅針盤』:【自民党総裁選】:参院竹下派の三原じゅん子氏が安倍首相支持 

 自民党の三原じゅん子参院議員が、党総裁選(9月7日告示、20日投開票)で、安倍晋三首相を支持することが3日、分かった。

参院竹下派の三原じゅん子氏が安倍首相支持
三原じゅん子参院議員(2017年1月撮影)

 三原氏は、石破茂元幹事長の支持を決めた参院竹下派(21人)に所属しているが、3日午後、都内で開かれた首相陣営の総決起大会に出席した。

 参院竹下派による石破氏への支持が、決して「一枚岩」ではないことになる。

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・自民党総裁選】  2018年09月03日  13:05:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【HUNTER】:安倍政権に落とし穴 最低賃金引き上げの功罪

2018-09-03 07:50:30 | 【雇用・正規、非正規・パート・賃上げ・失業率・求人・労働組合・労働貴族の連合】

【HUNTER】:安倍政権に落とし穴 最低賃金引き上げの功罪

 『漂流日本の羅針盤』:【HUNTER】:安倍政権に落とし穴 最低賃金引き上げの功罪

安倍4.png 安倍政権の長期化に伴い顕著となっているのが、若者の保守化。20代は特に自民党支持が多い。調査統計を見ると2012年の第46回総選挙を機に、衆院選でも参院選でも若い世代で自民党に投票した者の割合が高まっているのが分かる。
 数字だけ見ると経済は好調で、内定率も高卒・大卒ともに上昇、初任給も増加を続けている。若者にとっては、政権与党の業績はモリ・カケのような「スキャンダル」があったとしても、アベノミクスに代わる説得力のある経済政策を提示できない、ゴタゴタ続きの野党に乗り換える必要性がないのだろう。それでは、安倍政権に落とし穴はないのか。

 ■「最低賃金」3年連続の引き上げだが……
 厚生労働省の「国民生活基礎調査」によると、最低限の生活の維持に必要な収入を表す貧困線は2012年の段階で122万円、相対的貧困率(貧困線に満たない世帯員の割合)は16.1%と、年々上昇している。ただ、この調査の数字はあくまで納税者のデータから割り出したもので、実際には納税対象にもならないわずかな稼ぎで生きている人びとが存在する。そのうちの少なからずが、女性の場合はセックスワーク(売春や性風俗産業)、男性はさまざまな「裏稼業」の世界に埋没する実態がある。

 貧困の実情を見ると、最下層のセックスワーカーたちは、そのほとんどが虐待などの悲惨な生い立ちを抱えている。親の暴力や育児放棄が酷く、少女時代に家出をした子もたくさんいる。そして、援助交際デリバリー組織などに捕捉され、毎日のように売春を続け、少しお金ができたころに身体やメンタルを壊して失踪する。食えなくなるとまた同じ売春の場に戻ってくる。そうした悪循環に組み込まれ、身も心もボロボロになっているのが実態だ。出会い系サイトで売春をするシングルマザーたちも、救いの光がどこにあるのかわからない「どん底の貧困」状態となっている。

 そんな中、政府は貧困問題解決を目指して、「最低賃金の引き上げ」を3年連続で引き上げ、上げ幅を3%増とする決定を行った。全国平均の最低時給は874円。東京では958円と1,000円まであと一息の水準となる。国内では市民団体が「最低時給1,000円へ」と運動を広げて要望を繰り返しているが、これで景気が良くなるのか疑問を示す現象が隣の韓国で起こっている。

 ■韓国の実情
 韓国では最低賃金委員会が、2019年の最低賃金を前年比10.9%増の8,350ウォン(約830円)とすることを決めた。18年は16.4%と大幅に上昇し、中小企業や零細業者は19年の引き上げ凍結を求めてきたことから反発が起きている。

 文在寅政権は雇用重視を唱えて、最低賃金の引き上げや残業時間の短縮などの政策を打ち出したが、現状を見ると、最低賃金の引き上げや残業時間の短縮によって、経営側のコストが膨大なものになったため、新たに人を雇うことを抑制するという現象が起きている。最も割を食うのが、韓国の若年層だ。若年層の失業率は、前年同月比で9.3%と上昇している。全体の失業率は3.7%で、前年同月比では0.3%悪化した。

 7月1日に法定労働時間が1週68時間から52時間に削減されて以来、多くの企業が従業員を増やすよりも終業時間を早めている。造船大手の現代重工業、小売り大手のロッテショッピングや新世界百貨店などは、社員の残業を防ぐため午後5時半にコンピューターの電源を切るようになった。賃金コスト上昇のため、韓国では多くの店舗が閉店時間を午前0時から午後11時に早めている。

《最低賃金引き上げの余波…猛暑でもエアコン使えないコンビニ》――韓国紙、朝鮮日報(日本語版)は先月18日、こんな見出しの記事を報じた。

 記事によると、ソウル市内のコンビニでは18日、最高気温が34度にもかかわらず、扇風機が2台回っているだけだった。店のオーナーは「最低賃金が引き上げられ、人件費が高騰しているため、せめて冷房代だけでも節約しようとエアコンを切っている」と話したという

 韓国では現在、若者の4人に1人が失業状態となっており、急激な賃金上昇が理由と見られている。韓国統計庁によれば最低賃金が7,530ウォン(約744円)になった今年1月、販売従事者など熟練した技術を要しない未熟練労働者の働き口は前年同月比10万人以上減少した。IMFは、「韓国政府は最低賃金の追加引き上げに慎重を期さなければならない。韓国の国家競争力を弱体化につなげる恐れがある」と警告している。

