【トンズラ退職 貴乃花の仮面を剥ぐ】:貴乃花親方“お涙頂戴会見”のウソ八百<上>
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【トンズラ退職 貴乃花の仮面を剥ぐ】:貴乃花親方“お涙頂戴会見”のウソ八百<上>
角界に激震が走った。
25日、「平成の大横綱」とうたわれた第65代横綱、貴乃花親方(46)が突如、都内で「引退会見」を行ったのだ。
貴乃花親方は引退に至った理由を、「相撲協会から有形無形の圧力があった」と、こう説明した。

貴乃花親方(C)日刊ゲンダイ
「5つある一門に所属していないと部屋を持てないと、協会が決定した。同時に、いずれかの部屋に入る条件として、(今年3月に内閣府に提出した)告発状は事実無根と認めるよう、要請があった。9月場所の後半戦で、(協会)役員のある方から、初めてその話をされた。でも、告発状を事実無根と認めることはできない。一方、このままではどの一門にも所属できず、貴乃花部屋の力士は相撲を続けられなくなる。このような状況において、断腸の思いで力士、床山、世話人は千賀ノ浦部屋に所属を変更し、貴乃花光司は引退が最善と、苦渋の決断となりました」
弟子を思うがゆえの廃業、平成の大横綱かく終焉せり――と、ここで幕が下りていれば、さぞ感動的なフィナーレだっただろう。
しかし、協会の芝田山広報部長(元横綱大乃国)が同日夜に会見を行い、貴乃花親方の主張をことごとく否定した。
まず、協会からの圧力に対しては、「そのような事実はない」と、以下のように話した。
「今年7月の理事会で、今後、各親方は5つの一門に所属することが決定した。無所属を認めないのは、ひとつに一門に支給される運営補助金の問題がある。公益法人である以上、補助金が何に使われるか、透明性を図らなければいけない。これが各親方への個人支給だと、透明性という点で難しくなる。ガバナンスの問題もある。一門を協会と各部屋をつなぐ機関と位置づけ、ガバナンスを強化する。そのためには全親方が一門に所属し、一致団結することが協会の総意です」
つまり、一門への所属義務はガバナンス強化と補助金の問題であって、貴乃花親方への圧力ではないということだ。
■書類不備というオチ
では、貴乃花親方に圧力をかけたといわれる「ある役員」とは何者なのか。貴乃花親方は「名前? いや、それは言えません」と言葉を濁していたが、芝田山親方は、こう説明する。
「その件に関しては、阿武松理事(元関脇益荒雄)が、9月場所中に『弟子もいるんだし、一門に入って一緒に頑張ろう』と何回も説得を試みていた。これは阿武松理事本人にも確認しました。7月の理事会で決まった一門所属の件は、少なくとも8月上旬には本人に伝わっていた。でも、何のアクションもないので、阿武松理事が説得していたということです。かつて貴乃花グループに所属していた親方も、同様に説得していたとのことです」
いずれにせよ、貴乃花親方は一門に入るためには「告発状が事実無根と認める必要がある」と勝手に思い込み、事実を曲解したことになる。あるいは故意に、引退に至る美談に仕立てたのかどうか。
さらに貴乃花親方の「引退劇」にはオチまでついた。芝田山親方が言う。
「弟子の所属変更願の書類には、千賀ノ浦親方(元小結隆三杉)の捺印がない。このままでは受理できません。貴乃花親方の代理人が協会に書類を提出したのは25日の午後1時。千賀ノ浦親方に話を聞いたが、その30分前に電話で弟子の所属変更願の話が出たとか。千賀ノ浦親方も『あ、ああ、はい……』と困惑していたそうだ。つまり、細やかな協議も何もない。もっと話を詰めてから、書類を出してもらわないと」
まさかの書類不備。ここまでくると、もはやコントである。
■つるし上げに耐えられない
そもそも、貴乃花親方がこの日を「引退会見」に選んだのは、きょう26日の番付編成会議と27日の年寄総会を避けるためともっぱらだ。
年寄総会では、貴乃花親方が内閣府に提出した告発状が議題のひとつになる予定だという。3月の総会では、散々つるし上げを食らったにもかかわらず、最後まで自分の非を認めなかった。いまや、協会内での支持者はゼロ。今年3月場所後の総会では、貴乃花親方をクビにするための連判状を集める動きすらあったほどだ。親方衆にとっては、自分たちの生活圏を脅かす貴乃花親方は許せない存在。総会で再びつるし上げを食らうのは自明の理だ。しかも、審判部所属のために出席義務がある前日の番付編成会議では、そんな親方たちと数時間、顔を突き合わせなきゃいけない。プライドの高い貴乃花親方には我慢ができなかったのだ。
→<下>につづく
元稿:日刊ゲンダイ 主要ニュース スポーツ 【格闘技・大相撲】 2018年09月26日 15:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。