路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【HUNTER】:麻生太郎の落日 ― 最大の政敵が初入閣 

2019-09-12 10:10:50 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【HUNTER】:麻生太郎の落日 ― 最大の政敵が初入閣 

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER】:麻生太郎の落日 ― 最大の政敵が初入閣  

 11日、第4次安倍再改造内閣が発足した。留任は麻生太郎副総理兼財務相と菅義偉官房長官だけ。茂木敏充経済再生担当相が外相に、河野太郎外相が防衛相にそれぞれ横滑りした他、総務相に高市早苗氏が厚生労働相に加藤勝信氏が再登板、残る13のポストを初入閣組が占めた。
 電撃結婚で世間をあっと言わせた小泉進次郎氏の環境相就任や、メダリストでもある橋本聖子参院議員の五輪担当相など話題には事欠かない新内閣だが、組閣人事が固まった直後から、麻生氏の影響力低下を指摘する声が上がっている。

麻生太郎.png 

 ■崩れたパワーバランス
 総理大臣経験者である麻生が、政権の柱として安倍首相を支えてきたのは周知の事実。派閥の領袖でもある麻生の協力がなければ、安倍の長期政権はなかったと言っても過言ではあるまい。

 「セクハラ罪という罪はない」「子どもを産まなかったほうが問題」「医療費を、健康に努力している俺が払うのはあほらしくてやってられん」――麻生の数々の失言、暴言が度々政権の足を引っ張ったが、お咎めは一切なし。財務省の文書偽造や事務次官のセクハラは、当然大臣が責任を取るべき“事件”だったが、安倍は麻生を更迭できなかった。麻生が閣外に去れば、政権の土台が揺らぐからに他ならない。
 
 官邸を菅が、党を幹事長の二階俊博が掌握することによって築かれたのが安倍長期政権。麻生は政権の重しであり続けてきた。3人の実力者が時に協力し合い、牽制するという、パワーバランスで成り立っていたのが安倍政権。じつは、その構図が崩れかけているのだという。

 ある自民党の国会議員は、次のように解説する。
「総理は、これまで支えてもらった麻生さんに感謝はしているが、傲慢な態度に辟易しているのも事実だ。春の福岡県知事選挙で麻生さんのメンツをたてて新人に推薦を出したが、結果は惨敗。夏の参議院選挙に、マイナスの影響しか与えなかった。普通に勝てたはずの新潟で議席を失ったのも、麻生さんの子分の参議院議員が知事選の応援でバカな忖度発言をしたからだ。懲りないというか、自覚が足りないというか、失言・暴言が止まらない。参議院が(憲法改正の発議に必要な)3分の2を割った責任の一端は、間違いなく麻生さんにある。『いい加減にしてくれ』というのが総理の本音だろう。だから、麻生さんとしては認められない人事が、まかり通った。菅さん二階さんの力がまさった結果とも言える」

 ■武田氏初入閣の意味
 自民党議員が言う「麻生さんとしては認められない人事」とは、福岡県選出で二階派の武田良太衆院議員が初入閣したことと、麻生派の河野太郎氏が外相から防衛相に横滑りし閣内に残ったことだという。

 武田氏と麻生氏は、誰もが知る犬猿の仲。中選挙区時代の旧福岡4区でぶつかり合っていた2人は、小選挙区制になって戦場が分かれた後も、事あるごとに対立してきた。それぞれの選挙区内における首長選や地方議員の選挙では、両陣営が候補者をたてての激しい争い。2016年に行われた衆院福岡6区の補選でも、麻生と武田が代理戦争を繰り広げた。決着を見たのが、今年4月の福岡県知事選挙である。

 事前調査で、圧倒的有利との結果を得ていたのは現職の小川洋知事。自民党推薦は小川氏で決まるとみられていた。その小川知事を支援する態度を鮮明にしていたのが武田であり、麻生と距離を置いてきた山崎拓元自民党副総裁。常識的には「現職推薦」決まるところを、反小川で動いていた麻生が力業で覆す。

 小川の県政運営を批判してきた麻生は、「推薦が取れなければ閣僚を辞める」と首相に直談判して官僚出身の新人に党の推薦を取り付けたのだ。県連幹部も驚く逆転劇だったが、福岡の有権者は麻生の理不尽な手法に猛反発する。

 結果、麻生が推した新人の知事候補は、小川に約95万票もの差をつけられて惨敗。あまりの票差に責任を問う声も上がったが、麻生は党県連最高顧問を辞任するという「痛くも痒くもない責任の取り方」(自民党関係者)でお茶を濁す。国政の場でも無責任、地元でも無責任――。麻生に対する評価は、下がる一方だ。

 そんな麻生だが、プライドだけは人一倍。知事選で現職勝利を主導した武田を、許すはずがない。もちろん、入閣などもってのほか。これまでも麻生は、武田の入閣を阻んできたと言われており、当選6回を数える二階幹事長側近も、大臣の椅子は遠いとみられていた。ところが、その武田が国家公安委員長として初入閣したのである。ある自民党の関係者は、驚き顔でこう話す。  
「これまで、武田氏の入閣を阻んできたのは麻生さんだ。武田氏への憎悪で凝り固まっている麻生さんが、武田氏の入閣を容認するはずがない。その武田氏が国家公安委員長――。武田氏を推した二階さんや菅さんが勝ったとも言えるが、むしろ麻生さんの力が落ちた、というべきだろう。知事選の惨敗で、(麻生氏の)福岡県内での求心力も確実に低下した。永田町でも、ということになれば、麻生さんの晩年は暗いな」

 ■衰えた麻生の力 
 今回、麻生派から入閣したのは麻生本人を含め3人。そのうちの一人が外相から防衛相に横滑りした河野太郎だ。喜んでいいはずだが、この人事も麻生にとっては心外なものだったらしい。

 衆参合わせて50人を超える勢力の麻生派(正式名称は「志公会」)の悩みの種は、次の総理・総裁候補が育っていないこと。当選13回の麻生の次に位置するのは12回の大島理森衆院議長(派閥離脱中)と甘利明元経済再生担当相で、若返りは到底無理だ。次の世代で知名度があるのは河野ということになるのだが、いかんせん派内での人望がない。麻生としては、いったん河野を閣外に出して“閥務”に専念させたい意向だったという。ところが、麻生の願いを無視した形で安倍が河野を一本釣りし、防衛相に就任させてしまった。永田町の古参秘書は、「麻生さんの力が落ちた証拠」と断言する。

 安倍と麻生は組閣を前にした今月8日、安倍の私邸で1時間半にわたって話し合ったという。麻生は当然、武田の入閣阻止を強く主張し、河野の起用も考えなおすように迫ったはずだ。しかし、武田は国家公安委員長兼防災担当相として念願の初入閣。河野は防衛相として閣内にとどまった。元総理の力に、衰えが見えているのは確かだ。

 元稿:HUNTER 主要ニュース 政治・社会 【社会ニュース】  2019年09月12日  10:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【HUNTER】:福岡知事選 “A級戦犯”  麻生・大家に厳しい批判

2019-09-12 10:10:40 | 【選挙・衆院選、参院選、補選・都道府県市町村長・地方議会・公職選挙法・買収事件】

【HUNTER】:福岡知事選 “A級戦犯”  麻生・大家に厳しい批判

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER】:福岡知事選 “A級戦犯”  麻生・大家に厳しい批判 

 福岡県内に11ある衆議院の選挙区で、すべての議席を占めている自民党が、推薦候補を擁立した県知事選挙で惨敗した。新人を登用する形で引導を渡したはずの現職に、95万票もの差をつけられるという最悪の負け方である。
 現職が大幅にリードしていた事前調査の結果を無視して保守分裂を招いたのは、麻生太郎副総理兼財務相とその子分、大家敏志参議院議員。責任をとって議員を辞めるのかと思いきや、最高顧問やら県連選対委員長といったどうでもいいような役職の辞任でお茶を濁そうという魂胆だ。
 当然、県内の自民党関係者から猛烈な批判が出ている。

麻生太郎.png

 ■「A級戦犯は麻生さんと大家」
 潔かったのは県連会長の蔵内勇夫県議会議員。敗戦が決まった7日の夜には、「責任はすべて県連会長の私にある」として辞任の意向を表明した。

 ある自民党関係者によると、県連が元厚生官僚の武内和久氏を知事候補に決めるところから党本部の正式推薦に至るまで、蔵内氏は蚊帳の外状態。1月30日に党本部に呼ばれた際は、甘利明選対委員長がから「武内推薦」と聞かされ驚きを隠せなかったのだという。
「蔵内会長は、県連会長の立場で知事選に付き合っただけだろう。武内推薦を主導したのは麻生さんであり、その子分の大家だ。この二人はA級戦犯。県議の中村(明彦)、松本(国寛)あたりがB級戦犯だろう。特にタチが悪いのは大家。とにかく横柄で、こいつだけは許せない。反麻生の機運が盛り上がったせいで、苦戦したり、落選した仲間もいる。麻生さんと大家は、議員辞職して党員に詫びるべきだろう」

 もともと武内氏は大家議員の高校の後輩。旧知の仲だ。麻生副総理の意向を受けたこともあり、大家氏は武内推薦を強引に進めた。自民党県連が知事候補の公募を開始したのは昨年の12月21日で、最終期限が28日。KBCの番組にギリギリまで出演していた武内氏が県連の公募に応じたのは12月28日で、翌29日には大家氏が選対委員長としてが武内氏を推薦候補に決定していた。取材に応えた県連関係者は、この点について厳しい批判を口にする。
「たった1日で知事選の候補を決めたことなんて、ただの一度もなかったはずだ。選考過程に瑕疵はないということになっているが、そんなこと誰も信じてないだろう。候補者選考は大家の独り舞台。ハナから、じっくり選ぼうという気などなかった。だいたい、公募することを決めるかなり以前から、武内で決まっていたんだから。みんな知っていて、大人の対応をしているだけ。麻生さんに忖度して(笑)」

 大家氏の強引なことの運び方には早い段階から反発の声が上がっていたが、知事選惨敗を受けて言葉もきつくなっている。中堅県議は言う。
「大家の選挙は3年後。支援する県会議員は、一けたいるかいないかという状況になるだろう。麻生さんが引退でもすれば、大家が公認を得ることさえ難しくなるんじゃないか。それくらい反発を買っているし、『大家だけは許さない』と公言する関係者は少なくない。虎の威を借るなんとやらで、威張り散らかしてきたが、度が過ぎた。県連の選対委員長なんて軽い役職。辞めて責任をとったことにはならない。大家は議員辞職すべきだ」

 ■蘇る奥田県政時代
 大家氏への批判を口する自民党関係者は、いずれも「大家」と呼び捨て。さすがに元総理の麻生氏には「さん」がつくが、同氏が県連の最高顧問を辞任するという話には手厳しい反応がほとんどだ。古参県議はこう吐き捨てた。
「ふざけてる。県連の最高顧問なんて名誉職で、辞めたからといって責任をとったことにはならない。今後どうなるか分からないが、福岡の自民党が県政野党になったのは確か。奥田革新県政(*)以来の屈辱だ。負けると分かっていた武内を推薦するよう安倍首相にねじ込んだのが最大の間違いで、結果、保守分裂を招いた。夏の参院選に影響が出るのは必至。麻生さんが、やったことの重大性に気付いていないとすれば、ただの老害だろう。引退されたほうがいい」
(*奥田革新県政:1983年から1995年まで、3期にわたって社会党と共産党が支持した奥田八二氏氏が知事を務めた) 

 1983年から3期続いた奥田県政は、野党会派だったその頃の福岡自民にとっては暗黒時代。今回の知事選では6人の自民党衆議院議員と2人の自民系県議が小川洋知事を支援したため当時の様相とは異なるが、麻生や大家に付き合って武内推薦を容認した県議団が野党化したことは確か。多難が予想される小川県政に、奥田県政時代をダブらせる関係者は少なくあるまい。“私怨”から、こうした状況をもたらした麻生副総理に、厳しい批判が集まるのは当然なのである。

 元稿:HUNTER 主要ニュース 政治・社会 【社会ニュース】  2019年04月11日  06:45:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 
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【HUNTER】:麻生財務相の“四面楚歌”

2019-09-12 10:10:30 | 【選挙・衆院選、参院選、補選・都道府県市町村長・地方議会・公職選挙法・買収事件】

【HUNTER】:麻生財務相の“四面楚歌”

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER】:麻生財務相の“四面楚歌” 

 今年4月に予定される福岡県知事選挙の推薦候補者選定を巡って、麻生太郎副総理兼財務相が四面楚歌の状態に陥りつつある。
 武田良太衆院議員や山崎拓元自民党副総裁など小川洋現知事を推す勢力と、テレビコメンテーターで元官僚の武内和久氏を県連の候補として選んだ麻生陣営の争いは、「推薦」の決定権を持つ党本部の裁定を待つ展開に――。情勢調査は「小川57、武内11」という結果だったとされ、麻生派以外の国会議員や県議らは冷ややかな目で推移を見守っている。それでも「今月28日に武内の党推薦が決定する」と強気の構えを崩さない麻生氏。元総理が暴走する理由とは……。

 ■危うくなった「28日推薦決定」
 「28日」に武内氏の推薦が決定するという麻生氏の主張には、何の根拠もない。今月27日は山梨県知事選の投開票。選挙戦は、自民、公明が支持する長崎幸太郎元衆院議員と立憲民主、国民民主両党が推薦する現職の後藤斎氏による事実上の一騎打ちとなっており、両候補の競り合いが続いている。自民党幹部によれば、この山梨県知事選の結果を待って他の選挙の方針を決める予定で、28日にいきなり「小川か武内か」の結論が出るわけではないといい、来月10日に予定される党大会まで選考がずれ込む可能性もあるという。

 「28日に武内推薦が決まる」という麻生氏の主張が崩れた場合、どうなるのか。ある自民党県連関係者は、次のように話す。
「北九州市長選も、県知事選も、そして夏の参議院選挙でも候補者擁立に失敗したことになる。麻生さんの求心力は著しく低下するだろう。それでは困るから武内を推薦無しでも知事選に出すと言っている。負けても知名度が上がるから、無所属でも参院選が戦えると考えているんだろう。世の中はそんなに甘くないのに……」

