路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【国連】:小泉進次郎環境相がデビュー、脱炭素化呼び掛け

2019-09-23 08:26:30 | 【環境問題(公害・排ガス・治水・産廃・水俣病・アスベスト・有機フッ素化合物

【国連】:小泉進次郎環境相がデビュー、脱炭素化呼び掛け

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【国連】:小泉進次郎環境相がデビュー、脱炭素化呼び掛け 

 小泉進次郎環境相は22日、米ニューヨークの国連本部で開かれた環境関連会合でスピーチし、日本での「脱炭素社会」実現に向けた取り組みを紹介、各国政府に行動を呼び掛けた。就任後初の外遊で、この日が国連デビューとなった。

国連本部で開かれた環境関連会合でスピーチする小泉環境相(共同)

  国連本部で開かれた環境関連会合でスピーチする小泉環境相(共同)

 東京都などが2050年までに二酸化炭素の排出量を実質ゼロにするとの目標を掲げているとした上で「都市の脱炭素化は重要だ」と強調。「私たちの都市、国、世界の脱炭素化を一緒に達成したい」と訴えた。

 スピーチは英語で実施。3分ほどで具体的な政策は含まれず、慎重な内容となった。小泉氏は会合後「自然体でできた」と振り返った。

 小泉氏は23日にはグテレス国連事務総長が呼び掛けた「気候行動サミット」に出席するほか、滞在中に各国の閣僚と会談する。(共同) 

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・国連・環境省】  2019年09月23日  08:26:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【小泉環境相】:「言いそうなこと」投稿が大喜利状態

2019-09-23 08:26:20 | 【環境問題(公害・排ガス・治水・産廃・水俣病・アスベスト・有機フッ素化合物

【小泉環境相】:「言いそうなこと」投稿が大喜利状態

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【小泉環境相】:「言いそうなこと」投稿が大喜利状態 

 父親譲りの熱のこもった演説で知られる小泉進次郎環境相だが、よく聞くと意味が通らない発言が目立つとツイッター上で話題になっている。「赤を上げて、白を下げないとどうなると思いますか?そう、赤と白が、上がるんです」といった小泉氏が「言いそうなこと」を想像した投稿が相次ぎ、面白さを競い合う「大喜利」状態だ。

 「年末年始。年の瀬。師走。こういう言葉を聞くたびにね、いつもこう思ってきました。もうすぐ新年だな、と」「皆さん、私は、みなさんに、12時の7時間後は7時であり、19時でもあるということを真剣にお伝えしたい」。これらはハッシュタグ(検索目印)「#進次郎さんにキリッと朗読してほしいコメント」を付けたツイートの一部だ。「最高!」「声を出して笑ってる」などの感想も寄せられている。

小泉進次郎環境相(2019年9月12日撮影)

     小泉進次郎環境相(2019年9月12日撮影) 

 小泉氏は11日の環境相就任後、発言が報じられる機会が増加。福島県いわき市で17日、記者団に東京電力福島第1原発事故による汚染土の最終処分場について問われた際には「30年後の自分は何歳か、発災直後から考えていた。健康でいられたら(県民との)その30年後の約束を守れるかどうかの節目を見届けることができる政治家だと思う」と答えた。

 この発言を捉えて「30年後、私は何歳になっているんだろうか。これ、誰にもわからないと思いますよ」との書き込みも。「本家ほど意味不明のことを言ってる人はまだいない!本家つよいな!」と面白がる人もいた。

 政治アナリストの伊藤惇夫さんは「話術は優れているが中身は空疎だ。原発事故の汚染水についても謝罪はしたが、国や環境相として今後どう対応するかが発言からは分からない」と指摘。「国会答弁などで真価が問われるのはこれからだ」と注目する。

 「小泉進次郎の話す力」の著作があるハリウッド大学院大の佐藤綾子教授(パフォーマンス心理学)は「話し方が回りくどくなるのは、足をすくわれないための防衛反応だ。用意して臨む会見では明瞭に話すが、突然の質問の場合、真意を明らかにしない姿勢は大臣になっても変わらないだろう」と話している。(共同)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・政局・環境省】  2019年09月22日  18:08:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【災害】:台風17号勢力保ち北日本へ 日本海側は大しけに

2019-09-23 07:46:30 | 【災害・地震・津波・台風・竜巻・噴火・落雷・豪雪・大雪・暴風・土石流・気象状況】

【災害】:台風17号勢力保ち北日本へ 日本海側は大しけ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【災害】:台風17号勢力保ち北日本へ 日本海側は大しけ 

