路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【明大】:核廃絶訴え 吉永小百合が示した安倍政権へのアンチテーゼ

2018-09-26 07:14:50 | 【防衛省・自衛隊・防衛費、大綱・沖縄防衛局・軍需産業・Jアラート・シェルター】

【明大】:核廃絶訴え 吉永小百合が示した安倍政権へのアンチテーゼ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【明大】:核廃絶訴え 吉永小百合が示した安倍政権へのアンチテーゼ

 日本の大女優の訴えに安倍政権はどう反応するのか――。24日、明大のキャンパス(東京・御茶ノ水)で行われた核廃絶を訴えるイベントに、女優の吉永小百合がゲストで登場。核兵器廃絶に後ろ向きな政府の姿勢を批判した。



 このイベントは、26日の「核兵器の全面的廃絶のための国際デー」にあわせ、「核兵器廃絶日本NGO連絡会」が開催。昨年、ノーベル平和賞を受賞した「ICAN」の国際運営委員を務める川崎哲氏との一対一のトークショーに吉永が登壇すると、割れんばかりの拍手で迎えられた。

 白い長袖のブラウスに、白い水玉模様がちりばめられた黒のロングスカート姿。さすが、大女優の人気はバツグンで、2015年から4回目となるイベントには、昨年の聴衆120人を大幅に上回る550人が集まった。収容500人の会場は立ち見も出るほど。中には、吉永を一目見るために来場した若い学生の姿も見受けられた。

対談したICAN川崎氏と吉永小百合(水本俊也氏撮影、主催者提供)

   対談したICAN川崎氏と吉永小百合(水本俊也氏撮影、主催者提供)

 吉永は、ICANが受賞したノーベル平和賞のメダルを見せられ、「素晴らしいですねえ」と思わず感嘆。続けて、核兵器廃絶にかける思いを語り出した。

「昨年、核兵器禁止条約が作られたのですが、日本ではまだまだ(条約を)知っている人が少ないような気がします。私たちが大きな声を出し、何とかして(政府が条約を)批准して、核兵器のない世界をつくっていくことが大事だと思います」

 加えて、原発問題にも言及。国民投票で原発の稼働中止を決めたオーストリアを引き合いに出し、「潔い決断に感銘を受けた」と語った上で、こう続けた。

「日本は唯一の被爆国。核兵器は絶対にやめましょうと自ら言うべきではないかと思います。核兵器禁止条約ができたので、私たちが(核廃絶の)声を出して政府に働きかけ、『私たちと一緒にやりましょう』と言っていきたい」

 核兵器禁止条約の交渉・締結に参加せず、原発再稼働に邁進している安倍政権。吉永の訴えは、そんな政策へのアンチテーゼであり、“母べえ”がアホ息子を叱っているようにも聞こえた。安倍首相の耳が「馬の耳」でなければいいが……。

 元稿:日刊ゲンダイ 主要ニュース 政治・経済 【政治ニュース】  2018年09月25日  15:25:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【安倍政権】:強がっても負け惜しみ レームダック化の急加速

2018-09-26 07:14:40 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【安倍政権】:強がっても負け惜しみ レームダック化の急加速

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【安倍政権】:強がっても負け惜しみ レームダック化の急加速

 あれだけ締めつけながら、石破茂元幹事長にまさかの“大善戦”を許した総裁選が終わった途端、逃げるようにアメリカに飛んだ安倍首相。

 相変わらず安倍本人は「全体で7割近い得票を頂くことができた。私にとって大きな力だ」と虚勢を張り、例によって麻生財務相は「石破のどこが善戦なんだ」とイチャモンをつけているが、いくら強がっても、もう安倍政権は終わりじゃないか。

 はやくも党内は「ポスト安倍」に動き出し、「安倍1強は終わった」との声が飛びかっている。

「総裁選の結果は、安倍首相にとって衝撃だったはずです。党員票で<55対45>と石破さんに迫られたのはもちろん、得票が35万にとどまったからです。党員の4割が棄権してしまい、党員票104万のうち3割しか得票できなかった。職域団体などの組織票は、現職総理に入れたはずです。それでも支持はたったの3割。自民党員でもこの数字です。恐らく、一般国民の支持は2割程度でしょう。8割が“反アベ”なのではないか。来年は統一地方選と参院選が行われる。いずれ党内から『安倍首相が選挙の顔では勝てない』という声が噴出するでしょう。“安倍1強”は音を立てて崩れていくはずです」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)

 安倍陣営は、総裁選後の世論調査にもショックを受けているという。

 読売新聞の調査によると「石破さんの得票がもっと多い方がよかった」が49%だったのに対し、「安倍さんの得票がもっと多い方がよかった」は、わずか6%だったからだ。それもこれも、ゴーマンな態度を取ってきた自業自得だ。安倍は国民からトコトン嫌われている。


 トランプ大統領の出迎えを受ける安倍首相(内閣広報室提供・共同)

 ■10・1の組閣後、求心力が低下

 この先、安倍政権のレームダック化が急速に進んでいくのは間違いない。ただでさえ、最後の任期はレームダック化しやすいのに、自民党員の3割にしか支持されていないのだから、どうにもならない。

 これまで「安倍1強」によっておさえ込まれてきた不満も噴き出すはずだ。党内からアベ批判が噴出すれば、さらに政権は弱体化していく。

「この5年間、公然とアベ批判をする自民党議員は村上誠一郎ぐらいでした。皆おかしいと思いながら、“安倍1強”におびえて口をつぐんできた。しかし、総裁選で自民党員が『王様は裸だ』と教えてくれた。こうなると、恐怖支配によって不満を封じ込めることは難しい。少なくても、石破茂はコトあるごとに異を唱えていくはずです」(政治評論家・森田実氏)