 別の県連関係者は、28日に武内氏の推薦が決まらなかった場合のことについて、こう語る。
「麻生さんが、『党本部の武内推薦は大丈夫だ』というから、県連はここまで付き合った。28日が来月10日以降に延びたとしても、党本部が“小川知事推薦”ということになれば、麻生さんに責任を取ってもらわなければならない。県連と党本部の対立を煽ったのは麻生さんであり、みんな元総理の面子を立てただけ。県連としては党本部の決定に従うのが筋で、それに逆らって武内を支援する議員はいないだろう。党本部が小川知事の推薦を決めるということは、麻生さんが(小川氏を推す)菅(義偉)官房長官や二階(俊博)幹事長との権力闘争に敗れたことを意味する。中央での求心力も落ちる一方となるだろう」

 ■孤立する麻生
 老いた実力者のわがままが自民党組織を振り回している構図だが、じつは福岡県内でも麻生氏は孤立している。麻生派以外で武内氏を推す派閥はないのだが、地元でもその横暴ぶりに批判の声が強まっており、県医師会や農政連は小川氏支持。麻生氏にとっては、厳しい事態となっている。そもそも、福岡県内11選挙区で議席を持つ自民党議員のうち、麻生派は本人を含めて3人しかいないのだ(下の表参照)。

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 石原派は小川知事を支持する山崎元副総裁が創業した派閥。岸田派の実質的なオーナーは、やはり小川支持の古賀誠元幹事長だ。反麻生の急先鋒である武田氏と6区の鳩山二郎衆院議員は、早い段階で「小川支持」を打出した二階幹事長の派閥。9区の三原朝彦衆議院議員も小川支持である。ぞれぞれの代議士と関係の深い系列県議が、麻生氏の言いなりに「武内支持」で動く可能性は皆無に近く、仮に武内氏が無所属・無党派で知事選に出馬しても、表立って支援するのは少数の国会議員と県議ということになる。中央でも地元でも孤立する麻生氏――。まさに「四面楚歌」といったところだろう。老いた権力者が、晩節を汚す姿は哀れでもある。

 ◆下品な国会みやげ     2018年5月14日 13:39

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 永田町にある議員会館の地下売店には、歴代首相の似顔絵が入った湯のみやカップの他、国会に関連する菓子類など様々な土産物がある。写真はその中の一つ。

 どう見ても、今や女性の敵となったセクハラの擁護者、麻生太郎を主役にしたものだ。国会もずい分と下品になった。

 元稿:HUNTER 主要ニュース 政治・社会 【政治ニュース】  2019年01月24日  07:25:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【HUNTER】:“太郎と渡” 福岡県政を私物化するダブル麻生の「老害」 

2019-09-12 10:10:20 | 【選挙・衆院選、参院選、補選・都道府県市町村長・地方議会・公職選挙法・買収事件】

【HUNTER】:“太郎と渡” 福岡県政を私物化するダブル麻生の「老害」 

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER】:“太郎と渡” 福岡県政を私物化するダブル麻生の「老害」  

 福岡県知事選についての取材で会う政界関係者や報道機関の記者たちが、さかんに「老害」という言葉を口にするようになった。耳障りな言葉ではあるが、うなずかざるを得ない。
 小川洋知事の3選阻止を目指し、麻生グループの一員で元厚生官僚の武内和久氏に自民党推薦を取り付けた麻生太郎副総理兼財務相。その強引な手法に批判が集まるなか、今度は前知事の麻生渡氏が武内氏の後援会長に就任し、小川県政を誕生させた“ダブル麻生”がそろって「反小川」の先頭に立つ形となった。太郎氏78歳、渡氏79歳――。傘寿を前にした二人の老人が、県政を私物化する状況は異常だ。

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 ■小川降ろしは「私怨」 
 今月8日、麻生渡前知事が福岡市内で記者会見し、武内和久氏の後援会長に就いたことを公表した。新聞報道によれば、小川氏について「積極的な政策が見当たらない。生ぬるい政策を続けると、遅れた県になる」と批判。2期目のスタート時に政策的な助言をしたにもかかわらず、「期待した政策が出なかった」ことを武内支持の理由に挙げたという。何のことはない、「自分の言うことを聞かないから辞めさせる」というわけだ。一体、何様のつもりなのだろう。
 
 そもそも小川洋氏は、太郎・渡のダブル麻生が知事に据えた人物だ。2010年、福岡県町村会を巡る汚職事件で当時の副知事が逮捕・起訴されるなど、4期16年に及んだ麻生県政の歪みが顕在化。翌11年の知事選では、蔵内勇夫自民党県議団会長(当時。現・県連会長)を知事候補として推す県連内の声を麻生太郎が抑え、引退する渡氏が小川氏を後継に指名した。小川氏は、京都大学卒業後に通産省に入省し、特許庁長官を務めるという麻生前知事とまったく同じ経歴。前知事も太郎財務相も、小川氏をコントロール可能な相手としか考えていなかった。

 ところが、知事に就任した小川氏は恩ある両人からの進言でも間違っていると思えば拒否する性格。ダブル麻生の操り人形にはならなかった。小川氏とダブル麻生の関係が崩れたのは2016年に行われた衆院福岡6区の補欠選挙からだとされるが、実はそれ以前からかなりギクシャクしていたという。ある自民党関係者は、ダブル麻生が“反小川”に転じたのは「2期目に入っていた2016年の春頃から」だったと断言した上で、こう話す。
「6区補選の時、麻生さんは『(選挙の応援に)呼んでも小川は来ないだろう』と分かっていた。補選は、小川降ろしに走るきっかけになっただけだ。本当の理由は別にあるが、私的な理由であることは確か。まあ、西日本新聞が書いたように“私怨”だね。麻生渡も同じ。コントロール不能となった後輩に、憎しみが募ったんだな。だから、二人の麻生からは小川じゃダメだという納得できる理由が出てこない。当然、武内を担ぐ大義もない」

 ■ダブル麻生に自民内からも厳しい批判
 これまで、麻生財務相や麻生渡前知事から「小川洋のどこが知事として不適格なのか」という疑問に答える説明がなされたことは一度もない。財務相は高島宗一郎福岡市長との比較論ばかりだし、前知事は「自分の言うことを聞かなかった」が、現職不支持の理由だ。しかし、代わりに出してきた武内氏については未知数であり、なぜ彼が自民党の推薦候補なのかも判然としない。「実績」がないから当然だろうが、武内氏について現時点でハッキリしているのは、「ダブル麻生の言うことをよく聞く」人物であるという点だけだ。

 2度にわたって小川氏を知事に推したのは自民党であり、麻生財務相も渡前知事も、2期目の知事選までは同じ姿勢だった。関係悪化はその後。つまり、小川氏が独自色を出していく過程で溝ができたということになる。財務相と前知事は、そろって“鳴かぬなら、殺してしまえ”の性格。しかし、県政は県民のためにあるのであって、ダブル麻生のためにあるのではない。「俺の言うことを聞かないなら辞めさせる」というガキの論理を福岡県政に持ち込んだ両人の行為は、まさに「老害」と呼ぶしかない。

 ある自民党の県議会議員は、匿名を条件に次のように話している。
「麻生前知事は、町村会事件で追い詰められて引退した。町村会の元会長からゴルフ接待などを受けていたのではないかという疑惑も残ったままで、この点については県議会でも追及された。自民党県連が、麻生県政の色を消そうとしたのは事実だろう。その麻生渡が、小川は言うこと聞かないから今度は武内を知事にしろと言う。冗談じゃない。麻生渡に乗っかっては、県議会としての筋が通らない。彼が後援会長をやるというのなら、私は武内を支援しない。麻生太郎にしても、党の重鎮だからといって筋が通らないことをやってはダメ。太郎も渡も県政にとっては老害だ」

 元稿:HUNTER 主要ニュース 政治・社会 【社会ニュース】  2019年02月12日  09:05:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

 
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【HUNTER】:保守分裂の福岡で有権者無視の麻生シナリオ 

2019-09-12 10:10:10 | 【選挙・衆院選、参院選、補選・都道府県市町村長・地方議会・公職選挙法・買収事件】

【HUNTER】:保守分裂の福岡で有権者無視の麻生シナリオ ■知事選踏み台 参院選で事実上の2人擁立

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER】:保守分裂の福岡で有権者無視の麻生シナリオ ■知事選踏み台 参院選で事実上の2人擁立 

 今年4月の予定される福岡県知事選挙の推薦候補者選定を巡って、小川洋現知事を推す勢力と、テレビコメンテーターの元官僚・武内和久氏を選んだ反小川陣営の駆け引きが激化。情勢調査の結果を重視するという自民党本部の裁定を前に、それぞれの関係者が「武内で決まり」(自民党参院議員)、「小川以外の選択肢はない」(同党衆院議員)などと、自陣営の優位さをアピールする状況になっている。
 保守分裂の知事選が確実となりつつある中、麻生太郎財務相を中心とするグループが支える武内氏に関し、夏の参院選にも影響を及ぼす驚きのシナリオが囁かれ始めた。

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 ■麻生派の強硬姿勢
 昨年12月に武内氏を知事候補に選んだ自民党福岡県連選対委員長の大家敏志参院議員や麻生財務相は強気の姿勢で、今月中には武内氏が党の推薦候補に決まると公言している。麻生氏と安倍晋三首相が会談し、武内氏を党の推薦候補とすることを首相が認めたというのだ。裏付けのない話だとして一笑に付す関係者の方が多いが、なぜか麻生陣営は自信満々だ。

 一方、3選を目指す小川知事を推す国会議員らは党本部が実施する情勢調査の結果に自信を示す。「誰が考えたって、(調査すれば)現職の勝ちだよ。そもそも、小川さんに失政はない。『小川じゃダメだ』と言ってるのは、麻生太郎と麻生渡(前知事)だけ。武内を強引に候補者に決めた選対委員長の大家にしたって、麻生派だから親分へのご機嫌取りで大騒ぎしているだけなんだ。県民の多くは、麻生一派が小川さんをいじめているとしか見ていない。県議たちが、これ以上太郎のわがままに付き合っていると、春の党一地方選を控えて自分たちの票が減りかねない。武内を本気で推す国会議員や県議がいるとは思えない」(県連関係者)。

 たしかに、党本部周辺の情勢を取材してみると、圧倒的に小川支持ばかり。麻生派以外の派閥の議員たちは、「武内って誰だ?」(九州地方選出の参院議員)というのが実情だ。武内氏を推薦候補に選んだ自民党県連にしても、決して一枚岩ではない。

 小川氏支持の姿勢を鮮明にしているのは、二階俊博幹事長の側近である武田良太衆院議員(福岡11区)と三原朝彦衆院議員(福岡9区)、これに古賀誠元幹事長、山崎拓元副総裁、太田誠一元農相といった重鎮が加わっている。古賀氏は福岡7区、山崎氏は福岡2区、大田氏は福岡3区に後継議員を抱えており、小川陣営は全11選挙区の内、5つの選挙区を押えている形だ。二階派に籍を置く福岡6区の鳩山二郎氏も小川支持で動くとみられており、そうなると過半数の選挙区を小川支持派が固めることになる。

 県内の情勢調査を実施すれば、結果は大差で「小川」ということになるだろう。どう考えても現職有利の状況なのだが、麻生氏は楽観視しているという。何故か?

 ■有権者を愚弄する麻生シナリオ
 ここにきて囁かれているのが、武内氏を巡ってのあるシナリオ。敗戦を承知で武内氏を知事選に出馬させ、知名度を上げたうえで、そのまま参院選になだれ込むというのだ。その場合は「無所属」で、首尾よく当選したら追加公認をもらう筋書きなのだという。実際、武内氏は自民党の推薦を得られない場合でも「知事選に出馬する」と明言しており、“知事選を踏み台に参院選”という有権者を愚弄するような話が現実味を帯び始めている。

 自民党は、公明党側との話し合いで、福岡選挙区の自民公認を一人に絞ることを約束している。しかし、麻生財務相は依然として「2人公認」という主張を引っ込めていない。北九州市長選で候補擁立に失敗し、知事選と参院選でも自前候補の擁立ができないとなれば、麻生氏の求心力低下は免れない。メンツを保つために知事選を混乱させ、県連組織を分裂させかねない状況に追い込む麻生氏の所業が、有権者を軽んじる安倍政治に重なって見える。

 元稿:HUNTER 主要ニュース 政治・社会 【社会ニュース】  2019年01月15日  08:55:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 
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【僭越ながら論】:「ブラック政権」を象徴する安倍、麻生の下卑た笑い

2019-09-12 10:10:00 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

 【僭越ながら論】:「ブラック政権」を象徴する安倍、麻生の下卑た笑い

 『漂流日本の羅針盤』: 【僭越ながら論】:「ブラック政権」を象徴する安倍、麻生の下卑た笑い

abe_asou.jpg 歴代の首相で、野党側の質問中に相手をここまで見下した人はいなかったろう。薄汚い笑い、卑しい笑み、ニヤけ笑い――この笑い方をどう表現すればよいのか。筆者の表現力では追い付かないほどの、負の感情を沸き上がらせる笑い顔だった。
 安倍晋三首相と麻生太郎財務大臣――この現、元首相の2人が今月26日の衆議院予算委員会で見せた笑いは、この国の政治が堕ちるところまで堕ちたという意味において、分かりやすい見世物だった。
(写真は26日の衆議院予算委員会。衆議院HPより)

 ■捏造データ、笑い飛ばす安倍・麻生
 2月26日の衆院予算委員会。希望の党代表の玉木雄一郎氏は、与党が今国会で成立を目指す「働き方改革法案」について質問に立った。最大の争点となっているのは、裁量労働制をめぐる議論だ。

