路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【筆洗】:体長三五メートル、体重一万トン、出現地は伊勢湾近海と・・・

2019-09-14 06:10:09 | 【生物学・特定外来生物法・動物生態系・終生飼養・環境税・花粉症】

【筆洗】:体長三五メートル、体重一万トン、出現地は伊勢湾近海と手元の図鑑にはある。そんな化け物が…。 

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【筆洗】:体長三五メートル、体重一万トン、出現地は伊勢湾近海と手元の図鑑にはある。そんな化け物が…。

 失礼、図鑑といっても怪獣図鑑で、その怪獣の名前は「ガマクジラ」。「ウルトラマン」の第十四話「真珠貝防衛指令」に出てくる▼クジラとカエルを組み合わせたような姿で怪獣にしては愛嬌(あいきょう)のある顔を覚えている人もいるだろう。真珠が大の好物という変わり者で長い舌をホースのように伸ばして真珠を吸い込んでしまう。最後は、ウルトラマンに退治されていた▼最近のニュースに子どもの時に見た怪獣を連想してしまったが、事は深刻である。国内最大のアコヤガイ真珠生産地、愛媛県の宇和海沿岸の宇和島市と愛南町で養殖中のアコヤガイが大量死しているそうだ。真珠の養殖に欠かせぬ貝である▼被害が広がりだしたのは八月初旬。ほとんどの養殖業者では貝の半数以上が死んでしまい、中には全滅に近いところもあるという▼手塩にかけた貝が次々と死んでいく。業者はやりきれぬだろう。同じ名産地の三重県伊勢志摩地域でも今年生まれた稚貝の約七割が死んでしまったと報告される。日本の真珠生産の大きな危機である▼感染症か水温の急な変化か。これだけ大きな被害が出ていながら大量死の原因がはっきりしないというのが不気味である。貝を殺し、真珠生産の邪魔をするモンスターの正体を一刻も早く突き止めたい。

  元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【筆洗】  2019年09月11日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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【私設・論説室から】:公的年金は損か得か

2019-09-14 06:10:06 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【私設・論説室から】:公的年金は損か得か

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【私設・論説室から】:公的年金は損か得か 

 公的年金は結局、損ではないのかと人からしばしば聞かれる。保険料負担に見合う年金は受け取れないと思うようだ。

 結論を言うと、長生きすればそれだけ多く受け取れますと答えている。年金額は一年間の受給額だけではなく、何年間受け取るのかで違ってくる。だが、自分の寿命は分からない。それが「老い」のリスクであり、それを支える制度が公的年金である。

 厚生労働省が八月に公表した厚生年金の財政検証結果に興味深い試算がある。

 今の六十五歳と同じ給付水準を今二十歳の人が将来受け取るには、受給開始を六十五歳から何年遅らせる必要があるかを示した。

 働いて保険料を払う期間が四十年から少し延びる負担増が前提にはなるが、六十六歳九カ月から受給すると同じ水準になる。

 生涯の受給期間がその分短くなるわけではない。日本人は長寿化している。平均受給期間は今二十歳の人が逆に一年余り長くなる。

 ただ、これは経済成長が前提だ。低成長ならもっと受給開始を遅らせないと同水準にならないが、将来は誰にも分からない。そもそも年金は助け合いの「共助」の仕組みだ。だから損得で語ることに抵抗を感じてしまう。

 日本年金機構から毎年、誕生月に「ねんきん定期便」が届く。それでおおよその受給額が分かる。年金制度は複雑だが、将来の年金生活を考える手がかりはある。 (鈴木 穣) 

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【私設・論説室から】  2019年09月11日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【首相の一日】:9月10日(火)

2019-09-14 06:10:03 | 【政策・閣議決定・予算・地方創生・能動的サイバー防御・優生訴訟・公権力の暴力】

【首相の一日】:9月10日(火) 

『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【首相の一日】:9月10日(火) 