 いま、安倍官邸がビビっているのが、9月30日に迫った沖縄県知事選だ。敗北したら、安倍政権の「終わりの始まり」が決定的になりかねないからだ。総裁選の10日後に敗北したら「やっぱり安倍首相では選挙に勝てない」という声が強まり、さらにレームダック化が加速していくだろう。

 安倍が組閣人事を10月1日に予定しているのも、沖縄県知事選に敗北しても、翌日に組閣すれば火消しができると計算しているからだ。

 しかし、10.1の組閣人事が終わった瞬間、政権の求心力がガクンと落ちるのは目に見えている。総裁選で「安倍晋三」と書いた国会議員は329人もいるが、配分できるポストには限りがある。安倍首相を支持したのに、ポストに就けなかった待機組が、新たなスキャンダル発覚など、なにかをきっかけに「反アベ勢力」に回るのは明らかだ。

 ほんの1カ月前まで、自民党議員の8割を固め、「石破を叩き潰す」と豪語していたのが嘘のようだ。

 
      予想以上の“大善戦”(C)日刊ゲンダイ

 ◆ 参院選敗北→安倍退陣は既定路線

 レームダックの安倍政権が生き延びるためには、沖縄県知事選、統一地方選、参院選と3つの壁を突破する必要がある。どう考えても、クリアするのは簡単じゃない。

 第1次安倍政権の時、安倍は参院選で大敗して退陣に追い込まれている。また、参院選にトドメを刺されるのではないか。麻生財務相が「石破のどこが善戦なんだ」とイチャモンをつけているのも、いまから参院選の大敗を見越しているからだろう。

「来年夏の参院選で自民党が敗北したら“ポスト安倍”は、ほぼ石破茂で決まりでしょう。もし、石破総理となったら、安倍3選を支持した5派閥は干されかねない。だから、なにがなんでも参院選前に石破を潰すつもりです。石破を潰してしまえば、ポスト安倍の有力候補がいなくなるので、仲間内で政権をたらいまわしできますからね。逆に言うと、参院選で自民党が大敗し、安倍首相は退陣すると覚悟しているということです」(自民党関係者)

 この先、安倍政権には政権を浮揚させる好材料もない。好材料どころか、これまでの失政のツケが一気に噴き出すとみられている。すでにトランプ大統領からは「貿易問題」で無理難題を突きつけられている。

「11月に中間選挙を控えているトランプ大統領は、目に見える成果を欲しがっています。日本に要求するのは、雇用を増やすために自動車メーカーの生産拠点をもっとアメリカに移すことと、アメリカの農産物を大量に買わせるための市場開放でしょう。9月27日(日本時間)に行われる日米首脳会談では、安倍首相をギリギリと攻めかねない。すでに『取引がまとまらなければ大変なことになると、日本は分かっている』と、安倍首相を脅しています。いま頃、安倍首相は呻吟しているはず。アメリカに譲歩したら、統一地方選や参院選は大敗必至。かといって、トランプ大統領を怒らせて決裂したら、その瞬間に政権は終わりかねない。最後は日本の農家を犠牲にするつもりでしょう」(外交評論家・天木直人氏)

 ■82%の国会議員が支持する異常

 権力者が力を失ったら、転落するのはあっという間だ。とくに、安倍政権のように「恐怖支配」によって権力を維持していた場合、いったん力を失うと人心は猛スピードで離れていく。

 そもそも、内政も外交も、なにひとつ実績がない安倍政権が5年も続いたのは、「多弱野党」と「ポスト安倍の不在」と「やっている感」の3点セットが揃っていたからだ。

 しかし、ポスト安倍には石破茂が浮上し、野党も参院選の1人区では統一候補を擁立する方向で動き、本当は安倍がなにもやっていないことに国民は気づいてしまった。安倍のバケの皮は完全に剥がれた格好だ。

 「自民党の総裁選は、国会議員の支持は<安倍82%、石破18%>でした。あの数字を見て愕然としました。戦争中、東条内閣の時に行われた大政翼賛会の選挙と同じ数字だったからです。<大政翼賛会推薦82%、非推薦18%>でした。あの弾圧下でも、反戦演説をした斎藤隆夫など、18%が軍部独裁に抵抗して当選している。自民党議員は、命を奪われるわけでも逮捕されるわけでもないのに、大政翼賛会のように82%が長いモノには巻かれろと従ったのだから異常です。こんな異様な政権がいつまでも続くはずがない。総裁選の結果は、自民党員が『おまえら目を覚ませ』と国会議員を叱ったとみるべきです」(森田実氏=前出)

 ようやく、この国を破壊した安倍政権の終わりが近づいている。

 元稿:日刊ゲンダイ 主要ニュース 政治・経済 【政治ニュース】  2018年09月25日  15:25:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【安倍首相】:突然の“密室”夕食会…トランプに何を飲まされた

2018-09-26 07:14:30 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

【安倍首相】:突然の“密室”夕食会…トランプに何を飲まされた

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【安倍首相】:突然の“密室”夕食会…トランプに何を飲まされた