 野党各党が問題視しているのは、議論の前提になるデータがそもそも誤りだったということ。誤りというより捏造と言うべきだろうが、厚労省は、裁量労働制で働く労働者が一般的な働き方をする労働者より残業時間が短いとするデータを提出していた。一般労働者の労働時間が9時間37分であるのに対し、裁量労働制(企画業務型)の労働時間は9時間16分。1月の衆議院予算員会で首相は、「裁量労働制で働く方の労働時間の長さは、平均的な方で比べれば一般労働者よりも短いというデータがある」と答弁していた。

 しかし、政府方針のベースになった「平成25年度 労働時間等総合実態調査」の中で確認できるのは『9:16』の数字だけ。『9時間37分』という数字は、2年後に、まったく違う前提条件で聞き取った数字だったことが発覚する。その後、時間算出の基礎資料となった調査票の数字自体に、信ぴょう性を疑わせるものが数多く存在することも分かっている。

 つまり、裁量労働制をめぐる議論の土台が揺らいだということであり、厚労省の捏造データをもとにした政府答弁の合理性が失われた状況。普通であれば、働き方改革関連法案の提出根拠は砂上の楼閣のごとく崩れ去る、はずだった。しかし、政府・与党は、数の力を背景に今国会で法案を成立させる方針だ。野党はデータ捏造問題を徹底追及することで、法案成立阻止を目指していた。

 その真剣勝負の場で正体をさらしたのが、冒頭にあげた安倍、麻生の両氏。誤ったデータに基づいた法案を提出する妥当性を問うていた玉木氏の質問に対し、安倍首相がこれみよがしの笑顔で何事かつぶやき、麻生財務相は明らかな嘲笑を見せてふんぞり返った。「何を笑う。国民の命に関わる問題だ。許せない!」――激怒する玉木氏。委員会室は一瞬、時を止めた。

 ■国民に向けられた嘲笑
 安倍、麻生の両氏は、自他ともに認める政界サラブレッド。だが、卑しさは生まれや育ちに関係なくその身に宿ることを、両氏の下卑た顔はまざまざと教えてくれた。彼らは何が可笑しかったのか。何を嘲笑の対象としていたのか。

 まずは、玉木議員の追及を笑い飛ばすことで、野党の指摘が取るに足らないもの、間違った指摘であるとの印象を国民に与えたかったのだろう。「笑う」という行為は、時として笑われるものより上位に位置することを誇示する、マウンティングの意味も持つ。議論を避けつつ優位に立つという意味では卑劣な行為であり、一方では議論では勝てないことを認めたに等しい負け犬の行為でもある。

 そして、安倍首相がニヤけ笑いでごまかすしかなかった最大の理由は、働き方改革法案の目的が、本質的には「改革」ではないという事実にある。同法案は、野党から「定額働かせ放題法案」と揶揄されているように、残業代を払わないまま労働者に過酷なノルマを押し付けることに国がお墨付きを与える可能性が高い。

 先進国中、突出して低い給与水準と、サービス残業に代表される社畜を生み出す環境など、日本の財界はいつしか労働者を使い捨てることに躊躇しなくなってきた。その財界と組んで勤労者の残業代を削ろうと目論む「ブラック政権」――。怒りを覚えているのは野党だけではあるまい。

 人口が減り購買能力を持つ層が減るなか、実績を求められる過酷な労働環境で、日本の勤労者は労働の意味を見失いがちだ。生きるための労働が過労死という倒錯した結果をもたらすことに、国はもっと真剣に向き合わねばなるまい。その国のトップと元トップが、国民の暮らしや命まで左右しかねない法案についての国会質疑で、嘲笑を以て質問者を侮蔑したのである。侮蔑の対象が、質問した議員の後ろにいる「国民」であったことは言うまでもない。

 元稿:HUNTER 主要ニュース 【僭越ながら論】  2018年02月28日  08:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 ◆下品な国会みやげ

 永田町にある議員会館の地下売店には、歴代首相の似顔絵が入った湯のみやカップの他、国会に関連する菓子類など様々な土産物がある。写真はその中の一つ。

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 どう見ても、今や女性の敵となったセクハラの擁護者、麻生太郎を主役にしたものだ。国会もずい分と下品になった。

 元稿:HUNTER 主要ニュース 【政治ニュース】  2018年05月14日  13:39:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【第4次安倍第2次改造内閣】:タマネギだらけ! マルチ広告塔、ハレンチ疑惑、…

2019-09-12 09:15:50 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【第4次安倍第2次改造内閣】:タマネギだらけ! マルチ広告塔、ハレンチ疑惑、パワハラ、カジノ脱法献金…チョ・グクに騒ぐマスコミはなぜ追及しない

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【第4次安倍第2次改造内閣】:タマネギだらけ! マルチ広告塔、ハレンチ疑惑、パワハラ、カジノ脱法献金…チョ・グクに騒ぐマスコミはなぜ追及しない 

 「新しい時代の国づくりを力強く進めていくための布陣を整えた」──昨日、第4次安倍第2次改造内閣が発足し、記者会見で安倍首相は新内閣について「自民党は『老荘青』、人材の宝庫です」などと語った。

 「人材の宝庫」って……(苦笑)。この新内閣の実態は、どう見ても「お友だちの不良品一掃内閣」「極右不正政治家集結内閣」だろう。 

 とにかくひどい顔ぶれだが、これを見てまず思い出したのが、最近のワイドショーの報道だ。ワイドショーは、連日、文在寅大統領側近のチョ・グク氏のスキャンダルを取り上げ、法相就任を「日本ではありえない」「異常」などと攻撃してきた。実際、9日放送の『情報ライブ ミヤネ屋』(読売テレビ)では、司会の宮根誠司がこんなことを言い放っていた。

安倍内閣はタマネギだらけ! マルチ広告塔、ハレンチ疑惑、パワハラ、カジノ脱法献金…チョ・グクに騒ぐマスコミはなぜ追及しないの画像1

               首相官邸HPより

 「これ普通、日本だと“疑い”ですよ。家族でもなんでも、なにか“疑い”。怪しいことがあったら、まあ高岡さん(読売テレビ解説副委員長)、日本だったら総理大臣が任命しませんよね、法務大臣に」

 「安倍総理だったら疑惑がある人を大臣なんかに任命しない」って、まったくよく言ったものだ。『ミヤネ屋』をはじめとするワイドショーは、チョ・グク氏が玉ねぎのように皮を剥いても剥いても疑惑が噴出することから名付けられた「タマネギ男」という呼称を嬉々として連発してきたが、はっきり言って、安倍首相によるこの新内閣のほうがずっと「疑惑のある人」だらけの「タマネギ内閣」だろう。 

 まず、国民を舐めきっているとしか思えないのが、再入閣組だ。高市早苗氏は総務相に再任したが、高市氏は総務相だった2016年に“国は放送局に対して電波停止できる”と国会答弁し、大問題に。また、厚労相に返り咲いた加藤勝信氏も、昨年、働き方改革一括法案の国会審議でデータ捏造が発覚した上、インチキ答弁を繰り返したばかりだ。

 この高市総務相の暴言と加藤厚労相のデータ捏造とインチキ答弁は、その段階で大臣を辞任すべき問題だった。だが、安倍首相は側近である両大臣の問題をスルーして続投させ、内閣改造で首を挿げ替えただけ。その結果、こうして問題大臣が同じポストに再び収まったのだ。信じられない人事と言うほかない。

 しかも、この2人には重大な疑惑とスキャンダルもある。高市氏はやはり総務相だった2016年に計925万円の「闇ガネ」疑惑が浮上するなど、カネにまつわる疑惑が数々持ち上がってきた(詳しくは過去記事参照)。さらに、加藤氏は、マルチ商法としてたびたび社会問題化し、昨年経営破綻したジャパンライフの“広告塔”を務めてきた人物。ジャパンライフは史上最大の消費者被害を出した安愚楽牧場に次ぐ被害規模として現在、捜査が進められているが、そんななかで“広告塔”としての責任を問うことなく大臣に再任するなど、まったくもってありえない。

 だが、これはまだ序の口。安倍内閣過去最多の13名となった初入閣組も、かなりの「タマネギ」揃いだ。

 そのひとりが、経産大臣に抜擢された菅原一秀氏。一昨日、本サイトでは、2016年に「週刊文春」(文藝春秋)で元愛人からモラハラ被害を告発され、菅原氏が当時27歳だったこの元愛人に「女は25歳以下がいい。25歳以上は女じゃない」と言い放った挙げ句、「子供を産んだら女じゃない」とまで言っていたという問題について取り上げたが、菅原氏をめぐってはカネの疑惑も取り沙汰されてきた。

 ◆西村康稔・経済再生相、赤坂自民亭、カジノ企業から脱法献金、ベトナムでハレンチ行為も 

 たとえば、2009年には、菅原氏が代表を務める政治団体が発注した高級メロンを、菅原氏の選挙区の有権者90人に贈っていたという公選法違反疑惑を朝日新聞が報道。また、昨年12月にも、菅原氏の後援会が支援者などから会費を集めたバス旅行の収支を政治資金収支報告書に記載していなかったことが発覚。後援会は収支報告書を訂正したというが、小渕優子経産相(当時)は後援会主催の観劇会の収支を不記載にしていたことなどが判明し辞任に追い込まれている。しかも、菅原氏の後援会が収支を不記載にしていたのは2013〜15年、2017年と複数年にわたっており、悪質と言わざるを得ない。

 さらに、菅原氏に輪をかけてひどいのが、内閣官房副長官から経済再生担当相に抜擢された“安倍首相の腰巾着”である西村康稔氏だ。

 西村氏といえば、昨年の「平成最悪」となった豪雨時に例の「赤坂自民亭」に安倍首相と一緒に参加し宴会の模様を嬉々として投稿、〈笑笑 いいなあ自民党〉などと発信、その後は〈自衛隊員約21,000名が人命救助など活動中〉と拡散したが、これはデマで、2万1000人の自衛隊員は待機中にすぎなかったことが判明した件などが記憶に新しいが、忘れてはならないのが、2013年に「週刊文春」で報じられたベトナムで女性を買った疑惑だ。 

 記事によると、西村氏は2012年7月に出張先のベトナムでカラオケ・クラブから7人のホステスを宿泊するホテルのスイートルームに呼び入れ、その後、残った3人と行為におよび、対価としてあわせて600ドル弱を支払ったと、3人のうち2人の女性が証言。このほかにもホテルでの目撃談をはじめ、複数の関係者がこの疑惑を裏付ける証言をおこなっている。

 しかも、この疑惑を追っていた記者に対し、西村氏の私設秘書を名乗り、過去に恐喝未遂容疑で逮捕されたことのある人物が「記事を書けば恥をかくのはお前たちだ」と何度も〈恫喝めいた電話〉をかけてきたとも報じられた。恫喝によって記事を潰そうとしたのが事実ならば、2重の意味で大臣としての資質などあるはずがない。

 また、昨年7月には、米大手カジノ企業「シーザーズ・エンターテインメント」の日本進出におけるアドバイザーである人物が、西村氏をはじめとするカジノ議連所属の国会議員にパーティ券購入というかたちで資金提供していたと報道され、西村氏自身も国会で事実だと答弁。つまり“脱法献金”を受けていたことを認めたのである。

 ◆河井克行法相、元秘書やタクシー運転手へのパワハラ暴行・暴言との証言 

 凄まじい「タマネギ」っぷりの西村氏だが、安倍首相の側近といえば、総裁外交特別補佐を務め、今回、法務大臣に登用された河井克行氏も、元秘書の男性が2016年に傷害事件とパワハラ疑惑を「週刊文春」に証言している。

 この男性は、1999年4〜7月に運転手を兼任するかたちで秘書を務めたが、「運転の仕方や言葉づかいが気にいらんと言っては、(河井氏が)『このやろう』と罵声を浴びせかけ、ハンドルを握る私の左腕めがけて後部座席から革靴のまま蹴ってきよるのです」と言い、そうした結果、全治14日間の大ケガを負ったと告発。「週刊文春」には、当時、病院で撮影されたという写真も掲載、そこには左腕にアザがしっかりと写っている。また、河井氏に “対立候補のポスター剥がし”もやらされたとこの元秘書は証言しているのである。

 しかも、河井氏の疑惑はこれだけにとどまらず、後追いした日刊ゲンダイの記事では、違う元秘書も「私も『国会議員の車の運転席の後ろが汚れてるのはなんでか知ってる? 蹴るためさ』と言われ、途端に恐ろしくなりました」とコメント。河井氏の地元・広島の「第一タクシー」の会長までもが「うちは河井事務所から配車の要請があっても、一切お断りしています。河井先生が乗務員の運転席を蹴るわ、人を人とも思わないような暴言を吐くからです。『もっと速く走れ!』と法定速度以上を出すよう要求され、危うくスピード違反に加担させられそうになった乗務員もいました。もうコリゴリですわ」と証言している。

 元秘書への暴力や「ポスター剥がし」を命じた件などが事実であれば、河井氏が法務大臣を務めることに恐ろしささえ感じずにはいられないが、それは首相補佐官から農水大臣に抜擢された江藤拓氏も同じだ。

 というのも、江藤氏は2016年、当時の森山裕農水相(現・自民党国会対策委員長)や西川公也・元農水相らとともに、TPP(環太平洋経済連携協定)交渉中だった2015年に一般社団法人「日本養鶏協会」(養鶏協)の会長から現金20万円を受け取っていたことが発覚。養鶏協は国内向けのTPP対策予算を狙い、協会幹部からは「鶏卵業界に予算をもらうなら、政治家ともっと密接になったほうがいい」という声が出ていたというが(「週刊朝日」2016年7月15日号/朝日新聞出版)、こんなふうに農水族議員という立場で違法の可能性が高い献金・寄付を受けていた人物に、果たして農水大臣が務まるのか。

 まだある。国家公安委員会委員長となった武田良太氏は、付き合いのあったプラント製造会社の会長に対し「インドネシアは、日本のODA(政府の途上国援助)枠がまだ9千何百億円か残っている。それを使って、プラントを売ることができますよ」などと語り、「(現地視察に)何人か議員を連れていくから、面倒を見なくちゃいけない。いくらか用意してくれないか」と持ちかけていたことを「週刊朝日」2009年8月14日号が報道。この会長の証言によれば、視察直前に現金300万円、さらに赤坂の寿司店でも現金100万円を渡したが、「視察もその後、どうなったのかウヤムヤのまま」。さらには〈武田氏の政治団体の政治資金収支報告書に、これらの記載は見当たらない〉というから、この会長の証言が事実であれば政治資金規正法違反にあたる行為だ。