 【午前】9時54分、官邸。10時3分、閣議。12分、麻生太郎副総理兼財務相。

 【午後】5時27分、谷内正太郎国家安全保障局長、北村滋内閣情報官、防衛省の槌道明宏防衛政策局長、大塚海夫情報本部長。37分、北村内閣情報官、防衛省の槌道防衛政策局長、大塚情報本部長。46分、北村内閣情報官。7時41分、東京・富ケ谷の私邸。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 政治 【政局・首相の一日】  2019年09月11日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:日産社長辞任へ 自浄作用があるのか

2019-09-14 06:09:56 | 【経済・産業・企業・関税・地球資源・IT・ベンチャー・起業・インバウンド】

【社説①】:日産社長辞任へ 自浄作用があるのか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:日産社長辞任へ 自浄作用があるのか 

 日産の西川(さいかわ)広人社長が辞任を決めた。西川氏は不当な形で株価連動報酬を受け取っていた。ゴーン被告(前会長)時代の問題を見抜けず批判を受け続けていただけに、遅きに失した判断といえる。

 問題の温床となったのは「ストック・アプリシエーション権」(SAR)という報酬制度だ。役員が自社株を保有した格好にして、あらかじめ決めた日の株価が上昇していれば差額をもらえる仕組みだ。

 西川氏は行使日を株が上がった日に変えて本来より四千七百万円高い報酬を受け取っていた。報酬については事務局に任せ、日付変更の指示はしていないと弁明している。しかし、この説明で株主や社員らは納得するだろうか。

 西川氏はゴーン体制で役員を務めていた。この間、権力がゴーン被告一人に集中し経営全体に弊害が出ていたことは否定できない。

 元々、西川氏には独裁的な前体制を見過ごしてきた責任がある。さらに今回の問題発覚で、ゴーン体制終焉(しゅうえん)後も不正が見逃されてきた実態が浮き彫りになった。日産の企業統治は機能不全に陥っていると指摘せざるを得ない。

 六月の日産の株主総会で、日本生命などは西川氏の再任に反対していた。日産は今年四~六月期の営業利益が前年同期比で約99%も減少した。収益悪化に報酬不正が加わった形で、株主による続投反対は当然といえるだろう。

 日産には難題が山積している。仏ルノーとの資本関係見直しについては依然、見通しが立っていない。西川氏の後任探しが難航した場合、日産側の立場が弱まりルノー主導型の経営体制が再構築される可能性もある。

 自動車業界全体は今、激変期を迎えている。急速な電気自動車(EV)化の動きや自動運転への対応だ。トヨタ自動車や独フォルクスワーゲン(VW)などライバルメーカーは、異なる業種を含む他企業との提携を加速させ、課題への準備を進めている。これに対し日産は出遅れ感が否めない。

 自動車産業は裾野が広い。日産の経営判断は多くの関連企業の行く末を左右する。それは多くの人々の雇用や賃金に影響を及ぼすという意味でもある。

 後任人事については社外取締役で構成する指名委員会が選任する。指名は急を要するが自浄作用が期待できない以上、現幹部からの起用は難しい。企業体質の刷新に向け、社内の若手や社外にも視野を広げるべきだろう。   

  元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年09月10日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:豚コレラ1年 切り札を出す時だ

2019-09-14 06:09:52 | 【感染症(1類~5類)・新型コロナ・エボラ・食中毒・鳥インフル・豚コレラ】

【社説②】:豚コレラ1年 切り札を出す時だ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:豚コレラ1年 切り札を出す時だ 

 家畜伝染病「豚コレラ」が、国内では二十六年ぶりに岐阜県で発生してから、一年が経過した。発生は七府県に広がった。現場は追い詰められている。もはやワクチン接種をためらう時ではない。

 目に見えない炎のように、豚コレラの感染拡大が止まらない。岐阜市を起点に一日最速四百二十メートルのペースで広がっているという。

 消毒や洗浄を徹底し、“運び屋”とされる野生イノシシに、えさ型の経口ワクチンを散布、移動を阻む防護柵を設置するなど、可能な限りの対策は講じてきた。しかし、いまだ封じ込めには至っていない。先月九日には、最高レベルの防疫体制が敷かれていたはずの、愛知県農業総合試験場での感染が発表された。