 ■「有効求人倍率」の実態
 日本でも最低賃金の引き上げには、中小企業経営者から強い反発が出るのが普通だ。そうした中小企業経営者が支持母体のひとつである自民党が、最低賃金を毎年引き上げられるのはなぜか。人手不足が深刻化して、実際の時給がそれ以上に上昇しているからで、時給を引き上げても、なかなか人が集まらないというのが大都市圏の実情なのだ。

 厚生労働省が9月末に発表した8月の有効求人倍率は1.52倍と高水準が続いている。全都道府県で有効求人倍率は1倍を超え、6月以降は正社員の有効求人倍率も1倍を超えた。中でも有効求人倍率が高い業種、つまり人手不足が深刻な業種は、建設(4.02倍)、サービス(3.28倍)、輸送(2.30倍)、販売(2.04倍)などだ。サービス産業の中でも「介護サービス」は3.63倍、「接客・給仕」が3.92倍などと高くなっている。

 こうした有効求人倍率が飛び抜けて高い業種は、「生産性」が低い業種と重なっている。もともと給与水準が低く、なかなか人が集まらない、定着率の悪い業種ということだ。いわゆる3K(キツイ、キタナイ、キケン)職場が敬遠されているわけで、労働時間も不規則で長時間のケースが多い職業だ。

 一方で「一般事務」の有効求人倍率は0.34倍に過ぎない。勤務時間がはっきりしており、比較的待遇も良い。こうした仕事を求めている人が多いが、企業からの求人は少ない。つまり定着率が高く、なかなか人が辞めないので空きが出ないのが現実だ。

 最低賃金の急激な引き上げは貧困問題への対応策としてどの程度有効なのか?この問いに対して、就業構造基本調査の個別データを基に分析、検証を行った結果がある。最低賃金で働いていると考えられる労働者の約半数は、年収が500万円以上の中所得世帯の世帯員、つまりパートタイムで働く主婦やアルバイトをしている子供であることから、貧困世帯の世帯主に対する経済的な支援という本来の目的への効果は期待通りとはいい難いという。さらに、最低賃金の引き上げによって、10代の男性や既婚中年女性の雇用が失われる可能性が高いことも明らかになった。

 例えば、最低賃金が上がると、企業が「安い賃金で労働者を雇うことができない」という事実を認識するので、「それならば省力化投資をしよう」という決断ができる。つまり、「自動食器洗い機を買いたいが、安いアルバイトが見つかるかもしれないから、今少しアルバイトを探してみよう」と考えていた企業が、諦めて機械を買うことにすればアルバイトの募集をしなくなるという現象が起きるのだ。

 ■安易な最低賃金引き上げは「ばらまき政策」
 貧困層の拡大が続くと社会が不安定化し、財政のさらなる悪化を招くこととなる。安倍政権は今までも「プレミアム商品券」など「ばらまき政策」を続けてきた。日本の財政は先進国中最悪となっているにもかかわらず、来年度の予算は100兆円を超える見込みだ。その中でとなる。

 安定しているように見える政権も、小手先の貧困対策や甘い言葉でポピュリズム(大衆迎合主義)を繰り返していると、AIの発達が進むこれからの時代に、外国人やロボットに負けて「貧乏国」に突き落とされる危険性が高い。落とし穴は、やはりある。

 元稿:HUNTER 主要ニュース 政治・社会 【社会ニュース】  2018年09月03日  07:50:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【 直撃インタビュー】:作家・原田伊織氏 西郷隆盛は粘着質のテロリストでした

2018-09-03 07:15:50 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【 注目の人 直撃インタビュー】:作家・原田伊織氏 西郷隆盛は粘着質のテロリストでした

 『漂流日本の羅針盤』:【 注目の人 直撃インタビュー】:作家・原田伊織氏 西郷隆盛は粘着質のテロリストでした

 NHK大河ドラマ「西郷どん」が薩長同盟まで進んだ。西郷隆盛が明治維新のために奔走する姿は痛快でもある。そんな折、「虚像の西郷隆盛 虚構の明治150年」(講談社)という本が話題になっている。同書によると西郷の実像は現代人がドラマなどで接している西郷像と正反対で、粘着質で非情な性格だったという。西郷とは何者なのか、なぜ「大西郷」のイメージがつくられたのか。著者に語ってもらった。

作家・歴史評論家の原田伊織氏(C)日刊ゲンダイ

    作家・歴史評論家の原田伊織氏(C)日刊ゲンダイ

 ■財務省もビックリの公文書偽造

  ――上野公園の銅像などから、西郷隆盛は体と目が大きくて他人に対して寛容。何事にも正々堂々と向き合った人物との印象を受けます。実際はどんな性格だったのですか。

 彼の特徴的な性格は大きくは2点。1つは何事も腕力で解決したがる武断派であること。もう1つは粘着質です。粘着質とは思い込みが強いと言い換えてもいいでしょう。西郷は一度他人を嫌いになったら死ぬまで嫌い続けました。いい例が主君・島津斉彬が死去したあと国父となった久光への態度です。実質的な藩主に向かって「地ごろ」という侮蔑の言葉を吐きかけて怒りを買い、結果的に2度目の島流しを受けています。西郷は自分の主は斉彬しかないという思いが強く、その反動として久光に反感を抱いた。職場の同僚や上司とうまく人間関係を構築できないタイプだったのです。