 また、東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会担当相に抜擢された橋本聖子氏も、今年、白血病であることを公表した水泳の池江璃花子選手について、講演会で「池江選手が素晴らしい発信をしてくれたことによって、スポーツ界全体がそんなことで悩んでいるべきではない、ガバナンス、コンプライアンスで悩んでいる場合じゃない、もっと前向きにしっかりやりなさい、ということの発信を、池江選手を使って、私たちに叱咤激励をしてくれているとさえ思いました」(朝日新聞デジタル2月16日付)と発言。ようするに、池江選手を利用して「ガバナンスやコンプライアンスなんてどうでもいい」と言ってのけたのである。

 ◆橋本聖子・五輪担当相、フィギュア高橋大輔選手に無理やりキスセクハラ 

 さらに橋本氏は、ソチオリンピックの閉会式が終わった後に選手村でおこなわれた打ち上げパーティーでフィギュアスケートの高橋大輔選に抱きつき何度も強引にキスをしたと写真付きで「週刊文春」に報じられている。都合よく選手を政治利用し、権力を利用した悪質なパワハラセクハラまでおこなった人物を東京五輪・パラ担当相にしてしまうとは驚愕だ。

 マルチ商法の広告塔にセクハラ、パワハラ、脱法献金、闇ガネにタカリ疑惑……。そもそも、これら初入閣の大臣たちだけではなく、経産大臣から外務大臣に横滑りした茂木敏充氏は、昨年、公選法違反の“手帖配布”問題が持ち上がっており(詳しくは過去記事参照)、もはやこの安倍新内閣は “スキャンダル・疑惑のデパート”というべき状態なのだ。

 だが、驚くべきは、このほかにも“危ない”大臣がいるということだ。

 じつは、昨日、『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)に出演した田崎史郎氏が、「『この人いれちゃうの?』という人が3人くらい入っている」と言い、初入閣である田中和徳復興相と竹本直一科学技術担当相、北村誠吾地方創生担当相の名前を挙げたのだ。

 田崎氏は「長く入れなかった人には、それなりの理由があるんです」と思わせぶりに語ったが、御用ジャーナリストの田崎氏でさえツッコまざるを得なかったということは、今後、この3人の疑惑・スキャンダルが出てくる可能性も多いに考えられるだろう。

 しかし、問題はメディアの姿勢だ。ちょっと調べれば上記にあげてきたような疑惑・スキャンダルはすぐにわかるし、だいたい高市氏や加藤氏の再任や、加計学園問題のキーマンである萩生田光一氏をよりにもよって文科大臣に引き上げるという常軌を逸した人事は誰の目にもあきらか。だというのに、昨日のワイドショーはそうした問題にツッコミもせず、小泉進次郎の初入閣でお祭り騒ぎ状態に。

 さらに、新閣僚の記者会見でも、これまでの疑惑やスキャンダルについて追及をおこなう質問はほとんど飛ぶことがなかった。安倍政権以前ならば、内閣改造後の新閣僚会見では記者が過去の疑惑やスキャンダルを洗い、それについて質問を浴びせることは普通におこなわれていた。だが、そんな当たり前さえ、この国のメディアからは失われているのだ。

 大臣の不正や疑惑が持ち上がっても追及もせず、「安倍総理は疑惑がある人を大臣なんかに任命しない」とまで言ってのける。こうした異常な状況があるからこそ、安倍首相は好き勝手に、問題議員たちを堂々と大臣に登用できるのだ。

 メディアがこの体たらくでは、この「タマネギ内閣」の疑惑やスキャンダルが報じられることもないのだろう。(編集部) 

 元稿:LITERA・リテラ(本と雑誌の知を再発見) 主要ニュース 社会・政治 【政治ニュース】  2019年09月12日  02:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【安倍政権・内閣改造】:小泉進次郎が安倍首相側に寝返った裏に女性スキャンダル?

2019-09-12 09:15:40 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【安倍政権・内閣改造】:小泉進次郎が安倍首相側に寝返った裏に女性スキャンダル? ◆今後は安倍家臣として改憲スポークスマンに

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【安倍政権・内閣改造】:小泉進次郎が安倍首相側に寝返った裏に女性スキャンダル? ◆今後は安倍家臣として改憲スポークスマンに 

 どこが「サプライズ入閣」だというのか? 今回の内閣改造で、小泉進次郎が環境相に就任したことで、ワイドショーが「日曜夜から月曜にかけて急遽決めた」「まさにサプライズ人事」などと囃し立てている。しかし、実際は本サイトが8月8日、首相官邸で滝川クリステルとツーショット結婚会見を開いた翌日の記事で、指摘していたシナリオ通りに事が進んだだけではないか。あの時点で、進次郎が石破茂元幹事長からから安倍首相に寝返り、内閣改造で、改憲の“スポークスマン”として入閣することは見え見えだった。

小泉進次郎が安倍首相側に寝返った裏に女性スキャンダル? 今後は安倍家臣として改憲スポークスマンにの画像1

          小泉進次郎 Official Siteより
  なぜなら、前代未聞の公私混同と批判されたあの結婚会見自体が、菅義偉官房長官が政権PRのために仕掛けたものだったからだ。それを証拠に、菅官房長官と進次郎はこの発表の3日後に発売された「文藝春秋」(文藝春秋)9月号に仲良く登場し、田崎史郎氏の司会で「令和の日本政治を語ろう 憲法改正、社会保障、日韓関係。ポスト安倍」と題して対談を行なっていた。そして、憲法改正を後押しし、分断させているのは安倍首相でないと擁護までしていたのだ。

 これは、安倍政権とは距離を取っていた進次郎のこれまでの言動からすると、ありえない動きだった。

 田崎氏は進次郎がもともと菅長官と親しいようなことを言っていたが、そうではない。永田町では、参院選の少し後から、「菅官房長官が進次郎の女性スキャンダルを掴んで揺さぶりをかけ、安倍側に寝返らせた」との見方がしきりに流れていた。

 「結婚発表後、『週刊文春』が進次郎の女子アナ二股疑惑など、噂話レベルの女性スキャンダルを報じたが、あの辺のもっと決定的な話を菅官房長官が掴んでいたのではないか、といわれている。少なくとも、菅官房長官がネットワークを使って、進次郎の身辺を調べ上げていたのは事実。進次郎は2015年に元復興庁職員の女性とのホテル密会を『週刊文春』にすっぱ抜かれているんだが、この情報も、菅官房長官がリークしたといわれている」(政治評論家)

 もっとも、進次郎は入閣については最後まで抵抗していたという話もある。前出の政治評論家が続ける。

 「当初は復興相を打診したが、被災地切り捨て政策を進めている安倍政権下で汚れ役をやらされるのはイメージが悪い、と断ったらしい。それで、安倍首相が環境相を打診して、それなら、となったらしい」

 自分のイメージを守る事が全てに優先される“好感度モンスター”の進次郎らしい判断だが、しかし、いくら取り繕っても、これから先は、安倍家臣ぶりがどんどんダダ漏れになっていくだろう。 

 もともと、進次郎は改憲論者の上、父親譲りの弱肉強食社会・自己責任社会を志向する新自由主義者、つい最近も、仙台市内の講演で「支援をされる側でなくて未来の被災地を支援する側に回るような発想ができれば、日本人らしさを発揮できる復興や国づくりができるのではないかと思います」と、被災地に対して「貢献」を呼びかけるという、曽野綾子ばりの発言をしていた。

 また、選挙演説などでは、トランプとそっくりなフェイクによるマスコミ批判、野党批判を口にしたこともある。

 安倍首相は今日も「改憲を絶対に成し遂げる」と宣言したが、安倍首相のこの野望にも進次郎は率先して協力するだろう。進次郎が前面に出ることによって、安倍政権の極右思想や戦前回帰志向への警戒感を薄れさせ、“改憲=新時代”というイメージにロンダリングし、改憲の世論づくりに大貢献するだろう。

 本サイトは8月8日、「文藝春秋」に菅・進次郎対談が掲載されていることをいち早く報じた後、11日に、進次郎がすでに安倍家臣化し、そして、安倍首相の改憲のスポークスマンとかしていることを検証する記事を掲載した。その記事をここに再録するので、一人でも多くの読者に進次郎の危険性を知ってもらいたい。(編集部

 ◆進次郎の“安倍家臣”化が酷い! 菅義偉との対談で改憲に全面賛成、分断批判でも安倍を擁護 

 滝川クリステルとの結婚発表を官邸でおこなうという“公私混同”会見をおこない、メディア総動員の「おめでたムード」をつくり上げた小泉進次郎議員。その官邸で結婚報告を受けた安倍首相菅義偉官房長官は“寝耳に水だった”とすっとぼけていたが、本サイトでもお伝えしたように、安倍官邸が進次郞に接近し、進次郞もそれに応じ、結婚発表を安倍政権のPRにすべく協力した結果だ。

 進次郞の取り込みに動いたのは菅官房長官だと言われており、実際、10日発売の「文藝春秋」9月号では、“安倍官邸の広報官”である田崎史郎氏を司会に、進次郞と菅官房長官が対談をおこなっている。そして、すでに一部メディアでも報じられているように、この対談では進次郞の閣僚入りについて、菅官房長官が「私はいいと思います」と太鼓判を押している。

 結婚発表の直後に発売された雑誌で、官房長官が閣僚に推薦する──。あまりにタイミングが良すぎるが、ようするに安倍官邸は、人気の高い進次郞の結婚発表でおめでたムードをつくり、そこに閣僚入りにお墨付きを与えることでさらに報道を過熱させ、新たな話題で内閣支持率を上げようという“メディア展開”を、田崎氏を巻き込むかたちでずいぶん前から練っていたというわけだ。

 しかも、この対談で進次郞と菅官房長官は、社会保障制度の改革で一致。さらに官邸が官僚の人事権を掌握している 問題でも、進次郞は「官僚主導から官邸主導へ、この方向性は間違いなく正しい」と肯定するなど、石破茂支持から安倍支持へ乗り換えたのがありあり。
 対談では、進次郎が参院選で「忖度」発言によって落選した塚田一郎・前国交副大臣の応援演説に入ったときの話として、「「私は忖度しません」と演説したんです」と語っているのだが、対談を読むと、忖度どころか“安倍官邸の家臣”感さえ漂っている。

 それを象徴するのが、この対談で繰り広げられている「憲法改正」についての問題だ。

 まず、菅官房長官が「憲法改正自民党の党是です」と述べると、進次郞も「改憲にはもちろん賛成です」と呼応。こう続けるのだ。

 「九条二項の「陸海空その他の戦力は、これを保持しない」はどう考えてもおかしい。こんなの建前だし、国際社会でも通用しないですよ。この一点をもっても、憲法改正すべきです」 

 安倍首相は現在、憲法改正を進めるために、憲法9条1項2項を残して自衛隊を明記する案を押し出しているが、進次郞は“2項改正”を主張しているのだ。

 進次郞はそのあと、一応、「ただ、現実に憲法改正を進めるには大事な点が二つあります」と付け加え、「一つ目は、社会を分断しないというアプローチ。例えば、国民投票の時に改憲派と護憲派が街宣車に乗って互いが互いを攻撃するような光景を生んではいけない。憲法改正によって、分断を大きくするような事態は絶対に避けなければいけません」などと、抑制的なセリフを吐いていたが、これがお得意の好感度上げポーズでしかないことは明らかだ。

 なぜなら、その後、田崎氏が珍しく、安倍首相の「こんな人たちに負けるわけにはいかない」発言を取り上げ、「総理こそ、社会の分断を招いているとの声も一部にありますが」と踏み込んだ質問したのだが、進次郞は「僕は別に安倍総理のことを言っているのではなく」と即座に否定。「日本に限らず、いま世界中で社会の分断が深刻化している。アメリカもEUもそうでしょう」とごまかしてしまったのだ。

 ◆進次郎が「憲法改正が神格化され過ぎない環境」と、お試し改憲論を主張 

 分断を避けるというなら、世論調査で国民のほとんどが喫緊の課題に「憲法改正」を挙げていないことを指摘し、石破茂などと同様、「国民の深い理解なくしてやってはならない」と主張すべきだが、そんな言及はまったくなし。しかも、「分断とどう向かい合うか。日本も無縁ではないことが参院選の結果でもハッキリしてきた。「分断しない政治」は今後の一つのテーマです」と述べるのだが、どうすれば分断を生まないか、その具体策については一言も発さない。

 神目線でいかにも公正そうなことや改革派っぽいことを語るものの、実際に耳を傾けると話の中身はすっからかん……。これは以前から指摘されてきたことだが、ここでも進次郞は雰囲気だけの公正中立な改革派を気取って、結局、何も言っていないのだ。

 しかも、うんざりしたのはこのあと。“憲法改正を進めるにあたっての大事な点”の2つ目として、こんな話をはじめたことだった。

 「二つ目は、総理も最近「(九条に自衛隊の設置根拠を明示する)自民党案にとらわれない」と仰っていますが、野党を含めて「どんな案だったら賛成できますか」と虚心坦懐に聞いてみること。最終的にはこの令和の時代に、憲法改正が神格化され過ぎない環境を作るべきです。同じ敗戦国のドイツは戦後六十回以上、憲法を改正しているのに、日本はゼロ。これはどう考えても不利益の方が大きいと思う」