 殺処分は、計十三万頭にも上る。残された手段は、感染予防のワクチン接種。切り札だ。

 国の防疫指針によると、ワクチンは平常時には使わないことになっている。だが、▽殺処分と埋却による封じ込めが間に合わないほどの同時多発▽感染経路不明の発生が広範囲にわたる▽野生イノシシ対策が不十分-のいずれかに当てはまる場合には、接種に踏み切るとされている。「現時点では、いずれの条件も満たしていない」というのが、農林水産省の見解だ。本当にそうなのか。

 確かに、ワクチン接種に踏み切れば、デメリットは避けられない。国際獣疫事務局(OIE)の規約上、「清浄国」の格付け(現在は資格停止中)から外されることになり、日本からの輸出全体が制約される恐れが強い。

 地域を限ってワクチンを打てば、それ以外の地域はOIEから「清浄」と認められる可能性は残るというものの、そこからの移動や出荷は制限される。

 OIEの規定では、最初の発生から二年以内に感染が収束しない場合には、ワクチンを使わなくても「非清浄国」になる。一方、ワクチンを使っても、最終発生から三カ月間発生がなければ、清浄国復帰の道は開かれる。

 「いつ来るか」「再開してもいいものか」-。未発生の地域も含め、養豚農家の不安は限界だ。

 見た目は元気な生き物を殺して埋める-。炎暑の中、防護服に身を包んで殺処分や埋却作業に当たる現場の作業員らは、肉体的にも精神的にも疲れ切っている。

 一年以内に収束できる確かな方法がないならば、切り札を切るべき時ではないのだろうか。 

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年09月10日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【筆洗】:「天狗(てんぐ)どんの四方餅(しともち)」-。

2019-09-14 06:09:48 | 【災害・地震・津波・台風・竜巻・噴火・落雷・豪雪・大雪・暴風・土石流・気象状況】

【筆洗】:「天狗(てんぐ)どんの四方餅(しともち)」-。 

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【筆洗】:「天狗(てんぐ)どんの四方餅(しともち)」-。

 そんな言い方が薩摩地方にあるそうだ。四方餅とは棟上げのおはらいに屋根から投げる祝い餅のことだろうが、それを天狗どんが撒(ま)くとはどういう意味か▼台風が過ぎ去った翌日の栗(くり)拾いのことをいうそうだ。強い風が栗の木から実を落としてくれる。一つの天の恵みである。詩人の高橋順子さんの『風の名前』(小学館)によると、そういう日は「自生の栗は山主に憚(はばか)ることなく拾うことができた」。台風一過の青空の下、栗を拾う子どもたちのうれしそうな顔が浮かんでくる▼台風が去った後に待っていたのは「天狗どんの四方餅」のような心やさしい「恵み」ではなかった。上陸直後の中心気圧は九六〇ヘクトパスカル、最大風速は四〇メートルで関東に上陸した台風としては、最強クラスの台風15号である。首都圏の交通に大混乱を残していった▼JR在来線は始発から運休。再開も遅れた。路線図を子細に検討し、出勤可能な経路を見つけたはいいが、車内は立っているのがやっとの混み具合。雨風以上にそんな苦しい思いをした人も多いだろう▼台風に備えたJRの計画運休はやむを得ないとして少し考えてみるべきは台風時の通勤の方かもしれぬ▼これほどの台風の場合、去った後も会社の方が「出勤無用」と寛大な心を見せなければ、健気(けなげ)な日本人は会社を目指すだろう。「天狗どんの休み」がいただけぬか。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【筆洗】  2019年09月10日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【首相の一日】:9月9日(月)

2019-09-14 06:09:44 | 【政策・閣議決定・予算・地方創生・能動的サイバー防御・優生訴訟・公権力の暴力】

【首相の一日】:9月9日(月)

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【首相の一日】:9月9日(月) 

 【午前】10時2分、官邸。8分、沖田芳樹内閣危機管理監、関田康雄気象庁長官。25分、薗浦健太郎首相補佐官。51分、河村建夫自民党衆院議員。11時32分、北村滋内閣情報官。

 【午後】2時55分、世耕弘成経済産業相、広瀬直経産省通商政策局長。5時33分、森健良外務審議官。6時28分、東京・富ケ谷の私邸。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 政治 【政局・首相の一日】  2019年09月10日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【首相の一日】:9月8日(日)

