【HUNTER】:福岡市長元政務秘書の県議選出馬に異論続出
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER】:福岡市長元政務秘書の県議選出馬に異論続出
一昨年まで高島宗一郎福岡市長の政務秘書を務めていた人物が、今年4月の統一地方選挙で県議選に出馬するという。
秘書から議員へとステップアップするのは珍しいことではないが、異例としか言いようがないのは、元政務秘書氏の評判の悪さ。HUNTERに送られてきた数十件の読者メールは、いずれも「立候補する資格なし」「税金を食い物にするとんでもない人物」「悪行について告発したい」といった批判ばかりになっている。
■危うい行為の数々
問題の人物は、北九州市を地盤とする自民党衆議院議員の元秘書。高島氏が初当選した平22年の市長選で選対メンバーとなり、選挙後、市長の政務秘書として活動するようになった。7年間高島氏を支えたが、一昨年、裏で市長の進退に関わるような「事件」を起こす。市内博多区にある青果市場跡地の利権に首を突っ込み、問題になったのだ。この際、特定業者との間に見返りの約束があったとも言われており、危うさを感じた市長周辺が協議の上、政務秘書を解任していた。権力に酔った青年が、踏み込んではいけない領域に足を入れたということだ。
際どいカネ集めの手法をどこで身に着けたのか分からないが、問題の元政務秘書は行儀が悪過ぎた。2011年11月、高島市長の政治団体が開いた政治資金パーティーの収益を上げるため、市幹部にパーティー券を割り当て、職員らにパー券を購入させていたことが判明。公務員の政治的中立を規定した地方公務員法や、公務員がその地位を利用して政治活動に関する寄附や政治資金パーティーの販売に関与することを禁じた政治資金規正法にも抵触することから、市議会で追及される事態となった。2014年9月には、市の第3セクター「博多港開発株式会社」の幹部に、パーティー券購入の取りまとめを依頼していたことも明らかになっている。市長の権威を笠に着て、横暴さを増していく政務秘書に対し、市役所内部からも批判の声が上がっていた。
役所の人事に介入して仲のいい役人を重要ポストに押し込むなど、身の丈を超えた動きをするようになった政務秘書――。市役所周辺では、「市長の秘書が公共事業の業者選定などに口を出してくる」という黒い噂が絶えなかった。役人を動かした見返りを特定業者に求めたり、あるいは実際に見返りもらっていれば、刑事事件になりかねない話。こうした危ない話が増える一方、九州一の歓楽街中洲における“夜の活躍”も取り沙汰されるようになっていく。クラブ遊びがお気に入りだったようで、若い経営者などを引き連れ、派手に飲み回ることも――。数十万円をキャッシュで支払うことも度々だったという。
座っただけで数万円と言われる高級クラブMでも、しばしば目撃されていた。入店時も退店時も別々に出入りするなど警戒していたようだが、同行者はいつも福岡市中央区に本社を置く建設会社の前社長だった。元政務秘書が頻繁に同社の会長室に出入りしていたことも分かっており、市内部で関係の深さを懸念する声が上がっていたのも確かだ。その建設会社は、前社長が刑事事件を起こしたことで昨年5月に廃業届を提出、現在は市の指名業者から外れている。
■県議選出馬に「冗談だろ」の声
その元政務秘書氏が、県議選に出馬するという情報が流れたのが昨年秋。以来、HUNTERには毎週のように彼に関する読者メールが送られてきている。注目すべきは、一連のメールが、どれも元政務秘書氏の政治資金集めに関する行儀の悪さについてだ。
メールを送ってきたある企業の関係者は、元政務秘書について次のように話す。
「どこの案件かは勘弁してもらいたいが、仕事を世話すると言って近づいてきた。市長の秘書だから信用した。押し付けられたパーティー券は100万円単位。買い取ったけど、その後は何の連絡もなく、仕事ももらっていない。こちらもスケベ心があったのは確かで、文句を言ってもはじまらないが、もう付き合いたくない。酷い話だとは思う。えっ?彼が県議?冗談だろ。とんでもない。今度は税金が食い物にされるよ」
元政務秘書氏に市長のパーティー券を押し付けられたという証言は、他からも得ている。いずれの関係者も、数十万~百万という単位でパー券を買っており、強引な手法にもう付いていけないと関係を絶った経営者もいるという。権力を盾にカネをむしり取っていった元政務秘書が県議に挑戦――。被害に遭った関係者から批判が出るのは当然だろう。
ある市関係者はこう話す。
「政治資金パーティーのパー券がどのように捌かれているかなんてことは、市長は一切知らされていなかったんですよ。すべて政務秘書任せ。仕事をチラつかせて資金を得ていたなんて、市長は夢にも思っていなかっただろう。業者とのただならぬ関係が知れたのが、青果市場に絡む事件。これで彼の首が飛んだ。いや、飛ばさざるを得なくなった。下手すれば刑事事件なんだから。歴代市長の取り巻きを見てきたが、やつ(元政務秘書)の汚れ方はぴか一。特定の建設会社との癒着も酷かった。不可解なのは、青果市場の件で一番怒っていたはずの建設会社が、彼(元政務秘書)の選挙を応援しようとしている点。建設会社に詫びを入れたらしいが、あの人たちのやることは理解できない」
元稿:HUNTER 主要ニュース 政治・社会 【社会ニュース】 2019年01月17日 08:10:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。