 「令和の時代に、憲法改正が神格化され過ぎない環境を作るべき」って、ようするに“一回、お試し改憲をやって、改憲に対する国民のハードルを下げていこう”ということではないか。
 しかも、これはいま安倍政権が考えていることと完全に一致する詭弁だ。本サイトでは以前にも紹介したが、安倍首相に近い自民党の木原稔議員は2018年1月におこなわれた櫻井よしこ氏が理事長を務めるシンクタンク「国家基本問題研究所」の月例研究会で、“私の理想は2012年の自民党改憲草案、二項を削除する改憲案”だと述べた上で、こう話している。
 「もし、憲法改正は一回しかできないという法律なら、二項削除で戦うしかないと思っています。しかし、憲法改正は何回でもできる。一度、改正に成功したら、国民のハードルはグッと下がると思います。そして、一回目の改正を成功させたあとに、二回目の改正、三回目の改正と、積み重ねていけばいいと思っています。最終的には前文も当然、改正しなければいけない」
 つまり、進次郞が言う「憲法改正が神格化され過ぎない環境」をつくることによって、安倍政権は、進次郞が求める憲法9条2項改正も、さらには前文さえも変えてしまう算段なのである。

 ◆進次郎の入閣、改憲のスポークスマン化で安倍の改憲は一気に進む 

 進次郎が今回の菅義偉との対談でこの“お試し改憲”を口にしたのは偶然ではないだろう。今回の結婚発表からはじまる「進次郞フィーバー」を安倍官邸がつくり出した裏には、一気に憲法改正に弾みをつけるという目論見があるからだ。

 このまま進次郎が入閣すれば、安倍政権の内閣支持率は急上昇するのは確実。そうしたなかで、もともと9条改憲に積極的な進次郎議員が安倍改憲のスポークスマンとして前面に出てくれば、国民世論も一気に改憲に傾く。安倍政権の極右思想や戦前回帰志向への警戒感が薄れ、進次郎によって“改憲=新時代”というイメージにロンダリングされてしまうだろう。
 そして、実際に進次郞は「令和の時代に、憲法改正が神格化され過ぎない環境を」などと言い出した。この進次郞の主張の物騒さを、結婚のおめでたムードを煽るメディアが指摘することはないだろうし、国民もそれに流されてしまう可能性は非常に高い。

 対談では、田崎氏が「次の総裁選で、進次郞さんはポスト安倍の有資格者だと思いますか?」と訊くと、菅官房長官は「ええ、私はそう思いますよ。早すぎるということはない。本人がやる気があれば別に構いません」と回答している。メディアがしきりに演出する「次期総理大臣」という期待感とあいまって、進次郞の発言の影響度は今後、どんどん増してゆくだろう。

 憲法改正に向け、安倍官邸が味方につけた最強の広告塔──。これまでにない警戒が必要だ。(編集部) 

 元稿:LITERA・リテラ(本と雑誌の知を再発見) 主要ニュース 社会・政治 【政治ニュース】  2019年09月11日  11:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【安倍政権・内閣改造】:史上最悪の極右内閣が誕生!  ■教育勅語を掛け軸にする文科相、

2019-09-12 09:15:30 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【安倍政権・内閣改造】:史上最悪の極右内閣が誕生!  ■教育勅語を掛け軸にする文科相、バノン大好き法務相、日本会議のガチメンバーも入閣

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【安倍政権・内閣改造】:史上最悪の極右内閣が誕生! ■教育勅語を掛け軸にする文科相、バノン大好き法務相、日本会議のガチメンバーも入閣 

 本日発表された第4次安倍再改造内閣。すでに事前のマスコミによる入閣報道の時点で、その顔ぶれから“史上最悪の極右内閣”になることは確定していたが、あらためて新閣僚の過去の発言やトンデモ思想、差別性をチェックしてみると、本当にこの国は行くところまで行こうとしているとしか言いようがない。

 そもそも、今回の内閣改造の最大の特徴は、現政権の極右政策の旗振り役を務めてきたり、メディアへの圧力を担ってきた“側近”たちで要所をガチガチに固める布陣。つまり、安倍首相の極右思想を具現化したようなメンツだ。

史上最悪の極右内閣が誕生! 教育勅語を掛け軸にする文科相、バノン大好き法務相、日本会議のガチメンバーも入閣の画像1

     本日発表された“史上最悪の極右内閣”(首相官邸HPより) 

 その筆頭が、一億総活躍担当相として初入閣した衛藤晟一参院議員だ。一億総活躍の他に領土問題、沖縄北方、海洋政策なども担当するが、これは安倍首相の極右イデオロギーをモロに反映させた采配だろう。

 そもそも衛藤氏は、学生時代には当時「大日本帝国憲法復元」を主張していた宗教団体・生長の家の活動家で、日本青年協議会の委員長を務めるなど、日本会議をその前身から支えてきた筋金入りの極右だ。政界入り後は、自身の初当選から1期遅くれて当選した安倍氏を弟分として可愛がり、まさに“右派の家庭教師”として極右イデオロギーのイロハを叩き込んだとされる。まさに長年、安倍氏と二人三脚で極右政策を推進してきた存在だ。

 たとえば、若手時代には安倍氏らとともに「歴史・検討委員会」に参加。この委員会は、のちに「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」(教科書議連)に発展し、自民党内で慰安婦問題の否定など歴史修正主義の中心的役割を担ってきた。「SPA!」(扶桑社)1995年7月12日号では、日本の戦争責任を〈侵略か否かの問題は、当時侵略という定義はなかったわけで、非常に判断が難しい〉などと語り、大日本帝国による韓国併合についても平然とこう吐き捨てている。

〈韓国併合にしても1910年だから、85年も前の話ですよ。85年前のことを謝罪せよと言われても、「確かにつらかったね」としか言いようがないと思います。特に韓国とは、’65年の日韓基本条約で区切りがついているわけだし、当事者でもなく、当時の歴史もよくわからない人が謝罪するというのはおかしな話じゃありませんか。〉

 現在も日本会議国会議員懇談会の幹事長をつとめ、選挙でも日本会議の支援を受けている衛藤氏は、いわば、日本会議と現政権の“直接的窓口”だ。

 一例をあげると、日本会議は「令和」の新元号天皇の代替わりより前に公表することに「遺憾の意」を表明したが、このとき“日本会議側から安倍首相へのメッセンジャー”として官邸に働きかけたのが衛藤氏だ。また、2016年の明仁天皇(当時)によるいわゆる「生前退位のおことば」をめぐっては、安倍首相から事前検閲を指示された衛藤氏が、“万世一系の神話的イメージ”を維持するために天皇・皇后の考えた文章を削除したこともわかっている(伊藤智永『「平成の天皇」論』講談社)。

 衛藤氏の入閣は、安倍首相が日本会議に代表される戦前回帰的極右団体との協力関係にまた一段ギアを上げたことを意味している。「日本会議の生みの親」とも呼ばれる村上正邦・元参議院幹事長は、2016年の雑誌インタビューでこう発言していた。

 「もし安倍さんが日本会議の言い分を尊重しようとしているなら、衛藤晟一(首相補佐官)を大臣にしているはずですよ。だけど、入閣させてないということは、そういうことですよ。日本会議の象徴は、稲田(朋美・防衛相)じゃない。稲田だとみんな言うが、衛藤ですよ」(「週刊ポスト」2016年9月2日号/小学館

 その“日本会議の象徴”である衛藤氏を、とうとう安倍首相は大臣に任命した。第二次安倍政権以降、不動の首相補佐官を任せていたが、これからはアドバイザーとしてだけでなく、領土や領海を担当する大臣として、表立って安倍政権の極右政策やタカ派外交を現実化させてほしい──そういう安倍首相の考えがダダ漏れになっていると言わざるを得ない。

 ◆萩生田光一の女性差別思想…参院選では「一番の功績は出産」発言を擁護 

 そして、この衛藤氏に比肩する“極右新大臣”が、文科相として初入閣する萩生田光一衆院議員だ。萩生田氏については昨日の記事(https://lite-ra.com/2019/09/post-4960.html)でも、加計問題を中心にその大臣としての資格のなさを指摘したが、あらためておさらいしておこう。

 そもそも萩生田氏は、安倍氏が第一次政権を放り投げ、自民党内で求心力を失った時期においても、ずっと“忠犬”として尽くしてきた側近中の側近だ。2014年の総選挙では、『NEWS23』(TBS)に安倍首相が生出演した際、アベノミクスに対して批判的な街頭インタビューを流し、安倍首相が「厳しい意見を意図的に選んでいる」と陰謀論まがいの主張をまくしたててブチ切れると、萩生田氏はすぐさま在京キー各局に恫喝文書を送りつけるなど、報道圧力の尖兵としても動いてきた。

 萩生田氏の思想は戦前回帰的なゴリゴリの極右だ。2014年10月にはBS番組で、河野談話について「もはや役割は終わった。骨抜きになっていけばいい」「(安倍首相による)戦後70年談話で、結果的に骨抜きになるんじゃないか」と発言するなど、歴史修正をむき出しにしてきたが、その危険性は教育行政のトップに就いたときにこそ最大限に発揮されるだろう。

 たとえば、性差別的な発想だ。萩生田氏は2007年に、日本会議の設立10周年大会にメッセージを送り、〈入会直後直面した、「行き過ぎたジェンダーフリー教育、過激な性教育」対策では日本会議の識者の先生方の後押しもいただき、党内でも問題を喚起し、ジェンダーの暴走をくい止め、正しい男女共同参画社会へと路線を変更する事ができました〉などと自慢げに報告している。この「行き過ぎたジェンダーフリー教育」云々というのは、日本会議が男女平等を否定し、“女は家の中にいろ”という前時代的価値観を喧伝するときに使うレトリックだ。

 実際、先日の参院選では、自民党の三ツ矢憲生衆院議員が吉川有美候補の応援演説で「一番大きな功績は子どもをつくったこと」と、性差別丸出しの発言をし問題になったが、このときも、街頭演説に同席していた萩生田氏は「母親になって一つ大きくなった候補を応援してほしいという趣旨だ」と擁護していた。これは「功績は子どもをつくったこと」発言の問題点をまったく理解していないだけでなく、逆に「母親になること=女の仕事」かのような萩生田氏の差別意識を露わにしたとみなす他ないだろう。

 ◆議員会館に教育勅語の掛け軸、教科書に圧力…萩生田の戦前回帰的教育政策 

 他にも、昨日の記事でも触れたが、萩生田氏は2013年、安倍首相の「(現行の教科書検定基準には)伝統、文化の尊重や愛国心、郷土愛について書き込んだ改正教育基本法の精神が生かされていない」と発言したことを受け、自民党の「教科書検定の在り方特別部会」の主査に就任した。同部会は「自虐史観に立つなど、多くの教科書に問題となる記述がある」と教科書批判を展開。教科書会社の社長や編集責任者を呼び出し、〈南京事件や慰安婦問題、竹島などの領土問題、原発稼働の是非などに関する教科書の記述〉について聞き取りをおこない、議員らが「経緯の説明が足りない」「偏っている」などと意見する(朝日新聞2013年6月4日付)など、露骨な“圧力”行動に出たこともある。

 さらに象徴的なのが、前川喜平・元文科事務次官がきのう投稿したツイートだ。

 〈やっぱり萩生田文部科学大臣か。ひどいことになるだろう。彼の議員会館の事務職には、教育勅語の大きな掛軸が掛けてあった。〉(原文ママ)

 教育勅語の掛け軸をかけていたというこのエピソードからも、萩生田氏の目指す教育が、いかに戦前回帰的なものであるかは明らかだろう。

 いずれにしても、安倍首相はこれまでの萩生田氏の“忠犬”ぶりを買って、教育行政のトップに起用したのだ。萩生田氏が文科大臣としてやることは明らかだろう。お得意の“圧力”でどんどん現場から自由や平等・反差別の教育を「骨抜き」にし、歴史修正主義を加速させ、安倍政権による改憲を後押しするため、かならずやトンデモな教育行政を推し進めていくはずだ。 

 さて、初入閣組ではこの衛藤氏と萩生田氏が攻撃的な極右政治家の“ツートップ”だが、だからといって、他の面々がまともなわけでは決してない。

 たとえば、経産相に起用された菅原一秀衆院議員は、自民党の元ネットメディア局長で、ネトウヨの巣窟である別働ステマ部隊「自民党ネットサポーターズクラブ」(J-NSC、通称ネトサポ)の親玉。元愛人に「女は25歳以下がいい。25歳以上は女じゃない」「子供を産んだら女じゃない」と女性差別丸出しの暴言を繰り出した過去を「週刊文春」(文藝春秋)にすっぱ抜かれたこともある。

 ◆河井克行法務相はアメリカのネトウヨの親玉・バノンとアパホテルで 

 また、法相の河井克行衆院議員は、差別主義者であるスティーブン・バノン前米大統領首席戦略官を自民党の講演会に招き、一緒にアパホテルを訪れ、ツーショット写真を嬉々としてブログにアップするような神経の持ち主。今年8月にもワシントンDCでバノン氏と性懲りもなく会談しており、河井氏のブログによると、話題のほとんどを韓国政府のGSOMIA破棄に費やして、ホワイトハウスへ働きかけてくれるよう“告げ口”したという(なお、日刊ゲンダイによれば、小学校時代のあだ名は「スネ夫」だったらしい)。

 法相としての資質も大いに疑問だ。河井氏はかつて、取り調べの録音・録画などの「可視化」について、〈私は「分かりやすい立証」を進めるという名の下に取り調べの可視化を図ることがどれほど捜査現場の手足を縛り、なし崩しの禍根をもたらすか、危惧しています〉〈日本が築いてきた治安の良さを覆す大問題〉として猛烈に反対していた(「正論」2009年5月号/産経新聞社)。裁判所検察当局を所管する大臣として、この人権感覚の欠如は致命的だろう。

 他にも、農水相の江藤拓衆院議員は、2007年に櫻井よしこ氏らが米紙ワシントン・ポストに出した従軍慰安婦の強制性を否定する意見広告に、稲田朋美衆院議員らとともに賛同者として名前を連ねた。地方創生相の北村誠吾衆院議員も2012年、米ニュージャージー州地元紙に出稿された慰安婦の強制性を否定する意見広告に安倍晋三氏らとともに賛同者として登場している。国家公安委員長で行革担当相などを兼任する武田良太衆院議員もタカ派政治家だ。数年前には防衛副大臣として参加したフランスの武器見本市で、あろうことか楽しそうにライフルの銃口を人に向け、払いのけられた場面がテレビに映され顰蹙を買った。 