 ――武断派とは。

 マキャベリストという言葉があります。目的のためには手段を選ばない人をいうのですが、西郷はまさにそれ。何事も暴力で解決しようとする危険な人物でした。たとえば、徳川慶喜が大政奉還を果たし、朝廷側が王政復古の大号令を発したあとに行われた小御所会議。この会議で土佐藩の山内容堂が慶喜を出席させなかった岩倉具視を批判します。西郷は慶喜の命を奪いたいとさえ思っていたため、正論を主張する容堂が目障りで仕方ない。そこで西郷は「短刀一本あれば片が付く」と発言します。「ガタガタ言うなら刺せばいい」という意味のこの言葉が人づてに容堂に伝わり、容堂はひるんだ。その結果、慶喜の官位と領地を没収することが反対なしで決まりました。西郷は万事暴力で解決しようとする武断派であり、テロリストだったと言えます。

  ――なぜ、こんな性格になったのでしょうか。

 福沢諭吉は西郷の一面を評価しましたが、「西郷の罪は不学にある」とも言っています。学問を積んでいないのです。だから緻密に考える頭脳がなく、話し合いが苦手。考えの異なる人ときちんと議論できず、何事も暴力でぶっ潰せばいいと考える。彼が徳川幕府を倒すという目標ばかりに目を奪われたのは不学による暴力性があったからだと考えられます。これが長州にとっては都合がよかった。

  ――西郷のこうした暴力性は昭和初期の軍人を思わせるものがあります。

 そのとおりです。昭和11(1936)年の「二・二六事件」では青年将校ら約1500人が首相官邸などを占拠し、高橋是清ら要人を殺害しました。彼らは西郷のように「問答無用!」と暴挙に走った。西郷と長州が残した野蛮な成功体験を受け継いだのです。この二・二六事件のあと、軍部はさらに「問答無用!」の性向を強めて国民を巻き込み、太平洋戦争に突入した。西郷は戊辰戦争に突っ込んでいきました。

銅像では寛容に見えるが…(C)日刊ゲンダイ

      銅像では寛容に見えるが…(C)日刊ゲンダイ

 ◆放火、強姦、強殺の「薩摩御用盗」を操る

 ――西郷は暴力のほかにはかりごとも好きでした。

 慶応3(1867)年10月、慶喜が大政奉還を上奏しました。これに西郷らは焦ります。慶喜に政治権力を放棄されたら、徳川幕府を倒す口実がなくなるからです。そこで慌てて「討幕の密勅」を天皇の名で薩摩藩と長州藩に向けて出します。実はこれは下級公家の岩倉具視や西郷・大久保利通が偽造したニセの密勅でした。まさに目的のためには手段を選ばない西郷らしいやり口。今年になって財務省による公文書改ざん問題が物議をかもしましたが、西郷らの行為はもっとひどい。天皇の命令を捏造したのだから、史上最悪の改ざん事件です。

  ――いわゆる「御用盗」もはかりごとでした。

 西郷には、いわゆる「公武合体」という考えは毛頭なく、ただ武力討幕のみを目指した。戦争を起こしたくて仕方なかったのです。幕府側はそうした西郷らの意図を読んでいて、慎重な態度を通しました。焦った西郷は挑発行為に出ます。岩倉の了承を得て「赤報隊」というテロ部隊を組織。隊長の相楽総三に江戸市中で放火、略奪、強姦、強殺を実行するよう命じます。今より倫理観が強かった江戸社会において最も罪の重かった蛮行で、このテロ集団を江戸の市民は「薩摩御用盗」と呼んで恐れました。赤報隊の大半は金で買われた無頼の徒で、総勢500人まで膨らんだとされます。

 ――赤報隊のテロに対して我慢の限界にきた、江戸を守護していた庄内藩は三田の薩摩藩邸を攻撃しました。

 西郷は「手を打って喜んだ」といわれます。この攻撃を口実に翌慶応4年1月に鳥羽伏見の戦いが始まり、戊辰戦争が勃発します。西郷が正々堂々とした人物というのは、それこそ現代人の思い込み。目的のためなら殺人や強姦も辞さないテロリストとしか言いようがありません。この戊辰戦争で西郷らは徳川政権を滅ぼし、明治維新が成立したわけですが、その一番の功労者が無法者集団の赤報隊という厳然とした史実が残りました。

 ■日米の不平等は今の方が深刻

 ――その「赤報隊」も西郷に殺されました。

 相楽以下の赤報隊は西郷の許可を得て、あちこちで「新政府になったら年貢が半減されるぞ」と宣伝し、農民の共感を集めました。ところが西郷はこの年貢半減を取り消し、赤報隊を「偽官軍」として追討したのです。年貢半減は相楽たちが勝手に触れ回ったものというのが西郷の言い分。相楽たち赤報隊は下諏訪と桑名で処刑されました。要するに相楽たちは利用されただけ。西郷にしてみれば、最初から赤報隊を使い捨てにする腹づもりでした。西郷という男はこうした非情なことを平然とやってのける神経を持っていたのです。

 ――こんな暴力的で非情な西郷がなぜ、「西郷さん」と尊敬されるようになったのでしょう。

 明治新政府が庶民にあまりにも人気がなかったからです。国民は新政府に反感を抱き、その反動として政府に歯向かって西南戦争で戦死した西郷の人気が高まった。賊軍に拍手を送ったわけです。当時、できたばかりの東京日日新聞などが西南戦争で従軍取材を行い、それらの情報をもとに西郷をヒーローとして描いた錦絵が爆発的に売れた。中身は嘘八百で一種のエンターテインメント。しまいには、夜空に「西郷星」が現れたとまで書いた。実は大接近した火星にすぎないのに、庶民は西郷が星となって現れたと信じたのです。

  ――明治新政府もイメージ戦略をしたと聞きます。

 黒船来航で幕府がオロオロし、ペリーに不平等な日米修好通商条約を押し付けられて、言われるままに署名したという先入観を国民に植え付けたのです。しかし実は日本側は最高35%の関税を課すことで米国側に合意させた。また、これに先立つ日米和親条約では、米国側の恫喝に屈せず、治外法権を断固として認めませんでした。徳川幕府にはこうした有能で肚のある外交官がそろっていたのですが、ほとんど知られていません。明治以降の政府が隠蔽したからです。

 ――現在の日本とは大違いです。

 政権の隠蔽体質だけは全く同じです。いまの日本は米軍が居座り、日米地位協定を盾に好き放題されている。米軍機が事故を起こしても日本は警察権すら行使できない。米軍の無線局は日本の電波法の適用外。米軍は出入国管理法の適用を受けないので、国内に何人の兵士が在住しているかを日本側は全く把握できない。米軍関係者は高速道路を走るときに料金を払わなくていい。だから観光旅行で高速を走るときもタダです。そもそもJALもANAも日本の領空でも米軍の認めたルートしか飛べない。もし幕末の徳川官僚であれば、このような不平等条約に、毅然とした態度で「ノー」を突きつけたはずです。明治150年の今日、西郷神話の虚偽と、幕末の外交交渉の中身をきちんと検証するべきだと思います。

(聞き手=本紙・森田健司)

 ▽はらだ・いおり 1946年京都生まれ。大阪外国語大卒業後、広告代理店に勤務。広告企画やテレビ番組制作に携わる。2005年、「夏が逝く瞬間」(河出書房新社)で作家デビュー。「明治維新という過ち 日本を滅ぼした吉田松陰と長州テロリスト」(講談社)が歴史書としては異例の大ヒットとなった。ほかに「大西郷という虚像」(悟空出版)、「三流の維新 一流の江戸」(ダイヤモンド社)など著書多数。

 元稿:日刊ゲンダイ 主要ニュース 政治・経済 【政治ニュース】  2018年09月03日  07:15:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【台風21号】:4日に西日本上陸か 暴風雨に警戒

2018-09-03 01:36:30 | 【災害・地震・津波・台風・竜巻・噴火・落雷・豪雪・大雪・暴風・土石流・気象状況】

【台風21号】:4日に西日本上陸か 暴風雨に警戒

 『漂流日本の羅針盤』:【台風21号】:4日に西日本上陸か 暴風雨に警戒

 非常に強い台風21号は2日、日本の南の海上で北上を続けた。西日本の太平洋側では台風接近前の3日午後から雨が強まり、4日は勢力を保ったまま西日本か東海に上陸しそうだ。気象庁は暴風雨や高波への厳重な警戒を求めた。

 台風21号の予想進路(2日18時現在)

 台風21号の予想進路(2日18時現在)

 気象庁によると、4日は台風が速度を速めながら北上するため、接近に伴って急に風雨が強まる。上陸後は日本海に抜ける見通しで、5日は北日本も大荒れになる可能性がある。

 4日夕までの24時間予想雨量はいずれも多い所で、四国と東海300~400ミリ、近畿200~300ミリ、九州南部100~200ミリ、九州北部100~150ミリ。(共同)

 元稿:東京新聞社 主要ニュース 社会 【災害・台風】  2018年09月03日  01:36:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【HUNTER】:安倍政治の詐術 ― 「プレミアムフライデー」と「キッズウィーク」

2018-09-03 00:10:50 | 【事件・未解決・犯罪・疑惑・詐欺・闇バイト・オウム事件・旧統一教会を巡る事件他】

【HUNTER】:安倍政治の詐術 ― 「プレミアムフライデー」と「キッズウィーク」

 『漂流日本の羅針盤』:【HUNTER】:安倍政治の詐術 ― 「プレミアムフライデー」と「キッズウィーク」

5181bf7baf81652e8785c6a67638dfb599eacd49-thumb-250 xauto-19212.jpg 安倍晋三首相の3選が確実視される、9月7日告示・20日投開票の自民党総裁選。安倍政治の是非を問う貴重な機会だが、少しでも首相を批判しようものなら袋叩きに合う状況で、対抗馬の石破茂元幹事長が掲げた「正直、公正」というキャッチコピーには、なんと同氏の応援団から不満が出ている。
 しかし、振り返ってみると、安倍政権の6年間は詐欺的手法のオンパレード。「3本の矢」、「一億総活躍」、「女性が輝く社会」、「クールジャパン」、「地方創生」などと様々なキャッチコピーが先行してきただけで、実効性についてはいずれも疑問符が付いている。
 マスコミ報道から消えた「プレミアムフライデー」もそうした例の一つ。今年度から一部の自治体で始まった「キッズウィーク」も、同じ道をたどりそうだ。

 ■消えた「プレミアムフライデー」
 昨年2月にスタートした「プレミアムフライデー」は、大失敗に終わった施策の一例だろう。経済産業省と経済界が提唱・推進してきた官民連携の取り組み「プレミアムフライデー」は、毎月末の金曜日に、午後3時で仕事を終えて退社することを奨励し、日常よりも少し豊か(プレミアム)な時間を過ごそうという個人消費喚起キャンペーンのこと。個人が幸せや楽しさを感じられる、買物や家族との外食、観光といった時間の創出を促すことで、日本全体での消費喚起や働き方改革につながる――はずだった。

プレミアムフライデー.jpg バブル期の「ハナキン」を真似た施策といえるが、開始当初は男性アイドルグループを起用してテレビCMなどで大々的に喧伝するなど、鳴り物入りで華々しくスタート。ニュースなどでも取り上げられていた。だが、開始から間もなく1年半が経過するいま、新聞・テレビでの報道はもちろん、日常生活でもほとんど見聞きすることはない。

 経済産業省が開始から1年を経て発表した取り組み状況では、プレミアムフライデーの認知度は約9割、理解度は約7割と高い水準を維持しているという。またロゴマークの申請件数や早期退社に取り組む企業数も着実に増加しているといい、とくに早期退社に取り組む企業数は当初の約6倍に増えたと、誇らしげに掲げている(下の画像参照)。