 23日にトランプ大統領との夕食会に臨み“親密さ”をアピールするはずだった安倍首相が、とんだお荷物を押し付けられたとの観測が広がっている。

 夕食会は当初、マンハッタンのトランプタワー地下のレストランで行われる予定だったが、トランプは突然、会場をタワー上階にある居室に変更。通訳だけを交えて30分ほど懇談し、約2時間にわたって夕食会を行った。


 トランプは安倍首相と会う前に「軍事と貿易の話をする。我々はこれまで日本に多くの支援をしてきた。より互恵的な関係を築きたい」とツイート。安倍首相に米国製兵器の購入や輸入関税の引き下げなどを迫ったことは容易に想像できる。

 安倍首相は夕食会後、記者団に「突っ込んだ意見交換ができた」とうそぶくのが精いっぱいだった。総裁3選を果たした安倍首相に、中間選挙で劣勢が伝えられるトランプが早速「オレのために譲歩しろ」と迫ったとの見方も出ている。


 
   
夕食会前にトランプ米大統領(左)と言葉を交わす安倍首相(内閣広報室提供 共同)

 一方、当初24日午後(日本時間25日朝)にニューヨークで開かれる予定だった日米閣僚級協議が突然、半日ほど延期されることになった。ライトハイザー米通商代表部代表の都合がつかなくなったためという。

 国家同士で決めた日程を直前になって一方的に変更するとは、安倍首相も日本もナメられたもの。完全に米国のペースに巻き込まれている。

 元稿:日刊ゲンダイ 主要ニュース 政治・経済 【政治ニュース】  2018年09月25日  15:25:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【沖縄県知事選】:小池都知事の沖縄入り 狙いは二階“大幹事長”に媚び売りか

2018-09-26 07:14:20 | 【選挙・衆院選、参院選、補選・都道府県市町村長・地方議会・公職選挙法・買収事件】

【沖縄県知事選】:小池都知事の沖縄入り 狙いは二階“大幹事長”に媚び売りか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【沖縄県知事選】:小池都知事の沖縄入り 狙いは二階“大幹事長”に媚び売りか

 激戦の沖縄県知事選で、県政とは全く関係のない小池百合子都知事が22、23の両日、なぜか安倍政権が推す佐喜真淳候補の応援に駆け付け、波紋を呼んでいる。小池知事は昨年の都議選で自民との対決姿勢を鮮明にし、離党。その後の総選挙でも希望の党代表として安倍政権に挑んだ。

 県政とも無縁だから、地元関係者らもそろって「なぜ?」と首をかしげているのだ。


 「都議会は会期中の上、懸案だった豊洲市場の開場を控えるタイミングで、皆『どうして、小池さんが沖縄に?』と困惑しています。23日の演説中は、沖縄担当相だった経歴に何度も触れ、『かりゆしウエアを世界に広める会』の初代会長だったことを強調。とにかく、沖縄との縁を不自然なくらいアピールしていました」(在沖ジャーナリスト)

 小池知事は今回の来沖について「二階さんの依頼」と演説で明かした。縁の薄い県知事選の応援に駆け付けた理由は、今回の改造人事で留任濃厚と目される二階“大幹事長”へのすり寄りだ。


   
かりゆしウェアで登場した小池都知事(右)/(C)日刊ゲンダイ

 「2年後の東京五輪開催中に任期が切れる小池知事は、特例での都知事選前倒しが悲願。今年4月に二階さんや小泉元首相らと会食した際、『何とかしてほしい』と懇願し、その後も、“二階詣で”を繰り返していました。二階さんを通じて、自民との敵対関係を解消した上で、あわよくば『知事再選』を狙っているようです」(永田町関係者)

 二階氏としては、そんなタヌキの思惑を見透かした上で沖縄入りを要請したというわけだが、小池知事の応援は逆効果。過去に対立候補の玉城デニー氏に国会で“差別ヤジ”を飛ばしたことが、ネット上で再炎上しているのだ。

 玉城氏は16年の都知事選直前の7月16日に〈(特定秘密保護法への質問中に)背後から女性の声で『日本語読めるんですか?分かるんですか?』と呟く声がした。質問を終えて振り返ると今をお騒がせの女性都知事候補その人だった〉とツイートしている。

 「玉城さんへの差別発言が現在、改めてネットで問題視されていることを、公明党支持層が問題視しています。公明党は今回の知事選を相当、重視していますから、小池知事の沖縄入りに難色を示したそうです。ところが、知名度で劣る佐喜真さんの浸透を図りたい二階さんが、小池知事の沖縄入りを強引にまとめたといいます。公明党関係者は『逆効果になりやしないか』と気をもんでいました」(沖縄県政関係者)

 佐喜真氏も今ごろ、勘違い都知事の応援に「勘弁してよ」と思っているに違いない。

 元稿:日刊ゲンダイ 主要ニュース 政治・経済 【政治ニュース】  2018年09月25日  15:25:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【健康保険組合連合会】:赤字4割超 17年度 高齢者医療が影響

2018-09-26 06:15:55 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【健康保険組合連合会】:赤字4割超 17年度 高齢者医療が影響

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【健康保険組合連合会】:赤字4割超 17年度 高齢者医療が影響

 大企業の社員らが加入する健康保険組合の全国組織である健康保険組合連合会(健保連)は二十五日、二〇一七年度の決算見込みで、赤字となる組合が全体の41・6%に上る五百八十組合だったと発表した。前年度より三十九組合増えた。高齢者医療制度への拠出金の増加が要因で、健保連は「現役世代の負担が重すぎる」として、制度の見直しを求めている。

