【大阪高裁】:朝鮮学校無償化除外、2審は適法「総連が介入」
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【大阪高裁】:朝鮮学校無償化除外、2審は適法「総連が介入」
朝鮮学校が高校授業料無償化の対象から除外され、平等に教育を受ける権利を侵害されたとして、学校法人「大阪朝鮮学園」が国に処分取り消しなどを求めた訴訟の控訴審判決で、大阪高裁は27日、国の処分は適法と判断した。高橋譲裁判長は「在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)から教育の自主性をゆがめる不当な支配を受けている疑いがある」と述べ、国に朝鮮学校の授業料無償化を命じた1審・大阪地裁判決を取り消した。原告側は上告する方針。
同種訴訟は全国で5件あり、高裁判決は初めて。うち4件で1審判決があり、大阪地裁を除く広島、東京、名古屋の3地裁は朝鮮学校側の請求を退けた。
2010年4月に高校授業料無償化法が施行され、公立高は無償になり、公立高以外の学校には国の就学支援金(1人当たり原則年11万8800円)を支給。文部科学相の審査を受けて指定されれば、外国人学校も対象となった。大阪朝鮮高級学校(大阪府東大阪市)を運営する学園は10年11月に申請したが、審査は進まず、文科省は13年2月、朝鮮総連の強い影響下にあると疑われることなどを理由に同校を含む全国の10校を除外した。
教育基本法は、特定の勢力が教育を不当に支配することを禁じており、裁判では、朝鮮学校が朝鮮総連の強い支配下にあるかどうかが最大の争点になった。
高橋裁判長は、▽朝鮮総連傘下の出版社が発行し、北朝鮮の指導者を礼賛する教科書が使われている▽朝鮮総連が学校に財政的支援をしている▽幹部レベルでの人事交流がある――ことなどを挙げ、「教育の目的を達するために必要な限度を超えて朝鮮総連の介入を受けている」と指摘。朝鮮学校で就学支援金の管理が適正に行われない恐れがあることにも言及した。
また、無償化の対象とするかどうかは教育行政に精通する文科相の裁量だとし、「教育基本法が禁じる不当な支配を受けている疑いがある以上、朝鮮学校を対象から除外した国の判断は不合理ではなく、裁量権の乱用もない」と結論付けた。
昨年7月の1審判決は、「教育内容などで朝鮮総連の一定の関与は認められるが、学校は運営の自主性を失っていない」と判断していた。
判決後、原告側は大阪市内で記者会見。大阪朝鮮学園の玄(ヒョン)英昭(ヨンソ)理事長は「民族教育の権利を否定する不当な差別。我慢できない」と話した。卒業生で大学院生の申(シン)泰革(テヒョク)さん(26)も「自らのルーツを否定せずに学べる数少ない場所。悔しさでいっぱい」と語った。
文科省高校修学支援室は「他の地裁の判決と同様に、国の主張が認められたと受け止めている」とコメントした。
元稿:讀賣新聞社 主要ニュース 社会 【裁判】 2018年09月27日 23:48:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。