 大型の台風17号は23日、暴風域を伴い速度を上げて日本海を進んだ。今後、温帯低気圧に変わるが、勢力を保ったまま24日未明ごろ北日本を通過する見通し。西日本から北日本の日本海側を中心に暴風や大しけとなるとみられ、気象庁が警戒を呼び掛けた。

 24日にかけて予想される最大風速(最大瞬間風速)は中国、近畿、北陸25メートル(35メートル)、九州北部、四国、東北、北海道23メートル(35メートル)、東海18メートル(30メートル)、関東、伊豆諸島17メートル(30メートル)。波の高さは九州北部、中国、北陸、東北6メートル、四国、近畿、東海、北海道5メートル。高潮や塩害にも注意が必要だ。

 24日午前6時までの24時間予想雨量は多い場所で東海180ミリ、北海道150ミリ、関東甲信、東北100ミリとなっている。

 台風17号は、23日午前6時には松江市の北北西約100キロを時速約50キロで北東に進んだ。中心気圧は990ヘクトパスカル、最大風速は30メートル、最大瞬間風速は40メートルで、中心から半径170キロ以内では25メートル以上の暴風域になっている。(共同)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【災害・台風・竜巻】  2019年09月23日  07:46:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【茨城県】:住宅で夫婦死亡、殺人容疑で捜査

2019-09-23 07:16:30 | 【事件・未解決事件・犯罪・疑惑・詐欺・闇バイト・旧統一教会を巡る事件他】

【茨城県】:住宅で夫婦死亡、殺人容疑で捜査

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【茨城県】:住宅で夫婦死亡、殺人容疑で捜査 

 23日午前0時40分ごろ、茨城県境町若林の住宅から、女性の声で「助けて」と110番があった。境署員らが駆け付けると、住人の夫婦が心肺停止状態で見つかり、現場で死亡が確認された。遺体には切り傷があり、境署は殺人事件とみて捜査を始めた。

 境署によると、夫婦は子ども3人との5人暮らし。子どもらもけがをした恐れがあるとして病院に運ばれたが、命に別条はない。夫婦は2階の寝室で発見され、首や顔などに鋭利な刃物で切られたような痕があった。(共同) 

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【事件・犯罪・疑惑】  2019年09月23日  07:16:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【政府】:マイナンバーカード普及躍起、2100億円予算計上

2019-09-23 06:15:56 | 【税制・納税・減税・年収「103万円の壁」・ふるさと納税・物納・脱税・競売】

【政府】:マイナンバーカード普及躍起、2100億円予算計上

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政府】:マイナンバーカード普及躍起、2100億円予算計上 

 国内に住む全ての人に割り当てられた十二桁の個人番号「マイナンバー」を活用しようと、政府が二〇二〇年度予算の概算要求に少なくとも二千百億円の関連経費を計上したことが分かった。総務省は、個人情報を記載したマイナンバーカードの発行経費を中心に千八百億円を要求。本年度の約七倍に上り、一向に浸透しないカードの普及を急ぐ政府の姿勢が浮き彫りになった。 (大野孝志)

 総務省は、地方公共団体情報システム機構(J-LIS)への発行委任経費の名目で八百四十億円を要求。市区町村が申請窓口に職員を配置する経費の補助などとして六百五十億円を計上した。カード保有者がキャッシュレス決済をした際にポイントを上乗せする項目も盛り込んだ。金額は今後、詰める。

 法務省は本年度の二・六倍の九十九億円を要求し、戸籍事務とマイナンバーの連携に充てる。内閣官房は同一・四倍弱の五十六億円を、キャッシュレス決済のポイント上乗せなどオンラインサービスに必要な「マイナポータル」の整備などに使うとしている。

 政府は二三年三月に、ほとんどの住民がカードを持つことを目指している。菅義偉(すがよしひで)官房長官を議長とするデジタル・ガバメント閣僚会議は今年六月、「マイナンバー制度のメリットをより実感できるデジタル社会を早期に実現する」と表明した。

 同会議は、二一年三月から医療機関で健康保険証としてカードを使えるようにするなどの普及策を提示。また、お薬手帳や教員免許状、職員証、大学の学生証、運転経歴証明書、障害者手帳などとの一体化も進めるとしている。

 ◆<マイナンバーカード>

 マイナンバーと顔写真、氏名、住所、生年月日が記録されたICカード。2016年1月に運用が始まった。市区町村が住民から申請を受け、発行は地方公共団体情報システム機構(J-LIS)に委任する。国は住民票の写しをコンビニで取れるといったメリットを強調する一方、今月17日現在の発行枚数は1784万枚と、人口の14%にとどまっている。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 政治 【政策・国内に住む全ての人に割り当てられた十二桁の個人番号「マイナンバー」の普及】  2019年09月23日  06:15:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【日本政府】:北ミサイル探知できず、低高度や変則軌道

2019-09-23 06:15:52 | 【北朝鮮・朝鮮半島・拉致問題・独裁・朝鮮総連・朝鮮学校】

【日本政府】:北ミサイル探知できず、低高度や変則軌道

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【日本政府】:北ミサイル探知できず、低高度や変則軌道 

 北朝鮮が五月以降、発射を繰り返した短距離の新型ミサイルに関し、日本政府が複数回、発射後の軌道を探知できなかったことが二十二日、分かった。複数の関係者が明らかにした。日本を射程に収める可能性があるミサイルも含まれていた。低い高度や変則的な軌道のため捕捉できなかったとみられる。日本政府は北朝鮮が既存のミサイル防衛網の突破を目指していると分析しており、技術開発の進展に危機感を強めている。 

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 韓国軍は探知に成功したとみられる。日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA=ジーソミア)破棄が日本の安全保障に影響を及ぼす懸念も広がりそうだ。早期の探知ができなければ迎撃が困難になる上、着弾に備えた避難警報や被害拡大を防ぐ対応も後手に回る。

 関係者によると、北朝鮮が五~九月、計十日間にわたって発射した飛翔(ひしょう)体は以前と形状や性能が異なっていた。ほとんどが通常より低い高度六十キロ以下で飛行し、日本海側で警戒に当たる海上自衛隊のイージス艦や日本に配備された航空自衛隊のレーダーで探知できない事例が出た。探知は発射地点や軌道からの距離に影響されるため、韓国の方が捉えやすい。

 防衛省や韓国軍によると、この期間に発射されたのは(1)新型短距離弾道ミサイル「KN23」(2)米国の戦術地対地ミサイル(ATACMS)と似た新型ミサイル(3)多連装ロケット砲-など。

 このうちロシア製の高性能弾道ミサイルに酷似したKN23は日本にも届く恐れがある。変則的な軌道で知られ、今回捕捉できなかった事例の中に含まれていた。

 日本は北朝鮮が今後、技術開発を一層進めると警戒。低高度もカバーするため複数のイージス艦を運用することや、レーダー機能の強化を急ぐなど対応を検討している。 (共同)

  元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 政治 【政策・防衛省・外交・北朝鮮】  2019年09月23日  06:15:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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【小泉進次郎環境相】:熱い迷言? よく聞くと意味不明… 「言いそうなこと」盛り上がるネット

2019-09-23 06:15:48 | 【環境問題(公害・排ガス・治水・産廃・水俣病・アスベスト・有機フッ素化合物

【小泉進次郎環境相】:熱い迷言? よく聞くと意味不明… 「言いそうなこと」盛り上がるネット

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【小泉進次郎環境相】:熱い迷言? よく聞くと意味不明… 「言いそうなこと」盛り上がるネット 

 父親譲りの熱のこもった演説で知られる小泉進次郎環境相=写真=だが、よく聞くと意味が通らない発言が目立つとツイッター上で話題になっている。「赤を上げて、白を下げないとどうなると思いますか?そう、赤と白が、上がるんです」といった小泉氏が「言いそうなこと」を想像した投稿が相次ぎ、面白さを競い合う「大喜利」状態だ。

写真

 「年末年始。年の瀬。師走。こういう言葉を聞くたびにね、いつもこう思ってきました。もうすぐ新年だな、と」「皆さん、私は、みなさんに、十二時の七時間後は七時であり、十九時でもあるということを真剣にお伝えしたい」。これらはハッシュタグ(検索目印)「#進次郎さんにキリッと朗読してほしいコメント」を付けたツイートの一部だ。「最高!」「声を出して笑ってる」などの感想も寄せられている。

 小泉氏は十一日の環境相就任後、発言が報じられる機会が増加。福島県いわき市で十七日、記者団に東京電力福島第一原発事故による汚染土の最終処分場について問われた際には「三十年後の自分は何歳か、発災直後から考えていた。健康でいられたら(県民との)その三十年後の約束を守れるかどうかの節目を見届けることができる政治家だと思う」と答えた。

 この発言を捉えて「三十年後、私は何歳になっているんだろうか。これ、誰にもわからないと思いますよ」との書き込みも。「本家ほど意味不明のことを言ってる人はまだいない!本家つよいな!」と面白がる人もいた。

 政治アナリストの伊藤惇夫さんは「話術は優れているが中身は空疎だ。原発事故の汚染水についても謝罪はしたが、国や環境相として今後どう対応するかが発言からは分からない」と指摘。「国会答弁などで真価が問われるのはこれからだ」と注目する。

 「小泉進次郎の話す力」の著作があるハリウッド大学院大の佐藤綾子教授(パフォーマンス心理学)は「話し方が回りくどくなるのは、足をすくわれないための防衛反応だ。用意して臨む会見では明瞭に話すが、突然の質問の場合、真意を明らかにしない姿勢は大臣になっても変わらないだろう」と話している。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 政治 【政策・環境省・国連】  2019年09月23日  06:15:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

                                                 

 

 
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【社説①】:週のはじめに考える 「自由」の自由取り戻す

2019-09-23 06:10:40 | 【人権・生存権・同性婚・人種差別・アイヌ民族・被差別部落・ハンセン病患者】

【社説①】:週のはじめに考える 「自由」の自由取り戻す

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:週のはじめに考える 「自由」の自由取り戻す 

 自由という言葉からは、しなやかさを連想します。ですが最近「表現の自由」は縮こまっているように感じます。こわばりをほどく方法を考えました。

 戦後七十年の二〇一五年、本紙の取材班は一人の男性の戦後を追いました。信州大学教授だった故島田美成さん。息子にも語らなかった戦中の過去がありました。

 生活をありのままに描く指導法が「共産主義を広める」として、北海道の旭川中学の教員や教え子など二十人以上が治安維持法違反容疑で逮捕された生活図画事件。東京美術学校(現東京芸大)を卒業し、徴兵されていた同中学出身の島田さんもその一人でした。

 ◆秘めた思いがノートに

 事件について調べている東京芸大講師の川嶋均さんが昨秋、遺族の家から一冊のノートを発掘しました。当時の取材ではつかむことのできなかった島田さんの胸の内がつづられていました。

 「汚穢(おわい)船」と題された随筆は、昭和十三年ごろ、隅田川で糞尿(ふんにょう)を運搬する船を見た思い出話で始まります。「人間が喰(た)べるものと出すもののための労働である」。当時、二十代だった島田青年は、そんな感想を抱きながら、川べりで船を眺めていたのです。石炭も船で運搬されていました。陸地へは人がかごにいれて運んでいたのが、やがて機械が導入されたことに触れ「だんだん労働から人間を必要としなくなる時代の始めのような感じがした」と記しています。

 美校時代に描いたそれらの船や千葉・松戸の農民、水戸の海岸の漁民のスケッチはすべて「軍法会議(裁判)で没収されてしまった」とあります。「法律というものはいつでも国家のものであって、庶民のものでないと強く思うのである」

 ◆ナショナリズムの内実

 ノートに記された日付によれば、随筆が書かれたのは一九九〇年代後半。半世紀たっても残る悔しさが生々しく伝わります。

 今夏、名古屋市で開かれていた企画展「表現の不自由展・その後」が開催から数日で打ち切りとなりました。旧日本軍の慰安婦を象徴した少女像の展示などに抗議が殺到し、その中には脅迫と思われるものも含まれていました。

 近年、憲法や戦争などにまつわる展示や講演会に、行政が「政治的中立性」を理由に後援しなかったり、作品の撤去を要請したりする事例も相次ぎます。戦前の治安維持法とは違い、一種の「空気」によって、意見の分かれる問題について考えたり議論したりする場が縮まっていきかねない風潮に懸念を覚えます。民主主義の足腰の強さにかかわります。

 第二次世界大戦が終わった一九四五年、英国人作家ジョージ・オーウェルは「ナショナリズム覚え書き」という随筆で、異論を認めぬような心のこわばりの根源を見つめようとしています。

 オーウェルは、すべての人間の活動が監視され、日記を付けることも禁止された全体主義社会を描いた小説「1984」で知られますが、行動の人でもありました。

 下級官吏の家に生まれ、名門イートン校を卒業後、英国統治下のインドの一部だったビルマで警官となります。帝国主義に幻滅して職を辞した後は、ロンドンやパリのスラム地区で暮らし、最底辺で生きる人々の苦境をルポルタージュに記しました。スペイン内戦には民兵として身を投じます。

 このスペイン内戦でオーウェルは、戦争の記憶はそれぞれの立場で都合良くとらえられ、歴史が改ざんされる危うさを感じます。

 「私たちみんなの心にあって」「その思考を誤らせるいくつかの傾向」の正体を突き止めることを目的に随筆は書かれました。ここではナショナリズムの意味は自国を愛することにとどまりません。自国を嫌うことも、他の特定の国に入れ込むことも、さらには平和主義も含まれます。当時、平和主義者を名乗っていた人たちは、必ずしも分け隔てなく暴力に非難を向けているわけではなく、特定の大国に批判を向けていると、オーウェルの目には映っていました。

 共通するのは、「個人よりも巨大な何かに仕えているという意識」によって生み出される、「自分が正しい側にいるという揺るぎない信念」です。「巨大な何か」を国家に限らなければ、大きな物語に寄り掛かって安心しようとする心のありようは程度の差こそあれ、多くの人が経験しているのではないでしょうか。

 ◆小さな物語を自ら紡ぐ

 「自由」にしなやかさを取り戻す一歩は、大きな物語の居心地よさになるべく寄り掛からず、小さな物語を自ら紡ぎ出す営みかもしれません。それは例えば隅田川でスケッチしたり、日記に思いを刻んだりするような。 

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年09月22日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【筆洗】:ロバがライオンの皮をかぶって歩きまわり、他の動物を震え上がらせていた。

2019-09-23 06:10:36 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

【筆洗】:ロバがライオンの皮をかぶって歩きまわり、他の動物を震え上がらせていた。

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【筆洗】:ロバがライオンの皮をかぶって歩きまわり、他の動物を震え上がらせていた。

 キツネがニセライオンの声を聞いてその正体をあっけなく見抜く。「おまえがいななくのを聞かなければ、オレだって怖がっただろうがね」。イソップの「ライオンの皮をかぶったロバ」である。だまされた動物たちはさぞや、怒っただろう▼イソップはこう結ぶ。「まやかしの外見でひとかどの者と思われるものの、自分のおしゃべりで化けの皮がはがれる者がいる」▼ロバは鳴き声のせいで、化けの皮がはがれたが、その首相は若いころの卒業アルバム写真によって「本性」と政治家としての資質を疑われている。カナダのトルドー首相(47)である▼問題になっているのは二十九歳当時に撮影された写真。トルドーさん、顔と手を黒か茶色に塗っている。アラビアンナイトがテーマのパーティーでアラジンの扮装(ふんそう)をした時の一枚らしい▼二十九歳では若気の至りでとは言いにくい。欧米では顔を茶色や黒で塗るような扮装は黒人をからかっており、人種差別的と見なされる。若くて清廉、女性や先住民族出身者を閣僚に積極起用するリベラルの人。そのイメージは一枚の写真によって大きく崩れた。来月二十一日に迫る総選挙を前に支持率は急降下している▼正直に過ちを謝罪したが、短期間に信頼を取り戻すのはアラジンの魔法のランプでも難しいか。 

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【筆洗】  2019年09月22日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【首相の一日】:9月21日(土)

2019-09-23 06:10:32 | 【政策・閣議決定・予算・地方創生・能動的サイバー防御・優生訴訟・公権力の暴力】

【首相の一日】:9月21日(土)

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【首相の一日】:9月21日(土) 

 【午前】来客なく、東京・富ケ谷の私邸で過ごす。

 【午後】6時55分、東京・元代々木町のピザ店「エンボカ東京」。増岡聡一郎鉄鋼ビルディング専務、籔本雅巳錦秀会グループ最高経営責任者(CEO)、昭恵夫人らと会食。9時58分、私邸。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 政治 【政局・首相の一日】  2019年09月22日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:ラグビーW杯 ノーサイド堪能しよう

2019-09-23 06:10:28 | 【スポーツ全般・屋内外の競技種目・オリ、パラ、デフリンピック・国民スポーツ大会】

【社説①】:ラグビーW杯 ノーサイド堪能しよう

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:ラグビーW杯 ノーサイド堪能しよう 

 ラグビーのワールドカップ(W杯)が開幕し、日本は初戦でロシアを破った。アジアでは初の開催である。民族の枠を超えて集う選手たちの熱い戦いと、試合後のノーサイド精神を堪能したい。

 ラグビーW杯の代表選考は国籍に縛られない。日本代表のメンバーにもニュージーランドやトンガ、韓国などさまざまな国から来た選手が入っている。

 それぞれの事情で来日し日本代表を選択した選手と、日本で生まれ育った選手らが融合。悲願のベスト8入りを目指す。

 ラグビーの試合が終了することを日本ではノーサイドと表現する。ノーサイドには激しくぶつかり合った試合が終わった後、お互いの健闘をたたえ合うとの意味が込められている。

 実はこの言葉は海外であまり使われていない。日本人のラグビー関係者やファンがその意味に共感し、使い続けた言葉でもある。

 もちろん海外の選手たちにもノーサイド精神は深く浸透している。試合が終わった後、選手たちが握手を求める姿や笑顔を見てほしい。勝敗にかかわらず、相手チームや審判団に尊敬と感謝の意を示す選手たちの、誇り高き姿が確認できるはずだ。

 優勝候補筆頭のニュージーランド代表が試合前に行うハカにも注目してほしい。マオリ民族の伝統舞踊だ。自らを鼓舞し、戦う相手と先住民族への畏敬の念を込め、選手は鬨(とき)の声を上げながら舞う。

 アパルトヘイト(人種隔離)を乗り越え一九九五年の自国開催で初登場した南アフリカ代表には、今回初の黒人キャプテンが誕生した。日本代表のキャプテンでニュージーランド出身のリーチ選手は、日本国籍を取得している。

 違う国、別々の文化で育った選手たちは、自ら選んだジャージーを着て戦う。そこには偏狭な民族意識は存在しない。共に戦う仲間と相手への敬意が常に息づいているからだろう。

 もちろん課題もある。今大会は、東京都調布市、横浜市、愛知県豊田市、埼玉県熊谷市、静岡県袋井市など十二都市で試合が行われる。大観衆の誘導や会場までのアクセスに問題はないか。海外からのファンへの配慮は足りているか。難しいルールの説明は分かりやすいか。

 大会は四十四日間と長丁場だ。不備があるなら直ちに修正すれば十分間に合う。選手たち同様大会を支えるボランティアを含むスタッフたちにも激励を送りたい。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年09月21日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:社会保障改革 政権の覚悟が問われる

2019-09-23 06:10:24 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【社説②】:社会保障改革 政権の覚悟が問われる

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:社会保障改革 政権の覚悟が問われる 

 安倍晋三首相が内閣改造に当たり「大胆に構想する」と宣言した社会保障制度。政府がきのう集中的に検討する会議の初会合を開いた。「将来の安心」を得る改革に、政権を挙げて取り組むべきだ。

 首相はきのうの初会合で、全世代型社会保障への改革を「最大のチャレンジだ」と位置付け、「社会保障全般にわたる持続可能な改革を検討していく」と、意気込みを語った。

 ならば必ず向き合わなければならない課題がある。

 少子高齢化の進展で今後、医療や介護の費用は増大する。年金も給付を抑えていくしかない。

 その状況下では、給付の削減や負担の増加などの「痛み」をどう分かち合うのかという「負担の分配」の議論を避けて通れない。これが一つ目の課題である。

 特に、費用の増大が著しい医療保険は負担増が最大の課題だ。

 検討会議では、七十五歳以上の窓口負担を今の一割から二割に引き上げるかどうかが論点となる。

 介護保険も、介護サービスの自己負担の引き上げなどが焦点となる。年金は制度の支え手を増やす対策などを考えねばならない。

 検討会議は年内に中間報告、来年夏に最終報告をまとめる方向だが、これらの検討項目は目新しいものではない。団塊世代が七十五歳以上となる二〇二五年を見据えた改革議論の中で既に指摘され、先送りされてきたものだ。

 新しい会議を設けた以上、二つ目の課題が加わる。

 二五年を乗り越えるための制度の見直しは、一二年に旧民主、自民、公明三党の「社会保障と税の一体改革」合意で取り組まれた。消費税増税の税収を財源にして制度を立て直すものだった。

 今、議論すべきはその先だ。高齢者数がピークに近づく四〇年を前に対策を迫られている。必要な費用は今より増える。認知症の高齢者が増える一方で、介護を支える人材が不足する。担い手の確保にも知恵を絞らねばならない。

 その財源をどう確保するのか。十月に消費税率は10%に引き上げられるが、首相は「今後十年くらい」はさらなる増税の必要性を否定している。だとしたら、消費税以外の税や保険料による財源確保の検討も避けられない。

 制度をどうつくり直し、納得できる給付と負担のバランスをどう実現するのか。将来像を示す責務が、政府にはある。この難題と向き合う覚悟なくして「大胆に構想する」ことなどできはしまい。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年09月21日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【筆洗】:二人の女が一人の赤ん坊をめぐって、自分こそ母だと言い争っている。

2019-09-23 06:10:20 | 【中国・共産党・香港・一国二制度・台湾・一帯一路、国家の個人等の権利を抑圧統治】

【筆洗】:二人の女が一人の赤ん坊をめぐって、自分こそ母だと言い争っている。

  『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【筆洗】:二人の女が一人の赤ん坊をめぐって、自分こそ母だと言い争っている。

 難しい裁きをゆだねられた王は考えた。剣で二つに切り分けよ。そう命じると、子どもはいらないから命を救ってほしいと一人が叫んで、本物が明らかになった▼「ソロモンの審判」として知られる物語は聖書にある。その英明ぶりが語り継がれる古代イスラエルの王ソロモンの知恵をたたえる話は、大岡越前の「大岡裁き」の挿話に影響したとも言われる▼知恵の王の伝説に、国名の由来があるソロモン諸島は、南太平洋の比較的新しい国である。台湾と中国のどちらを選ぶか。審判ならぬソロモン諸島の選択は、難しい裁きだっただろう。ずっと国交があった台湾と断交し、中国との国交樹立を決めた▼報道によれば、中国からの経済援助が政権にとって、抗しがたい力となったという▼人口六十万人余りという国ではあるが、オーストラリアなどをにらみ、米国にも圧力を効かせる戦略的に重要な位置を占めているようにみえる。かつて日本軍も上陸した。米軍との悲惨な戦いの地ガダルカナルは、諸島で最大の島だ▼太平洋やカリブ海に外交関係のある国がある台湾は、断交のドミノ化をおそれている。昨日、太平洋の島国キリバスと台湾との断交が明らかになったが、追随を思わせる出来事である。平和が似合う島嶼(とうしょ)国に、荒波を思わせる選択が続く。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【筆洗】  2019年09月21日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【首相の一日】:9月20日(金)

2019-09-23 06:10:16 | 【政策・閣議決定・予算・地方創生・能動的サイバー防御・優生訴訟・公権力の暴力】

【首相の一日】:9月20日(金)

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【首相の一日】:9月20日(金) 

 【午前】9時5分、官邸。14分、西村明宏官房副長官、北村滋国家安全保障局長、外務省の秋葉剛男事務次官、森健良外務審議官、鈴木量博北米局長、高橋克彦中東アフリカ局長、鈴木秀生国際協力局長。50分、復興推進会議。10時7分、閣議。42分、防災功労者表彰式。記念撮影。11時17分、北村国家安全保障局長、外務省の秋葉事務次官、森外務審議官、鈴木北米局長、高橋中東アフリカ局長。22分、北村国家安全保障局長、外務省の秋葉事務次官、森外務審議官、滝崎成樹アジア大洋州局長、鈴木北米局長。27分、北村国家安全保障局長、外務省の森、金杉憲治両外務審議官、鈴木北米局長、山上信吾経済局長、武内良樹財務官、田中繁広経済産業審議官、藤井直樹国土交通審議官。32分、北村国家安全保障局長、外務省の森外務審議官、高橋中東アフリカ局長。54分、西村康稔全世代型社会保障改革担当相、田和宏内閣府審議官、太田充財務省主計局長、新原浩朗経産省経済産業政策局長。

 【午後】1時43分、吉井和視自民党和歌山県連幹事長ら。57分、秋葉外務事務次官。2時42分、全世代型社会保障検討会議。3時32分、西村官房副長官、山田真貴子総務審議官、外務省の森、金杉両外務審議官、大鷹正人外務報道官、山田重夫総合外交政策局長、正木靖欧州局長、大沢誠農林水産審議官、田中経産審議官、藤井国交審議官、西田安範防衛審議官。4時50分、中国成立70周年の祝賀レセプションに向けたビデオ収録。5時46分、東京都調布市の味の素スタジアム。6時30分、ラグビー・ワールドカップ(W杯)日本大会開会式を観覧。7時47分、開幕戦の日本-ロシア戦を観戦。秋篠宮ご夫妻、麻生太郎副総理兼財務相、森喜朗元首相、森重隆日本ラグビー協会会長ら同席。10時、日本代表選手を激励。33分、東京・富ケ谷の私邸。 

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 政治 【政局・首相の一日】  2019年09月21日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:東電旧経営陣に無罪 「人災」の疑問は残る

2019-09-23 06:10:12 | 【原発事故・東電福島第一・放射能汚染・デプリ・処理水の海洋放出と環境汚染

【社説①】:東電旧経営陣に無罪 「人災」の疑問は残る

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:東電旧経営陣に無罪 「人災」の疑問は残る 

 東京電力の旧経営陣は「無罪」-二〇一一年の福島第一原発事故で検察審査会が強制起訴した裁判だった。本当に予想外の事故だったのか疑問は残る。

 事故の三年前まで時計の針を戻してみよう。国の地震予測である「長期評価」に基づく津波の試算が最大一五・七メートルにのぼるとの報告がなされた。東電社内の会合で元副社長に「『(津波想定の)水位を下げられないか』と言われた」-担当していた社員は法廷で驚くべき証言をした。元副社長は否定し、「そもそも長期評価は信頼できない」と反論した。

 ◆「力が抜けた」と証言

 社員は「津波対策を検討して報告するよう指示された」とも述べた。だから、その後、防潮堤を造る場合は完成までに四年を要し、建設に数百億円かかるとの報告をしている。元副社長は「外部機関に長期評価の信頼性を検討してもらおう。『研究しよう』と言った」と法廷で応じている。

 てっきり対策を進める方向と思っていた社員は「想定外の結論に力が抜けた」とまで証言した。外部機関への依頼は、対策の先送りだと感じたのだろう。実際に巨大津波の予測に何の対策も講じないまま、東電は原発事故を引き起こしたのである。

 この社員は「時間稼ぎだったかもしれないと思う」「対策工事をしない方向になるとは思わなかった」とも証言している。

 社員が認識した危険性がなぜ経営陣に伝わらなかったのか。あるいは対策の先送りだったのか。これはぬぐえぬ疑問である。

 旧経営陣の業務上過失致死傷罪の責任を問うには(1)原発事故との因果関係(2)大津波などが予見できたかどうか(3)安全対策など結果回避義務を果たせたか-この三点がポイントになる。

 ◆電源喪失予測もあった

 東京地裁は争点の(2)は「敷地高さを超える津波来襲の予見可能性が必要」とした。(3)は「結果回避は原発の運転停止に尽きるが、原発は社会的有用性があり、運転停止だと社会に影響を与える」ため、当時の知見、社会通念などを考慮しての判断だとする。

 原発ありきの発想に立った判決ではないか。「あらゆる自然現象の想定は不可能を強いる」とも述べたが、それなら災害列島に原発など無理なはずである。

 宮城県に立地する東北電力女川原発との違いも指摘したい。女川原発が海抜一五メートルの高台に建てられたのは、八六九年の貞観地震を踏まえている。だから東日本大震災でも大事には至らなかった。

 〇八年の地震予測「長期評価」が出たときも、東北電力は津波想定の見直しを進めていた。ところが、この動きに対し、東電は東北電力に電子メールを送り、津波対策を見直す報告書を書き換えるように圧力をかけた。両社のやりとりは公判で明らかにされた。

 「危険の芽からは目をそらすな」-それは原発の事業者にとって常識であるはずだ。旧ソ連のチェルノブイリ事故が示すように、原発でいったん事故が起きれば被害は極めて甚大であり、その影響も長期に及んでしまう。

 それゆえ原発の事業者は安全性の確保に極めて高度な注意義務を負う。最高裁の四国電力伊方原発訴訟判決でも「(原発の)災害が万が一にも起きないように」と確認されていることだ。

 「最大一五・七メートルの大津波」という重要なサインが活(い)かされなかったことが悔やまれる。〇四年にはスマトラ沖地震の津波があり、インドの原発で非常用海水ポンプが水没し運転不能になった。〇五年の宮城県沖地震では女川原発で基準を超える地震動が発生した。

 これを踏まえ、〇六年には旧経済産業省原子力安全・保安院と電力会社による勉強会があった。そのとき福島第一原発に敷地高一メートルを超える津波が来襲した場合、全電源喪失から炉心損傷に至る危険性が示されている。

 勉強会が活かされたらとも悔やむ。防潮堤が間に合わなくとも電源車を高台に配備するなど過酷事故対策が考えられるからだ。福島第一原発の非常用電源は地下にあり、水没は容易に発想できた。国会事故調査委員会では「明らかな人災」と厳しく非難している。

 今回の刑事裁判は検察が東電に家宅捜索さえ行わず、不起訴としたため、市民の検察審査会が二度にわたり「起訴すべきだ」と議決したことによる。三十七回の公判でさまざまな事実関係が浮かんだ意義は大きい。

 ◆地震の歴史は繰り返す

 安全神話が崩れた今、国の原発政策に対する国民の目は厳しい。歴史は繰り返す。地震の歴史も繰り返す。重大なサイン見落としによる過酷事故は、やはり「人災」にも等しい。繰り返してならぬ。苦い教訓である。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年09月20日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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