 健保組合は大企業の社員やその家族ら約二千九百六十万人が加入し、全国に千三百九十四組合。企業と社員が負担する保険料で運営し、加入者の医療費だけでなく、高齢者の医療費も負担している。

 健保連によると、一七年度の拠出金は前年度比7・5%増の三兆五千二百六十五億円で過去最大。加入者より高齢者の医療費負担が上回る組合は百二十七組合増えて四百九十組合に上った。

 財政難から解散を選ぶ組合が相次ぎ、一七年四月から一八年四月までに十二組合が解散した。全国の派遣労働者ら約五十万人が加入する「人材派遣健康保険組合」も本年度末での解散を決めており、健保連の佐野雅宏副会長は二十五日の記者会見で「制度見直しの方向すら見えないことが解散の背景にある。政府は早急に検討してほしい」と強調した。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 政治 【政策・社会保障施策・健康保険組合連合会(健保連)】  2018年09月26日  06:15:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【社説①】:<安倍政権に注文する>将来の不安に向き合え

2018-09-26 06:11:50 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【社説①】:<安倍政権に注文する>将来の不安に向き合え

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:<安倍政権に注文する>将来の不安に向き合え

 年金、医療、介護、子育て支援など暮らしを支える制度の課題は将来に安心感を持てないことだ。

 厚生労働省が二十歳以上を対象に実施した社会保障に関する意識調査でも、年金への不安が八割超、医療・介護の負担増への不安が五割を超えた(複数回答)。自民党総裁選の世論調査で期待する政策の上位に社会保障が入るのも不安の裏返しだろう。

 この不安の解消こそが社会保障改革の本丸のはずである。

 安倍晋三首相は総裁選で全世代型の社会保障制度に向けた改革を「三年で断行する」とは訴えた。だが、具体的な将来像は語らずじまいだった。

 今の社会保障は、現役世代が増え経済も右肩上がり、高齢者も少なかった時代のものだ。さまざまな給付も増やすことができた。

 だが、制度を支える現役世代や将来世代は減り、支えられる高齢者は増える時代だ。このままでいいわけはない。年金額の抑制、医療や介護の給付の削減などは避けて通れない。安倍政権は発足以来、それへの理解を得る努力が十分だったとは言い難い。

 例えば、高齢者に偏っている給付を子育て支援などに回し、全世代型に変えると言う。手薄な現役世代への支援は必要だが、全世代を厚くすることにはならない。

 財源が限られている以上、高齢者分の一部を回したり、借金で賄うしかないはずだが、その現実には頬かぶりを決め込んでいる。

 財源確保も同じだ。社会保険料だけでは限界で税財源の活用は不可欠になる。消費税率を10%へ引き上げ増税分を社会保障に充てる予定だが、十分とは言えまい。

 消費税は所得の低い人ほど負担が増す逆進性が指摘されている。所得税など税制全体で確保策を考え直す時機に来ている。誰にどれくらいの負担を求めるのか「負担の分配」の考え方を示すべきだ。

 総裁選で石破茂元幹事長は負担増も検討課題と表明、「主権者に不都合な情報も伝える」と述べた。安倍首相は三選におごらず敗者の弁も尊重する度量が要る。

 前出の意識調査では「給付水準を維持し少子高齢化による負担増はやむを得ない」「水準をある程度引き下げつつ、ある程度の負担増はやむを得ない」を合わせると男女とも四割を超えた。

 国民は負担の必要性に気付いている。どれくらいの負担を覚悟すれば将来の安心が得られるのか。それを知りたいはずだ。 

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2018年09月26日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【社説①】:<安倍政権に注文する>大事の前の「出口戦略」

2018-09-26 06:11:40 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【社説①】:<安倍政権に注文する>大事の前の「出口戦略」

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:<安倍政権に注文する>大事の前の「出口戦略」

 「おや」と思った人もいただろう。総裁選討論会で安倍晋三首相は日銀の大規模金融緩和からの出口戦略について「任期中にやり遂げたい」と言及した。緩和の副作用を意識するのなら、出口への道筋をよりはっきり示してほしい。

 昨年度末ベースで日銀が持っている国債の残高は約四百四十八兆円に上る。銀行経由で国債を買い続けた結果で、アベノミクスの「第一の矢」である「大胆な金融政策」(大規模金融緩和)の核心部分である。

 持っている国債からは利息が得られる。その額は約一兆二千二百億円。一方、国債購入により放出されたお金は日銀当座預金にも積み上がる。その残高は昨年度末で約三百七十八兆円に上り、これには利払い費が生じる。利息収入と利払い費の差額が日銀の収益であり約一兆円だった。

 仮に日銀が「出口」と呼ばれる利上げを実施すれば、当座預金の金利を上げる操作をすることになる。金利を1%上げれば、利払い費の追加分が単純計算で三兆七千億円程度生じる可能性がある。利払い費は利息収入を上回り、八兆円規模の日銀の自己資本は数年で消えてしまう計算だ。

 自己資本は企業の健全性の目安となる。日銀といえども自己資本を失い続ければ債務超過状態となる。普通の企業なら倒産が現実味を帯びる。もちろん金融政策を担う日銀に事実上、倒産はないだろう。国が公的資金を投入するなどして支援せざるを得ないからだ。

 問題は日銀に債務超過の懸念まで浮上している現状そのものだ。日銀が国債を購入する理由はお金を流して健全な資金循環を構築し、安倍政権最大の経済課題であるデフレ脱却を図ることにある。その目標値として「2%の物価上昇」がある。だが現実には1%にも達していない。にもかかわらず日銀の黒田東彦総裁は大規模金融緩和を続ける姿勢だ。