2019-09-14 06:09:40 | 【政策・閣議決定・予算・地方創生・能動的サイバー防御・優生訴訟・公権力の暴力】

【首相の一日】:9月8日(日)

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【首相の一日】:9月8日(日) 

 【午前】11時52分、東京・関口のホテル椿山荘東京。宴会場「ボールルーム」で昭恵夫人と共に下村博文自民党憲法改正推進本部長の次男の結婚披露宴に出席。

 【午後】3時9分、東京・富ケ谷の私邸。27分、麻生太郎副総理兼財務相。5時3分、麻生氏出る。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 政治 【政局・首相の一日】  2019年09月10日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【株式】:NY株8日続伸、37ドル高 米中協議の進展期待

2019-09-14 05:53:30 | 【金融・金融庁・日銀・株式・為替・投資・投機・FRB・「ドル円」・マーケット】

【株式】:NY株8日続伸、37ドル高 米中協議の進展期待

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【株式】:NY株8日続伸、37ドル高 米中協議の進展期待 

 【ニューヨーク共同】13日のニューヨーク株式市場のダウ工業株30種平均は、米中貿易協議の進展に対する期待感を背景に8営業日続伸し、前日比37・07ドル高の2万7219・52ドルで取引を終えた。7月29日以来1カ月半ぶりの高値水準。8日続伸は昨年5月以来1年4カ月ぶり。

  • ニューヨーク証券取引所のトレーダーたち=13日(AP=共同)
    ニューヨーク証券取引所のトレーダーたち=13日(AP=共同) 

 ハイテク株主体のナスダック総合指数は17・76ポイント安の8176・71。

 トランプ米大統領が12日、米中の協議事項を絞り込む「暫定的な合意」を検討する可能性に言及。13日には、中国が大豆などを対米報復関税の対象から外すと伝わった。米中の歩み寄りを好感し、ダウ平均は買いが優勢となった。

 元稿:北海道新聞社 主要ニュース 経済 【金融・マーケット】  2019年09月14日  05:53:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:諫早干拓判決 混乱収束は国の責務だ

2019-09-14 05:05:55 | 【裁判(最高裁・高裁・地裁、裁判員制度・控訴・冤罪・再審請求、刑法39条】

【社説①】:諫早干拓判決 混乱収束は国の責務だ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:諫早干拓判決 混乱収束は国の責務だ 

 国営諫早湾干拓事業(長崎県)を巡り、国が、潮受け堤防の排水門の開門を命じた確定判決の無力化を求めた訴訟の上告審で、最高裁が国勝訴の控訴審判決を破棄し、審理を差し戻した。

 事業を巡っては、複数の訴訟が提起され、国に開門と非開門の相反する義務が課せられる別々の判決がそれぞれ確定している。審理差し戻しにより、司法判断のねじれ状態の解消は先送りされた。

 漁業者側は、諫早湾が閉め切られて以降、潮流変化による赤潮の発生などで漁業被害が深刻化したと主張。一方で、干拓農地の塩害を懸念する営農者の生活も不安定な状態が続くことになる。

 対立が深まる中で、法廷闘争が長期化している原因は、開門を命じた2010年の福岡高裁判決が確定したにもかかわらず、着手を先送りした国の対応にある。

 国はその責任において、漁業者と営農者の双方が歩み寄ることができる解決策を示し、事態の打開を図る義務がある。政策判断を含む解決策を示すためには、政治の決断も求められよう。

 最高裁判決は、開門請求の根拠となる漁業権が時間経過により消滅したとする国の主張を退けた。

 漁業権が切れるのを待てば確定判決に従う必要がなくなると言うのであれば、司法に対する信頼も揺らぐ。最高裁の破棄判断は当然だ。国には猛省を促したい。

 そもそも漁業被害の原因究明を訴えて開門を求める漁業者側と、開門を阻止しようとする営農者側の対立と分断を招いたのは、時代の変化に対応しないままに巨大公共事業を推し進めた国である。

 その対応は適切だったとは言いがたい。

 長崎地裁の勧告を受けた和解協議では、反対派を説得するための想定問答集の存在が発覚。開門先送りありきの姿勢は、漁業者の反発を招き、協議は決裂した。

 判決の確定にもかかわらず、開門に応じなかった国が漁業者側に支払った制裁金は昨年までの累計で約12億円に達した。事態収束の遅れは、こうした国庫負担も招いたことを忘れてはならない。

 干拓が構想されたのは、戦後の食糧難が続く1950年代にさかのぼる。コメ増産、畑作、防災と目的を切り替えて延命された堤防は、完成を目的とする「止まらない公共事業」の典型といえる。

 その行き着く先に何が起きているのか。公共事業の在り方を吟味することが、長引く法廷闘争と混乱から得る教訓ではないか。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年09月14日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:英EU離脱延期 首相 議会の意思尊重を

2019-09-14 05:05:50 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

【社説②】:英EU離脱延期 首相 議会の意思尊重を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:英EU離脱延期 首相 議会の意思尊重を 

 英国の欧州連合(EU)離脱問題は、期限の10月末まで2カ月を切ったにもかかわらず混迷が続いている。

 ジョンソン首相はEUとの合意がないままの離脱も辞さないと強調している。対抗策として議会は、強行離脱を阻止する法律を成立させた。

 EUとの協議をジョンソン氏が10月19日までにまとめられなければ、EUに3カ月の延期を求めるよう義務付ける離脱延期法だ。

 国民の代表である議会の意思が明確に示された。ジョンソン氏は方針を転換して法律に従うのが当然である。

 「合意なき離脱」になれば英国の物流は混乱し社会不安の拡大を招く恐れがある。欧州や世界経済にも波乱を引き起こしかねない。英政府はEUと真剣に議論を尽くして妥協点を探ってもらいたい。

 ジョンソン氏は7月に首相に就任して以来、10月末の離脱実現に向けて強硬策を取り続けている。

 最たるものは、9月半ばから10月半ばまで議会を約1カ月間、閉会すると決めたことだ。離脱延期法案の審議を封じる狙いだったとみられている。

 英議会史上あまり例のない「禁じ手」であり、野党だけでなく与党・保守党の一部にも反発を広げた。もくろみは裏目に出て、採決で与党21議員が造反し成立した。

 ジョンソン氏はなお離脱実現にこだわって即座の解散・総選挙を求める動議を2回にわたり提出したが、解散に必要な議員の3分の2の賛成は得られなかった。

 これ以上、策を弄(ろう)しても思い通りにはなるまい。ジョンソン氏は奇策を断念するべきである。

 ジョンソン氏が造反議員を党の除名処分としたため、与党の議席数は半数を割った。閣僚の辞任など混乱は広がっている。政府は、EUと協議を始めるためにも議会と関係を修復せねばなるまい。

 EUとの対立点は英領北アイルランドとEU加盟国アイルランドとの国境管理問題だ。容易に解決策を見いだしがたく、1カ月余りでまとめるのは困難であろう。

 英国が3カ月の期限延期をEUに申し入れることが現実的だ。

 EU側は、英国が代替案を提示するよう促しており、提示されない限りは妥協に応じる用意はないとしている。これまで2回延期に応じてきた経緯もあり、英国への不信感は強い。

 だが、強行離脱による混乱はEUも避けたいはずである。延期を認め対話を重ねることが肝要だ。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年09月14日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【卓上四季】:諫早湾干拓

2019-09-14 05:05:45 | 【裁判(最高裁・高裁・地裁、裁判員制度・控訴・冤罪・再審請求、刑法39条】

【卓上四季】:諫早湾干拓

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【卓上四季】:諫早湾干拓

 今年1月に亡くなった哲学者の梅原猛さんが書き下ろしたスーパー狂言「ムツゴロウ」は札幌でも上演された。人間国宝の狂言師、茂山千作さんらによる円熟の芸をご覧になった方もおられよう▼干潟をつぶして造成されたゴルフ場に生き残ったムツゴロウ一家と、トビハゼ、シオマネキなど干拓で殺された魚介類の怨霊が、人間に復讐(ふくしゅう)する物語だ。題材となったのは、諫早湾干拓事業である▼この事業を巡っては、水質の異変を理由に、湾を閉め切った堤防水門の「開門」を求める漁業者と、塩害を心配して反対する農家の対立が続く。多くの訴訟が起こされ、相反する判決がそれぞれ確定していたが、きのうの最高裁判決でもねじれ状態は決着しなかった▼これは司法で解決できる問題ではあるまい。そもそも、諫早湾干拓は「止まらない巨大公共事業」の見本である。戦後の食糧難時代にコメ増産のため計画され、コメが余れば「畑作」「防災」と看板が掛け替えられた。見直す機会は何度もあったが、農林水産省はかたくなだった▼諫早出身の詩人、伊東静雄が「有明海の思ひ出」で「夢みつつ誘(いざな)はれつつ/如何(いか)にしばしば少年等は/各自の小さい滑板(すべりいた)にのり/彼(か)の島を目指して滑り行つただらう」とうたった干潟はもはや瀕死(ひんし)の状態だ▼農水省という「こけ」の一念が、干潟を壊し、有明海を壊し、共生してきた漁師と農家の関係を壊した。2019・9・14

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【卓上四季】  2019年09月14日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:ゴンドラ事故 これで再開は許されぬ

2019-09-14 05:05:40 | 【不慮の事故・自動車事故・予期せず、意図せず、発生する惨事、火災他】

【社説①】:ゴンドラ事故 これで再開は許されぬ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:ゴンドラ事故 これで再開は許されぬ 

 札幌市の「札幌もいわ山ロープウェイ」のゴンドラが鉄塔に衝突した事故で、当初は軽傷2人と発表していた負傷者が、重傷の恐れがある1人を含む計7人に上っていたことが分かった。

 運営する札幌市の第三セクター・札幌振興公社がこの事実を発表してこなかったことは、隠蔽(いんぺい)を疑われても仕方あるまい。

 負傷者の人数をはじめとする人の生命、身体に関わる情報の管理は安全運行の基本となるものだ。運輸事業者として、危機意識が欠落していると言うほかない。

 事故を巡っては、北海道運輸局への報告や公表の遅れといった不手際が続いている。

 これでは乗客の安心を得ることはできず、運輸局は運行再開を認めるべきではない。公社は安全第一の基本に立ち返り、一から出直す覚悟で組織の再生に取り組まなければならない。

 公社は8月24日の事故翌日、2人が打撲などの軽傷を負ったと発表した。ところが、その後、けがの届け出が相次ぎ、乗員1人と乗客4人の負傷が判明したという。

 このうち乗客の1人は、ひざの半月板を損傷したとみられる。

 公社は「けがの人数の把握が難しかった」と説明するが、事故から記者会見まで10日が経過していた。この間に届け出た人もおり、会見で公表すべきだった。

 公社は、ロープを巻き上げるモーターのセンサーが誤作動したのに加え、制動距離が通常より短く設定されていたことが事故原因とみて、近く運輸局に報告し、運転を再開する構えを見せる。

 ただ、センサーが過負荷を検知して非常停止するトラブルは2015年以降に5回も起きている。

 今回の事故は、これまでとどう違うのか。原因をきちんと究明し、対策を講じてこなかったツケが表れた。

 公社は札幌市が8割を出資し、元副市長が社長を務めるなど、市OBの天下り先になっている。

 しかも、ロープウエーは円山動物園を上回る年間90万人もの来場者数を誇る。他に競合相手もなく、左うちわでもうけが出る「ドル箱」的な施設といえる。

 こうした要因が積み重なり、緩みが生じていないか。公社を指導、監督する札幌市の責任は重い。

 秋元克広市長は公社について「後手に回っている印象がある」と人ごとのように語る。だが観光を経済の柱とし、宿泊税導入などを検討する札幌市こそが率先して公社の立て直しを図る必要がある。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年09月13日  05:05:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:鉄道の計画運休 ルール整備が不十分だ

2019-09-14 05:05:35 | 【災害・地震・津波・台風・竜巻・噴火・落雷・豪雪・大雪・暴風・土石流・気象状況】

【社説②】:鉄道の計画運休 ルール整備が不十分だ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:鉄道の計画運休 ルール整備が不十分だ 

 台風対策で鉄道の運転を見合わせる「計画運休」が増えている。

 今週初め、台風15号が首都圏を直撃した際にも、JR東日本や私鉄各社が計画運休を実施した。

 ただ、多くの路線で再開に遅れが生じ、一部の駅で長蛇の列ができるなど、270万人超が混乱に巻き込まれた。乗客への情報発信が十分だったとは言い難い。

 一方で、利用者の側も是が非でも出社せねばならない人がどれほどいたのか、災害時の対応に検討の余地があろう。

 今後も台風は発生し、道内では真冬に暴風雪も起きる。今回の反省を踏まえ、政府や鉄道各社は不断の検証が欠かせない。

 乗客の混乱回避のため、社会全体でルールを整える必要がある。

 首都圏の大規模な計画運休は昨年9月以来だ。前回は日曜夜に運転をやめ、月曜始発の再開方針だったが、設備点検に時間がかかり、駅の外まで人があふれた。

 これを受け、国土交通省は、48時間前に計画運休の可能性を公表し、24時間前に詳しい情報提供を行うよう鉄道会社に求める指針をまとめた。

 今回、JR東日本関係者は「風の威力が強すぎた」とするが、想定が甘過ぎはしなかったか。

 再開は午前8時の予定で駅に乗客が押し寄せたが、線路上の倒木撤去などに手間取った。再開予定は余裕を持たせるべきだろう。

 さらに計画運休の判断や情報発信は各社ばらばらだった。乗客目線での各社横断的な対応の検討が求められる。

 利用者側も災害時に備えた働き方を事前に決めておきたい。

 大規模な計画運休は2014年のJR西日本が最初とされ、大阪本社の大手菓子メーカーは公共交通機関のダイヤが乱れ続けると出社しなくてもいいという規定を設けるなど先進事例もある。

 大災害が予想される中で出社する社員が事故に遭えば、企業の責任が問われかねない。災害時の出社ルールを決めると同時に、一人一人の意識向上も必要だ。

 外国人観光客への課題も浮き彫りになった。昨年は3119万人に達し、政府は4千万人を来年の目標に掲げている。

 東京五輪・パラリンピックを控え、対策が急がれよう。

 JR東日本はホームページや駅の表示板では多言語で発信したが、会員制交流サイト(SNS)は間に合わなかった。ホスト国として携帯型の通訳機を使うなど、きめ細かな対応が不可欠だ。

  元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年09月13日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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【卓上四季】:中秋の名月

2019-09-14 05:05:30 | 【社説・解説・論説・コラム・連載】

【卓上四季】:中秋の名月

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【卓上四季】:中秋の名月 

 私を月へ連れてって、星の間で遊ばせて―。往年のラブソング「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」は、歌詞を訳せば、こんなふうに始まる▼クリント・イーストウッド監督が老いた宇宙飛行士たちの友情と冒険を描く映画「スペースカウボーイ」(2000年)のラストシーンで歌われた。月面が映る画面に高らかに響き、忘れられない印象を残す▼この曲がヒットした1960年代半ばの米国は、人間を月へ送るアポロ計画の途上にあった。やがてアポロ11号で人類が初めて月に降り立ち、それから50年後の今年、世界で月探査のブームが起きている▼1月には、中国が月の裏側への着陸を初めて成功させた。インドも7月、旧ソ連、米国、中国に続く4カ国目の成功を目指し、無人月探査機を打ち上げたが、先日、着陸に失敗したようだ。各国の狙いは水資源らしい。月で水を確保できれば、さらに遠い星を目指す宇宙開発で主導権を握れるとの読みがあるという▼こよいは十五夜。空気が澄んだ中秋の名月には、やはり友情や恋がふさわしく、争いや覇権とは無縁であってもらいたい▼八木重吉の「月」を思い出す。「月にてらされると/ひとりでに遊びたくなってくる/そっと涙をながしたり/にこにこしたりしておどりたくなる」。29歳で夭折(ようせつ)した叙情詩人は月を眺めるだけで満足だった。行ってみたいなどとは夢にも思わなかったろう。2019・9・13

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【卓上四季】  2019年09月13日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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