プレミアムフライデー推移.jpg だが、その数字の実態を見ると、初回136社だったものが800社に増えただけ。数のうえではたしかに約6倍にはなっているものの、日本全体の企業数の約385万社(2016年6月時点)から考えると、微々たる数字だ。パーセンテージでいうと、全企業の0.0035%という数字が0.0207%に増えただけ。つまり、残る99.9%以上の企業にとって、プレミアムフライデーはニュースの中だけの話となっている。

 実際に、多くの企業――とくに人員が限られる中小企業にとっては、月末の金曜日は諸々の締め日となっているケースも多く、ただでさえ忙しい。そうした日に早期退社を推奨するのはそもそも非現実的であるし、仮に早期退社ができたとしても、その分の業務は別の日、もしくは別の者に回さなければならない可能性が高くなる。結局のところ、自分もしくは誰かにツケが回されるだけなのだ。

 そもそも、豊かな時間を過ごすべく、買い物や娯楽などを楽しむためには、その提供者が必要になる。つまり、消費活動の受け皿になっている、小売業や飲食業などのいわゆる第3次産業に従事する人々は、ハナからプレミアムフライデーの対象外となっているのである。
 
 言い換えれば、「一部の大企業などの生活にゆとりのある人間が早期退社して豊かな時間を楽しむために、第3次産業に従事する人は休むことなく働いてね」ということ。一部の特権階級だけが利益を享受する、これほど不公平な施策はあるまい。そもそも、プレミアムフライデーの推進母体は、経済産業省と経団連――つまりは大企業重視の権力集団であり、日本の大多数を占める中小企業や庶民の生活の実態など、見えてはいないのだろう。

 大多数の日本国民の実態と乖離した荒唐無稽な施策であるだけに、プレミアムフライデーの普及が進まないのは、当然の結果といえよう。普及が進んでいない現状に対して、「クールビズ」を引き合いに出して「普及には時間がかかる」との“言い訳”もある。だが、ノーネクタイやカジュアルな服装、冷房の温度設定といった各人や各企業の軽微な取り組みで済むクールビズと、ビジネスや社会構造そのものを変えなければならないプレミアムフライデーとでは、同じ俎上に載せて議論すること自体がナンセンスだ。
 
 ちなみに、普及が遅々として進まない現状はよほど都合が悪いのか、「プレミアムフライデー推進協議会」のホームページに公表されている実態調査や意識調査の結果も、17年6月を最後に更新されていない。

 どれだけ自由に使える時間が増えたとしても、ふところ事情に余裕が生まれない限り、消費喚起につながることはない。実施日を月末金曜から変更しようという安易な意見も出ているようだが、日本全体で二極化している経済格差の是正や、偏ったビジネス構造などの根本的な問題に目を向けない限り、プレミアムフライデーはこのまま沈んでいき、遠くない将来、人々の記憶からも消えていくことだろう。

 ■「働き方改革」と表裏一体の「キッズウィーク」
 次に、一般の実態とかけ離れている施策が「キッズウィーク」だ。「キッズウィーク」とは、夏休みなど小中学校の長期休暇の一部を別の時期(学期)に分散化することで、大人と子供とが一緒にまとまった休日を過ごす機会を創出しやすくするための取り組み。政府が進めている「働き方改革」とは表裏一体の、いわば「休み方改革」の推進ともいえる施策である。

キッズウィーク (1).jpg 厚生労働省は、労働時間等設定改善法に基づく指針を改正し、働く人が子どもの学校休業日や地域のイベント等に合わせて年次有給休暇を取得できるよう事業主に配慮を求めるなど、環境整備に努めている、としている。

 だが、この「キッズウィーク」の、そもそものコンセプトである「子供とその家族が一緒に休むための連休創出」というのはいかがなものか。子供がいる家庭が恩恵を受けられるというものであるならば、子供のいない世帯や独身世帯はどうなるのか。とくに昨今、さまざまな事情で子供をもたない夫婦や、もちたくとも子供に恵まれない夫婦、さらにはLGBTのような同姓のカップルもいる。そうした家族の在り方や個々人の生き方の多様性を無視し、「子供と一緒に休める休暇が増えれば、国民全体に恩恵があるはずだ」といったような、前時代的で画一的な価値観に基づいて進められる施策が、多くの国民から共感を得るとは思えない。

 もちろん、前述のプレミアムフライデーでも触れたように、子供に合わせてまとまった休暇を取れば、その分の業務は他の平日にしわ寄せが行くことになる。結果、別の日の残業時間が増えるだけであり、これが「休み方改革」だというのであれば、何をか言わんや、である。まさかとは思うが、「子供がいる家庭が休みを取れるように、子供がいない家庭や独身者世帯がその分の業務フォローをするように」などと、ふざけたことを言うわけではあるまいが……。

 問題はまだある。夏休みの日数を削るということは、夏の暑い時期に子供たちが学校に登校する日数が増えるということだ。今夏は、とくに記録的な猛暑が連日のように続き、7月だけでも全国で救急搬送された人の数は5万4,220人に上った。また、文科省が3年に1度実施している公立学校における空調(冷房)の設置状況調査では、直近の17年4月1日時点で、普通教室で41.7%、体育館や武道場などではわずか1.2%という結果が出ている。つまり、全国の半数以上の小中学校で、いまだ冷房設備の普及が進んでいない現状がある。

 そうした状況下で、連日の猛暑が続く夏の期間に、冷房設備も完全には普及されていない小・中学校へ子供たちを登校させる日数を増やして良いのかどうか。「キッズウィーク」については、再検討すべきだろう。

 ■総裁選で問われるべきは……
 「地方を元気にしましょう」、「週末金曜日に少し豊かな時間を過ごしましょう」、「仕事の時間を減らしましょう」、「親子で過ごせる時間を増やしましょう」――。安倍政権がやってきたのは、メリットだけを前面に押し出した、聞こえの良い言葉の羅列だ。「丁寧な説明」も「真摯」も、首相にとっては国民を欺く便利な言葉に過ぎない。だが、実効性については、いずれも「」。アベノミクスをはじめ安倍政権の6年間には、厳しい批判の目を向ける必要がある。自民党の総裁選で問われるべきは、安倍政治是非だ。

 元稿:HUNTER 主要ニュース 政治・社会 【政治ニュース】  2018年08月31日  08:50:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【HUNTER】:安倍政権・クールジャパン戦略 赤字の実態

2018-09-03 00:10:40 | 【経済・産業・企業・起業・関税・IT・ベンチャー・クラウドファンティング

【HUNTER】:安倍政権・クールジャパン戦略 赤字の実態

 『漂流日本の羅針盤』:【HUNTER】:安倍政権・クールジャパン戦略 赤字の実態

logo.png 政府が成長戦略の一環として推進してきた「クールジャパン戦略」。外国人がクールととらえる日本の魅力(アニメ、マンガ、ゲーム等のコンテンツ、ファッション、食、伝統文化、デザイン、ロボットや環境技術など)を海外に向けて発信し商品やサービスを展開、インバウンドの国内消費の各段階をより効果的に展開し、世界の成長を取り込むことで、日本の経済成長につなげようとする試みだ。
 クールジャパン戦略を統轄しているのが、日本文化の輸出を支援するため2013年に設立された官民ファンド「海外需要開拓支援機構」(クールジャパン機構)なのだが、ここに来て経営が怪しくなってきている。
 発足から丸4年の投資24案件中、決定後1年を超す事業の過半が収益などの計画を達成できていない。

 ■明らかとなった約44億円の損失
 17年4月時点の出資金は693億円。このうち政府出資が586億円、民間出資が107億円だ。会計検査院は今年4月、ファンドの検査結果を公表。それによると2017年3月末時点で経済産業省所管のクールジャパン機構は17件、310億円の投資で約44億円の損失が生じている。(*下が会計検査院の公表資料。赤い囲みはHUNTER編集部)

クールジャパン.png 設立当初、クールジャパン機構を視察した国会関係者は、同機構の将来に懸念を抱いていたと明かす。場所は六本木ヒルズの17階。訪問したのは、第1弾の投資案件の内容を発表した直後だったという。

 この時の機構のスキームは政府が300億円、民間企業が85億円(18社)を出資し、投資対象となる案件を決めた。当時の従業員数は役員を含め約60人。経済産業省からも出向者を送り出していた。

 説明をしてくれたのは経産省出身の総務部長。人の良さは伝わってきたが、「民間企業における収益性や、日本の銀行システムなどについての知識は乏しい」(国会関係者)というのが率直な感想だったという。

 機構が認定した投資対象は『中国におけるジャパン・エンターテイメント型大規模商業施設』(機構の投資金額:最大110億円。エイチ・ツー・オー・リテイリングと杉杉集団有限公司も別途出資)や、『マレーシアにおけるクールジャパン発信の拠点となる商業施設事業への出資』(機構の投資金額:最大9.7億円。三越伊勢丹ホールディングスも同額出資)などだったが、9割以上の日本の商品を扱うという計画に、前出の国会関係者は「これで収益が出るのか疑問に感じた」と振り返る。

 エイチ・ツー・オー・リテイリングも三越伊勢丹ホールディングスも、機構に5億円ずつ出資している投資会社。うがった見方をすれば、少ない投資額で国から多くの投資金を引き出せる魔法のシステムを作り上げたようにも見える。

 もし、これらの事業が失敗したときの責任は誰がとるのか。役人の習性として「事業の失敗は考えない」ことにしているようだが、投資案件には必ず何件かの失敗、回収不能がつきまとう。役人と数十名の社員が巨額の投資案件をまとめ上げて投資を行うというが、機構の社員に大規模投資事案に対応できるだけの能力があるのか疑問だ。

 「地方銀行の協力で事業案件を収集できる」などと説明されてきたが、国内の地方銀行員にそんな能力はない。無担保融資の能力を持つ「バンカー」など育っていないのが現実なのだ。どんなものでも売って収益を上げることが出来るのならともかく、日本に特化した商品だけを扱って経営を成り立たせるのは至難の業で、よほどのスーパーマンでもない限り難しいというのが現状だ。

 ■クールジャパン・失敗の実例
 第2次安倍政権発足後、看板政策であるクールジャパンを推進するため“官民ファンド”が数多く設立された。各ファンドは個別の投資案件の損失や利益を公表していないが、可能なものだけ検証してみよう。

 マレーシアの首都クアラルンプールの繁華街にある百貨店「イセタン・ザ・ジャパンストア」。「本物の日本」を旗印に伝統工芸の食器や衣類、食品まで高級品をそろえるが、来店客はまばらだ。現地の若者は「日本の服は好き。でも高すぎて何も買えなかった」という。

 海外放送事業「WAKUWAKU JAPAN」は、スカパーJSATとの合弁事業で、日本のアニメ、ドラマ、スポーツ、音楽、情報などの番組を現地語で放送し、2020年までに22カ国で展開するのが目標となっている。しかし、著作権や版権、コンテンツ自体の質的問題などから番組の視聴率は低迷。電通関係者によると「やればやるほど赤字が増える」というのが実情となっている。

 「日本茶カフェ事業」も大苦戦。1号店は16年に開いたが、店内飲食の認可が下りず持ち帰り専門に――。2号店も出店計画が宙に浮き、賃料トラブルを抱えるといった状況である。

 会計検査院は、多額の損失がある場合などは可能な限り情報を開示するよう指摘。不必要な資金は国に返すことを検討するよう求めているが、このままずるずるとクールジャパン機構に税金をつぎ込むと、結局は天下り先を増やしただけの「税金の無駄使いの典型例」となり、巨額の血税が消えることになる。安倍政権の成長戦略については、クールジャパンを含め、すべてを見直す必要がある。

 元稿:HUNTER 主要ニュース 政治・社会 【政治ニュース】  2018年08月22日  08:35:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【HUNTER】:「生産性」と「産めよ殖やせよ」 安倍政治に重なる戦前

2018-09-03 00:10:10 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【HUNTER】:「生産性」と「産めよ殖やせよ」 安倍政治に重なる戦前

 『漂流日本の羅針盤』:【HUNTER】:「生産性」と「産めよ殖やせよ」 安倍政治に重なる戦前

DSC05865--2.jpg 「産めよ殖やせよ」を国のスローガンに掲げた昭和16年(1941年)、日本は太平洋戦争に突入した。
 77年経った平成最後の年、政権政党の国会議員が月刊誌で「LGBTのカップルは生産性がない」という主張を展開し、厳しい批判を浴びる状況に――。少数差別の裏には、“女性は子供を産むのが当然”という考えがある。
 女性に「国のために子供を産め」と迫る愚かな政治家が増えたのは、安倍晋三という極右政治家が政権を担ってからだ。第1次安倍政権の発足以来、大臣や党幹部が何度も同様の発言を行い、物議を醸してきた。一連の発言に通底しているのは「個人より国家」という全体主義的な考え方である。

 ■LGBTをネタに朝日攻撃
 問題の主張は、月刊誌「新潮45」が8月号で企画した《日本を不幸にする「朝日新聞」》に、自民党の杉田水脈という女性の衆議院議員が寄稿した「『LGBT』支援の度が過ぎる」の中で展開したもの。この中で杉田氏は、子供を産まないことを『LGBTのカップルは生産性がない』と決めつけ、LGBTについて報道する朝日新聞の姿勢を攻撃していた。声の小さな少数派が、朝日攻撃の材料に使われた格好だ。

20180730_h01-02.JPG ■納税者の権利を否定
 LGBTとは、「性的少数者」の中の女性同性愛者(レズビアン;Lesbian)、男性同性愛者(ゲイ:Gay)、両性愛者(バイセクシュアル:Bisexual)、 性同一性障害(トランスジェンダー:Transgender)といった人たちの総称で、各単語の頭文字を組み合わせてできた表現だ。杉田議員は寄稿文の中で、子供をつくらないこうした人々への税金投入を否定する見解を示していた。安倍首相夫妻もそうだが、税金を払っていても子供がないカップルや独身者は、みんな「生産性がない」ということになる。納税者への税金投入が無駄だと主張する国会議員は、おそらく杉田氏が初めてだろう。

 政治家には自由な発言が担保されているが、杉田氏のばかげた主張は自民党の政権公約にも反している。同党が昨年の総選挙にあたって公表した政権公約には、『性的指向・性自認に関する理解の増進を目的とした議員立法の制定を目指す。多様性を受け入れる社会の実現を図る』と記されているからだ。しかし、自民党では首相と距離を置く石破茂元幹事長や野田聖子総務相以外に、杉田氏の暴論を咎める動きはない。

自民公約.jpg

 ■“狂気”を宿した女性議員
 では、杉田水脈とは一体何者なのか――。彼女の経歴をさらってみた。2012年の総選挙で日本維新の会から出馬し、比例近畿ブロックで復活当選。次世代の党に移った2014年の選挙では落選し、自民党公認を得た昨年の総選挙では、比例中国ブロック17位で2期目の当選を果たしている(現在は首相の出身派閥「細田派」所属)。

 これまでの発言や主張を確認してみたが、所属してきた政党の色そのもの。「南京大虐殺も従軍慰安婦も嘘」「憲法改正に賛成」「国防軍創設」「保育所増設に反対」「総理の靖国参拝賛成」などなど、ウルトラ右翼としか言いようのないものばかりだった。「男女平等は、絶対に実現しえない反道徳の妄想」という過激な発言もある。なぜこうした“狂気を宿した人物”が国会議員のバッジをつけているのか分からないが、自民党そのものが、杉田氏の暴論を容認する組織に成り下がったということだろう。これは多様化ではなく、安倍政権になって顕在化した“歪み”とみるべきだ。

 ■安倍政権下「産めよ殖やせよ」の大合唱
 かつて、女性を「産む機械」と蔑んだのは、第1次安倍政権で厚生労働大臣を務めていた柳澤伯夫氏(引退)。この時以来、“国のために子供を産め”という考え方が安倍政権の共通認識になっているのではないか。以下、安倍政権下で問題視された発言の数々である。

ジミン.jpg

 杉田議員が「生産性」という言葉を使ったことは、女性を、子供を産む機械だと考えている証拠だろう。会見で、杉田氏の主張について聞かれた二階俊博幹事長は、「人それぞれ政治的立場、いろんな人生観、考えがある」として、事実上「LGBTのカップルは生産性がない」を容認する姿勢をみせたが、その二階氏自身、6月に都内で行った講演の中で「子供を産まない方が幸せじゃないかと勝手なことを考える人がいる」などと発言していた。

 菅官房長官や山東昭子参院議員の発言も方向性は同じ。女性は、子供を何人も産むべきだと考えている。多様な生き方を否定し、少子化の責任を国民に押し付けているようなものだ。自民党議員による女性蔑視は今に始まったことではないが、安倍政権になってから女性に関する暴言・失言が繰り返されるのは、自民党が本音をむき出しにするようになった証でもある。

 ■重なる「戦前」
 杉田氏の政界入りを後押ししたのは右派の論客である櫻井よしこ氏で、自民党に誘ったのは安倍首相なのだという。いずれも「国家」や「国益」を声高に叫ぶ全体主義者。少数の声と真摯に向き合う気持ちなど、これっぽっちもない人たちなのである。モリ・カケ、日報といった不都合な話から逃げ回る一方、カジノ法や参院議員を6人も増やす改正公選法を強行採決した安倍政権。数の力で世論をも蹴散らす政治が、少数派に配慮するはずがない。

 昭和16年(1941年)に閣議決定された「人口政策確立要綱」のスローガンとなった「産めよ殖やせよ」は、戦前の厚生省が掲げた「結婚十訓」の中の一つで、後には「国のため」という言葉が続く。要綱は、兵力や労働力の増強を目的としたものだ。軍事国家のために子供を産むことを奨励した戦前と、「戦争ができる国」を目指す安倍政治が重なる。

 元稿:HUNTER 主要ニュース 政治・社会 【政治ニュース】  2018年07月30日  09:05:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【“鷲”の目で斬る】:安倍首相、囁かれる「昭恵夫人と離婚&解散総選挙→自民圧勝」

2018-09-03 00:05:40 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【鷲尾香一「“鷲”の目で斬る」】:安倍首相、囁かれる「昭恵夫人と離婚&解散総選挙→自民圧勝」シナリオ

 『漂流日本の羅針盤』:【鷲尾香一「“鷲”の目で斬る」】:安倍首相、囁かれる「昭恵夫人と離婚&解散総選挙→自民圧勝」シナリオ

 4月上旬、永田町界隈では「安倍晋三首相の切り札」の話が囁かれていた。“切り札”とは、もちろん森友・加計(モリカケ)問題に対する追及から逃れ、内閣支持率を回復する“切り札”だ。財務省による公文書の改竄という重大な事実が明らかになり、問題は新たな局面に入った。加計問題で「首相案件」とする文書が見つかるなど、安倍首相の関与に対する疑惑が深まった。

        安倍晋三首相と昭恵夫人(つのだよしお/アフロ)

 4月13日から15日にかけて行われた日本テレビ(NNN)系列の世論調査では、初めて安倍内閣の支持率が30%を割り込み、26.7%という「危険水域」に突入した。竹下登氏の秘書から政治家に転じ、内閣官房長官などを歴任し“参議院のドン”と異名を取った青木幹雄氏が打ち出した「政党支持率と内閣支持率の和が50%を下回るとその政権は退陣する」という青木方程式(青木率)に当てはめた場合、自民党支持率33.4%+安倍内閣支持率26.7%=60.1%となり、まだ“安全圏”のように見えるが、「相当に危険な水準。いわば、赤信号手前の黄色信号のようなもの」(自民党関係者)という認識が広まっている。

 「安倍内閣は相当な危機感を抱いており、なんとかこれ以上のモリカケ問題追及を回避し、内閣支持率を回復する手立てを模索していた。その“切り札”として浮上したのが、解散・総選挙に打って出ることだった」(同)

 NNN世論調査では、自民党支持率は33.4%であるのに対して、第2位の立憲民主党の支持率はわずか9.5%にすぎない。

 「モリカケ問題で国民の信を問うという理由で、解散・総選挙に打って出れば、たとえ安倍内閣に対する支持率が低くても、自民党勝利は確実であり、勝利すれば安倍首相は国民の信認を得たとして、政権の座を維持できるという目論見なのだろう。実は選挙に打って出られるのが、野党にとって一番ダメージが大きい」(野党関係者)

 この“切り札”について、安倍首相に近い関係者は語る。

 「解散・総選挙という声がやたらに聞こえてきたので、その出所を探ってみると、一人の人物に行き当たった。それは、小泉純一郎元首相の秘書であり、小泉政権下では総理秘書官を務め小泉政権を動かした飯島勲内閣官房参与だ」

 飯島氏は4月17日、BSフジのテレビ番組に出演し、「今の情勢が長引くと自民党が不利になる。ゴールデンウィーク明けの早い時期に衆議院を解散するべきだ」と指摘。その上で、「連休明けに衆議院を解散し、6月3日投開票の日程で検討している」ことを明らかにした。

 この点について、前出の安倍首相に近い関係者は、「解散・総選挙は飯島氏の振り付けであって、安倍首相の考えではない」という。

 さらに別の永田町関係者は、こう語る。

 「あくまで噂レベルですが、安倍首相と夫人の昭恵氏の“電撃離婚”シナリオも流れています。モリカケ問題の責任を政治家でもない、官僚でもない、昭恵氏の不徳とし、電撃離婚することで問題の収拾を図ろうというもの。これに合わせ技として解散・総選挙を行う可能性もあります」

 昭恵氏は“家庭内野党”と揶揄されるように、安倍首相のコントロールが利かない。また、安倍首相の実母・洋子氏との不仲説もたびたび取り沙汰されている。いわば、「安倍家、安倍首相にとっては厄介者」という存在。果たして、安倍首相が妻に責任を押し付けて、自らの保身を図る展開となるのか。政局から目が離せない日々が続く。(文=鷲尾香一/ジャーナリスト)

 元稿:Business Journal 主要ニュース 政治 【文=鷲尾香一/ジャーナリスト】  2018年04月24日  09:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする