【東京地裁】:目黒虐待死「人生やり直して下さい」母親に懲役8年
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【東京地裁】:目黒虐待死「人生やり直して下さい」母親に懲役8年
昨年3月、東京都目黒区で船戸結愛(ゆあ)ちゃん(当時5)が死亡した事件で、保護責任者遺棄致死罪に問われた母親優里被告(27)に東京地裁は17日、懲役8年(求刑懲役11年)の判決を言い渡した。
弁護側は元夫・雄大被告(34)からの心理的DVを訴え、懲役5年が相当と主張したが、「心理的支配が強固だったとはいえない」と判断した。雄大被告の初公判は10月1日に開かれる。
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守下実裁判長から「懲役8年は大変重い刑です。結愛ちゃんは戻ってきませんが、こうなってしまったことを裁判が終わってからもしっかり考えて下さい。人生をやり直して下さい」と説諭されると、優里被告は初めてうなずき、小さく「はい」と答えた。
初公判で号泣のあまり過呼吸状態になり、被告人質問で「死にたい」と泣き崩れた優里被告はこの日、「懲役8年に処す」と主文を言い渡されても、判決理由で「大好きだった実の母である優里被告からも苛烈な食事制限を受け、やせ細り、嘔吐(おうと)し、意識も薄れ、重篤な状態になってもなお医療措置を受けさせてもらえないまま、死亡するに至った結愛ちゃんの苦しみ、悲しみ、絶望感は察するにあまりある」と説明されても、全く表情を見せなかった。
焦点は雄大被告からの心理的DVだった。16年4月の結婚直後から雄大被告に子育てを否定され、連日、長時間、説教された。守下裁判長は「洗脳された状態」「説教や虐待がひどくなると思い、従ってしまった面は否定できない」と心理的DVの影響は認めたが、離婚をほのめかしたり、雄大被告に長男を連れて外出するように言うこともあったとして「心理的な支配が強固だったとまではいえない。最終的には自らの意思で指示を受け入れ、従っていた」と断じた。
目黒に引っ越す前の18年1月4日、結愛ちゃんの体重は16・66キロだった。それが1日汁物1杯という過酷な食事制限で、死亡時はあばら骨が浮かび、12・2キロまでやせ細った。上京した1月23日から亡くなる3月2日まで39日間で結愛ちゃんが外出したのは2回。2回ともごみ捨てだった。「もうお願い ゆるして ゆるしてください」と結愛ちゃんが懸命に書いたノート片を見ても、犯行をやめなかった雄大被告の初公判は10月1日、開かれる。【中嶋文明】
元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・裁判】 2019年09月17日 20:18:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。