 留任・再入閣組の閣僚も当然のように極右だらけだ。息をするように差別発言を繰り返す麻生太郎財務相は言うまでもなく、ナチス礼賛本を宣伝したことやネオナチ団体代表とのツーショット写真でも知られる「電波停止」発言の高市早苗衆院議員が総務相に返り咲いた。

 こうした新閣僚の面々を見てもわかるように、ようするに、安倍首相の極右思想や歴史修正主義、そして韓国バッシングの旗振り役となる者だけが、大臣として出世できる。そういうことだろう。事実、穏健保守派の政治家は閣僚や党の要職にもほとんど起用されないし、安倍首相に刃向かった石破派の議員たちは入閣ゼロに終わっている。つまり、この“史上最悪の極右内閣”が意味するのは「安倍シンパにあらずんば政治家にあらず」ということらしい。

 私たちができるのは、この極右むき出しの組閣をちゃんと批判することだ。でなければ、日本はどんどん“安倍サマのための極右国家”になっていってしまうだろう(編集部

 元稿:LITERA・リテラ(本と雑誌の知を再発見) 主要ニュース 社会・政治 【政治ニュース】  2019年09月11日  10:51:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【安倍政権】:台風15号の甚大被害、千葉などで停電・断水続くも、内閣改造に・・・

2019-09-12 09:15:20 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【安倍政権】:台風15号の甚大被害、千葉などで停電・断水続くも、内閣改造に夢中でほったらかし! 関係閣僚会議も総理指示もなし

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【安倍政権】:台風15号の甚大被害、千葉などで停電・断水続くも、内閣改造に夢中でほったらかし! 関係閣僚会議も総理指示もなし 

 首都圏を直撃し甚大な被害をもたらした台風15号だが、直接的な被害だけではなく、深刻なのは、いまだ停電や断水が続き、復旧の目処が立っていないことだ。

 東京電力は、10日夜時点では、11日中にはすべて復旧させるとしていたが、今日になって「本日中の復旧見通しは立っていない」と守勢した。猛暑のなか、きのう千葉県では二人が熱中症で死亡したとみられ、このまま停電・断水が長引けば、さらに犠牲者が出る可能性が高い。

 ところが、信じられないのは、安倍政権が台風災害の対策、被害をほったらかしにしていることだな。

台風15号の甚大被害、復旧遅れ深刻化も、安倍政権は内閣改造に夢中でほったらかし! 関係閣僚会議も総理指示もなしの画像1

内閣改造に夢中で首相官邸インスタでも今回の災害には触れず… 

 菅官房長官は9日午前の会見で「政府一丸となって被害状況の把握に努めるとともに、災害応急対策等に全力で取り組んでいるところ」などと語ったが、口先だけだ。

  何しろ、今回の台風について非常災害対策本部はおろか、関係閣僚会議すら開いた形跡がないのだ。

 安倍首相動静を見ると、台風が迫っていた9月8日日曜日は、午前中に下村博文・元文科相の次男の結婚披露宴に出席したあと、15時すぎには富ヶ谷の私邸に帰宅。そのあとは麻生太郎財務相が遊びに来て1時間半ほど滞在し夕方17時すぎに帰っただけ、私邸でのんびり過ごしている。

 甚大な被害が少しずつ判明してきた9月9日月曜日も同様だ。台風被害に関係ありそうなのは、10時8分からたった5分間、沖田芳樹内閣危機管理監、関田康雄気象庁長官から報告を受けたくらい。あとは米国でNSC関係者と会談した薗浦健太郎首相補佐官、世耕弘成経済産業相など韓国への圧力を担う経産省関係者と面談しただけで、18時28分には自宅に帰っている。

 そして、復旧が予想以上に遅れていることが問題化し始めた9月10日も、閣議のあと、会ったのは麻生財務相、谷内正太郎国家安全保障局長、北村滋内閣情報官、防衛省の槌道明宏防衛政策局長、大塚海夫情報本部長だけ。19時41分に自宅に帰っている。

 言っておくが、台風については、こういう対応が普通というわけではない。実際、8月の台風10号のときは、8月14日、16日に関係閣僚会議を開き、「先手の対策を」と指示していたし、7月の台風5号のときも20日に国民への情報提供や避難支援などの対策についての「総理指示」を出し、22日には関係閣僚会議を開き「政府一体で対策を」と指示していた。

 ところが、今回の台風15号については、関係閣僚会議も開いてないし、総理指示も出していないのだ。

 さらに、冒頭で指摘したような停電や断水の復旧の見通しが立たないことで、国民の生命が危機にさらされる状態になっているのに、安倍首相はいまだ、経産省や国交省などの担当省庁に、ハッパすらかけていない。

 こうした首相の姿勢は当然、担当大臣や官邸にも伝播している。本来なら経産大臣は電気の復旧のための陣頭指揮をとるべきだが、世耕経産相は9日に安倍首相と面談しても、メインの話題は対韓国圧力のこととみられる。9日19時頃にようやく、東電に対し早期完全復旧、電源車の配備供などを指示したとツイートしたが、きのう午前、東電の復旧計画をリツイートしたのを最後に、今日は韓国を攻撃するツイートを連発している。経産省の役人たちも東京電力に任せきりで、焦っている様子はまったくない。

 ◆去年の西日本直撃台風でも安倍首相は新潟で総裁選の票固め 

 まったく信じられないが、これはもちろん、安倍首相自体が韓国への圧力と内閣改造の人事に夢中だからだ。実際、安倍首相はこれまでも、自分の関心があるイベントが別にあるときは、それがどんなにくだらないものでも、災害対策を無視してそっちを優先してきた。

 たとえば、2014年2月に起こった山梨県の豪雪では、その最中に支援者らと赤坂で天ぷら料理に舌鼓を打っていたし、同年の広島土砂災害では「災害応急対策に全力で取り組む」と宣言したあと、富士桜カントリー倶楽部で日枝久フジテレビ会長(当時)や笹川陽平・日本財団会長らとゴルフを楽しみ続けた。

 さらに2015年の関東・東北豪雨では、孤立して救助を待つ人びとや不明者も多数いたというのに、インターネットテレビ「言論テレビ」に生出演して櫻井よしこや田久保忠衛・日本会議会長とともに安保法制の必要性をアピール。

 2017年も、G20首脳会談出席のための外遊中に九州北部豪雨が発生したが、G20閉会後も外遊を続行。緊急性もない外遊から帰国しなかったのは、加計問題追及の閉会中審査に出席したくないからなのは見え見えだった。

 そして、2018年7月西日本豪雨災害のときの「赤坂自民亭」。このとき5日午後には気象庁が「厳重な警戒が必要」と異例の緊急会見を開き、同日数十万人に避難勧告が出されていたにもかかわらず、5日夜、総裁選の票集めのために、「赤坂自民亭」なる内輪の宴会に参加。6日夜にも公邸で、総裁選のために無派閥議員取り込みのための会合を行っている。甚大な被害がすでに広がっていた6日土曜日午後〜7日日曜日の時点でさえ非常災害対策本部の設置をスルーして、7日朝に15分だけの関係閣僚会議をやっただけでさっさと私邸に帰るなど、66時間も災害を放置していた。

 さらに赤坂自民亭への批判もさめやらぬ2018年9月、関空など西日本を直撃した台風。台風直撃の翌日、平成最大規模の約50万軒で停電が続き、関空にも多くの人が取り残されているなか、安倍首相はなんと総裁選の票固めのため、新潟県に。ホテルの宴会場で開催された「安倍総裁の3選を実現する新潟県民の集い」に出席したのだ。

 もう何度も指摘したことだが、ようするに安倍首相が大事にしているのは、自分の権力維持と極右思想実現、そしてお友だちとの付き合いだけであって、国民の生命のことなんて微塵も考えていないのである。だから、他に何もないときは、“俺はやってるぜ”アピールとして災害対策を大仰に指示するが、自分の関心事が別にあるときは、途端に災害をないがしろにしてしまうのだ。

 今回の内閣改造で小泉進次郎が入閣することで、またぞろ、安倍内閣の支持率が上がるだろうが、こんな首相のもとでは自分の生命がどんどん危険にさらされるということに、いい加減気づくべきではないか。(編集部

 元稿:LITERA・リテラ(本と雑誌の知を再発見) 主要ニュース 社会・政治 【政治ニュース】  2019年09月11日  01:39:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【文科省】:柴山文科相が入試改革を批判した現役高校生を晒し上げ公選法違反と恫喝!

2019-09-12 09:15:10 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【文科省】:柴山文科相が入試改革を批判した現役高校生を晒し上げ公選法違反と恫喝! ■「学校の昼休みに政治の話」とツイートしただけで

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【文科省】:柴山文科相が入試改革を批判した現役高校生を晒し上げ公選法違反と恫喝! ■「学校の昼休みに政治の話」とツイートしただけで 

 先月、「街頭演説でヤジを発することは権利として保障されていない」などと発言し、憲法に保障された「表現の自由」に対するあからさまな弾圧を正当化したばかりの柴山昌彦文科相が、またも唖然とするような行動をして物議を醸している。なんと、現役高校生が政策批判をし、「学校の昼休みに政治の話をしたりしていた」とツイートしただけで、これを晒しあげて、恫喝したのだ。

柴山文科相が入試改革を批判した現役高校生を晒し上げ公選法違反と恫喝!「学校の昼休みに政治の話」とツイートしただけでの画像1

      高校生を恫喝した柴山文科相Twitter

 高校生が批判したのは、現在、文科省が2021年1月よりセンター試験を廃止して導入予定の「大学入試共通テスト」。これには高校生や教員を含む多くの人びとから批判が殺到しているのだが、その理由のひとつが英語に民間検定試験を活用することで、準備不足にくわえ受験生全員が公平に受けられるのか疑問視されている。 

 ところが、柴山文科相がTwitterで6日に〈この度、英検が正式に加わりました〉などと投稿。受験生の不安が広がっているのに見切り発車で強行しようとする柴山文科相のこの姿勢に、当然、非難の声があがり、ツイートには多くの批判コメントがついた。

 そのなかで、私立高校で英語を教えているという教員がこの民間英語試験導入の問題点をコメントしたところ、この高校生がこう応じた。

〈私は現在高3です。志望している大学に受からなければ浪人する予定です。受けるかどうかもわからない予約に3000円払ってくれなんてそれも落ちる前提で話すことが親に申し訳ないし、これを知らない高3生はどうなるのか、不安要素が多すぎます。〉

 教員はこれを受けて、〈せめて、次の選挙ではこの政策を進めている安倍政権に絶対投票しないように周囲の高校生の皆さんにご宣伝ください。受験の成功をお祈りします〉とエール。すると、高校生はこう続けた。 

〈はい。本当に。
私の通う高校では前回の参院選の際も昼食の時間に政治の話をしていたりしていたのできちんと自分で考えて投票してくれると信じています。
もちろん今の政権の問題はたくさん話しました。笑〉

 これに、教員が〈今回の民間試験制度の問題点を生徒、保護者の前でクソミソに言って、文科省そして現政権に嫌悪感を持つように洗脳していきます!〉と、冗談交じりに応じ、やりとりは終わった。

 教員の言葉は少し「露悪的でらしくない」ところもあるが、基本的にはお互い面識のない教員と高校生がSNS上で、民間英語試験導入という政策への批判で一致し、冗談も交えながらエールを交換しただけの話。ところが、柴山文科相はまず教員を批判した後、この高校生の“学校の昼休みに政治の話をしたりしていた”という投稿を非公式リツイートのかたちで引用し、こうコメントしたのだ。

〈こうした行為は適切でしょうか?〉

 高校生が昼休みに政治の話をすることには何の違法性もないどころか、文科省も選挙権年齢が18歳以上に引き下げられたことで主権者教育の推進を打ち出している。だというのに、柴山文科相は「不適切」であるかのように疑義を呈したのである。

 そもそも、ひとりの高校生の投稿を文科大臣が吊るし上げるようなかたちで非難する行為こそ、常識的に考えて「不適切」であり異常と言うほかないが、柴山文科相がこうして高校生の投稿に噛み付いたのは、〈今の政権の問題はたくさん話しました〉と記述していたからだろう。ようするに柴山文科相は、高校生が昼休みに安倍政権の問題点について語り合うことを「不適切」だと言っているのだ。

 ◆ネット上で批判を受けた柴山大臣は「昼休みに政治の話」を選挙運動と決めつけ反論 

 この柴山文科相の行為には当然、Twitter上で〈高校では友人同士で話をする内容まで規制されるんですか?〉〈若者の政治離れを後押しする文部科学大臣〉〈今の政権は国民に真面目に政治に向かい合われると色々と不都合だという事情が赤裸々に溢れだしている御発言ですね〉〈高校生が昼休みに話してる内容が野党批判だったら褒めるんだろ〉と非難が殺到した。

 さらに柴山文科相の高校生を恫喝したツイート問題を「WEB女性自身」が記事で取り上げると、柴山文科相は高校生と高校教員のやりとりを引き合いに出し、このように投稿したのだ。

 〈学生が旬の時事問題を取り上げて議論することに何の異論もない。しかし未成年者(18歳未満に引き下げられたが高3はかなりが含まれる)の党派色を伴う選挙運動は法律上禁止されている。ここをどう考えるか、責任あるメディアはもっと慎重に取り上げるべきでないのか?〉

 柴山文科相が悪質なのは、政治活動=選挙運動と混同していることだ。公選法137条の2は《年齢満十八年未満の者は、選挙運動をすることができない》としているが、政治活動を禁じてはいない。高校生が署名やデモ、集会に参加する自由は憲法子どもの権利条約で保障されている。ましてや、高校生が昼休みに政治の話や安倍政権に対する問題点について語り合うことが「選挙運動」に当たるはずがない。 

 いや、むしろ〈未成年者の党派色を伴う選挙運動は法律上禁止されている〉と言うのなら、問題なのは、安倍自民党のCMほうだ。

 というのも、安倍自民党は先の参院選に向けた広告展開で、ダンスやBMX、落語やファッションなどさまざまな分野で世界を目指す13〜17歳の表現者たちを登場させ、その10代の若者たちの輪に安倍首相が加わり「未来をつくりたい」と宣言するというCMを流した。これは〈未成年者の党派色を伴う選挙運動〉ではないのか。

 にもかかわらず、柴山文科相は挙げ句、NHKの「ドイツの政治教育と中立性」という記事にリンクを張って、〈こうした取組みを成熟させることこそが肝要。先に述べたようなやり取りとは雲泥の差〉などと言い出したのだ。

 だが、これもブーメランとしか言いようがないものだった。NHKの記事では、こう書かれているからだ。

 〈ドイツの政治教育が目指しているのは、何よりも一人ひとりが自分の意見を持つことです。意見を持たない人は、政治に主体的に参加することができません。(中略)その結論については、人権や民主主義などの憲法の理念に反しない限り、尊重される必要があります。〉
 〈(ドイツでは)個々の教員も市民である以上、自分の意見を表明するのは当然であるという理解がまずあります。中立性は、厳密な意味では、学校の設置者である政府や地方公共団体に対して求められるものです。〉
 〈(ドイツでも個々の教員が)自分の意見を生徒に押しつけることのないよう期待されています。とはいえ、それは教員が自分の意見を述べることを制限するものではありません。つまり、教員が授業のなかで自分の意見を述べることが生徒の意見形成を妨げるとは考えられていないということです。〉 

◆法律違反は柴山文科相 萩生田光一の文科相就任で憲法無視、言論弾圧はますますひどく 

 ようするに、これは柴山文科相が攻撃した日本の高校生と高校教員の投稿はドイツでは当然のものだとしか受け止められない記事であり、むしろ記事では“中立性が求められるのは政府”と指摘されている。つまり、高校生や高校教員からの個々の意見表明を文科大臣が「不適切」などと吊し上げした行為こそ、中立性を犯す暴挙と言うべきなのだ。

 安倍自民党の“違法CM”は棚に上げ、弁護士でありながら法律解釈を都合よく捻じ曲げ、さらには自分の暴挙を立証するような記事にリンクを張る……。柴山氏は端的に「バカ丸出し」としか言いようがないが、問題なのはこれが安倍政権の考え方であり、姿勢であるということだ。

 現に、安倍自民党は2016年の参院選公示直前に、“「子供たちを戦場に送るな」と主張することは偏向教育、特定のイデオロギーだ”と糾弾し、そのような学校や教員の情報を投稿できる“密告フォーム”を設置。さらに、自民党の木原稔・党文部科学部会長(当時)は、“密告フォーム”に寄せられた情報について「公選法違反は警察が扱う問題」などと述べ、情報の一部を警察当局に提供する考えを示した。つまり、教員が「子供たちを戦場に送るな」と言う当たり前のことすら糾弾し、選挙中であったことを盾に公選法違反として捜査対象にしようとしたのだ。

 さらに、同年12月には、自民党文部科学部会が教員の「政治的中立性」を確保すべく処分を厳格化する方向で検討を開始。朝日新聞の報道によれば、同部会は〈現状では政治的中立を逸脱しても「処分が重くない」と指摘。教育公務員特例法を改正し、罰則を科すことも検討すべきだとした〉とし、今後、〈教員免許を都道府県教委に代わって国が授与・管理する「国家免許化」や、国公私立すべてに共通する教員の理念を規定する立法措置を講じることなども議論〉していくと打ち出している。

 免許の授与だけでなく、教員の理念までをも国によって規定・管理する。これはいわば、政府にとって不都合な考えをもった教員を締め上げ、徹底的に萎縮させようとする現場介入にほかならない。今回の柴山文科相の主張はこの地続きにあるもので、「学校における政権に批判的な発言は許されない」と刷り込んで萎縮させようとするものだ。

 冒頭でも少しふれたように、柴山文科相は、先月おこなわれた埼玉県知事選の街頭演説で大学入試改革に反対してヤジを飛ばし警察に強制排除された大学生についても、Twitter上で吊し上げた上、「街頭演説でヤジを発することは権利として保障されていない」などと大臣会見で主張。さらにはTwitterでは〈13条見て下さい〉などと投稿し、わざわざ「表現の自由」と関係のない「個人の尊重」を定めた条項を持ってきて、大臣に批判の声をあげる行為は「公共の福祉」に反していると強調したが、これも安倍政権の姿勢を表したものだった。実際、「あいちトリエンナーレ2019」の企画展「表現の不自由展・その後」中止問題でも、自民党の杉田水脈議員は〈憲法第21条で保障されている表現の自由は、「公共の福祉」による制限を受けます…〉と投稿していた。

 ようするに、自分たちのヘイト歴史修正主義発言を「表現の自由だ」と正当化しながら、市民の「表現の自由」だけを制限しようとしているのである。

 そして、今回も高校生の「昼休みに安倍政権の問題点をたくさん話した」という投稿や高校教員の投稿を「不適切」と断じ、文科大臣自ら政権批判を教育現場から封じ込め、言論統制をおこなおうとしたのである。

 明日には内閣改造がおこなわれ、柴山文科相の後任には、安倍首相の側近中の側近で極右思想の持ち主である萩生田光一・自民党幹事長代行の就任が有力視されているが、露骨な“憲法違反+言論弾圧”、教育現場に対する統制はますます強化されてゆくことは間違いないだろう。(編集部

 元稿:LITERA・リテラ(本と雑誌の知を再発見) 主要ニュース 社会・政治 【政治ニュース】  2019年09月10日  11:54:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【安倍政権・内閣改造】:安倍首相が菅原一秀を経産相にするトンデモ ■愛人に「女は25歳以下」

2019-09-12 09:15:00 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【安倍政権・内閣改造】:安倍首相が菅原一秀を経産相にするトンデモ ■愛人に「女は25歳以下」「子供を産んだら女じゃない」のモラハラ男

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【安倍政権・内閣改造】:安倍首相が菅原一秀を経産相にするトンデモ ■愛人に「女は25歳以下」「子供を産んだら女じゃない」のモラハラ男 

 嫌韓扇動がまんまと当たり支持率アップで完全に図に乗ったのか、それとも、小泉進次郎の入閣に紛れて順番待ちの不良議員を国民に押し付けようという腹なのか。マスコミが先行報道している大臣に指名されるメンツが、どいつもこいつもヒドすぎるのだ。

 先ほど配信した記事では、自ら加計学園癒着し文科省に圧力をかけまくっていた“安倍首相の子分”・萩生田光一の文科相就任を批判したが、今回の組閣では他にもとんでもない閣僚が次々、誕生しようとしている。

安倍首相が内閣改造で菅原一秀を経産相にするトンデモ 愛人に「女は25歳以下」「子供を産んだら女じゃない」のモラハラ男の画像1

モラハラ男・菅原一秀が経産相に…(オフィシャルサイトより)
  なかでも唖然としたのが、菅原一秀が経産相に内定したという報道だ。菅原は、自民党のネットステマ部隊「自民党ネットサポーターズクラブ」(J-NSC 以下ネトサポ)を率いていた極右思想の持ち主として知られるが、2016年には、「週刊文春」で元愛人からモラハラ被害を告発された。

 菅原は、当時、27歳だったこの元愛人に「女は25歳以下がいい。25歳以上は女じゃない」と言い放ったあげく、「子供を産んだら女じゃない」とまで言ったというのだ。

 安倍首相は、ホワイト国除外など、韓国と最前線で交渉する経産大臣に、こんな差別・モラハラ男を起用しようというのである。頭がおかしくなっているとしか思えない。

 今回の内閣改造で選ばれた閣僚たちの問題点は、明日、改めて詳報をお伝えするが、菅原については、とりあえず2016年当時の記事をぜひ再録するので、いかにこの内閣改造がとんでもないかを認識してほしい。(編集部

***************

⚫「子供を産んだら女じゃない」 愛人が文春でモラハラ告発! 保育園ヤジ議員は自民党“ネトサポ”の親玉だった

保育園落ちた日本死ねブログをめぐっては、「匿名だから議論のしようがない」と突き放した安倍首相を筆頭に、安倍政権・自民党の無責任、不誠実な姿勢が次々浮き彫りになっているが、今度は、このブログにヤジをとばした自民党議員にハレンチスキャンダルが飛び出した。

 2月29日の衆院予算委員会で、民主党山尾志桜里議員がこのブログを取り上げた際、「誰が書いたんだよ」「匿名だよ、匿名」「ちゃんと本人を出せ」「うざーい」「やめろよ、やめろ」などとヤジをとばした自民党議員は、平沢勝栄、石田真敏、衛藤征士郎、菅原一秀、石原宏高、白須賀貴樹、関芳弘ら。

 その中の1人、菅原一秀衆議院議員の元愛人が今日、3月31日発売の「週刊文春」(文藝春秋)で、菅原議員の許しがたいモラハラ、セクハラを告発したのだ。しかも、この女性に対して「子供を産んだら女じゃない」という明らかな女性蔑視発言を行っていたという。

 菅原議員は、当選5回で第一次安倍政権で厚生労働政務官をつとめた、待機児童問題の当事者。そのあとも、菅義偉官房長官に重用され、財務副大臣、経済産業副大臣、自民党政務調査副会長、財務金融部会長、副幹事長、選挙対策副委員長などの要職を歴任している。

 しかもこの菅原議員、昨年10月に自民党ネットメディア局長に就任しているのだが、このネットメディア局長というのは、自民党のネットステマ部隊「自民党ネットサポーターズクラブ」(J-NSC 以下ネトサポ)を統括する立場。

 いわば、ネトサポの親玉が「文春」にスキャンダルが暴かれたわけだが、いったいどういうものだったのか。

 この元愛人・A子さんは3年ほど前に銀座のクラブでアルバイトをしていた際、そのクラブの常連だった菅原議員に口説かれ、男女関係になったという。

 ところが、男女の仲になったとたんに菅原議員の態度が一変。A子さんに「バカじゃないの」「親の教育が悪い」といった人を見下したような発言を連発したり、お金やコートを投げつけたり、とモラハラを連発し始めたのだという。

 ◆自民党のネットステマ部隊「ネトサポ」の親玉でもある菅原一秀 

 そして、当時、27歳だったこの元愛人に「女は25歳以下がいい。25歳以上は女じゃない」と言い放ったあげく、「子供を産んだら女じゃない」とまで言ったというわけだ。

 普通の神経では考えられないような発言だが、菅原議員は「日本会議国会議員懇談会」に入っているバリバリのタカ派。昨年、婚外子差別を違憲とする最高裁判決に反対して、本妻の地位保全を掲げて結成された自民党の「家族の絆特命委員会」メンバーでもある。

 そういう意味では、「伝統的な家族」を掲げる安倍自民党の女性差別、女性蔑視体質を証明したとも言えるだろう。

 しかも、菅原議員が告発されたのは女性差別だけでない。A子さんによれば、経済産業副大臣時代の2013年4月27日から5月1日にかけて、菅原議員が「政治経済事情視察」という虚偽の申請をして、A子さんと一緒にハワイ旅行に出かけたという。

 こうした事実について「週刊文春」によると、菅原議員は当初A子さんの名前を覚えていないととぼけただけでなく、男女関係を否定。その上で「本人が公衆の前に出てくれば冷静に判明できます。(略)出てきて下さい。そのA子さん」などとトンデモない要求までしてきたという。 

 まさに「保育園落ちた」ブログに対する安倍首相や菅原議員の態度そのまま、「匿名」を理由に告発を封じ込めようというのだが、しかし、そんな対応ではとても逃げ切れないだろう。「文春」サイドが物的証拠もおさえているからだ。

 「文春は、菅原議員がA子さんに送った大量のメールをおさえているようです。そこにはとんでもない内容のものもあるらしい。しかも、A子さんは菅原議員の態度に相当怒っていて、いざとなったら実名で告発する可能性もあるようです」

 しかし、今後、注目されるのは、ネットの動きだ。前述したように、菅原議員は自民党のネットステマ部隊「ネトサポ」を統括する自民党ネットメディア局長。

 ネトサポは、人種差別、憲法改正賛成などを声高に訴える安倍首相の親衛隊、ネトウヨの巣窟とも言われ、これまでも自民党に有利な書き込みや他党へのネガティブキャンペーンはもちろん、自民党を批判するメディア報道への反撃の役割を担ってきた。 

 そんなネトサポが、自分たちの親玉に浮上したハレンチスキャンダルをどうごまかし、文春に対してどんな姑息なネガティブキャンペーンを張ってくるのか。その手口をじっくり見てみようではないか。(田部祥太

 元稿:LITERA・リテラ(本と雑誌の知を再発見) 主要ニュース 社会・政治 【政治ニュース】  2019年09月10日  10:03:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【安倍政権・内閣改造】:安倍が文科相に抜擢した萩生田光一こそ問題だらけのタマネギ男だ!

2019-09-12 09:14:50 | 【事件・未解決事件・犯罪・疑惑・詐欺・闇バイト・旧統一教会を巡る事件他】

【安倍政権・内閣改造】:安倍が文科相に抜擢した萩生田光一こそ問題だらけのタマネギ男だ! ■加計問題で圧力、教育勅語礼賛、テレビ局に圧力文書…

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【安倍政権・内閣改造】:安倍が文科相に抜擢した萩生田光一こそ問題だらけのタマネギ男だ! ■加計問題で圧力、教育勅語礼賛、テレビ局に圧力文書… 

 安倍政権史上、過去最高の“お友だち=極右”内閣が誕生しようとしている。明日の内閣改造自民党役員人事に先駆け、すでにメディアが入閣情報を報道しているが、その面子は背筋が凍るような極右議員が勢揃い。しかし、そんななかでも飛び抜けて多くの人びとの度肝を抜いたのが、萩生田光一氏の初入閣、しかもよりにもよって文科大臣で登用されるというニュースだ。

 いわずもがな、萩生田氏といえば安倍首相の“側近中の側近”であり、そして、加計学園問題のキーパーソンだ。

安倍が文科相に抜擢した萩生田光一こそ問題だらけのタマネギ男だ! 加計問題で圧力、教育勅語礼賛、テレビ局に圧力文書…の画像1

    オフィシャルwebsiteには安倍首相とのツーショット写真も!

 あらためておさらいすると、萩生田氏は加計学園の獣医学部新設をめぐって大きな役割を演じてきた。たとえば、文科省が公開したメール文書では、「広域的に」「限り」の文言を加えるという事実上の「京都産業大学外し」を内閣府に指示していたと名指しされており、NHKがスクープした文部省の内部文書「10/21萩生田副長官ご発言概要」でも、萩生田氏が文科省に対し「官邸は絶対やると言っている」「総理は「平成30年4月開学」とおしりを切っていた」などと“総理案件”であることを伝えていたことが明らかになっている。

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 こうした関与を本人は厚顔にも完全否定したが、萩生田氏は加計学園が経営する千葉科学大学の客員教授を務め、報酬を得ていたこともある上、自らのブログに安倍首相、加計孝太郎理事長と3人仲良くバーベキューに興じる写真を掲載していたことも発覚。ところが驚いたことに、萩生田氏は安倍首相と加計氏の友人関係すら知らなかったと強弁するなど、誰にでもわかる嘘を平気な顔で吐いてきた。 

にもかかわらず、安倍首相の側近として文科省に圧力をかけた疑惑の中心人物を、あろうことか安倍首相は文部大臣に抜擢したのである。これほど国民をコケにした人事があるだろうか。

 だが、萩生田氏を文科大臣に登用したことには、さらに大きな問題がある。それを象徴するのが、前川喜平・元文科事務次官がきょう投稿したツイートだ。

〈やっぱり萩生田文部科学大臣か。ひどいことになるだろう。彼の議員会館の事務職には、教育勅語の大きな掛軸が掛けてあった。〉(原文ママ)

 教育勅語の掛け軸をかけていた──。このエピソードからもわかるとおり、萩生田氏は安倍首相が血道を上げる戦前回帰と“偏向”教科書批判に同調し、一体となって教科書制度の改悪を進めてきた歴史修正主義者なのだ。

 たとえば、2013年には、安倍首相の「(現行の教科書検定基準には)伝統、文化の尊重や愛国心、郷土愛について書き込んだ改正教育基本法の精神が生かされていない」と発言したことを受けて、萩生田氏は総裁特別補佐として自民党「教育再生実行本部」の「教科書検定の在り方特別部会」の主査に。同部会は教科書検定でアジア諸国への配慮を義務づけた「近隣諸国条項」の見直しを打ち出し、「自虐史観に立つなど、多くの教科書に問題となる記述がある」と教科書批判を展開。

 そして、同部会では教科書会社の社長や編集責任者を呼び出し、〈南京事件や慰安婦問題、竹島などの領土問題、原発稼働の是非などに関する教科書の記述〉について聞き取りをおこない、議員らが「経緯の説明が足りない」「偏っている」などと意見(朝日新聞2013年6月4日付)。ようするに“圧力”行動に出たのだ。

 ◆安倍首相の手先として教科書に圧力、ワイルドな憲法審査、テレビ局に圧力文書 

 これには教科書会社の関係者からも「戦争への反省の視点を薄めようとしているのは明らか」などと危惧の声が上がっていたが、対する萩生田氏は「日本ってとんでもない国だという、そういう洗脳教育みたいなのは、もうやめてもらいたい」などと発言(琉球新報2013年8月4日付)。結局、安倍政権は〈学習指導要領の解説改定や検定基準の厳格化によって教科書の記述を変えさせる〉ことで「近隣諸国条項」を骨抜きにしたのだが、萩生田氏はこの教科書改革について「もう、近隣諸国条項の使命は終わった」と語っている(朝日新聞2014年3月2日付)。

 このように教科書改悪の尖兵として役割を果たしてきた萩生田氏が、安倍首相によって文科大臣に引き上げられた──。これによって、さらに教育現場において歴史修正主義が押し付けられ、蔓延することは間違いない。

 いや、問題はそれだけではない。萩生田氏は「日本会議国会議員懇談会」が設置した「新憲法制定促進委員会準備会」の事務局長を務め、この準備会が2007年に「新憲法大綱案」を公表したように、安倍首相と一丸となって憲法改正を推し進めようとしてきた人物だ。

 実際、今年に入ってからもフェイクデマ拡散ネトウヨ番組『真相深入り!虎ノ門ニュース』(DHCテレビ)に出演して「ワイルドな憲法審査を自民党は進めていかなければならない」などと述べ、さらに参院選後にはやはり極右ネット放送局「言論テレビ」の番組『櫻LIVE』に出演し、衆院議長だった大島理森氏をめぐって「いまのメンバーでなかなか動かないとすれば、有力な方を議長に置いて、憲法改正シフトを国会がおこなっていくことは極めて大事だ」と発言。

 野党との合意形成もなく「ワイルドな憲法審査」などと言い、改憲シフトのためには衆院議長の首も挿げ替えるべきと主張する「暴言」を連発してきた萩生田氏を、このタイミングで文科大臣にする意味──。それは、改憲の必要性を学校でも叩き込もうというための布石ではないのか。

 しかも、萩生田氏といえば、報道機関に対し率先して“圧力”“恫喝”を繰り広げてきた人物でもある。たとえば、2014年末の解散総選挙直前、安倍首相が生出演した『NEWS23』(TBS)で流した街頭インタビューアベノミクスについて否定的な意見が多かったことに対して、安倍首相は「厳しい意見を意図的に選んでいる」と陰謀論まがいの主張をまくしたててブチ切れ。放送から2日後には、在京キー局に向けて当時自民党筆副頭幹事長の萩生田氏は〈選挙時期における報道の公平中立ならびに公正の確保についてのお願い〉なる恫喝文書を送りつけた。これが放送局の萎縮と忖度を加速させたことはあきらかだが、このように安倍首相に仕え、尻尾を振りつづけてきたのが萩生田氏なのだ。

 安倍首相の言うなりに動き、時に安倍首相の本音を代弁して観測気球を上げてきた萩生田氏の入閣。新たな“極右お友だち内閣”でも、この男の動きには要注意が必要だろう。(編集部) 

 元稿:LITERA・リテラ(本と雑誌の知を再発見) 主要ニュース 社会・政治 【政治ニュース】  2019年09月10日  08:09:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【集英社インターナショナル新書】:税のタブー  著者:三木義一

2019-09-12 08:16:30 | 【税制・納税・減税・年収「103万円の壁」・ふるさと納税・物納・脱税・競売】

【集英社インターナショナル新書】:税のタブー  著者:三木義一

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【集英社インターナショナル新書】:税のタブー 著者:三木義一

 ◆日本の税制の抱える問題に、わが国の税法第一人者が迫る!

 政治家と官僚まかせにした結果、税制は複雑、不公平なものとなった。特別措置法は乱用され、企業への優遇措置は隠されたままである。酒の販売免許制度は選挙の票集めに利用される。不公平税制の真因を、税の成り立ちから考える。

「新作「税のタブー」(集英社インターナショナル新書)」の画像検索結果

 ◆担当編集者より 

 三木先生との出会いは、私の中では「ピケティ」縁だと思っています。ピケティと言えば、世界的ベストセラーになった『21世紀の資本』で有名ですが、『税の革命』という本があります。日本では知られておらず、この本の邦訳を出したくて、青山学院大学の学長室の扉を叩き、三木先生にお目にかかったのがきっかけでした。三木先生が座長を務めておられる「民間税制調査会」では、『21世紀の資本』を扱ったシンポジウムを過去に開いていますから、まさに適任者だったわけです。ただ残念ながら『税の革命』は、フランスで刊行されてから時間が経ち過ぎ、税制自体も変わり、訳本の出版には至りませんでした。
しかし、三木先生とのご縁は続きました。「『税のタブーを考える』っていうのはどう?」と打診があったのが、2016年の師走でした。そして、大晦日の真夜中、突然、メールが届きます。こんな言葉と共に…

 50代の頃は毎年大晦日に原稿を出していました。除夜の鐘を聞きながら、原稿を出すのが、私の癖でもありました。その昔を思い出させてくれた、皆様になんと申し上げたら良いのでしょう。試作品を送ります。

 もう、読むしかないわけです。除夜の鐘を聞きながら…。もちろん、私のもとで原稿を止めては失礼にあたるので、編集部の関係者全員に転送しました。おかげで誰もが今までにない新正月を迎えることになりました。
三木先生はこうやって周囲をどんどん巻き込んでいかれます。この本を手に取る読者の皆さまも、気づいたら、税の世界に引き込まれているかもしれません。 

三木学長が語る「税のタブー」Part.1

◆三木学長が語る「税のタブー」Part.2

 ■価格:¥860(本体)+税   

 ◆著者略歴

 ■三木義一(みき・よしかず)

 青山学院大学学長。1950年、東京都生まれ。一橋大学大学院法学研究科修士課程修了。博士(法学)、弁護士。民間税制調査会メンバー。元政府税制調査会専門家委員会委員。著書に『日本の税金 第3版』『日本の納税者』(共に岩波新書)、『よくわかる税法入門(第13版)』『新 実務家のための税務相談(民法編、会社法編)』(編著・監修、共に有斐閣)、『税ってなに?』(監修、かもがわ出版)など。税の御意見番として、雑誌・新聞メディアによる取材多数。

 元稿:集英社インターナショナル 主要出版物 【政治・経済】 2019年08月07日 09:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【社説①】:第4次安倍再改造内閣 何のための安定と挑戦か

2019-09-12 05:05:55 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【社説①】:第4次安倍再改造内閣 何のための安定と挑戦か

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:第4次安倍再改造内閣 何のための安定と挑戦か 

 安倍晋三首相はきのう、内閣改造と自民党役員人事を行った。

 政権の骨格である麻生太郎副総理兼財務相、菅義偉官房長官、二階俊博幹事長を留任させ、初入閣は安倍内閣最多の13人に上った。

 知名度が高い小泉進次郎環境相や橋本聖子五輪相を目玉とし、政権浮揚を図る狙いのようだ。

 しかし、その内実は首相に近く保守的な思想・信条が色濃い議員の優遇や、派閥の入閣待機組に配慮した順送り人事である。

 首相は改造に際して「安定と挑戦の強力な布陣を敷きたい」と述べてきた。だが、その顔ぶれを見る限り、何のための安定で、何に挑む内閣なのかが判然としない。

 第2次安倍政権の内閣改造は6年連続となる。まるで年中行事のようだ。改造が課題に取り組む態勢づくりのためではなく、政権の求心力を維持する道具と化しているように見える。

 内外に難題を抱える中、緩んだ「1強政治」を継続することは許されない。

 ■問題が多い側近重用

 保守派の側近重用人事の象徴として見過ごせないのが、萩生田光一氏の文部科学相就任だ。

 萩生田氏は官房副長官在任中、加計学園問題で文科省に残されていた文書に名前が登場し、首相の意向として学園獣医学部の早期開設を同省幹部に迫ったとされた。

 萩生田氏は関与を否定するが、加計問題は国民の疑念が払拭(ふっしょく)されたと言える状況にはほど遠い。首相はその渦中にあった側近を、あろうことか文科相に起用した。到底納得できるものではない。

 麻生氏が、自殺者が出た森友学園問題を巡る財務省の決裁文書改ざんの政治責任を取らず、閣内に居続けているのも首をかしげる。

 麻生、二階両氏は主要派閥を率いる実力者だ。外せば政権のバランスを失う。だから残す―。国民不在の「安定」の内実だろう。

 総務相に再登板した高市早苗氏も、首相に近い保守派として知られる。前回の在任中、放送法4条を根拠に、政治的に公平でない放送を繰り返す放送局に電波停止を命じる可能性に言及した。

 メディアに対する政権の圧力とも受け取られかねない発言を忘れるわけにはいかない。

 派閥の意向以外に起用の理由が見当たらない閣僚も散見される。資質を度外視した順送り人事が無残な結果を招きかねないことは、4月に五輪相を辞任した桜田義孝氏で実証済みではないか。

 ■国会論戦が急がれる

 首相の自民党総裁任期は2021年9月までだ。総裁の連続4選を禁じた党則の改正がない限り、政権の残り時間は多くはない。

 急ぐべきは戦後最悪とされる日韓関係の改善だろう。河野太郎氏から茂木敏充氏への外相交代を機に対話の糸口を探るべきだ。

 ところが菅官房長官は8日に、関係悪化の「全責任」が韓国にあると強調した。一方的な非難は事態をさらに悪化させるだけだ。そういう認識を閣内で共有し、建設的な外交へ転換する必要がある。

 北方領土問題や北朝鮮による日本人拉致問題は一向に進展していない。茂木氏が経済再生担当相として取り組んだ日米貿易交渉も、農業を犠牲にして決着しようとしていることは看過できない。

 社会保障に関し首相はきのうの記者会見で、高齢者中心から現役世代にも給付を広げる「全世代型社会保障改革」の推進に向け検討会議を設置する方針を表明した。

 これは2年前の衆院選から掲げてきた政策だ。議論する時間はいくらでもあったのに、高齢者の負担増が想定されるため参院選後に先送りしたのが実情ではないか。

 米中貿易摩擦が激化する中で消費税増税が控えている。景気の先行きに暗雲が垂れこめている。政権の看板政策のアベノミクスは行き詰まりが一層顕著になろう。

 加えて問題なのは、これら内外の重要課題について国会でろくに論戦が交わされていないことだ。

 参院選から2カ月近くがたつが、政府・与党は臨時国会の召集を来月上旬としている。あまりに遅い。怠慢のそしりを免れまい。

 ■「私心」は許されない

 首相が「挑戦」に執念を燃やすのが改憲である。しかし首相が旗を振れば振るほど、野党ばかりか公明党も警戒感を強めている。

 国民もついてきていない。先月の共同通信社の世論調査では、安倍政権下の改憲に反対52%と、賛成の35%を上回った。

 7月の調査では優先して取り組むべき政策も「年金・医療・介護」と「景気や雇用など経済政策」が、改憲を大きく引き離した。

 首相は11月に、通算の在職日数が桂太郎を抜き歴代1位となる。

 国民が求めていないのに、改憲を長期政権の遺産として憲政史に刻みたい―。そんな私心は間違っても抱いてもらいたくない。 

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年09月12日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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