 アベノミクスの第二の矢は「機動的な財政出動」だが、国の借金は増加し続けている。第一の矢(大規模緩和)が借金の増加を手助けしている構図である。しかも出口の先には「中央銀行の債務超過」という「異界」の気配さえ漂い始めている。金融危機はささいなきっかけでも起きる。膨大な国の借金や中央銀行の財務悪化がいつ市場の標的になっても不思議ではない。安倍政権は、過度な国債依存から抜ける「出口」への戦略を、はっきり示すべきだ。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2018年09月25日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【社説①】:<安倍政権に注文する>「原発ゼロ」への転換を

2018-09-26 06:11:30 | 【電力需要・供給、停電・エネルギー政策・原発再稼働・核ゴミの中間最終貯蔵施設他

【社説①】:<安倍政権に注文する>「原発ゼロ」への転換を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:<安倍政権に注文する>「原発ゼロ」への転換を

 原発、エネルギー問題は、総裁選の争点にされなかったと言っていい。

 告示前日、地震による停電で全北海道が闇に包まれ、北海道電力泊原発の外部電源が一時途絶えた。一極集中電源の危うさや、3・11を経てなお脆弱(ぜいじゃく)な原発の防災体制が露呈して、国民の不安と関心は一層高まったというのにだ。

 原発の“持続可能性”は、おのずと怪しくなりつつある。

 膨大な「国費」を投じた高速増殖原型炉「もんじゅ」が廃止に追い込まれ、使用済み核燃料サイクル計画は、事実上破綻した。核のごみの処分場は、一向に決まらない。二〇三〇年代には一時保管の施設から放射性廃棄物があふれ出すという。国際社会は、核兵器のエネルギー源にもできる大量の余剰プルトニウムの処分を迫る。膨らむ維持費や廃炉費用に耐えかねて、電力会社と原子炉メーカーは提携に動き始めている。

 極め付きは、事故に備えた賠償金の上限引き上げを、政府が断念したことだ。

 原子力損害賠償法は、電力会社の賠償責任に上限なしと定める一方で、原発一カ所に付き千二百億円を用意するよう電力会社に義務付けている。

 福島の賠償費用はすでに八兆円を超えている。少しばかり積み増したところで焼け石に水ではあるものの、上限引き上げを断念するということは、原発は民間企業の手に負えないと、国が正式に認めたというに等しくないか。

 福島の賠償費用は不足分を国が立て替え、一部はすでに電気料金に転嫁されている。いずれにしても、ツケは国民に回される。

 もはや原発は、国家の意思と力がなければ、管理も廃棄もできない状態に陥っている。なのに、国民の多くが抱く不安や疑問に国は答えてこなかった。

 世界が再生エネルギーへのシフトを進め、国民の過半が原発再稼働に反対する中で、なぜ原発を主力電源と位置付けたままなのか。核燃料サイクルをなぜ断念できないか。福島のような事故が再び起きたとき、誰が、どのように責任をとってくれるのか。そもそも責任がとれるのか-。恐らく答えられないのだろう。

 原発事故の責任は、政府にも負いきれるものではない。福島の現状を見れば明らかだ。だとすれば「原発ゼロ」への転換を「国策」として明確に示すべきなのだ。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2018年09月24日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【社説①】:<安倍政権に注文する>強引な改憲に走るな

2018-09-26 06:11:20 | 【憲法問題「護憲・改憲・違憲論争・緊急事態条項・九条の改正、自主憲法制定論議他】

【社説①】:<安倍政権に注文する>強引な改憲に走るな

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:<安倍政権に注文する>強引な改憲に走るな

 自民党総裁に連続三選された安倍晋三首相は、憲法九条への自衛隊明記を含む改憲に強い意欲を燃やしている。

 記者会見でも「総裁選の最大の争点だった。結果が出た以上、大きな方針に向かって一致結束して進んでいかなければならない」と語った。目標は二〇二〇年の新憲法施行である。総裁の任期は二一年九月までの三年だから、自分の任期中で念願の憲法改正を達成したいのだろう。

 今秋に召集される予定の臨時国会で早くも党改憲案を提出し、連立与党を組む公明党と協議を進める方針という。施行の年を区切っているのだから、何とも急ぎ足であるのがわかる。

 国の最高法規であり、戦後日本の平和主義にかかわる規定だ。スケジュールありきで改憲を進めてならないのは当然である。

 そもそも首相の九条改憲案は昨年五月にビデオメッセージの形で唐突に提案されたものだ。戦力不保持などを定めた九条二項を維持したまま自衛隊を明記するという案である。これは一二年の自民党改憲草案とは全く様相が異なる。確かに首相の改憲案は衆院選の公約でもあったし、党大会でも決議されている。

 だが、総裁選を戦った石破茂氏はこれに「反対」と明確に唱えていた。憲法改正推進本部長代行の船田元氏も「首相の改憲への姿勢に同調できない」とし、総裁選で抗議の白票を投じている。自民党内でも意見が分かれているのが実態ではないのか。

 さらに公明党に至っては、山口那津男代表が「憲法改正の優先順位が高いとは言えない」とくぎを刺している。与党内でも足並みがそろわぬ現状である。

 国民の意見はどうか。どんな世論調査でも九条改憲には「反対」の声が上回っている。国民が積極的に望んでもいない改憲に首相が前のめりになるのはおかしい。

 改憲の動機が何なのかも不明瞭である。「自衛隊の違憲論争に終止符を打つ」などと語っているが、激しい論争のある現状ではない。違憲論はあくまで憲法学者の学説である。

 政府は自衛隊発足時から合憲説をとり、それが定着している。国民も自衛隊に対し、反目しているわけではない。

 九条の平和条項を変えれば、軍事国家への道になるかもしれない。九条改憲には軽々に踏み込んではならない。

  元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2018年09月22日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【社説①】:<安倍政権に注文する>自民総裁に連続3選 国民の声を畏れよ

2018-09-26 06:11:10 | 【政党・自民・立憲・維新の会・公明・国民民主・共産・社民・れいわ・地域政党他】

【社説①】:<安倍政権に注文する>自民総裁に連続3選 国民の声を畏れよ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:<安倍政権に注文する>自民総裁に連続3選 国民の声を畏れよ

 安倍晋三首相を見る国民の目の厳しさを、党員票が代弁していた。これから最長三年間、政権を担う安倍氏に注文したい。「国民の声を畏れよ」と。

 石破茂元幹事長が予想以上に善戦したのではないか。安倍、石破両氏の一騎打ちだった自民党総裁選。現職総裁の安倍氏が連続三選を果たしたものの、報道機関の電話調査などで三分の二程度は得るとみられていた党員票(党員・党友の票)は55%にとどまった。

 安倍陣営は、石破氏が六年前に得た党員票が55%だったため、当初の目標通りと平静を装うが、その心中は穏やかではあるまい。

 今回の総裁選で投票権を持つ党員・党友は百四万二千六百四十七人。国会議員票と同じ四百五票が割り当てられ、得票数に応じて両候補に比例配分された。

 国会議員票で八割以上を獲得した安倍氏の党員票は六割弱。石破氏は国会議員票は二割弱だが、党員票は四割以上に達した。

 党員・党友は自民党支持者である上に、全有権者の1%にも満たない。厳密に言えば、世論を正確に反映しているわけではない。

 しかし、一般の有権者と同じように暮らし、働いている分、国会議員に比べて、国民により近い立場にあることも事実だろう。党員票は、世論の動向をある程度反映した指標になり得る。

 石破氏が予想以上の党員票を得たことは、国民が安倍政権に厳しい目を向けていることの表れと、謙虚に受け止めるべきである。

 来年春に統一地方選、夏に参院選がある。特に前回二〇一三年に圧勝した参院選で、前回並みの議席を得るのは容易ではない。

 ◆真摯な反省感じられず

 その上、党員の安倍氏支持に陰りが出始めたとすれば、選挙戦がより厳しいものになるのは避けられない。

 では、なぜ国民は安倍政権に厳しい目を向けているのか。

 それは公平、公正性が疑われる行政判断、強引な政権・国会運営が続き、政権に対する信頼が低下しているからにほかならない。

 今回は、安倍氏が連続三選を果たしたとしても、石破氏の問題提起により、信頼回復の起点となる可能性を含む総裁選だった。

 しかし、実際にはその好機を逸したと言っても過言ではない。安倍氏の言動を振り返る限り、真摯(しんし)な反省が感じられないからだ。

 例えば、公正・公平であるべき行政判断が安倍氏の影響力で歪(ゆが)められたか否かが問われた森友、加計両学園をめぐる問題である。

 安倍氏は総裁選の討論会などで「私の妻や友人が関わってきたことで、国民が疑念を持つのは当然だ」と語り、「行政を巡るさまざまな問題が起こり、国民の信頼を揺るがす事態になった。まさに私の責任だ」と認めた。

 しかし、さらに追及されると、「金銭をもらって政治的に便宜を図った贈収賄事件ではない」とかわし、「この問題も含めて昨年、衆院総選挙を行い、国民の審判を仰いだ」と突っぱねる。

 これでは「今後、慎重に謙虚、丁寧に政権運営に当たっていきたい」との言葉が空疎に響く。

 報道機関の世論調査では森友、加計両学園を巡る安倍氏の説明に納得していない人は依然、七割程度に達する。こうした国民の声を選挙に勝ったからといって突っぱねていいわけはない。

 安倍政権はこれまで国民の反対・慎重論を顧みることなく、法律の成立を強行するなど、強引な国会運営を繰り返してきた。

 今年の通常国会では、年収の高い専門職を労働時間規制から外す「高度プロフェッショナル制度」を創設する働き方関連法であり、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)整備法である。

 さかのぼれば「特定秘密」を漏らした公務員らを厳罰に処す特定秘密保護法や違憲性が指摘される安全保障関連法、「共謀罪」の趣旨を含む改正組織犯罪処罰法も国民の反対を押し切っての成立だった。原発再稼働も同様である。

 その積み重ねが政権への信頼を蝕(むしば)み、党員票に表れたのだろう。

 ◆同じ轍踏ませてならぬ

 二〇年までの改正憲法施行を目指す安倍氏は、今秋の臨時国会に自民党改憲原案を提出する意向を表明したが、報道機関の世論調査では、反対が約半数に達する。

 国民の反対・慎重論を押し切って改憲案の発議を強行するようなことは、絶対に許されない。

 安倍氏は、主権者たる国民を畏れ、その声に耳を傾けて政権運営に当たるべきである。法律の成立を強行してきた、これまでと同じ轍(てつ)を踏むべきではないし、私たち国民も、踏ませてはならない。

  元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2018年09月21日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【社説②】:伊方運転容認 “常識”は覆されたのに

2018-09-26 06:10:50 | 【電力需要・供給、停電・エネルギー政策・原発再稼働・核ゴミの中間最終貯蔵施設他

【社説②】:伊方運転容認 “常識”は覆されたのに

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:伊方運転容認 “常識”は覆されたのに

 四国電力伊方原発の運転差し止め決定が、同じ広島高裁に覆された。しかし例えば、どの原発の直下でも巨大地震は起こり得るという北海道地震の新たな教訓は、十分に考慮されたと言えるのか。

 「(阿蘇山の)火砕流が原発敷地内に到達する可能性が十分小さいと評価することはできない」-。

 原子力規制委員会の「火山ガイド」を引きながら、同じ広島高裁は昨年十二月、伊方原発3号機の運転を差し止めた。

 阿蘇山から伊方原発までは約百三十キロ。大噴火による火砕流や火山灰が原発に及ぼす影響を否定できないとの判断だった。

 福島第一原発事故後、高裁レベルとしては初の運転差し止め決定は、いともあっさり覆された。

 今回、広島高裁は「大規模な破局的噴火が起きる可能性が根拠を持って示されておらず、原発に火砕流が到達する可能性は小さい」と指摘した。昨年末とは真反対。「運転期間中に破局的噴火を起こすという可能性は極めて低い」と強調する四国電力側の主張をそのまま受け入れた形である。

 争点は火山だけではない。原発が耐え得る地震の強さについても、住民側は「過小評価」だとして争った。この点に関しても「詳細な調査で揺れの特性などを十分把握した」とする四国電力側の評価が判断の基本にあるようだ。

 だがたとえそうだとしても、それらは過去の知見になった。北海道地震が、地震そのものの“常識”をご破算にしたのである。

 これまで、地震に対する原発の安全性は、重要施設の直下に活断層があるか否かが、基準にされた。ところが活断層のあるなしにかかわらず、原発の直下でも震度7の大地震が起こり得るということを、北海道地震は知らしめた。

 活断層の存在は一般に地表に現れる。だが、北海道地震の震源は、今の科学では見つけようのない地中に埋もれた断層だった。

 北海道で起こったことは、日本中どこでも起こりうる。地震に対する原発の規制レベルも大幅に引き上げるべきだということだ。

 地震国日本は、世界有数の火山国。巨大噴火は予知できないというのは、それこそ学会の常識だが、大噴火のリスクに対する考え方も、そろそろ改めるべきではないか。

 “活断層なき大地震”の教訓が十分に反映されていない以上、古い地震科学や社会通念に基づいて原発の再稼働を認めることは、あまりに危険と言うしかない。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2018年09月26日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【筆洗】:力士の取組が長引いた場合、相撲をいったん止める、「水入り」の・・・

2018-09-26 06:10:45 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【筆洗】:力士の取組が長引いた場合、相撲をいったん止める、「水入り」のタイミングは行司にとってなかなか難しいそうで、ただ長引いたからという理由で判断するものではない。

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【筆洗】:力士の取組が長引いた場合、相撲をいったん止める、「水入り」のタイミングは行司にとってなかなか難しいそうで、ただ長引いたからという理由で判断するものではない。

 三十六代の木村庄之助さんが書いている▼相撲には流れがあって、膠着(こうちゃく)状態が続いていても、力士としては次の攻めに向けて、ひそかに呼吸を計っている場合もある。力士の動き、審判からの指示の両方を見ながら裁かなければならない。これが難しい▼難しいかもしれないが、ここはいったん行司待ったの水入りとし、もう一度、話し合ってはもらえないものか。少なからぬファンはそう思っているだろう。元横綱の貴乃花親方が日本相撲協会に突然、引退届を提出し、会見で表明した▼元横綱日馬富士の貴ノ岩に対する傷害事件をめぐる協会と貴乃花親方の深刻な意見対立が原因と聞く。親方の一方的な言い分だけに軍配を上げるわけにはいかぬが、協会側が傷害事件の告発状を事実無根と認めるよう迫り、認めなければ、「廃業」とは穏やかではない▼そもそも、この取組、桟敷で見ていてもさっぱり理解ができぬ。ただ、角界を長く支えた貴乃花が去るというだけでは客席は納得できないだろう▼弟子のためとはいえ親方の判断も唐突に映る。二〇〇一年五月場所千秋楽の対武蔵丸戦を思った人もいるだろう。それは本当に痛みに耐えた末の結論なのか。

  元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【筆洗】  2018年09月26日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【私設・論説室から】:故マケイン氏の高潔

2018-09-26 06:10:40 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【私設・論説室から】:故マケイン氏の高潔

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【私設・論説室から】:故マケイン氏の高潔

 二〇一六年の前回米大統領選後に行われた世論調査によると、オバマ大統領(当時)がケニア生まれと思っている人は36%に上った。大統領選でトランプ氏に投票した人の実に半数、クリントン氏に投票した十人に一人もそう答えた。

 オバマ氏の父親はケニア人で、ハワイ留学中に米中西部カンザス州出身の白人女性と出会って結婚。オバマ氏はハワイで生まれた。

 八月に亡くなった共和党の政治家・マケイン氏も〇八年の大統領選でオバマ氏と争った時、選挙集会で女性からこう聞かれた。

 「オバマは信じられないわ。だって彼はアラブ人でしょ」

 マケイン氏は「違います。彼はまっとうな米国市民です。たまたまわれわれとは基本的な問題で意見が違うだけです」とたしなめた。

 オバマ政権時代、マケイン氏は中国やロシアに対するオバマ外交を「弱腰だ」と容赦なく批判した。それでも二人は認め合っていた。マケイン氏は自分の葬儀で弔辞を読んでくれるようオバマ氏に頼んでいた。

 この高潔で孤高の政治家は党派を超えて尊敬を集めた。トランプ大統領とは対極の存在だった。

 七年前に「ケニア生まれのオバマ氏には大統領になる資格はない」と騒ぎ立てたのはトランプ氏。フェイク(虚偽)乱発は今に始まったことではないようだ。 (青木睦)

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【私設・論説室から】  2018年09月26日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【社説②】:「雨傘運動」4年 逆風にもひるまぬ熱意

2018-09-26 06:10:35 | 【中国・共産党・香港・一国二制度・台湾・一帯一路、国家の個人等の権利を抑圧統治】

【社説②】:「雨傘運動」4年 逆風にもひるまぬ熱意

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:「雨傘運動」4年 逆風にもひるまぬ熱意

 香港行政長官選の民主化を求めた二〇一四年の「雨傘運動」始動から二十六日で四年。中国は香港の「高度な自治」を形骸化させたが、「民主を失わせるな」と訴える若者の熱意は消えていない。

 学生らが香港中枢を占拠した雨傘運動が収束した後、中国が国際社会に約束した「一国二制度」を踏みにじる行為が目に余る。

 親中派が多数を占める香港立法会は、最近開通した香港と中国広東省を結ぶ高速鉄道の出入境検査のため、香港側に中国検査官が常駐できる条例を可決した。

 香港基本法は、中国官憲の香港での法執行を認めておらず、条例は「一国二制度」に違反する。

 香港と台湾は相互に代表機関を置くが、香港政府が台湾の新代表にビザを出さず、任期が切れた香港の駐台湾代表の後任も決めないという異常事態が続く。

 いずれも香港当局の決めた対応である。とはいえ、香港の自治に介入したり、台湾の孤立化を進めようとする中国の意向が働いていると見るのが自然であろう。

 中国は一四年に公表した「香港白書」で「一国二制度による自治は完全な自治ではない」と明言した。国際公約だった「高度な自治」を公に否定したといえる。

 雨傘運動後の一七年、市民の一票ではなく経済界代表らの投票による選挙で、親中派の林鄭月娥氏が長官に当選。中国は林鄭氏の統治を「社会の安定を促している」と評価した。その後、香港政府の政治が高度な自治を放棄したようなものに映ることが気がかりだ。

 最大時には十万人余がデモに参加した雨傘運動の挫折は、政治に無関心な親中派と過激な独立派の対立という社会分断を生んだ。

 だが、中国政府の干渉と香港政府の追従という逆風にもひるまず、民主を希求する若者の熱意が失われていないことが心強い。

 七十九日間に及んだ運動の最前線で、当時二十七歳のチャン・ジーウン監督がカメラを回した映画「乱世備忘 僕らの雨傘運動」が夏以降、日本各地で公開された。映画では、議論や合意の必要な「民主主義の迂遠(うえん)さ」に悩みながらも、権力者が民族を振りかざして団結を訴える危うさを感じ取る若者群像が描かれた。

 映画のメッセージは「香港の未来は市民のものだ」と読み解ける。映画のラストで若者の一人は「僕らの世代が動かないと、香港は消える」と訴えた。運動の灯は若者の心にともり続けている。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2018年09月25日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【筆洗】:作家、演出家の久世光彦(くぜてるひこ)さんが「町の音」という

2018-09-26 06:10:30 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【筆洗】:作家、演出家の久世光彦(くぜてるひこ)さんが「町の音」というエッセーの中で好きな町の音を一つだけあげろと言われたら「私は躊躇(ちゅうちょ)なく、この音と答える」と書いている。

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【筆洗】:作家、演出家の久世光彦(くぜてるひこ)さんが「町の音」というエッセーの中で好きな町の音を一つだけあげろと言われたら「私は躊躇(ちゅうちょ)なく、この音と答える」と書いている。

 「夕食の支度をする音」だそうだ▼水を使う音、茶碗(ちゃわん)の触れ合う音。鍋の蓋(ふた)をとり落とす音。「この歳になっても、秋、金木犀(きんもくせい)の向こうに、湯気に煙った窓があり、そこで夕食の支度をしている音が聞こえると、ふと涙ぐんでしまう」▼よく分かるという人もいるだろう。夕食の支度をする音の中に久世さんが聞いたのは、幼き日、たとえば、秋の夕暮れ時、家の中で耳にしたかつての家族の声や息づかいなのかもしれない▼「金木犀の向こうに」とある。「プルースト効果」も涙の原因か。人が香りによって遠い日の出来事をまざまざと思い出す現象をそう呼ぶそうだ。プルーストの『失われた時を求めて』の中にある、紅茶に浸したマドレーヌを口にしたとたん、遠い昔のことを思い出すという場面からきているらしい▼彼岸の中日も過ぎ、金木犀の甘い匂いが濃くなってきた。われわれにはやはり、マドレーヌよりその小さな花の甘い匂いの方が「失われた時」への入り口になりやすいか。秋の懐かしい匂いをしばし楽しむ▼東京の阿佐谷。久世さんの生家があったあたりを歩いてみる。金木犀の匂いはちょっとだけした。夕食の支度をする音の方は聞こえなかった。

  元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【筆洗】  2018年09月25日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする